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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成21年10月14日(水)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

それでは、初めての定例会見を開かせていただきます。今後ともよろしくお願いします。
まず申し上げたいことは、9月16日に首班指名があってから、かれこれ1ヶ月が経ちますがまだ国会が開かれていない。一刻も早く国会を開くべきだということです。もちろん、新政権になりまして、政策的な新機軸もいろいろ出しておられる。たとえば温室効果ガス25%削減ということを海外では演説されていますが、まだ国民への説明というものはありません。それから子供手当てとか、モラトリアム法案などいろいろなものが出ていますが、閣内でもいろいろな議論があって、必ずしもすっきり動いている状態ではない。そのあたりの実情はどうなのかということも、説明していただかないといけないと思います。
その他、民主党のマニフェストに載っていることで、八ッ場ダムの問題などいろいろなものがありますが、個別のいろいろな政策について、ぞれぞれの閣僚からご発言はありますが、鳩山内閣として全体としてどういう方向に日本の政治を引っ張っていこうとしているのか、日本社会をどういう方向に持っていこうとしているのか、全体のお話がないように思います。これは所信表明という形で、しっかり発言していただく。それに対して我々が質疑をしていくということが大事ではないかと思っています。
10月23日に臨時国会を開くというようなご提案もあるようですが、10月25日(日)に静岡と神奈川の参院補欠選挙が終わる。今までの主張は、選挙の最中は嫌だということだったが、前倒しをされたのでしょうが、その日程ですと政権側がご自分の主張だけを一方的におっしゃって、それに対して我々が質疑をするというスケジュールにはなっていない。選挙前に、言いたいことだけおっしゃるのはあまりフェアな国会運営ではないと申し上げたいと思います。まず申し上げたいのは、臨時国会を早期に開くべきということです。
2番目に、自民党の新しい組織はどうあるべきかということを議論し、人事もおおむね固まってきました。この人事で狙ったのは2つあります。ひとつは総裁、幹事長、幹事長代理のラインを確立して、その中で総合的な戦略を練りながら、党全体を運営していくという形をしっかりとろうというのが第1点です。
それから第2点は、野党になると国会論戦というのがこれからの活動の中心になると思いますが、政策活動の中心も国会での論戦ということになります。したがって、国会の現場の委員会の理事、それから政策を担当する部会長の方々には、ベテランあるいはその分野の若手、ベストメンバーを選んで、国会論戦で大いにこの体制で気をはいてもらおうということで、人事を行いました。この人事の下で、私も先頭に立ちますが、党再生の道を切り開くという決意です。

質疑応答

Question
民主党の小沢幹事長は、国会改革ということで官僚の答弁を原則禁止するなどの国会法の改正案を提案していますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
Answer
国会の運営のあり方、国会法の改革は今まで議会制度協議会というものを開いて、議長の下で議論を積み重ねて国会運営を改革してきたという歩みがありました。そういう形の1党がおっしゃったからどうではなくて、そういう形で院内各会派がよりよい国会運営を求めて議論するということは、当然あってしかるべきだと思いますし、わが党もそれにその議論はしっかり対応していきたいと思います。
ただ、小沢幹事長のおっしゃった政府委員の答弁を禁止するということは、本当に全部そういう形で行われるのが望ましいのかどうか。国会の議論は必ずしも政治的な議論ではありません。実務の運用にわたる面もありますので、そういう実務の運用についてものを問いたいというときに、政治的な答弁しか得られないというのであれば、国会審議の充実は図れないという印象を持っています。
したがって、この辺りもお考えがあるのであれば、議会制度協議会で十分に議論することが重要だと思っています。
Question
臨時国会が迫ってきましたが。自民党としてこの国会でどういうことを重点的に追求していきたいとお考えですか。また、谷垣総裁は総裁に就任してから間もなく1か月が経とうとしていますが、総裁と幹事長という二つの仕事の住み分けをどのように考えているのか、谷垣総裁のご所見をお聞かせください。
Answer
