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記者会見

谷垣禎一総裁記者会見

平成22年5月7日(金)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

今日、徳之島の3町長が、官邸で鳩山総理と会われたわけです。徳之島への受け入れを明確に拒否されたということです。私自身も総理との面会に先立ちまして、3町長にお会いして、3町長の生の声も伺いましたが、これまで政府案について、何ら誠意ある説明がない中で、突然、部隊を受け入れろと迫られても、町民が反対するのは当然のことだろうと思います。先日の徳之島では1万5000人の反対集会があった。島民2万人の反対署名があった。こういうことを見ましても、徳之島における受け入れ拒否、これは総理の言う1つの民意ではなくて、徳之島の圧倒的な民意だと考えます。それで、米国との交渉、合意の前に、地元の理解と合意がなければ、物事は進んでいきません。普天間基地の機能を辺野古つまり沖縄県内と徳之島に分散することが、政府案、もしくは総理の腹案であるならば、先日の沖縄も、受け入れずに言わばイエローカードであった。今日も徳之島は容認せず、これはレッドカードという目下の状況では、政府与党、地元、米国が合意した上での5月末決着はもはや不可能になったわけです。徳之島のヘリ部隊の分散は、海兵隊の運用上、米国政府も容易に受け入れられないと伝えられています。
それで、わが党は現行案を中心としまして、2014年までの普天間基地の危険性の除去というプロセスを着実に、今まで政権時代に進めて、ゴールも見えていたわけです。ところが米軍再編の全体像の中で、政府、沖縄、米国が理解を進めつつ、積み上げてきた多くの関係者の努力を鳩山政権は打ち砕いてしまった。民主党政権の責任は極めて重いということです。
総理は、県内、国内移転について「公約ではない」という趣旨の発言をされるなど、責任回避の姿勢がありありと出ているわけです。安直な発言を繰り返し、またそれが二転三転する。一国の総理の発言にあるべき重み、これが全く感じられない。多くの国民や地元住民が怒りを持って受け止めているわけです。それから、さらに抑止力について「勉強不足であった。考えが浅かった」と発言するに至っては、これは何をか言わんやです。国民の安心、安全を担う内閣総理大臣の資質そのものに問題があるということです。
また、閣内、あるいは与党において、この問題を仙石大臣などは「せせこましい」という表現をしている。また、「普天間基地問題は国民生活と無関係だ」と、これは山岡国対委員長の発言でして、こういった暴言と言うべきものは、この政権の無責任性を象徴しているということです。他の例もそうですが、誰も責任を取るものがいないというこの政権の体質、これは許されることではありません。予算委員会での集中審議と鳩山総理の国会での説明を強く求めまして、政権全体の責任を厳しく追及していこうと考えております。

