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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年6月10日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

今日は3つ申し上げたいのですが、まずは通常国会会期末の審議について申し上げます。首班指名から、1週間近く経ったわけですが、未だに所信表明演説すら行われていません。国会日程もなかなか決まらない状況です。これは鳩山政権の無責任体質と全く変わりませんし、それからクリーンで透明な政治と菅さんは言っておられますが、初っ端から逆方向に進んでいるのではないかという感を持ちます。
まず、株価は今年度最安値を付けました。それから、鳩山政権が途中で放り出した普天間基地の問題、経済財政運営の行き詰まりの問題があります。我々は、今国会で予算委員会をきちっと開いて、こういう山積する課題について、十分な審議を行うことを強く求めてきたわけです。それから、郵政民営化法案、これは申し上げるまでもなく、衆議院で120時間をかけて審議を行い、国民に信を問うところまでやった案件です。それに比して、今回の法案は衆議院で6時間弱、十分な審議を確保できなければ、当然廃案とすべきだということです。政治とカネの問題に関しましても、小沢幹事長の証人喚問、関係者の参考人招致、小林千代美・石川知裕両議員の議員辞職勧告決議案の本会議での議決をきちっと行うべきです。こういうことを満たした国会運営を行わなければ、第1に菅総理が逃げたと言わざるを得ないですし、新しい体制に変わったけれども、自分の都合の悪い言論は抑え込んで、国会を私物化してきた前体制と何ら変わらないと言わざるを得ないわけです。それから、民主党は、政治とカネとの問題での自浄作用、体質改善は何ら行われていないということになると思います。これが第1点です。
第2点は、菅新総理が財政再建について、与野党を超えて議論することを訴えています。これは、そもそも2月1日の私の代表質問で、与党に提案した「社会保障円卓会議」と同じことを言っておられる。その時、我々の提案は拒否されたわけですが、政権交代で財政状況も悪化している。そういう中で、その必要性をようやく新政権が感じてきたということだろうと思います。そうであるとすれば、前提が2つ満たされなければならないと思います。第1に、歳出カットだけで財源を捻出して、消費税の引き上げは不要であるとした民主党のマニフェストの基本構造がまったく間違いだったということになりますから、それを国民にきちっと詫びることがなければなりません。それから2番目に、巨額のバラマキ施策が並んでいるマニフェストを根本から見直す。こういったリセットを行わなければなりません。それを満たせば、我々はいつでも議論に応じたいと思います。財政や社会保障政策については、一刻も早い建て直しが急務です。我が国の英知を結集して、責任ある議論をしていかなければならないということです。
3番目に、口蹄疫の問題を申し上げたいと思います。今朝、宮崎県都城市に感染が拡大した。関係者は非常にショックを受けています。今までも、封じ込めよう、抑え込もうということで、関係者は総力を挙げてきたのですが、65キロメートル離れたところに飛び火する。都城というところは、九州の畜産の心臓部です。この都城に飛び火しますと、ここは交通の要点であり、すぐ鹿児島県の大隅半島にも面しているわけです。大隅半島は非常に多くの牛、豚がいて、ここも大畜産地帯です。したがって、都城に飛び火したということは、フェーズがまったく新しいところに来た。今までの対策を越えた新しい対策を考えなければならないということだろうと思います。したがって、今日の16時半から農水委員会の理事懇談会があるようですが、農水委員会、それから予算委員会、そこできちっとこの問題を集中審議して、国として、非常事態宣言を発することが必要ではないか。私どもは、そのように考えております。このことは、決して政権を糾弾しようとか、そういうことではありません。これは危機管理ですから、与野党を挙げて、知恵を出し合って、英知を結集して、政府にやるべきことをやってもらわなければならない。そのためには、国会もきちっとバックアップして、英知を集められる態勢を作ってやりたいということですから、私はこういう態勢をきちっと取って行くことを強く求め、国として、非常事態宣言を出していくということでなければならないと申し上げたいと思います。

