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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年12月2日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

明日、臨時国会が閉会となりますが、今国会は法案成立数が極めて少なかった。パーセンテージにしましても、39%を割っているということで、極めて成果の少ない国会であった。これは、政権側が基本的にどのような設計図を描いて、この国会に臨むのかというような見取り図も全くなく、国会を始めたことが主たる原因であると、私どもはこのように思います。誠に無責任だったと感ずるわけですが、そういう中で菅総理から「野党にとっては、与党を妨害するのが日々の仕事である」という発言があったのは、誠に不見識極まる発言でありました。抵抗を事としていた、かつての野党、その体質で、物を言っているとしか思えないわけです。国会審議の停滞の責任を野党に押し付ける。海図なき航海をしておいて、そういうことを言うのは、誠に見識を疑うとしか言いようがありません。
重要法案の審議入りを求める一方で、会期を延長して、徹底的に議論しようという姿勢も皆無でした。熟議の国会と言いながら、そこから逃げている。全く自己矛盾しているとしか言いようがありません。岡田幹事長に至っては、今国会中に、小沢元代表の国会招致を実現するとおっしゃっていましたけれども、全く自らの約束を反故にしたということです。真剣に国会の中の議論に向かい合う姿勢が皆無なのは、誠に残念でした。そういう中で、政治とカネですとか、尖閣問題、北方領土問題で迷走を重ねて、国権と国益を著しく損ね続けた責任、自ら問題解決の先頭に立ってあたろうとする姿勢が見られなかった菅総理の姿勢に起因するものであります。
仙谷官房長官、馬淵国土交通大臣の問責決議案が参議院で通ったわけですが、その問責決議の重さを十分に踏まえて、いかにして熟議を重ねていくかという徹底的な工夫、根本的な反省がなければ、来年の通常国会はいっそう厳しいものになるということを認識していただかなければならないと思っています。
この関係で、日韓図書協定の国会承認が行われずに終わったわけです。私どもも、未来関係の日韓関係を作ることは極めて大事だと思っておりまして、この協定もそういう文脈の中で処理をしなければならないと考えていたところですが、会期末になって、駆け込みで承認を求めたわけです。最初からわかっていたわけですから、どういうふうにしたら審議の条件が整うか、もっと前広にお考えいただかなければいけないと思います。最終段階で、駆け込みで承認を求めた。これは国会を延長して、しっかり審議しなければ、解決のしようがなかったということです。そういう中で、先程の菅さんの発言のような野党の邪魔というのは、誠に無責任な発言であるということも改めて申し上げなければと思います。来国会で、私どもはきちんと議論して、処理をしていかなければならないと思いますが、その中で、韓国側に残る日本図書の問題など整理していかなければならないと考えています。

質疑応答

Q
今日、仲井眞沖縄県知事と会談をされていましたが、その中で谷垣総裁は沖縄振興策や普天間基地問題について、仲井眞知事の公約に沿って話し合いを進めていくと発言されたと聞いています。民主党政権になり、自公政権のときとは前提条件が変わってしまいましたが、仲井眞知事の基地を県外へという公約に対して、これからどのように話し合いを進めていくお考えですか。
A
仲井眞沖縄県知事に当選していただいて大変喜んでいます。仲井眞知事が当選されなかったら沖縄振興の問題にしても展望はまったく開けなかったと思っていますので、仲井眞知事をバックアップできるところは、しっかり行っていきたいと思います。
ひとつは沖縄振興の問題、沖縄振興特別措置法の期限が来ますので、新しく延長していろいろな政策もお手伝いしていかなければならない。このことも大事なことです。わが党は沖縄振興委員会を作り、すでに中間報告をまとめていますが、それをしっかりとやっていきたいと思います。
基地問題について、何よりも考えなければならないのは、普天間基地の危険性をどうやって除去するかということです。従前、我々はそのための現実的な対応は、辺野古沖への移転とずっと言ってきましたが、鳩山政権でのまことに大きな不手際があった中で、その基礎がめちゃくちゃになってしまった中で、仲井眞知事の公約は、我々としてもこの状況では致し方がない選択だったと思っています。それだけに簡単に展望は開けない、開きにくいと思っています。