まず国会でどういうことを主眼において論戦を進めていくかということですが、先ほど冒頭にも申し上げたことですが、民主党は個々の政策についてはマニフェストにも書いてありますし、閣僚のご発言もあります。問題は、全体としてどういう方向に日本の政治をリードしていこうかということがはっきりしていない。まずそこをはっきりさせることが大事だと思います。例を挙げると、子ども手当はかなりの財源がいる訳ですが、その財源についてしっかりとしてご提示がありません。4年間、消費税も凍結するという議論もしている。一方で無駄を省くという議論もありますから、そうなると小さい政府になるのかもしれませんが、これだけ大きな社会保障を入れるという意味では大きな政府かもしれない。その全体像がつかめないと、私どももどう論戦していくかということも、個々の問題も良い悪いという議論はできますが、問題はどういう方向に日本を引っ張っていこうという図を示していただいて、そういう中で我々は個々の政策を批判したり、あるいはこれは結構ですねということになると思います。
まだ全体像ははっきりしていませんが、私の余談を申し上げますと、ある意味ではどこか困っているところがあると、そこに補助を入れましょう。こっちに困っているところがあれば補助を入れましょうという議論が非常に多いと思います。それをやっていきますと、かなり社会主義的な政策体系になるのではないかという感じを受けています。私の感じが間違っているのであれば、示してもらったら良いのですが、私たちのスタンスは自立した個人が工夫して汗をかく。それと同時に共生ということも必要。それで足りない場合は、政治が出て行って、手当てをすべきところは手当てをしていこうということですから、もし私どもが感じているように極めて社会主義的な政策体系をとっているのであれば、大いに対決していく必要があると考えています。
それから第2点は、八ッ場ダムの中止のご発言もそうですが、理由はマニフェストに書いているからということであれば、理由ははっきりしません。この問題を議論するにも、例えば治水、利水計画の全体像があるはずですから、治水、利水計画をどうしていくかということ。我々は従来の計画は合理的であったと思っていますが、そうすれば八ッ場ダムは継続すべきだということになりますが、もしそうでないのであれば治水とか利水の計画はどうするのかという全体像が必要なはずです。
そういう全体像の中で、このダムは必要、不必要という議論になっていかないといけない。それを議論するためには、地元の方々との対話も必要だし、八ッ場ダムだと1都5県の治水、利水の影響を受ける方々との対話も必要だと思います。
つまりマニフェストで決まっているから出来るということではなくて、プロセス、対話、いろいろな意見をどう吸収していくか。こういうようなことがないと、政策決定の仕方としてはあまりにも乱暴になっていくのではないか。場合によっては独裁的な手法につながっていくのではないか。はやり政策決定の迅速性、トップダウンの政策決定というものに対する、そういうものは必要だという議論は当然あります。けれど他方で、しっかり民主的なプロセスを踏んで、大勢の意見を聞きながら進めていくという、議論の進め方に対する必要性もあります。
この2つは、どっちかをとって、どちらかは不必要なものではないと思いますが、現状を見ているとプロセスと尽くすという点はかなり欠けていると思います。私は民主政治において、このプロセスを尽くすということが大事だと思いますので、そういう点も併せて国会で議論していきたいと思っています。
もう1つは、今までは総裁というのは官邸に入って、総理大臣だったのに、いつも党本部にいるじゃないか、何をするのかということですが、先ほど申し上げましたように、総裁、幹事長、幹事長代理は6人おられますが、それぞれ所掌を持って、そういうラインをしっかりさせて、リーダーシップを確立していくということが必要だと思います。その上で、私の仕事というのは、かなりの部分、例えば選挙だとか、あるいは今も各都道府県連でいろいろな会合を持っていますが、そういう会合の中で敗戦の原因、党再生のカギはどこになるのか議論しています。そういう方々との対話。草の根の自民党支持者の方々との対話を重ねていく。そういうことに時間を割くというか、意を用いて立て直していくというのがやるべきことかなと思っています。
Question
前原国土交通大臣が打ち出している羽田空港のハブ化について、千葉県知事などは反発を強めていますが、こうした手法についてどのような見解をお持ちですか。
Answer
