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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成21年11月6日(金)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

私自身が全国を行脚すると前々から申し上げておりますが、計画的に予定を組んで始めたのは、11月3日(火)の大阪府からです。4日(水)は高知県、この2つのところを伺って、スタートしました。現場に出向きまして、いろいろな方々とお会いして、党に対する注文や今の政策の方向に対するいろいろな注文を伺いました。臨場感もありましたし、得るところが多かったなと思っています。友好団体との対話も地方に出向いてやらせていただきました。これまでのような個別の要望、陳情をお受けするのが、自民党の今までの団体との付き合い方のスタイルだったと思いますが、今後は中長期の政策的な課題をじっくり議論していく方向でお付き合い、今までの信頼関係を大事にするとともに、中長期的な政策の方向性を議論したいということを申し上げさせていただきました。今後は、党本部だけではなくて、地方レベルでもこのような政策対話を推進していかなければいけないと思います。それが第1点です。
第2点は、予算委員会の審議について、昨日までで衆議院予算委員会の質疑が終わり、今日から参議院で論議が行われています。今日までの議論を聞く限り、鳩山総理、政府の答弁はやや抽象的である。総理もできるだけ丁寧に答弁したいとおっしゃっていますが、かなり冗長な答弁が多いと思います。特に、今後の予算編成等々財源をどこから見出すのか、外交安保について具体性が極めて乏しいと思います。本来、与党は具体的に結論を出すことが求められているものだと思いますが、そういうところがまだはっきりした与党らしい姿が出てきていないのではないかと思っています。今後も徹底的に国会論争を通じて、そういったところは付いていかなければいけないと思います。
それからもう1つ申し上げたいのは、日本郵政の社長人事、人事院の人事官の人事について、ご承知のような方を選んでいます。我々の方は能力本位と言ってまいりましたが、民主党は、官僚OBはすべて拒否という姿勢で来られたと思います。政権に就いた途端、この姿勢が完全にぶれていると思います。民主党のダブルスタンダード、言行不一致に対しては、きちんと強く批判していかなければいけないと思っています。
3番目は、政権構想会議についてですが、今朝、第1次勧告の取りまとめを行いました。この第1次勧告の内容は、時間的に急ぐ組織とか人材の問題を先行して議論を進めてきましたので、参議院の候補者、あるいは衆議院の小選挙区支部長について、勝てる候補を選ぶという大前提の下に、透明感のある選考方法を導入するという基本方針を打ち出しました。今後はこういった問題に併せて、本来政権構想会議で1番議論していただきたい党の政策立案の土台となる理念や政策の大きなフレームワークについても議論を進めていきたいと思っているところです。

質疑応答

Q
予算委員会で、鳩山首相の偽装個人献金問題や株売却益の申告漏れの問題などが取り上げられていますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
代表質問のときにも申し上げましたが、総理はもともと自民党におられた時から、この問題をしっかりするということが、政治的原点であったと思っています。総理自身も言明されてきましたが、ご自分自身で説明責任を果たされることが、基本的なポイントだと思います。
しかし、今までの国会の質疑を見ていると、自分は知らなかったとか、捜査に影響があるので答えられないとか、旧態依然たる言い訳を繰り返しておられるような印象を受けています。
一方、今週の予算委員会では、銀行口座から偽装資金を引き出すときに、総理自身が指示書を書いておられることを認めているので、これはご本人の関与を裏付ける証言だと思います。ますますこの点で、深層や実態は何だったのかという疑惑が深まっているのと思うので、鳩山総理ご自身の説明していただくための集中審議を求めていくということです。
Q
政権構想会議の第1次勧告で、勝てる候補の基準や選考方法は、最終的には党の執行部に委ねると書かれていましたが、以前、谷垣総裁は候補者の差し替えもあり得るとの認識を示していましたが、具体的にはどのような基準で考えておられるのですか。また場合によっては、谷垣総裁が自ら出て行って引退勧告をされるようなお考えはありますか。
また、政府が永住外国人に地方参政権を付与する法案の提出の動きを強めていますが、谷垣総裁のご認識をお聞かせください。
A