まず考えることは、この危険性の除去をどう早くやっていくか。まずは何と言っても政府に誠実な真摯な対応をしてもらわないとなりませんが、我々としても知事や沖縄の方々と対話をしながら、その道を模索していきたいと思っています。
Q
関連で、仲井眞知事の公約に沿って話し合いとのことですが、聞こえようによっては辺野古移転見直しにも聞こえますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
いろいろなことを考えていかなければならないと思います。現実には鳩山政権のあのような迷走の中で、なかなか展望は開かれていないというのが現実です。今の問いかけにも光が差してくる答えは、なかなか現状では簡単ではありません。まずは十分に対話をしていくというところから始めないといけないのではないでしょうか。
Q
今朝の党・政治制度改革実行本部・党改革委員会の中で、谷垣総裁のリーダーシップをもっと発揮してほしいとの声が挙がっていたようですが、今後、どのようなお気持ちで党改革に臨むのか、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
今朝申し上げましたが、いろいろな国で高い支持率で出発した政府、あるいはトップリーダーが短期間にうちに支持率を落として国民の失望を招いているという現象は日本でも顕著ですが、必ずしも日本だけのことではない。そこで野党が必ずしも、その失望を十分につなぎとめられるだけの成果が必ずしも上がっていないということも各地域で共通です。
そういうことをしていますと、政治のエネルギー、ポテンシャルは下がる一方です。問題が何もないときならば、そういうことでも、ときを稼ぐということはできないわけではないのかもしれませんが、今はまったくの転換点、危機ということを考えると、党改革の基本的な視点は、国民の政治的エネルギーを吸収して、求心力を作ることが政治にとっての使命であるということを腹の中にしっかりと置いて、やるべきことをやっていくということだと思います。
Q
昨日、小泉純一郎元総理が大連立について発言し、自民党としては臨むべきではない。第3極であるみんなの党が有利になるだけだとの趣旨の発言をされたようですが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。また臨時国会が終了し、来年から始まる通常国会における予算審議を考えると、民主党が新たな政権の枠組みを模索してくる可能性が強いと思いますが、総裁の受け止めをお聞かせください。
A
私は基本的に、与党だけでは背負えない荷物が今の政治の中にはあると思います。それにどう解を与えていくかということは、野党も無視していいわけではないと思っています。しかし大連立というようなものは、こういう選挙制度の下で簡単に取り得るものではないというのが、私の基本的な視点です。
そういう中で、民主党がどういうふうに政権としての責任を果たすべく、行動をしてくるかというのは、我々もよく注視しないといけないと思いますが、基本は先日の問責を受けてどうしていくのかという答えがないといけません。
Q
問責決議案が可決された仙谷官房長官と馬淵国交相について、来年の通常国会においてそのまま居座り両大臣が出席するようですと、自民党としては例えば所信表明演説など冒頭から出席しないこともあり得るとお考えですか。
A
そういう事態も考え得るということです。
Q
菅政権を退陣に追い込む時期など、総裁のお考えをお聞かせください。
A
そういうことは、私は安易には口にしないことにしていまして、腹に秘めていて段平(だんびら)を抜くときは「えいやっ」と一気に抜くのが私の姿勢です。
Q
問責が可決した仙谷官房長官について、ご本人は辞職を拒否していて、ある意味強情のような感じもしますが、谷垣総裁は仙谷官房長官のことを学生時代からご存じだと思いますが、当時と比べて仙谷官房長官の人となりや性格が変わったなとお感じになることはありますか。
A
18歳のころは、なかなかかわいい少年でしたが、いつのまにか、うろこに苔が生えてきたなと思います。
Q
伊吹文明元幹事長や古賀誠元幹事長は、仙谷官房長官や馬淵国交大臣の問責決議案が可決さたにもかかわらず、引き続き両大臣が居座るようであれば、通常国会冒頭に問責決議案を再び出すべきだとの考えを示しましたが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
いろいろな選択肢があります。しかし、やはり国会からそういう問責というものを突き付けられながら、何らの対応を取らないということに対しては、やはり腹を据えて臨む必要があるだろうと思っています。
Q