これも先ほど申し上げた、全体像の中で個々の問題を位置づける必要があるのではないか。全体像のご提示がないじゃないかと申し上げましたが、この問題の背景には、やはり日本の航空政策全体をどう考えていくかという問題があると思います。ですから、そこを示していただいて、議論することが大事ではないでしょうか。前原大臣がそういうことをお考えになって、そういう発言になっているんだろうと思いますが、そこの全体の中でどういうふうに羽田、成田を位置づけていくのか。まずは示していただくことが、私は必要だと思います。先ほど申し上げた中で、議論の進め方、プロセスということにも関連してくると思います。
Question
来年度予算の概算要求が今年度の当初予算を上回って、過去最大の90兆円以上になる見通しですが、受け止めをお聞かせください。
Answer
来年度予算については、税収もかなり落ち込むのではないかなと思います。そういう中で、どういうふうにしてやっていかれるのか、私も政府のこれからの方向性は分かりませんが、おそらく景気対策等々の経費も必要なんだろうと思います。そういう中で、どのように財政規律をとりながら、しかもこれだけ公債を発行していると、マーケットの心理というものも考えに入れながら、運ばなければならないと思います。
そのあたりをどうさばかれるのか、なかなか簡単な予算編成ではないと思いますので、我々もどういうことで、どういう手法で、どういうことに配慮されながら予算を作られるのか。これは固唾(かたず)を飲んで、見守りたいと思います。
Question
党の新しいポスターについて、このキャッチコピーには「再生こそ、私の使命。」「歩く。聞く。応える。」となっていますが、このコピーを選ばれた理由をお聞かせください。また、これまで谷垣総裁が訴えてこられた「みんなでやろうぜ」は使われていませんが、この理由についてお聞かせください。
Answer
なぜキャッチコピーを選んだかという理由は、読んで字のごとしです。そのように行動していくという、1番分かりやすいものを選んだということです。「みんなでやろうぜ」というのも、私はこれからも使います。今回は、先ほど申し上げた2つのものを使わせていただいた。それは読んで字のごとくで、解説も必要ないのではないかと思います。
Question
総裁直属の政権構想会議について、谷垣総裁は、自民党が何をするか、政権に戻るにはどうすべきかを議論すると言われていましたが、これは党の綱領の改正も視野に入れているのか、また結論はいつまでに出すとお考えですか。
Answer
基本はだいたい年内に出したいと思います。その狙いは、もちろん臨時国会もありますが、来年の通常国会の場で、例えば与党の政策の問題点は、我々は野党の責務として、しっかりついていかないといけませんが、しっかり突いていくにあたって、政策というのは人間が考えるものですから、批判はいくらでも可能ですが、その批判に一定の視点がないと、視点がグラグラしていては、自民党は何を議論しているのかということになります。基本となるものの考え方、理念を示したいと思っています。かなり時間が短いので、政策の核論にまで議論するのは難しいのではないかと思っていますので、根本的な、政策の理念と言うべきかもしれませんが、それをしっかりまとめようということです。
もう1つは、もう1回政権に戻るということを考えると、わが党の組織のあり方とか、あるいは党活動と申しますか、国民運動と言ってもいいと思いますが、そういうものの基本はどういうところになるのかという議論も必要だと思います。
大きく言いますと政策の理念と、わが党の組織、あるいは運動の基本的な考え方、この2つを今の時点で整理してみたい。必ずしも党の綱領を書き換えるということまで、現段階で視野に入れている訳ではありません。違いがあるとすれば、我々は与党であるという前提でものを考えていたところがありますが、現時点では野党ですので、そういうことも視野に入れながら考えていくというところは、今までの議論の違いだと思います。
Question
各社の世論調査で、自民党の支持率が芳しくない状況ですが、この理由をどのようにお考えですか。
Answer
これはいろいろな見方があると思いますが、要はまだ政権と国民世論とのハネムーン期間なんだろうと思います。ですから、そういうときにハネムーン期間にあまり高い支持率を得るということを望むのは、少し難しいかなと思います。これからの地道な努力だろうと思います。
Question
総裁が就任会見で言われたシャドーキャビネットが、結果として規模が小さいと言うか、小粒になり、名称も含めて当初言われたのと違う姿になったと思いますが、指導力と言えるかわかりませんが、総裁の顔が見えないというか、どれくらい就任会見でおっしゃったことをその後の議論の中で強くやろうとしたのか分からないのですが。
Answer
