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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年9月2日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

昨日、新潟県の燕市に伺い、洋食器メーカー等の視察をしてきました。燕の洋食器は今までも円高等々であり、大変苦労して、いろいろなことを試みてこられた。そういったところが、今、何に悩み、どうしたておられるのか。まずそこからよく視察をさせていただき、いろいろ知恵を得られたと思っています。1つ痛感しましたのは、やはり、ものづくりに賭ける職人の魂と言いますか、非常にそういうものに誇りを持って、工夫をしながら、こういった経済的に難しいことを乗り越えようとしていた姿に感銘を受けました。それと同時に、なるべく政府の手なんかを借りずに、自分の手で生きる道を探してこようという努力をギリギリにされてこられたところですが、そういうところでも、今経済的にも大きな曲がり角ですが、政府の姿勢がどちらの方向に向かっているのか、そのことがはっきり発信されませんと、個々の経営者がどのように頑張っていこうかという方向性がなかなか出ない。そういう個々の金融面であるとか、あるいはどのような税制があるのか、個々の政策の背景にある政府としての経済政策の方向性をしっかり打ち出すべきで、こういうことが苦労されている方に必要ではないかという思いを強くいたしました。私どもは、先日、「当面の経済対策についての基本的考え方」を発表させていただきましたが、これを基本に政調でもきちんと議論を詰めて、今、申し上げた方向性、それに加えて具体的な政策も打ち出していきたいと考えています。
昨日、私は燕市に出かけたわけですが、民主党の代表選挙は、昨日、告示されたところです。告示に至るまで、かなり迷走とドタバタ劇が展開されたと思います。何よりも大事なことは、日本経済、日本社会、今、非常に難しいところにあるわけですから、政権としてしっかり議論して、民主党政権がどちらの方向に日本の国民生活を引っ張ってくるのか、そのことをはっきりさせる代表選挙でなければならないと、野党としてそう思いますが、今見ておりますと、そういう国民生活が非常に厳しい時に、必ずしも国民の生活第一、円高とか、景気対策に対して、本当に政治空白を生んでいないのかという点で、私は多いなる危惧を感じています。
菅総理と小沢前幹事長が立たれたわけですが、両方の公約を拝見しますと、菅総理の方は、昨年夏の衆議院選挙のマニフェストが、いささか無理であったということをお認めになっているのでしょう。修正していく方向が出ていますが、ではどこをどのような理由で修正し、やっていくのか。そのことを国民にもっとはっきり説明される必要があると思います。消費税について、この間の参議院選挙ではおやりになるのかなと思ったのですが、後から見ると腰砕けになっている。いったい本気でおやりになるのかどうか。このあたりもはっきりさせる必要があるのではないかと思っています。
他方、小沢前幹事長の公約を拝見しますと、昨年の衆議院選挙のマニフェストは、国民との契約だから、これは維持するとの主張ですが、いままでいろいろ財源を探す努力をされてきて、想定された中で約束したほど、財源が出てきているわけではない。ということになると、はたして実現可能なのかという問題は当然出てくるわけですので、きちんと説明される必要があるのではないか。これがこのままできるとおっしゃるのは、日本の経済社会の改革の基本的構造を理解されているのか、という問題が出てくるのではないかと思っています。
冒頭に、申し上げたように、わが党もこういう経済危機に対応する具体的な議論を突き詰めて、きちんとした方向を出していかないといけないと改めて感じた次第です。