そういう選択肢もあり得るということですか。
A
私は腹を据えてかかる必要があると、それ以上は言わないということです。
Q
かねてから谷垣総裁は、菅政権を1日も早く退陣、解散総選挙に追い込むと発言されていますが、菅政権を追い込んでいく決意、またどういう方向から菅政権を追い込んでいきたいとお考えですか。
A
私の見るところ、政権交代をしたときに、民主党政権はいくつかの旗印を掲げて、国民の期待を背景に非常に高揚感も持っていたと思います。しかし、現実を見てみると、そのときの旗印は、まったく現実には何物も生まなかった。むしろ、混乱と退廃のみを生んだと言って差し支えないと思います。
政治主導にしても、本当の意味での政治主導はなくて、つまり国民、あるいはそれぞれの現場の思いを組み上げたうえで政治判断をするのではなくて、一部の政治家の自己満足的な周囲の条件を排除して、一部の政治家のみで物事を進めることであったり、あるいは官僚機構が積み上げた長い間の経験、人脈をまったく使えない状況であったり。そういうことになって、結局は官僚に丸投げで判断を重ねたりということが相次ぎました。政治主導というのは一体何だったのかということになります。
それから、いろいろなバラマキに類する政策を掲げて、それを一体どう現実化するのかということに対しては、自民党政権時代の政策運営は無駄が山ほどあったので、それを組みかえればいくらでも財源は出てくるはずだというのは、彼らのマニフェストの基調にあったと思いますが、実際のところ鳴り物入りで事業仕分けを繰り返しましたが、仕分けしたものが結局は、後ろのドアからこっそり戻っていたり、あるいは本当に現実に必要なものを仕分けにかけて失くしてしまって、国民生活を圧迫したり、挙句の果てには、もう期待しないでほしいという担当大臣の発言にまでなっていて、結局それも砂上の楼閣であったことが明らかになっているわけですし、外交政策にしても、日本の安定、安心、生存の基本がどこにあるのかということに全く思いを致さず、思い付きで外交を進めた挙句、非常に大きな危機を招くに至っている。ですから、それは政権自体が、もう自分たちが何をしたら良いのか、わからなくなっている状況であると私は思っています。こういうことであれば、一刻も早く退陣に追い込まなければならないのは当然でありまして、あらゆる手段を尽くして、その道を邁進していくということです。
Q
先程、世界的に政権党の支持率がすぐ落ちて、信頼を失っていることが起こっているとのことでしたが、これはどういうことが起きていると思われますか。
A
それはいろいろな意味で、パラダイムの変化が起こっている。なかなかそれに対して、新しい対応が出しにくいという状況があることも事実でしょう。日本で言えば、デフレが続いていますが、そのデフレの原因が何かという議論がありますが、例えば人口減少時代に、どのようなことをやっていくかということも、それぞれ試行錯誤があるわけですが、なかなか決め手というものが出てきていないということは、これは与野党の立場を越えてあるのだろうと思います。世界中至るところで、そういう現象がありまして、例えば規制緩和の流れなども、実体経済の進展以上に、金融の流れだけが肥大化して、それがコントロールできなくなって、いろいろな経済危機を引き起こしているというようなこともあります。そういった現象が至るところにあると思います。
そういうものが、またそれぞれの緊張を生んでいる。国際化の流れの中で、国と国はある意味で、平準化してくところがあるかもしれませんが、どこの国でも国内での格差が広がっていることがあるのではないでしょうか。それに対して新しいパラダイムを用意しようと、どこの国も一生懸命やっているけれども、なかなか展望が見られないということが1つはあると思います。
それから、皆さんの前で言いにくいですが、やはりマスメディアも非常に発達して、政治もいかにマスメディアと向き合い、マスメディアと向き合った中で、自らの主張を国民に訴えていくかということがありますが、そういったことがある意味では、過剰な期待と過剰な人気を生みだした後、それが冷めていくのも早いというのもあるのだろうと思います。
そういった中で、そうなんだよなと言っているだけでは、先程も申し上げたように、国民の政治的エネルギーを結集していくことができないなと。1つは、新しいパラダイムを作るためにも、努力をさらにやる。そして、それを的確に発信していくという地道な努力をするしかないと思っています。
Q
経済が一国を超えて動いており、一国の政治でできることの限界があると思われますが。
A