私はそう思っていません。シャドーキャビネットという言葉を使うかどうか別にして申し上げているのではないかと思います。シャドーキャビネット、ネクストキャビネットというとどこかの二番煎じみたいな香りがするからということもどこかで申し上げていると思います。
私が狙いとしたところは、自民党の政務調査会と言いますか、政策活動と国会議論とリンクさせて、そこにベストの人材を持っていく。若い人もそこに入っていただく。ベテランも力を発揮していく場を考えるということですので、今度の筆頭理事、理事、部会長の組み合わせはまさにそれが体現できているのではないかと思います。
Question
今回の総裁記者会見を平河クラブだけでなく、希望するメディアにも開放するということですが、その狙いをどこにあるのか、お聞かせください。
外務省と金融庁が大臣会見をフリーランスのメディアにオープンにしていますが、従来自民党政権下でオープンにできなかった理由はどこにあるとお考えですか。
また、オープン化について、どのように評価されているのか、3点についてお聞きします。
Answer
3つお聞きになりましたが、ひとつずつ個別にお応えできるほど熟慮した訳ではありません。言えることは、今までは慣行に従っていたということではないのでしょうか。それに尽きると思います。もう少し来てくださる方の幅も広げ、私どもの発信先も広げたい。こういうことにつきます。
Question
自公政権時代に作った子育て応援特別手当の廃止が議論されていますが、総裁のご所見をお聞かせください。
Answer
この話は政調会長に聞いていただいた方が良いと思いますが、1つ1つ政策にお答えしても良いのですが、要は全体像の中で我々は我々なりの体系を持って、あれをやったわけです。要は、どういう風に子育てなり、そういうものを考えていくかと言うことだと思います。その民主党政権の全体像を伺って、我々が批判したり、こっちの方が良いのではないかと言うことはできるかと思いますが、我々の体系から言うと、さっきおっしゃったものを我々の議論として作ったのですが、民主党がどうなさるかは、そういう全体の体系をまず伺わせていただきたいと思います。
Question
政府の進めている補正予算の見直しが日本経済に与える影響をどのように懸念されるか、また、追加の経済対策があると思われるか、ご意見をお聞かせください。
Answer
私どもは当時の経済状況に危機感を持って、補正予算を組みました。その執行停止をしていくのはどういう効果なのか、どこが具体的に削られたのか、まだ十分情報がオープンになっておりませんので、私どもも十分分析できかねるところがあります。その関連する先も、そういうところが非常に不安に思っているのではないかと思います。ですから、どこをどのように執行停止して、削っていくのかということは、広く情報公開をしていく必要があると思います。私どもは景気対策を作った観点から、執行停止することが経済にプラスの影響になるということはないだろうと。やはりマイナスの影響が出てくるのではないかということを危惧しております。
今後、追加の経済対策が必要かどうかというのは、これからの経済の状況をよく見て判断していかなければなりませんが、私が1番心配しているのは、民主党の今までお出しになった政策を見ますと、例えば家計を補てんするというようなことはいろいろなところでやっている訳です。ところが、雇用をどうしていくかという政策があまりない訳なんです。もちろん家計に補てんすれば、消費につながって、巡り巡って、景気を底上げする効果が出て、それが雇用につながってくることがないとは、私は申しませんが、これから先、かなり雇用の落ち込みが心配されるときに、そういう施策だけで足るのだろうかという点は、極めて心配をしています。
Question
これから野党として、自民党の政策を政権構想会議等で練っていくと思いますが、民主党の個々の政策に対しては、民主党の全体像を対峙していくこともありますが、八ッ場ダムの問題、子育て応援特別手当など、これまで自民党が政権与党としてやってきたことに対して、これを野党になった今、自民党として検証し直して改めるのか。例えば八ッ場ダムを止める可能性があるのかどうか、どのようにお考えですか。
Answer
自民党の政策も、ある意味で検証し直さなければならないことはあるのだろうと思います。しかし、野党になりますと、それより先に政府与党の政策の問題点をきっちり指摘する。もちろん、それもわが党の政策をどう考えるかと関連していきますが、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、自民党なりの視点を持った問題点の指摘でなければならないと思います。まず、野党のなりますと、それをやらないといけないと思います。