政権構想会議で打ち出した、候補者というか、そういうものの選定の仕方ですが、ポイントはやはり勝てる方を選ばないといけないということです。その基準をどうするかというのは、今ご指摘になったように、執行部でこれから詰めていかないといけませんが、それについては今まで公募をやったりしたことの、ある意味で反省もあります。公募というのは、自民党の人材のリクルート源が2世議員だとか、古手の地方議員の方々であるだけではなくて、もっと幅広いものにしていって、自民党の血も入れ替えると言いますか、若々しいものにしていくということを目的に、公募は今までもいろいろなところで行われました。公募する側にも、公募の選定方法も相当スキルがいるということではないかと思います。選挙に勝てるというのは、弁舌が非常に爽やかだとか、あるいは政策が優れているということだけで足りるのか。例えば、そういう基準を具体的に入れるかどうかは別ですが、地元の中学や高校を出たという方は、小学校から大学まで東京という方に比べると強いということがあります。地域に根を生やしているということがあると思います。
つまり、いろいろな要素を考えないと、大島幹事長は「選挙力」という言葉を使っていますが、単に政策力とか演説力だけではなくて、幅広く見ないといけないと思います。そこらを言語的に表現するのはなかなか難しいところがあって、最後は知恵ということになるかもしれませんが、できるだけそういうものを基準か、言語化は難しいですが、基準を作って選んでいくということではないでしょうか。
最後に私が乗り出して、引導を渡すようなことまで考えているかということですが、今の段階ではそこまで視野が及んでいません。
外国人参政権について、この問題は憲法上の論点があるという方もいますし、そういうことも含めて、もう少ししっかり議論する必要があるのではないかと思っています。
Q
関連で、山岡民主党国対委員長が、「議員立法で党議拘束も外した形で」と川崎国対委員長に伝えたそうですが、今国会で民主党から同法案の提出があった場合、自民党としてはどのように対応するのか、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。また、この法案を多数決で採決することに対する受け止めをお聞かせください。
A
先ほど申し上げたように、中身がどういうものか理論的にも問題点を整理しないといけません。それは政調でやっていただくことになると思います。そういう憲法上の問題点があるのか、ないのかということも議論の対象になるのかもしれませんが、そういうことも含めて何が問題点かということをしっかり分析したうえで、党の対応を判断することになると思います。
Q
候補者の選定について、地域の方、そこから選ばれている人たちを大事にしていきたいということは、党としての理念や考え方の中心に置きたいという谷垣総裁のお考えがあるのですか。
A
選挙区によってかなり違うのだと思います。そこで生まれ育ったということをあまり考えない選挙区もあるのかもしれません。そういうところは、あまりそういうことを条件にしなくても良いのかもしれません。ただ、私はこれからの選挙を考えると、やはり地域地域の問題をもう少し重視してくれという声が、先日、大阪と高知に行きましたが、かなり強いように思います。それはおそらく、そういった地域の方々が、地域が疲弊したとか、地域再生ということが相当国政の上でも大きな課題だと思っておられる方がかなりおられるのではないかと思います。
そういう思いを持っている方がたくさんいる地域では、やはり地域に根差したということが、選挙に勝つという条件になってくる場合もあると思います。その辺はまだ全国一律に地域に根差したということを求めるかということには、今の段階では全国一律というわけにはいかないと思います。
Q
政権構想会議で、候補者の選び方について公募制を積極的に活用するとなっていますが、これは各都道府県連に対して、公募は原則であるということを伝えるのか、できるだけという努力目標のようなものなのか、お聞かせください。また、この基準を執行部が作るということですが、いつ頃までにまとめようとお考えですか。
A
まだ具体的に基準のメド、いつまでにということは、まだ具体的に相談していませんが、要するにこの前から申し上げているように、正月は参議院の選挙をやられる方は、正月の会合では公認候補だということで回っていただきたいし、その時間的なスケジュールとの問題もあります。できるだけ原則として、公募ないし透明な選択をするということが、わが党、自民党に対する悪しきイメージを変える、自民党は開かれたフェアな政党に変わったじゃないかという大事な手段でもあると思います。だから、できるだけ早くやりたいと思います。あまり時間をかけてやるとできなくなりますから。
Q
厚生年金の記録回復について、長妻厚生労働大臣は、事業所が少なく見積もったために本来受け取る額より少ない額をもらっている人に関して、今まで証明書をつけて回復するというやり方でしたが、証明書なしで全額戻せるような形にしていきたいと言っています。一方で、モラルハザードの問題も浮上してくると思いますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
