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記者会見

谷垣禎一総裁ぶら下がり会見

平成22年9月24日(金)
於:党本部4階エレベーターホール

質疑応答

Q
尖閣諸島における中国漁船の衝突事件について、那覇地検が中国船長を処分保留のまま釈放する決定しましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
今まで政府は国内法に基づいて、粛々と処理すると言ってきました。ところが今回、処分保留で那覇地検が釈放すると。那覇地検のコメントを見ますと、「捜査継続の場合、わが国国民への影響や今後の日中関係も考慮すると、これ以上、容疑者の身柄拘束を継続して捜査を続けることは、相当ではないと判断した」と言っています。
第1に言わなければならないのは、これは捜査機関がいうべきことではないと思います。これは外交を考え、政治的判断を加えた。その役割は、政府が担うべきことであって、政権が担うことで、検察がこういうことを言うのはまったく理解できません。
したがって、なぜこのような判断をしたか。これは政府が責任をもって説明しないといけません。こういうことをすると、国際的にも誤ったメッセージと、とられる恐れがあると思います。要するに政治的な判断を加えた末にこういうことを言ったのであれば、政権が国民にしっかりと説明責任を果たすべきであると思います。
この事件が起こったときは、代表選の真っ直中でした。果たして、この問題に対して、当時の政権としての衆智を集めて、迅速に危機管理ができていたかどうか。代表選の中で、大事な外交判断に本当に欠けるところはなかったのかということは、問わなければならないと考えています。政治的空白が問題を大きくしたということです。
またビデオテープを発表しなかったことが、妥当で迅速な解決を妨げた面があるのではないかと思います。この点は、今後検証されなければいけないと思っています。
Q
中国人船長を釈放することについては、いかがですか。
A
これはいろいろな考え方があると思いますが、例えば小泉政権のときは、尖閣諸島に関しては上陸した者に国外退去ということにしました。そういう処理の仕方もあり得たと思いますが、先ほど申し上げましたが、国内法に基づいて粛々と、ということになると、今度の処理は腑に落ちない。少し腰砕けになったのではないかとの反応が出てくる恐れもあります。
もっと言うならば、中国の圧力に屈したという印象を持ってしまうと、今後のためにもよくありません。そこのところがしっかりと処理されていないではないかと考えています。
Q
今回の日本の対応が世界に対して、どのようなメッセージを与えるとお考えになりますか。
A
日本は尖閣諸島については領土問題ではないと言っています。中国は周辺諸国との国境問題、領土の問題がたくさんあります。今までいろいろな解決、処理の仕方があったと思いますが、国内法に基づいて粛々とやるならば、やはり粛々とやっているというメッセージが必要ですが、今のような検察というところが政治的判断を加えてやるというようなことで、間違ったイメージになっていると思います。
Q
総裁ご自身も、日本政府は中国の圧力に屈したとお考えですか。
A
ですから、こういう問題は筋を通してやることが必要です。例えば、すぐ退去処分にするというのも1つでしょう。だけど国内法で処理するなら国内法で処理するということであって、そういう時にその途中で処分保留、釈放というのは、まだ地検の会見の抜粋しか読んでいないのですが、それを読んで、そうだぞと思う人はあまりいないのではないでしょうか。
Q
昨日フジタの社員4名が身柄拘束されたと報道された直後のタイミングでの釈放となりましたが、誤ったメッセージを発したとお考えですか。
A
その辺はいちいち言っていくといろいろなことがありますが、やはり大きな意味でこのような処理をするという判断を正しくして、それにピタッと合ったことをやっていくことが必要だと思います。
Q
仮に那覇地検のコメントになるように、日本政府が今回の地検の判断に何らかの圧力や影響を与えたとすると大問題ですが、自民党としてこの経緯を調査するなど、何か対応をお考えですか。
A
このような問題はどういう処分をしていくかということを曖昧にしておくと良くありません。我々も一つ一つの処理を積み重ねて、外交関係、国際関係の処理を懸命にしていかなければなりませんから、そこで不透明な部分を残す、曖昧な部分を残す。それをそのままにしておくわけにはいきません。きちっと検証する必要があります。
Q
当然、臨時国会でも大きな問題になると思いますが。
A
そうですね。
Q
タイミングとして、日米首脳会談の後にこのような結論が出たのですが、日米中3国の中で、今回このような判断をせざるを得なかったことをどのようにお考えですか。
A
その関連は、今は判断を明らかにする材料を持っていませんので、コメントは差し控えますが、今回の一連の経緯の背景に、日米安保の意味をどのように捉えるのかということはあったと思います。それで、やはり普天間の問題以来、日米安保に対する安定感が揺らいできている。そのことが今回の問題の背景にあると思いますので、やはりそこをどうしていくのかという議論が根本問題としてあります。
Q
日米がしっかりしていれば、連携して中国に強くあたれたとの感触をおもちですか。
A
連携してというよりも、南シナ海を含めまして、この東アジアの基本的な平和と安定をどうやって作っていくかということを、我々はそのインフラとして日米安保というものがある。そういう中で、沖縄の普天間基地の問題、海兵隊の問題もあると考えてきたわけです。それで中国が大変海軍等を近代化している中で、我々は中国とは隣国ですから、友好関係を作っていかなければならない。この中国関係の近代化を日本の脅威としないためのインフラであると考えてきたわけです。そこのところの理解が民主党政権の普天間基地の処理等にしっかりあったのかどうか、そこから来たいろいろな問題がそこに影響を与えているわけです。
ですから、単に尖閣諸島の問題をどうするのかという問題ではなくて、我々のわが国の安全を作っていくのかというもう一度基本構造を問いただしていかなければならないのではないでしょうか。