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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年5月27日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

まず普天間基地移設問題ですが、明日にも閣議で取りまとめるとされていますが、政府与党、地元、米国との合意で決着する、職を賭すという総理発言に明らかに反した結果になります。5月末決着で総理が明言した全ての関係者を含めた合意取り付けは不可能であることが、既に明らかになってきている。そうなりますと、(内閣総理大臣を)辞職するか、あるいは解散で信を問うということでなければならないと考えます。関係閣僚も連帯責任を免れないと申し上げざるを得ないところです。
それから交渉や決定のプロセスについても、いくつか問題がある、大きな欠陥があるということを指摘しておかなければなりません。第1は、政府与党内において合意がないということです。閣内にいる福島みずほ消費者担当大臣が独自に沖縄訪問、辺野古への移設反対の意思を表明しています。社民党は、閣議でも署名しないということです。これは閣内不一致どころか、「閣分裂」と表現しなければならないことだと思います。それから、発表の仕方もよく注意しなければいけないところでして、日米共同声明と閣議での政府対処方針、この2つで辺野古という具体的地名を入れる、入れない。こんなことで書き分けることがあってはならないと考えます。二枚舌と言わざるを得ないということです。3点目に、沖縄との合意がないということです。頭越しの交渉はしないと言っていましたが、米国との合意を優先して地元に押し付けるということになってきました。徳之島についても同じことが言えます。交渉の順序が逆である。総理は、「思い」という言葉を多用されます。重い「思い」とおっしゃるのですが、大変軽い発言が続いていますが、地元の思いを軽視し過ぎている。「沖縄パッシング」と言わざるを得ない。こういう交渉の進め方は認められないということです。
それからアメリカとの間では、概ね現行案で合意するということですが、ただし、これまでの経緯で日米の信頼関係は大きく崩れてしまった。東アジア情勢が緊張を増す中で、残念ながら、今後の日米安保体制について、前向きな議論が進んでいくことが期待できない、議論ができない環境であるということです。安全保障問題でジャパンパッシングが進むことが非常に心配です。それで事態をここまで混乱、深刻化させた鳩山総理、鳩山内閣の責任は極めて大きいわけでして、内閣不信任決議案の提出も視野に入れなければならないと考えます。明日の発表も見た上で、鳩山政権の責任をただしていくということです。
それから2番目に、口蹄疫について申し上げます。与野党を越えた各位の尽力で、明日にも口蹄疫対策緊急措置法が成立することになりました。これは大変望ましいことで、これを受けて速やかな対策が講じられることを強く期待したいということです。しかしながら、初動、その後の対応が遅れたことによって、被害をここまで拡大させた政府の結果責任というものが、当然問われなければならないということで、赤松農相に対する不信任決議案を明日以降にも提出して、政府の責任を厳しくただしていこうということです。
それから3番目に、特に今日申し上げておかなければならないのは、与党の異常な国会運営を指摘せざるを得ないわけです。一昨日、放送法を強行採決した。近藤昭一総務委員長の解任決議案を提出したところですが、理事会や理事にも諮らず、本日の総務委員会、定例ではない明日28日(金)の総務委員会も委員長職権で強引にセットされた。委員長の職権による委員会のセットは今までなかったわけではありませんが、未だかつて理事会ないし理事に諮らずに、委員長のみで、職権で委員会をセットする。これは長い委員会運営の中で前例のない暴挙であるということを強く指摘せざるを得ない。委員会中心主義において、委員会における審議は、極めて重要であり、この運営のルールというものも、長い間かけて作り上げてきた極めて大事なルールです。与野党で十分議論し合って、理事会等で合意形成を図るのは、委員長の務めでありますし、このようなかつての慣例を無視することが横行するならば、理事会はいったい何のためにあるのかということになってしまいまして、委員会中心主義という今の国会の構造そのものを完全に無視する極めて乱暴な行為だと私は考えます。これは、郵政改革法案を早く審議して、選挙前に国会に通すために、このような暴挙、ルール無視をあえてしたということです。郵政改革法案など選挙目当て、自分たちに都合の良いことは、数の力で強行採決。一方、政治とカネとか、普天間基地移設問題とか、財政再建、こういった都合の悪いことは審議拒否。これでは、わが国の議会制民主主義が崩壊してしまう。わが党は私が先頭に立って、野党で共闘して、この横暴に立ち向かっていかなければならないと考えています。さらに、参議院選挙で与野党逆転して、内外の重要課題について、十分な議論が行われる体制、まともな国会をとにかく作っていかなければならないという覚悟を新たにしているところです。

