記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成21年10月29日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

来月3日から地方行脚を始めます。「歩く。聞く。応える。」というのを標語にしたわけですが、そういう考えの下に、できるだけ多くの国民、有権者と触れ合って、草の根の声もうかがって党再生を成し遂げていこうということで、私自身が全国47都道府県をできるだけ入ろうということです。
同時に草の根の声を伺うということではなくて、党の団結の時期なので一致団結、結束を図るために地方議員、首長、地域・職域支部といったところとの対話を行いたいと思います。
実際に八ッ場ダムに行ったり、栃木県に伺ったりして、実質はスタートを切っていますが、3日は大阪、4日は高知、都市と地方の訪問をパッケージにして計画しています。内容は、近々公表します。最初は長年、自民党を支持していただいている党員のお宅を訪問して、地方行脚の第一歩を切りたいと思っています。また中小企業、農林畜産業の方々とお会いしたいと思っています。高知では、桂浜で車座での議論を予定しています。今の実情の中で、自民党に対して厳しいお声があると思いますが、しっかり対話をしたいと思います。
それから地方支部、青年局・女性局の率直な声も聞きまして、これからの党再生と言いますか、党の姿勢、政策、党運営にきちっと反映させていただきたいと思います。
昨日、今日と衆参で代表質問が行われています。私もトップバッターを務めましたが、感想としては、鳩山首相の答弁は、残念ながら具体性に乏しかったと思います。
政権発足からすでに40日が経っていますが、今までの政権のあり様に、国民の皆さんがどうかなと思っていることが、相当積み重なってきていると思います。そういう項目について、明確な回答がなくて、多くは検討中ということでした。どういう形で鳩山政権が日本をリードしていこうとしているのか、国家としての方針、進むべき方向について、40日が経ったので、明確な方針が示されてしかるべきだと思いますが、情緒的な言葉だけが印象に残ったという感想を持っています。これから、さらに予算委員会もあるので、国会審議の場で問いただしていきたいと思っています。
予算委員会は来週からスタートするということで、理事会で協議をしていただいていますが、民主党、与党は予算委員会の開催は、1日とおっしゃっているようです。
昨日の鳩山首相の代表質問に対する答弁の中で、「お互いにしっかり議論しよう」とおっしゃっているので、予算委員会が1日というのは、鳩山首相の姿勢と民主党の姿勢が乖離しているしか言いようがないと思っていまして、充実した審議が図らなければならないと思っています。

