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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年7月29日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

いよいよ明日から、臨時国会が始まります。参議院選挙で、参議院が与野党逆転という形になってから、初めての国会が開かれます。まず、今後の国会運営について、選挙前の国会では、具体的には申し上げませんが、数々の乱暴な国会運営がありました。特に最終日などは、参議院議長不信任案、問責決議案、こういうものを握りつぶして、本会議さえ開かずに終えてしまうという、まことに乱暴な国会運営だったと思います。昨日、野党7党幹事長が集まって、横路衆議院議長に丁寧な国会運営を行う申し入れをしたところです。衆参ともに丁寧な国会運営を心掛けてやっていかなければならないと考えています。
来週から、予算委員会が始まります。これについては、私も先頭に立って、質問に臨むつもりです。若手も含めて、一丸となって、菅政権に対峙して、わが党の国民生活をどう見ているのかという方向性、わが党の政策立案能力、こういうものをはっきり示していく必要があると考えています。若手を含めて、人材が育っていることもアピールしてまいりたいと考えています。
先の参議院選挙で、結論として民主党に対しては厳しい民意が示されたわけですが、これはただ単に消費税に関して、総理の発言がしばしばぶれたことにとどまるわけではなく、この10か月の民主党政権の国政運営、政策についても、マニフェスト違反があった点についても、政治とカネの問題についても、いろいろな問題点があって、このような厳しい評価が出てきたということです。国会において、この点もはっきりさせていかなければならないと考えているところです。そういう形で予算委員会では、与党が政権運営をしていく資格が失われていることを浮き彫りにしたいと考えています。
それから参議院議長等の人事についてですが、これは丁寧で公平な国会運営が行われることが何よりも大事なポイントです。それが参議院選挙で示された民意であろうかと考えています。野党各党の認識も、この点では一致しています。そういったことをしっかり踏まえて、臨んでもらいたいと考えています。