質疑応答

Q
今朝の全議員懇談会で、谷垣総裁は「政治生命をかけて参院選に臨む」と発言されましたが、この意味を改めてお聞かせください。
A
政治生命をかけるということで、それ以上でもそれ以下でもありません。
Q
谷垣総裁はこれまで参院選で、与党の多数を阻止すると発言されてきましたが、衆院選後と現在の与党の連立の枠組みが変わってきていますが、あらためて谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
与党が乱暴な政策、法案をどんどん出してくる。そして日本の進路が誤るのを阻止しなければならないのが、野党第1党の役割、基本的な使命だと考えています。
Q
その枠組みは、民主党と国民新党ということですか。
A
与党に、政府に勝手なことをやらせない。政権党に勝手なことをやらせないということです。
Q
菅総理は、参院選の勝敗ラインを50議席としていますが、自民党が目指す獲得議席についてお聞かせください。
A
勝敗ラインと言いますか、基本線は政権に勝手なことをさせないというのが、生命線だと思っています。それ以上は、多々益々弁ずということです。
Q
党大会の運動方針には、参院選で第1党を奪取ということを掲げていますが。
A
大きな意味でそういう目標はあります。私は、常々言ってきましたが、中間試験である参院選で野党が果たすべき役割は、与党の横暴を正すことに全力を挙げるということをずっと言ってまいりました。
Q
民主党内では、国会の会期を延長しないという声が日に日に強まっていますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
表紙を変えただけで、選挙に逃げ込んでいくというそしりは免れないとしか言いようがありません。私は先ほどわざわざ会期末の審議のあり方と、口蹄疫の問題を区別して発言しました。口蹄疫の問題で、これだけ日本の畜産が危機に瀕しているときに、その議論を全くしないのはおかしいと、声を大にして言いたいと思います。
Q
衆院における内閣不信任決議案と参院の首相問責決議案を提出する検討はされていますか。
A
新しい政権が成立して、所信表明もしていない段階ですから、今、直ちに出すということは考えていません。
Q
参院で問責決議案を出すお考えはありますか。
A
まずはせめて何をやるかを聞かなければ、まずは所信表明を聞くということから、それも聞く耳を持たないというわけにはいかないと思います。
Q
関連で、国民新党は民主党と郵政法案をめぐって、連立を離脱するかどうかの議論を行っています。仮に連立を離脱した場合、参院で首相問責決議案が成立する可能性がありますが、この場合の提出に関しての谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
政治は日々刻々と変化していきますから、それはどういう手段を講ずるかは、その都度、今考えていることと違ってくるかもしれません。まずは所信表明などで、総理大臣が何をしようとしているのか聞かないといけないと考えています。
Q
民主党の荒井国家戦略大臣、蓮舫行政刷新大臣、川端文部科学大臣に事務所費問題が浮上しており、荒井氏はこれに対して弁明を行っていますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。また、この民主党3大臣の事務所費問題について、今後は自民党としてはどのように追及していきますか。
A
この問題で、松岡氏や赤城氏が農水大臣時に、大変厳しい批判にさらされました。しかし、今回の件について、荒井大臣も同じ話です。荒井大臣は、議員会館の事務所経費やスタッフの人件費を計上していたと答えているようですが、荒井大臣は2007年3月に北海道知事選に出馬をされて、それ以後、議員会館の事務所自体が存在しませんでした。ですから一体どうなっているのか。これはまったく説明になっていないのではないかと感じています。
もし適正な処理であると主張されるのであれば、実は蓮舫さんは、松岡氏や赤城氏に厳しく迫ったのは、速やかに領収書を公開して説明責任を果たすべきだと鋭く迫りました。これと同じことがあてはまると思います。説明責任が果たせないのであれば、責任をとってお辞めになるべきだと考えていますし、そうなれば総理の任命責任もそのときは問われてくると思います。