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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年10月14日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

まず、チリの鉱山落盤事故について、ご承知の通り、33名の方が無事救出されましたが、ご家族と共に喜んでいる姿を見ると、本当に良かったなと思います。このような事故が起きた時の対応は、私も山に登っておりまして、山でもアクシデントは間々起こるもので、その時どう対応していくか、非常に関心を持って見ておりました。今回のチリ政府、実際に遭難された方を見ていますと、現場監督の方が33名の方々をまとめる力は非常に見事でした。政府の初動措置等も非常によかったと思います。リーダーシップが大いに発揮されていたと思います。こういうことはわが国政府も学んでいただかないといけないことだと思います。とにかく、こういうリーダーシップを発揮され、現場監督が見事な統率力を発揮し、危機を脱出したことを心から皆さんと喜びたいと思います。
2番目は今週12日(火)に、北海道5区の補欠選挙が告示されました。この補欠選挙は、言うまでもなく、小林千代美氏の政治とカネの問題、公職選挙法違反によるやり直しの選挙ということです。わが党としては、クリーンな政治を取り戻さなければいけない。何としても勝利するために、町村候補も非常に力を入れて頑張っていますが、わが党としても、全力を挙げて、この選挙必ず勝利を勝ち取りたいと考えています。
3点目は予算委員会です。今週12日・13日に衆議院予算委員会基本的質疑が行われました。今、参議院でも行われています。わが党は、衆議院につきましては、石原幹事長、石破政調会長、シャドウ・キャビネットの各担当大臣が中心となって、質問したわけですが、政治とカネの問題、景気・経済対策、尖閣の問題等、なかなかそれぞれシャドウ・キャビネットのメンバーも、力を入れて、良い質疑をしてくれたと思います。その他、公務員制度改革等の問題もありました。菅政権の抱える重要課題に相当切り込んだわけですが、菅総理の方は、熟議とおっしゃっているのとは程遠い、逃げに終始した答弁であったと思います。正々堂々と自ら信ずるところをやるぞという気迫は、残念ながら感じられなかったというのが率直なところです。特に、小沢元幹事長の証人喚問への対応ですが、これは、菅総理が党のリーダーとして、指導力を発揮されなければならないわけです。答弁がすべて、国会で議論になることという無責任な答弁に終始していた。積極的に対応しようとする気迫は、この点でもなかったということではないかと思います。民主党は、役員会でもその結論を先送りするということもあり、代表選挙が終わって政治とカネの問題に対しては、挙党一致で消極体制を作っているように見受けられる。わが党としては、引き続き証人喚問等、きちっと事態を解明していくことを求めて、頑張っていきたいと思っています。
それから、今日はシャドウ・キャビネットを開きました。シャドウ・キャビネットで議論したことは、長い名前の法律ですが、「インド洋におけるテロ対策海上阻止活動及び海賊行為等対処活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」を審議して、了承いたしました。この法案は、インド洋でテロ対策、海上阻止活動、海賊行為対処活動を行う諸外国の軍隊に対して、補給活動をするというものでして、日本だけが良ければ良いのではない。国際社会の平和と安全に、日本ができることは積極的にやっていこうという姿勢を表すための法律でして、明日、総務会に報告するということです。

質疑応答

Q
武器輸出3原則について、仙谷官房長官は見直しに言及したのに対して、菅総理は基本的な考え方は変えるつもりはないと発言し、考え方が食い違っていますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
武器輸出3原則というのは、わが国が今までとってきたこの問題については、極めて大事な問題です。閣内不一致が見られるということは、極めて問題ではないかと思います。政治主導と言うなら、その点をしっかりと対応されなければ、政権政党、内閣としては極めて問題があるのではないでしょうか。
Q
本日、補正予算対応検討会が行われますが、この検討会の位置づけについて谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