そういう面もあります。例えば、EUに例を取れば、ヨーロッパは第2次世界大戦後、ドイツとフランスの対立、長い間の相克がヨーロッパに混乱、戦乱をもたらした原因である。したがって、独仏の和解というものが今後のヨーロッパの発展の基本条件であるということで、長い間努力されて、それがEUになり、経済面ではユーロということになったのだと思いますが、ヨーロッパのGDP全体からすると、例えば、ギリシャというのは、ギリシャには失礼ですが、あまり大国と言えないですね。そういうところの経済的、あるいは財政的な混乱が全部のヨーロッパを震撼するということになる。そして、全体が非常に調子の良い時だったら、それをすぐに収める道というものがあるかもしれません。例えば、ドイツのメルケル首相の発言を見ていますと、そういった混乱を収拾するのに、ドイツ国民の税金を使うのはいかがかと、国内議論からすれば、当然そういう議論が出てくるわけでしょう。しかし、そうだと言って、そのヨーロッパ統合の理念から背を向けて、果たして今後のヨーロッパというものがあり得るのだろうかという議論が、ヨーロッパの中にあると思います。
日本も日本国内をどう立て直して、元気を出していく問題と、TPPの問題とは、やはりそういう問題の、やはりヨーロッパも相克があるわけですが、日本もそういう相克があるのだろうと思います。
Q
そういう問題点を抱える中で、自民党がどのように立て直し、立て直しまでどの地点までにいると思いますか。
A
どの地点というのは、なかなか数量的に表すわけにはいきませんが、今申し上げたような、今後日々の仕事は、与党の出してきた法案にいかに対応するかという問題にもきちっと対応しなければいけませんが、今後10年、20年、30年見据えたときに、いくつかの分野でどのようなものを打ち出していくか。中長期的な議論をしていかなければならないと思っています。
そういう背景には、やはり一番考えなければならないことは、どういう基本的な姿勢で臨んでいくかということがあると思います。やはり、我々は自助・共助・公助ということを言っていますが、やはり自ら頑張ろうという方々が頑張れる条件を政治が作っていく。そして、自ら頑張る人の家族を拡大していくということが政治の基本でなければならないと思っていますし、それから、やはり保守政党として、日本のような国は、人を育てることが大事ですから、やはり自分の家族や自分の生まれ育った、住んでいる地域、国というものに愛情と帰属心を持つ人間を作っていく、そういうことを基本に据えて、どう今の事態に対応していくかということだろうと思います。いろいろ不分明なところがありますが、そういった議論を着実に推し進めていかなければならないと思っています。
Q
山岡副代表ら民主党の議員が中国大使らとゴルフをし、ゴルフ代を中国大使側が支払ったという報道があります。山岡事務所によると、後で取りまとめて払ったとのことですが、時期的な問題も含めて、総裁の見解をお聞かせください。
A
私はゴルフに関心がないので、残念ながら、申し上げることはありません。
Q
北朝鮮の砲撃があった中で、ゴルフをしていたことを含めて、見解をお聞かせください。
A
これに以上、罵詈雑言の言を連ねようと思っていません。もう論評にも値しないということで、ご勘弁いただきたいと思います。
Q
問責決議案の可決は野党共闘がうまくいったからだと思いますが、通常国会での野党共闘の方針について、どのようにお考えですか。
A
これは、この間の参議院選挙の結果が、野党の方が与党の方より数が多い。その意味は、今の民主党政治を暴走させたら、えらいことになるぞという国民の意思の表れであると思います。暴走に歯止めをかけなければいけないということですから、そのためには野党がバラバラになっていては、主権者から与えられた力を発揮できません。もちろん野党と言っても、多様な考えをもった野党がいますから、全部一概に共闘というわけにはいかないのですが、やはり力を合わせていくことを基本におく必要があると思います。
Q
昨日、小泉元総理が、野党は審議を拒否するべきではなく、与党を審議に引っ張り出すことが戦術的には有利だと発言されました。問責を出した以上は審議拒否すべきとの考え方とは対極にあるこの考え方についてどのようにお考えですか。
A
いろいろな考え方があると思います。今度の臨時国会では、審議拒否は結果として1回もしなかったわけです。もちろん、答弁等が至らない場合は、中断することはありましたが、全て審議に応じてきたわけで、その中で問題点を追及するということでやってきたわけです。基本的な方針は、私はそれでよろしいと思いますが、やはり政治の世界では、下卑た表現を使えば、「なめんなよ」ということもあるわけです。一概に、これはいかんとか、あれはいかんとか、それはなめられたら、やり返さなければ仕方ないじゃないですか。そういうことです。