質疑応答

Q
徳之島3町長と谷垣総裁との会談では、具体的にはどのようなお話をされたのでしょうか。
A
骨子は先ほど申し上げましたが、この間、徳之島で島民大会などがありましたが、鳩山総理に対して、島民の考え方、意思を率直にお語りになるということでしょうねと、私は申し上げました。
Q
イギリスの総選挙で、最大野党の保守党が第1党の座を獲得することが確実になりました。2大政党制を揺るがすような結果にも見えますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
最終結果が出るのは明朝と聞いていますが、これまでの開票結果や調査を見てみると、与党の労働党が今までは345議席であったのが250程度に大幅に議席を減少させる。一方、保守党は193から300議席程度に大幅に議席を伸ばす。自由民主党は、事前の予測に反して伸び悩んでいるということですが、これは現有議席程度ということとすると、保守党は第一党になっても過半数である326議席には、どうも及ばない情勢ようです。いずれにせよ、議席数が大幅に変化した。それから第3極が伸びにくい状況である。これは単純小選挙区ということも関係していると思いますが、そういう特徴が表れていると思います。
労働党の敗因については、ひとつはリーマンショック以来の経済情勢、経済の低迷があると思います。これが与党に対して厳しい反応が出たと思います。また、ブラウン首相のリーダーシップに疑問がついているというようなことがあるようです。私どもも、こういう情勢の中でどういう連立なのか、どういう形になっていくのか注目したいと思っています。こういうことを見ますと、今後、英国だけではなく、各国、日本も含めて、結局は景気雇用の問題が大きな争点になってくるのではないかなと、今のところはこのように受けて止めています。
Q
読売新聞が経済再生の緊急提言をまとめ、法人税実効税率を20%台にすることや新通商戦略を策定することなどを政府に求める内容ですが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
関心を持って読ませていただきました。これを拝見しても、政府、政権のマニフェストはほとんど破たんのシナリオだし、これに縛られてマクロの経済・財政運営方針が欠如している鳩山政権では、現下の情勢はなかなか乗り切れないのではないか。
今日の提言を拝見しても、経済成長を通じて、雇用を創出、確保していくと同時に、バラマキを排して財政規律を守っていくことによって、日本の安心を作っていこうというのは、基本線だと思いますが、これはわが党が考えていることと方向的には一致していると感じています。我々も、よくこれを参考にしていきたいと思っています。
Q
週明けの国会対応について、自民党は、政治とカネの問題に関して証人喚問、参考人招致、普天間基地問題では、予算委員会における集中審議の開催を求めていますが、民主党の山岡国対委員長は、予算委員会における集中審議の開催に否定的な考え方を示しています。このまま民主党が説明責任を果たさず、集中審議に応じなかった場合は、自民党としてはどのような対応を行っていくお考えですか。
A
まだそのような対応がない場合というのは早いのであって、これだけの問題が露呈している中で、国会でしっかり審議をしていく。また説明責任を果たすことは当然のことなので、それをまず厳しく求めていくところから始めなければいけないと思います。
Q
徳之島の3町長との会談の中で、谷垣総裁は「なるべくバックアップしたい」と発言されたとのことでしたが、具体的な中身についてお聞かせください。
A
徳之島3町長のお話を伺っていても、非常な決意を込めて島民の意思を介して行動しようという覚悟が溢れていたように思います。私どもは、今申し上げたことは、必ずしも具体的にこうと申し上げたのではなくて、島民の意思に対して、しかもそれに対して政府から誠意ある対応が見られないときに、徳之島の方たちのお考えをサポートしていきたいということを申し上げました。
それと同時に党首討論のときにも申し上げましたが、奄美振興予算が今年は大幅に削られています。そういう中で、この基地問題で協力すれば、その辺は何とかなるよと言わんばかりの態度に腹を立てて憤っているのも事実です。我々は、離島振興とか、そういうものについても、もう少し考えるべきは考えなければならないと申し上げました。
Q
普天間基地の移設問題について、自民党としても対案を出すべきとの声が聞こえてきますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
先程申し上げたように、わが党が政権与党時代に2014年を目標として、現行案を中心にやってきたわけですが、その前提にあるのは政府と現地島民、米国との信頼関係が前提にあったわけでして、要するに長い間かけて築いた合意を、そういった信頼を掘り崩して、一挙に時計の針を逆に戻して、冷やしてしまったということです。私どもは、過去14年いろいろな調査をいたしました。いろいろな研究、議論もいたしまして、結局、沖縄の危険性、負担の除去と抑止力の維持という両立可能な案というのは、他に見出せなかった。それを実現していくための努力をしてきたわけですが、それが政権の対応によって、一挙に基礎がなくなってしまった。だから何をするについても、鳩山政権が5月末までに結論を出すと言われていますが、これはそれをするにしても、まずどうやって信頼関係を回復していくのかがなければ、政権だってできっこない訳です。私はまずそれが第1であって、今の状況の下で、どういう対案があり得るのかという議論は、まだ早いと思います。
Q
5月末までに解決ができなかった場合は、改めて総理に退陣を求める方針に変わりはありませんか。それでも知らぬ顔を通すようなことがあるならば、内閣不信任案提出など、より強い態度で臨むのでしょうか。
A
5月末までにできなかった場合、先程申し上げたように、日本の安全保障にとっても極めて重大な問題であったわけです。それを解決して、国民の安心につなげていくためにも、いろいろな意味での信頼関係を樹立していかなければならない。総理が5月末までにできないということは、そういう信頼関係の回復が、鳩山総理では果たされないということになると思いますから、私は退陣されるべきだと思います。それをどのような形で求めていくかは、それは政権の出方を見ながら、判断していくということです。