野党が国会にどう対応するかというのは、2つの側面があると思います。特にこういう参議院の状況を踏まえますと、どうやって野党共闘をしっかりさせながら、批判すべき点は批判して、実現すべき点は実現させていくという、国会運営と言いますか、政略的な要素が1つあると思います。
もう1つは、中身を政策的に点検しないといけない。特に今の与党、このところの質問でも出てきましたが、補正ですから景気をどうしていくか。今の当面の雇用をどうしていくか。円高をどうするかという対応が含まれていないといけませんが、基本的に今の政権にはアンチビジネスと言いますか、こういう厳しい中、円高で耐えてやっていこうという、それぞれの中小企業等々に対して頑張ってくれというメッセージが出ていません。そういうことを中心に、補正で何が達成されて、何ができていないのか、政策的にきちっと吟味しないといけないと思っています。
この政策検討会議は、主として政策面からしっかりと補正予算を分析しておく。そしてそれを基本に、何を実現して、何を阻止し、どう対応していくかというのを決めていかないといけない。その政策面の検討をきちっとやっていただくということです。
Q
補正予算への対応、戦略を考えるということですか。
A
戦略というよりも、政策的な中身をしっかりと吟味しておく。与党の政策が果たして今の局面で、適切な方向を向いているかどうか、我々はかねてから疑問に思っているわけですから、そこのところをまずはしっかりと吟味する作業をしてもらおうということです。
Q
最終的には、政府の補正予算の内容に、○×をつけるということですか。
A
これはまた当然に最終的な決定は、国会対策や何かも含めて議論しないといけないと思います。そういう政治判断を加えていくということですが、ここでやっていただく作業は、政策面からの、果たして今の経済情勢から見て適切なものになっているか、何が足らないのか、こういったあたりをしっかり吟味していくということです。
Q
一部報道では、昨日、自公幹事長・国対委員長の会談で、公明党が補正予算の対応について、結論が自民党と分かれることもあり得る可能性について言及しましたが、補正予算の対応で、自民党と公明党で足並みが乱れることについて、どのようにお考えですか。
A
どのようにお考えというご質問ですが、まず補正予算が何者であるかというのがわからなければ、何党と何党(で結論)が分かれるという議論は、そこから後の議論だと思います。
Q
先程、チリの鉱山の現場監督のリーダーシップを現政権も見習ってほしいとおっしゃいました。誰が総理かわからないという評判もある中で、特に政権のどのあたりに、リーダーシップを学んでほしいとお考えですか。
A
これはあまり明け透けに語ることに、自分も日本国民の1人として、若干躊躇を感じないと言えば嘘になります。やはり今政治主導と言いながら、どこが責任を持って判断し、この決定をしたのかというのが、不分明になっています。一番明確に出たのは、尖閣の問題です。誰が考えたって、こんな問題、政治が裁かなければ、裁けっこないわけです。また、政治が裁かずに、誰かに下駄を預けるようなことで良いはずがないにもかかわらず、検察側の判断を諒としたと言うのでしょう。これは本当なのか。本当であるとすれば、まったく馬鹿げているし、嘘だとすれば、また説明責任か何かを逃げているわけです。つまり、外交判断というのは、おそらく誰がやっても、100点満点というのは難しいと思います。相手のある判断ですから。その時に、やはり100点満点でないものをきちっと国民に説得していく。これこそがリーダーシップです。なぜこういう判断をしたのか、確かに欠けているところもあるけど、それをこうやって補うんだとか、それがリーダーシップというものではないかと思うのですが、それを全部逃げて、やはりそれは問題ではないでしょうか。私はそういうことを考えますと、さっきのような現場監督の方だけではなく、チリ政府の初動も良かった。そういう危機管理のあり方を含めて、よく学んでいただきたいと思います。
Q
そうした毅然としたリーダーシップを期待されるのは、どなたですか。
A
それは詰めていけば、最後は総理大臣ということになります。
Q
予算委員会では、自民党の方から仙谷官房長官に対する質問が多い気がするのですが、仙谷官房長官を攻める理由と、仙谷官房長官の答弁を聞いての印象をお聞かせください。
A