質疑応答

Q
代表質問について、民主党は衆議院で質問をしなかったのに対して、本日、参議院では民主党の議員が質問を行いました。このような民主党による、衆参でのちぐはぐな対応をどのように受け止めていますか。
A
今、ちぐはぐとおっしゃいましたが、党として、政権として、どういうふうに国会に取り組んでいこうかという姿勢について、ちぐはぐなのだと思います。
参議院では質問をしていますが、衆議院ではしない。やはり政権交代が起こったということは、国民側からご覧になっても、しっかりした国会審議をして、新しい政権の方向性、意義を、もちろん野党は問題点を突くわけですが、やはり光は一方だけから当てても立体的には浮かび上がらないので、与党からも野党からも光を当てることによって、物事が立体的に浮かび上がってくるのだと思います。
極めて大事な時にそういう役割を放棄されるのは、ご自分達がされた政権交代の意味も否定しておられるような感じを持っています。ぜひこの点は、国会というものをもう少し重視して、そこでの審議でいろいろな問題点を浮かび上がらせていくという態度をとっていただきたいと思います。
Q
昨日で、谷垣新体制が発足して、ちょうど1か月が経ちましたが、ご自身の評価をお聞かせください。
A
評価は私がするというより、私以外の方が評価をしていただいて、私がそれを受け止めるということだと思っています。
繰り返し申し上げていますように、野党というのは国会が始まらないとなかなか出番がないので、ようやく国会が始まり、人事体制も出来てきたわけですが、満を持してぶつからないといけない。その点では、代表質問に立っておられる方々は、準備もそうとう綿密にしていただいて、ファイトに満ちた態度でやっていただいているなと思っています。
野党としてやるべきことは選挙ですが、残念ながらこの間、参院補欠選挙は2つとも残念な結果に終わってしまった。地方選挙の方では、必ずしも我々の作戦も必ずしも良くなかったですが、民主党もかなり苦戦しています。これから、小選挙区支部長の選任や参院候補の発掘を精力的にやらないといけないと思っています。
Q
中川秀直元幹事長が本日、清和会を脱会されました。受け止めをお聞かせください。また脱会の理由として、脱派閥が大切だとおっしゃっています。若手を中心にそのような動きも少しあるようですが、派閥のあり方、そのような動きについて受け止めをお聞かせください。
A
派閥を抜ける、抜けないはそれぞれの判断だと思います。それと合わせて、派閥の機能というのも、小選挙区制も進み、野党になると、現実に昔に比べてその力を発揮することは少なくなっている節があると思います。
ただ今でも残っているのは、落選された方々の拠り所というか、そういう役割を果たしている面もありますし、今までの人材の発掘や教育という面では役割を果たしてきた。やはり党がそういう役割を代わって果たして、党の能力を付けていくことが重要なのだと思います。
Q
普天間基地の移設問題について、鳩山首相と岡田外務大臣、北沢防衛大臣の発言がかなり食い違っていますが、このような政府内の状況に関する受け止めをお聞かせください。
A
これだけ重要な外交案件で、首相、外務大臣、防衛大臣の発言がこれだけ食い違うというのは、あまり今まで記憶にないです。極めて異例なことだと思います。ですから、アメリカあたりの有力なメディアでも、この点の批判が書かれていたりするわけなので、国際社会に向けても明確なメッセージ、ぶれないメッセージを出していかないと、それは国益を損ねることになるのではないかと思います。
内閣で、よくその点を自覚して調整していただきたいですし、我々も代表質問であまり明確な答弁が鳩山首相からなかったので、来週からの予算委員会等で、当然こういう点を突いて、政府の統一見解をしっかり出してもらうようにやっていかなければならないと思っています。
Q
予算委員会では、民主党と国民新党が質問をしないというような話もあるのですが、そういう姿勢について受け止めをお聞かせください。
A
与党、野党の双方から光を当てることによって、物事がよりよく浮かび上がってくるということもありますし、代表質問だけではなくて、予算委員会でも自分達が質問に立たないということになると、浮かび上がらせる、浮かび上がらせないということ以上に、国会というものをどう考えているのかという気が私はします。
代表質問の中でも申し上げましたが、他党のことに余計なおせっかいと言えば、おせっかいなのかもしれませんが、それぞれ選挙区で民意を吸収してこられている議員が、政権の中に入っておられれば、その政権の中で、それぞれの民意を反映させることができるのかもしれませんが、それ以外の人は単なるバックベンチャー、頭数だけ、物事を決めるだけの頭数というお考えがあるとすれば、民主主義を豊かにするゆえんではないと思います。
Q
ネットメディアへの対応について、昨日、谷垣総裁はニコニコ動画に出演されましたが、出演されてのご感想をお聞かせください。また、ネットメディアによる世論調査では、大手マスコミ各社の世論調査とは違って、自民党を支持する割合が高い傾向にあります。このようなことを踏まえて、今後、党としてネットメディアに対して、どのようなアプローチをしていくお考えがあるのか、戦略をお聞かせください。
A
私も昨日、ニコニコ動画に初めて出演させていただきまして、今までやや認識不足であったなと恥じています。出演しますと、視聴者の反応がいわばリアルタイムに帰ってくる。そういう手ごたえと緊張感を感じながら、対話をするというのもなかなか意義のあることだと思いました。
今、おっしゃったように、お話を伺いますと、若干、一般のメディアと新しいネットメディアでは、自民党に対する支持の数字が違う、おそらくネットメディアに親しまれる世代層とか、あるいはネットメディアに親しまれる方々は、ある意味では幅広いわけではないのかも、一定の傾向を持っておられるのかもしれませんが、このような方々には、自民党の運動、組織論では、なかなか手の届きにくかった方たちなのではなかったかと思います。ネットに自民党としても、取り組んでいくということは必要だと思います。今朝、小池百合子広報本部長にもネットメディアとの接し方、そういうものを工夫していただくようにお願いしております。