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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成21年12月3日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

まず、明日、臨時国会は閉会するわけですが、わが党では衆参で十分な審議を求めて、いわゆる3点セット、予算委員会の集中審議、参議院決算委員会の総括質疑、党首討論を要求したわけですが、残念ながらゼロ回答であった。これは議会軽視なのはもちろんでありますが、献金隠し、あるいは普天間隠しで、鳩山首相は逃げたと申し上げざるを得ないと思っています。
30日(月)は新橋で、昨日2日(水)は新潟で、それぞれ街頭で直接国民の皆さまに訴えたわけですが、皆、足を止めて聞き入ってくださって、国民に一定程度のご理解を得られたと感じました。特に、国民生活とかけ離れた巨額の資金が親子間でやり取りされていた「違法子ども手当」と表現しましたが、それについては非常に反応があったということです。明日4日(金)は、兵庫県明石市で演説をいたしますが、引き続き私が先頭に立って、街頭で訴えていきたいと思っています。
それから、政治と金、外交安保、経済等々について、わが党から質問主意書を提出しました。国会でお答えがなかったのは残念ですが、国会法に基づく質問主意書に明確にご回答を頂きたいと思います。さらに予算案等が提出される通常国会で、この問題を引き続き追及してまいります。
もう1つは、民主党の陳情のシステムについて、大変ご議論があります。わが党が政権を持っていた当時は、政治は国民全体のものであるという意識が私どもにもありまして、自民党だけということはなくて、野党の方々がいろいろな陳情を持って来られる、あるいは地元の方を連れて来られるのに、応対しておりました。
私自身も閣僚の時代、そういう野党の方々、あるいは野党がお連れになった地元の方々の要請を伺ったものですが、民主党はそれを幹事長室に一元化する。国会議員や地方の首長の方々の陳情も制限するということですが、これは国民のための予算や税制を小沢幹事長の一存で決める一大利権システムにつながりかねないと思います。
小沢幹事長による、今回は密室で決定する陳情仕分けがスタートしたと言わざるを得ない。私は、これは大変危惧を覚えています。国民が政府にいろいろなことを要請する、意見を述べる。これは当然の権利でありますが、それを政党やその支部である都道府県連がどういう理屈で制限できるのか、陳情仕分けをどう正当化するのか。その根拠は全くないと断ぜざるを得ないと思います。
自民党は、国民の声を幅広く聞いて、それを国政に反映させるために、党本部はもちろん、都道府県連、あるいは地方議員まで要望をお聞きしてきたわけですが、これをさらに充実する。同時にネットを通じたご意見の受付等々、開かれたシステムを作り、必要なものは、政府に的確に働きかけていくということです。
もう1つ申し上げたいのは、報道によりますと、米軍普天間基地の移転先の決定を必ずしも年内でなく、先送りするようですが、明確な方針のない政権の内輪だけの事情だけの先送りというのは、百害あって一利なしと申し上げます。我々は、これまで日米安保の仕組み、枠組みを守りまして、同時に沖縄の負担を1日も早く軽減をしなければならないという観点から、南部の基地返還や、あるいは海兵隊のグアム移転を含めたパッケージで、沖縄の理解も得て、日米合意をしたわけです。様々な制約条件がありますが、今でもそういう条件の中で、現状で考え得るベストなパッケージだと考えています。
これに対して、鳩山内閣が連立の維持だけを最優先にして、沖縄の思いを、日米信頼関係も台無しにする、単なる先伸ばしを図ることは極めて問題でありまして、社民党がどう、国民新党がどうということではなくて、政治の最高責任者の総理が、明確な方針を打ち出すことが何よりも大切だと申し上げます。