これは、菅総理の答弁と仙谷官房長官の答弁を重ね合わせてみると、いろいろな思いが浮かんでくるわけです。菅総理が逃げている。先程申し上げたような、最高指導者としての責任感、自分が判断したことを国民にきちっと説得するという気迫があまり見られない。そうやってやや後ろ向き、うんと後ろ向きかも知れません。答弁された後、仙谷官房長官がその前に立ちはだかって、牛若丸の前に立つ弁慶のような格好で、やや居直りとも思える答弁をされる。仙谷官房長官の答弁は、そういう意味では牛若丸を守ろうという気持ちが強いかもしれませんが、やや弁慶流の乱暴な答弁になっているのではないか。「やや」というのは、取り除いても結構です。弁慶流になっているのではないかと感じます。
Q
北海道5区補欠選挙で、総裁も現地入りされる予定もあり、党として全力を挙げるとのことですが、どのように全力を挙げるのか、具体的なお考えをお聞かせください。
A
まず基本的に、何をこの選挙で訴えていくかということがあると思います。1つは、先程申し上げたように、小林千代美氏の政治とカネの問題、さらに言うならば、北教組の問題、それにまつわる公職選挙法違反の問題があるわけです。しかも、小林千代美氏だけではなく、北海道には他にもいろいろ政治とカネに関する問題があります。そういったことを徹底的に突いていくということは、1つ言わなければならないことでしょう。
それと同時に、北海道は、特に景気もなかなか厳しい状況にある中で、本当に雇用とか地場産業をどうやって元気を出すかという政策ができるのは誰かということも併せて主張していかなければならないわけです。それはもちろん町村さんは、こういう点に関しては、極めてエキスパートですから、そういう点も主張していかなければいけない。それをどうしていくかと言えば、北海道でそういうことを訴えることも大切ですが、やはり国会の論戦の中で、予算委員会も終了しつつありますが、これからまだ国会は続くわけですから、委員会の中でしっかり、特に今の後半の論点なんかは、今の国民の状況に関して、明るい将来を展望できるのかということは、きちっとやっていく必要があると思います。
北海道に着目した問題もいろいろ考えていかないといけないと思います。円高対策というような場合、通常の場合には、ものづくりの中小企業等々がいかに苦労しているか、それに対して何とか策を講じたい。こういうことは、我々もいろいろ議論してきたわけです。今まであまり議論されていないことですが、例えば円高になって、農産物等々も安い価格で入ってくることがあります。そうすると、北海道でも大豆など一生懸命作っているわけですが、輸入された大豆の価格が非常に安くなるものですから、国産大豆の競争力が非常に厳しくなってくる。こういうことがあるわけです。事は大豆だけではないと思います。そういった問題にどう議論していくかという論点、今まであまり円高の問題で、こういう点は議論されていなかったですが、そういった問題も我々は訴えていく必要があるのかなと思います。つまり、北海道の札幌市を中心とした市街地ではありますが、今のような問題も、北海道のとっては大きな関心事ではないかと思います。いろいろ申し上げるとキリがありませんが、差し当たってそういうことです。
Q
本日午前の参議院予算委員会で、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏の扱いについて、山本一太参院政審会長の質問に対して、菅総理は釈放されることが望ましいという認識を示しながらも、中国政府に伝えるかと聞かれたときには、言葉を濁して、私の発言はメディアを通して伝わるだろうという態度でした。劉暁波氏の釈放に関する菅総理のスタンスについて、総裁のお考えをお聞かせください。
A
釈放されるべきでしょう。中国はそれをきちんと考えるべきです。今回、顧みますと、中国はずいぶん国際社会の中で、こういうやり方で、今の世界全体の中でステークホルダーとしての評価は与えられるのかという意味では、相当ダメージを受けたと思います。ですから、今のようなことは、きちっと対応されなければいけないと思いますし、それから今までの議論の中で、人民元の水準という議論もありました。確かに中国の内部事情を見ると、人民元の水準をどうしていくか、中国にとって、なかなか扱いが難しい問題だと思います。しかし、我々はよく標語で掲げますように、日本だけが良ければ良いのではない。中国もステークホルダーとしての地位を主張されるならば、そういうこともおやりにならなければならないと思います。そういうことだと思います。
Q
釈放されるべきと言いながら、伝えますと言い切れない菅総理の姿勢に関しては、どのように思われますか。
A
それは菅総理が考えるべきではないですか。論評の会議ではありません。