質疑応答

Q
福島みずほ消費者担当大臣の不信任決議案の取り扱いについて、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
福島大臣に対する不信任案の前に、この問題、日米安保の根幹にかかわる重要な問題について、閣内で合意ができないということであるならば、これはもう閣内不一致というものを越えて、内閣の体をなしていない。そうすると、署名をしないというのであれば、総理は福島大臣を罷免すべきと考えます。
一方、福島大臣もここまで言うならば、社民党は連立から離脱するのが筋ではないかと考えます。もし、福島大臣が閣内にとどまるということであれば、不信任案の提出も考慮しないといけないと考えています。
Q
民主党の小沢幹事長の政治とカネの問題について、小沢幹事長が政倫審で説明をするという話が一時挙がっていましたが、自民党としてはこれからも政倫審の開催を求めていくのですか。
A
政倫審というよりも、何度も発言が転じているということを考えると、宣誓のうえで自らの発言に責任を負わなければならない証人喚問等に応じるのが本来だと考えています。たが、すべてをほっかぶりするということであるならば、これは許せないことであって、政倫審を求めるというよりは、今のような基本的な態度で厳しく追及していかなければいけないと思います。
Q
本日、経団連の新体制発足のパーティがありましたが、その場ではどのようなお話をされたのですか。また今後、経団連とはどのような関係を築いていくお考えですか。
A
米倉弘昌経団連会長には、ご就任のお祝いと今の経済情勢を考えると、なかなか経団連の運営にもご苦労がおありだろうと、大変ですね、ご苦労さまですと申し上げました。私どもも、政治の場にあるものとして、今のようなかなり国際的な情勢もなかなか厳しい状況ですから、こういう中で日本の経済全体に明るいものを作っていくということは、経団連の方々が考えられていることと、いろいろご相談をしたり、協力しないといけないことがあると思います。新体制のもとで、わが党と経団連の協力関係と言いますか、そういうものが理解を進めて、協力関係が進んでいきことを望んでいますし、そういう考えで今後もやってまいりたいと思っています。
Q
本日、鳩山総理の要請により、臨時の全国知事会が開催されました。普天間基地の移設に関して、沖縄県の負担の軽減をお願いする知事会になったようですが、一部欠席者もいたようです。出席者からは、日米間で普天間基地の移設問題を解決してから、全国知事会を開催するのが筋だろうと疑問の声も挙がったようですが、このような鳩山総理の異例とも言える手法をどのように評価していますか。
A
論評の必要もないような稚拙な方法だと思います。今おっしゃったように、どういうことで、協力せよと言われても知事さんも何を協力すれば良いのか、具体的なイメージが浮かばないのではないかと思います。ある程度方向性が出てこないと。このような手法で臨まれるということは、まったく壁にぶち当たっている、八方ふさがりということを自白したのではないかというのが私の印象です。
Q
韓国の国防省の発表によると、北朝鮮の潜水艦4隻が行方不明とのことです。一部情報では、日本海に潜伏しているのではとのことですが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
私も正確な情報を持っているわけではありませんので、確定的なことは申し上げられませんが、韓国の哨戒艦が沈んだと。そしてそれが北朝鮮の魚雷によるものではないかということが言われだした時点で、日本周辺の海域に対する警戒、注視を深めなければならないわけで、それに対してしっかり日本政府が対応しているのかどうか。ぜひそれをしっかり対応しているということを期待したいと思います。
Q
関連で、事件が起こった時点で対応すべきとのことですが、韓国大統領の発表を待たずに、ということでしょうか。
A
補足していただいてありがとうございます。これが北朝鮮の攻撃によるものではないかとの疑惑が生じたときに、何が真実か分かっていない段階でも、直ちにそれなりの対応をとることが、国の安全保障の観点から必要であると思います。それが十分にされたかどうかは、今まであまり検証されていませんし、ただ今までの政権の対応を見ていると、若干、そこらの意識が薄い所があるのではないかという懸念を私は持っているので、しっかりやっていただきたいと思います。