質疑応答

Q
米軍の普天間基地の移設問題について、社民党の福島党首が「辺野古沖に基地移設を行った場合は、社民党としても私としても重大な決意を行わざるを得ない」と発言し、連立離脱も辞さない構えを見せています。社民党と民主党の連立関係、また普天間移設に関する社民党と民主党の意見の違いについて、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
3党連立で合意は作っていますが、体質から見て相当かけ離れた考え方の人たちが連立を組んでいますので、このような問題が出てくるのだと思います。ですから、結局、この問題が今のような事情で連立の結束を優先して、先送りしていくことになると、私はこの問題の解決が事実上できなくなってしまうのではないかと危惧します。
日米安保の信頼性ということになると、現在沖縄県に駐留している米軍の存在が、まさに死活の意味を持っているので、それに対して具体的な回答がないのは、日米安保の信頼性も損ねるし、日米間の関係も危うくするということなので、連立のあり方を優先して、この問題の解決を先送りするのは、一国の政治責任者としては、責任感がないと申し上げざるを得ないと思います。
Q
政権構想会議の意見交換会が行われましたが、出席者からの意見を受けて、今後はどのように民主党と対峙していこうとお考えになりましたか。
A
今日は、自民党という党が国民のために何をしていく党か、1番基礎的なわが党の理念はどこにあるのかという議論でした。58名の方からご意見がありましたが、概ね党の理念や考え方に対しては、だいたい落ち着くべき所に議論が収束しているのかなと思います。
ひとつは、私どもは家族を大切にして、自分たちが住んでいる、あるいは生まれ育った地域を暮らしやすいように努力して、国というものを、我々の先人が作ってこられた歴史や伝統などを大事にしていこうという点は、だいたい共通でした。
それをもう少し政策面に展開したときに、まずは、我々は個人が自分の家庭や地域、職場のために頑張る、工夫する、汗をかくということが一番大事なものにしていこうと。つまり自ら助くるものを助くと申しますが、自助の精神はやはり政治の基礎にないといけない。その上に立って、お互いの家族の絆、地域の絆、あるいは最近ではNPO、ボランティアというものがありますが、そういうところでお互いに助け合う共助の世界があり、それでも難しい場合は、国民からいただいている税金を使った公助というものがある。これらをバランスよく組み立てることが大事で、いきなり国家が出ていくというような考え方はとらない。こういうものもほぼ共通ではないかと思います。
そのうえで、大事なことは、これはかなり哲学的、政治思想的、かなり奥深い議論でもあるので、もう少し分かりやすく議論をまとめていくということが必要だと思います。
そのうえでさらにこれからの政権奪還の戦術と重ね合わせて考えると、やはり我々は理念だけ語っているわけにはいかないので、それが政策として具体化しないといけないので、できればそれが短い言葉で明らかに語れるようなものに凝縮しないといけないと思います。つまりいくつかのそういうみんなが共有して、日本のために自民党はこれをやるんだというような、そしてそれをみんながそれを繰り返して演説に使うというようなところまで、濃縮しなければいけないと思っています。
Q
政権構想会議について、本日の意見交換会はマスコミに対してクローズで行われました。谷垣総裁が掲げた「開かれた」「オープン」に反するのではないかと思います。また政権構想会議の出席者から同様な意見も挙がったと聞いていますが、クローズにした理由についてお聞かせください。
A
政権構想会議の運営の問題でもあるので、運営をしている司会者の判断というものを遵守したということだと思います。なかなか1番基礎的な、ある意味ではデリケートな議論ですので、こういう議論の仕方もあるのかなと思いますが、ご批判も今日の議論の中でもありました。
Q
鳩山首相の政治資金問題に関連して、弟の鳩山邦夫元総務大臣にも母親から資金が流れていたことが関係者の話で判明しましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
ご本人も記者団に説明されているようですが、第1にご本人が国民に向かって、しっかり説明をされることが何よりも大事だと思います。
Q
関連で、党として今後、何か対応されるおつもりはありますか。
A
まずご本人がしっかり調べられるか、あるいはご本人として答えるということがあって、そこから先どうするかは、これからの問題です。まずはご本人だと思います。
Q
政府の経済運営について、デフレや円高の対応に関して、どのように評価されていますか。
A
まず1番の問題は、経済とか景気の全体像に対する政権の認識が、必ずしもはっきりしていないということが、問題点として根底にあると思います。円高というのは、これは基本的にドル安というある意味で、今までの為替関係のパラダイムが変わってきているということがあると思いますので、日本だけで対応するということは困難な面があって、国際的な連携が必要だと思います。当初、円高基調が定着していくときに、急激な動きがあったときは、政府は何らかの対応をしなければならない。そこのところの姿勢が弱かったのは、円高基調になってしまった1つの要因としてあると思います。その辺は、今後とも注意深く対応してもらいたいと思っています。
2番目の問題は、この問題に対応する政府と日銀の意思の疎通というのが、最近、何度も会われたりして、ようやく意思の疎通が図られたのは評価する点はあると思いますが、当初それが少し弱かったというのがあると思います。
また、先ほど全体をどっちに引っ張るのがはっきりないと申し上げましたが、司令塔の存在が多分に、ここが司令塔だと分からないところがあります。そこをはっきりさせないと、経済対策を打ち出すときに問題があるのではないでしょうか。
Q
鳩山邦夫元総務大臣の政治資金問題が出てきたことにより、自民党として、鳩山首相への追及が鈍るということはありますか。
A
それはありません。
Q
大仁田厚元参議院議員が、長崎県知事選挙への立候補表明をしましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
現段階では、特にコメントはありません。自民党の長崎県連がどう対応するか聞いていませんので、これからよく聞いてみたいと思います。