質疑応答

Q
本日、民主党代表選挙に関する公開討論会が行われ、この中で菅総理は、秋から始まる臨時国会で消費税、社会保障も含めた与野党の会議に向けた機運が高まれば良いとの発言をしているようですが。
A
消費税について、菅さんは機運が高まれば良いと発言しているようですが、今日も民主党内の税調で議論するとおっしゃっていましたが、具体的な案をきちっとまとめることが必要だと思います。我々も前回、参院選前に財政健全化責任法をいうものを提出しまして、その中で社会保障の円卓会議を主張しています。基本的に我々のそのような考え方をもっていますが、まず、政権与党として、きちっとした方向性を出すことが大事ではないかと思います。
Q
政治とカネの問題について、小沢前幹事長は「逃げるつもりはない」と言いつつも、検察の捜査を受けて不起訴になっているので問題ないとの趣旨の発言をしているようですが。
A
政治とカネの問題、検察の関係は、これは実は多くの国民が本当に内閣総理大臣になるかもしれない方が政治とカネの問題というのは、どういうことだろうと思っていると思います。私はやはりきちっとした説明をされることが避けて通れないのではないかと思います。我々も今まで証人喚問など要求してきましたが、そういうことをきちっとやる必要が出てくると思います。そもそもこの問題は、3か月前に責任をとって辞めた方が手を挙げることの不可解さを象徴しているのではないかと思います。
Q
普天間基地の移設問題について、小沢前幹事長は「今、具体的な案を持っているわけではない」発言し、同氏の主張が後退しているように思うのですが。
A
これはある意味で小沢前幹事長のおっしゃっていること、これだけ鳩山前総理が(自民党時代に)丁寧に積み上げてきたものをこねくり回してぐちゃぐちゃにしてしまったのですから、具体的な案がないというのは小沢前幹事長からしてみればそうだろうなと思います。どちらが政権をとるかはわかりませんが、まずは虚心坦懐に沖縄の方々と信頼関係をどう作るのかということがなければならないと思います。今になって、あの政権の中心にいた方がそういうことをおっしゃることは、甚だ心外です。
Q
民主党代表選について、かなり感情がむき出しになった骨肉の争いに見えますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A
こういう権力闘争がともすれば加熱するということは、我々の政権時代にもなかったわけではありません。ただ民主党を見ていると、私が一番危惧するのは、中で議論が冷静にできない党なのではないかとの疑問を持っています。だからこそ、数の力を背景に中で議論があまり行われない。政治主導と言いながら、中の議論の積み重ねがなくして、物事や政策が出てくるという弊害があるのは、議論をするとまとまらないと言うか、そのことは例えば綱領を持っていないというところにも表れていますし、いろいろなところで成熟した政党としては、問題を抱えているのではないでしょうか。
Q
経済対策について、政府が今週の月曜に発表した経済政策、具体的には来週の閣議決定になりますが、予備費、及び昨年度の余剰金を合わせた1.7兆円規模と言われていますが、谷垣総裁の評価をお聞かせください。
A
私が申し上げてきたことは、先ほど冒頭でも言いましたが、まずは数字の議論よりも方向性をしっかり出すべきだ。しかも民主党政権に対して多くの方が不安に思っているのは、どういう方向で、どういうプロセスで政策が出来上がるのかが見えないので、今年はこうだけど来年はどうなるかわからないということに不安を持っている点が多々あると思います。ですから何年間かコミットしてこういう方向で行くんだというものを作る必要があると思います。そのうえで申し上げますと、予備費をどう使うか。それから剰余金ということになると補正予算ということになると思いますが、もう少し考えないといけないのではないかと思っています。これはいろいろな意味合いがありますが、地方の実情を見ますと、我々が政権時代にリーマンショックを乗り切るためにいろいろな経済政策を打ち出しましたが、その種がそろそろ尽きてくるというものがあります。全部継続しろというわけでもありませんが、必要なものは継続する必要があると思います。今のままでは形ができ上がらないのではないのかという気持ちを持っています。
Q
関連で、民主党代表選が終わり、仮に総理大臣の交代となれば、経済政策に関する強いメッセージ、方向性がなかなか出せない状況になると思いますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
冒頭も申し上げましたが、やや今は民主党内の権力闘争、代表選に、頭が、気持ちが行っていて、今の国民生活を見据えたものが出てこない。非常に与党として問題があると思います。このことは、我々としてはもっと追及していかなければなりません。ですから昨日、野党国対委員長会談等を開いて、閉会中審査を要求して参議院はすでに日程が入っているようですが、衆議院はまだできていません。是非これをやって答えを打ち出すように、政府として当然努めないといけないと思います。
Q
代表選が過熱して、片方の勢力が割れて民主党が分裂して、自民党も巻き込まれて、政界再編につながるのではないかとの危惧もありますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
与党が代表選をやっているときに、終わった後に分裂するかもしれないということにコメントするのは礼を失していると思いますので、これ以上は申し上げたくはありません。先ほど申し上げましたが、しっかりとした議論が党内でできないのであれば、与党としての資質に問題ありと言わざるを得ません。