質疑応答

Q
民主党が両院議員総会を開催して、参院選の敗北の原因について「菅総理の消費税発言が唐突感をもって受け止められた」との内容を含んだ敗北の総括をまとめるようですが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
他党のことですから、あまり立ち入るべきではないかもしれませんが、参院選の敗因について消費税を挙げられる方が民主党内には多いと思います。しかし、消費税ということであれば、我々も数字を示して問題提起をしましたので、消費税自体が大きな敗因だったというのは当たらないと思います。むしろ消費税を提起するにあたって、しっかりした観点のなさ、ずさんな取り上げ方によって、結論、議論が右往左往した。このことが不信を招いたということであったと思います。
先ほど申し上げましたが、消費税だけに批判が集まったわけではないと思います。この10か月間の政権運営、政治とカネの問題、マニフェスト違反、外交関係における極めて拙劣な運営、そういうことをすべて判断して、政権運営の資格に乏しいと多くの国民が判断したことが、あのような結果になったと思っています。
Q
関連で、民主党執行部は、参院選敗北の責任を誰もとっていない状況が続いていますが、総裁の受け止めをお聞かせください。
A
民主党の中の総括の体制はどうかということですが、これは民主党の中でどのように、誠実に論点を整理して、責任を解明されるかという過程ですので、私からはこれ以上発言するのは差し控えたいと思います。
Q
参院議長人事について、民主党は西岡武夫参院議運委員長を検討しているようですが、総裁の受け止めをお聞かせください。
A
今、まさに参院の与野党で協議をされている最中ですから、そういう個別のことについては、コメントは差し控えたいと思います。
Q
明日から始まる臨時国会における予算委員会で、谷垣総裁は質問に立たれる予定ですが、どのようなことを柱にして質問を行い、またその狙いについてお聞かせください。
A
まだ十分詰めたわけではないですが、ひとつは参院選の結果を踏まえての国会論戦ですので、参院選の結果をどのように受け止めているのか。特に先ほども申し上げましたが、与党にとって厳しい結論が出ていますので、その原因をどう考えるのかというのは、解明していきたいと思っています。
また、与野党が逆転した形になりますと、当然のことながら野党である我々にも国民生活等々に対する責任は、与党が多数を占めていた時よりも重くのしかかるのは間違いありません。したがいまして、そういうことを解決していくためにも、国会論戦のあり方、丁寧に議論して、できれば合意点を見出していく。これは与野党双方が努力しないといけませんし、各党の公約、マニフェストを比較すると、わが党の公約と共通するものが与党との間に随分あります。そういうあたりは当然に協議ができるわけです。
それからさらに言いますと、今度の選挙で消費税の是非も問われたと思いますので、それについてどう考えているかということもありますし、また財政運営は非常にこれから来年度予算をどう作るかというのも、今もシーリングをどうするかという議論が政府で行われていますが、どのように作っていくかということも議論しないといけないと思います。それ以外には、政治とカネとか普天間問題などもありますので、限られた時間ですのでどこまでできるか整理しないといけません。
狙いと申し上げていいのか分かりませんが、我々の基本スタンスは、相当乱暴な国会、政治運営をされてこられたことによって、今度の評価は政権をしっかりと担っていく資格があるのかどうかということを問うていかなければならないということがあります。それとある意味では両立しがたい面もありますが、国民生活を考えると我々も責任を負っている。そのこともはっきりさせないといけないと思っています。
Q
税財政について、先般、政府から概算要求の組み替え基準が出されましたが、これをどのように改善していくべきだとお考えですか。
A
財務省の後年度試算と言いますか、ああいうのを見ましても、来年度の国債発行は49兆円、50兆円近いものが必要だと言われているわけです。そうしますと、相当思い切った削減計画がないと、今考えておられているような予算編成は難しいと思います。そうしますと、1番基本に戻れば、昨年の民主党のマニフェストでいろいろ約束され、その財源は無駄を削減して見つけるということだった。しかし、それが本当にできるのかというのが、1番基礎にあると思います。それから、かなり削減しなければならない中で、政策コンテストみたいなことをやっていくんだということも言われていますが、何でもコンテストにかけてというのは、果たして与党としての責任、つまり予算等々によって、税をどのように配分していくのかというのが政治の基本的役割でありますし、政府与党が基本的に自らの責任で形をつけていく必要があることです。そういったこととコンテストにかけることはどういった関係にあるのか。このことは政府与党の意思決定がどういった中で決められているのかという問題と実は深く関わっているのだと思います。政治主導ということを言われながらも、国家戦略局構想というものがかなり後退しているわけです。それから政府が一元的に決定するということでしたが、党の中にもう1度政策調査会を設ける。まだ意思決定の仕組みが我々の目からもよく見えてこない。このことが多くの人に不安を与えている原因だろうと思っています。申し上げるときりがありませんので、差し当たって、この辺にさせていただきます。
Q
民主党が税制改革に消極的になっている中で、自民党としてどのように議論をリードしていくつもりですか。
A
我々の基本的な考え方は、参議院選挙公約の中に書き込んであります。これから税制調査会で議論しても、その大筋は変わりようがないわけですので、もう1回参議院選挙を踏まえて、みんなの意思を確認していくところに主眼があるのかなと思います。自民党としては、ある意味で、基本的な問題は提起したと思っています。今後考えなければならないのは、その前の国会で財政再建責任化法を出しました。今度の臨時国会は短すぎますが、これもまた秋の臨時国会で出していく必要があるのかなと考えています。まだ決めているわけではありませんが、そういうことを検討しなければなりません。ただ問題は、こういう問題を真摯に国会で議論していこうということになりますと、政府与党としてのきちっとした見解がありませんと、議論がいたずらに迷走したり、拡散してしまう。先程申し上げた意思決定のシステムはどうなっているのかということも、どこでどう決まって、何が決まったことなのか、我々もとらえかねているということを申し上げたわけですが、是非そこは政権を持っている党として、明確に示していただくことがまず必要ではないかと思います。
Q
高速道路無料化実験が始まって1か月が経ちました。地域経済の活性化ということで評価する声もある一方、各地で渋滞や他の交通機関への影響を心配する声もあります。現時点での評価と財源の不足から実現が難しくなっている状態をどのようにお考えですか。
A
私はこれだけ財源が乏しい時に、まだ社会実験と言いながら、はたして無料化を推し進めていくべきなのか疑問があります。今の財政事情下で見て、高速道路もこれで全く必要がないというわけではないと思います。まさに、ミッシングリンクなどは繋いでいかなければならない。こういうことがありますと、やはり受益者負担というのは必要ではないかと、私どもは考えています。それから社会実験として今どのようなことが起こっているか、いろいろな見方があるだろうと思います。家族旅行が安くできてうれしいという方もいらっしゃると思いますが、他方あちこちで話を聞くと、高速道路の使い方、大都市圏はあまり実験に入っていませんが、地方へ行くと、漁業者であろうと、農業者であろうと、自分たちの生産したものを市場に出さなければいけない。やはりこういう流通過程の中できちっと定時に届けたい。多少コストがかかっても定時までに届けることによって、自分たちの信頼が得られる。不要不急の車までみんなこの実験の中で入って来てしまって、時間が読めなくなってしまったという混乱が起きてきているように思います。つまり地方における高速道路の基本的役割をかなり阻害している面があるのではないかと思っています。