この問題は、いわゆる消えた年金問題で今までいろいろ議論されてきましたが、本来であればきちんとした証拠でもって、支払うということが当然なんだと思いますが、随分、消えた年金の問題には、立証責任を全部完全に果たすのは難しいというのは事実だと思います。第3者機関を作って、かなり確実な証明にいたらなくても、心象的に十分に、おそらくそうだろうということには払うという方向になっているので、まったくなしでというわけにいきますでしょうか。モラルハザードの問題も生じてくると思いますので、今までも相当苦労して検討してきたので、そこから一足飛びで行くのかどうか。私は詳細の問題点を明らかにしていませんが、今までも自公政権の下でも判定のための努力を積み重ねていたので、そういうものを基礎に置かないといけないのではないかと思います。
Q
政権構想会議の第1次勧告で、世襲議員の公募への参加について検討するとなっていますが、これは候補者が実際はなかなか集めにくいとか、あるいは集まらないということに配慮されてのことでしょうか。
A
集めにくいと言うより、これはいろいろな考え方があると思います。例えば、ご子息でも本当に能力があるのに、なぜいけないんだということがあります。我々の議論で出ていたのは、チャーチルのような人が出てきたとき、息子だからだめだと言うのかという議論が一方であります。それは武器が対等じゃないではないか、親父もそこで出ていた、本人も出ていた。チャーチルという名前だけで知名度は上がっているんだと。武器対等ではないねという議論もあります。
やはり本当に優秀な人材であれば、どこから出ても通るから、別にそこから出なくても良いじゃないかという議論もあります。しかし、先程のように優秀な人なんだけれども、全然自分のところと縁もゆかりもない人では、本当に我々の生活の悩みや苦しみを、かゆいところに手が届くのかという民心もあると思います。そういうことをいろいろ考えると、ひとつはできるだけ、いわゆる親族が政治家だったという人も全然そうじゃない人も、飛び込んでくる人も 平等な条件の中で透明に選べる道はないのかと。だからそれが例えば公募であったり、予備選挙を使うのもあるのかもしれません。
もうひとつ勧告の中で、小選挙区支部の経理のあり方が書いてあります。近代化ということが適切かわかりませんが、小選挙区支部を自分の政治資金の財布みたいに使って、それをそのまま息子に譲り渡すということでは武器対等にならないので、経理関係等も多くの党員に参加してもらって、透明な仕組みを作って、それは支部で公募などをしたときにそういう支部に集めた政治資金も息子に譲り渡すのではなくて、支部で公募した人に、支部で選んだ人に譲り渡していく。全体の状況をできるだけ対等にしていくことによって、そういう問題が乗り切れないかという発想があるのは事実です。
Q
会期の延長の話がすでに与党から出ています。まだ会期末までにひと月近くある中で、与党側からそういう声が出てくることについて、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
まだ11月には連休もあるので、今の審議状況と、法案審議までどう具体的にやるかという日程を数えると、会期内では難しいという判断なんだと思います。これに対して、まだ正式な提案があったわけではないでしょうから、我々がどうお答えするか、どう対応するかをお答えする段階ではありませんが、そういうご判断はあるのかなと思います。法律を通していくためには、それだけの日数が必要だとのご判断が与党側にあるのだと思います。
Q
自民党の新人議員の今後の活かし方について、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
わが党は、幸か不幸かたくさん新人議員がいませんので、新人の方々がご自分の能力を活かし、場数も踏んで成長していただくためにどうしたらいいのかというのは、わが党はそういうことを考えやすいし、指導しやすいと思います。ですから、既に我々も当選1回であっても、齋藤健議員に予算委員会で質問していただく、なかなか良い質問をしていただいたと思っていますが、そういう機会は積極的に作っていくということが必要だと思います。
民主党の方は、あれだけ大勢おられて、なかなかご苦労があると思いますが、ただ委員会等の対応はもう少し訓練をきちんとしていただいた方がよいのではないかとの感想を持っています。
Q
ヤンキースの松井選手がワールドシリーズでMVPを獲得しましたが、谷垣総裁のご感想をお聞かせください。
A
心から拍手喝さいを送りたいと思います。志を立てて、アメリカに渡ってメジャーリーグで活躍されて、ついにMVPまで獲得されたのは、誠にうれしいことで、志あれば必ず為るということではないかと思っています。