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記者会見

「低炭素社会づくり推進基本法案」の提出について

平成22年3月19日(金)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

先程、わが党は「低炭素社会づくり推進基本法案」を衆議院に提出いたしました。皆さんご存じの通り、先週政府は「地球温暖化対策基本法案」を提出したわけですが、「低炭素社会づくり推進基本法案」は、その政府案に対するわが党の対案ということです。わが党は、従来から地球温暖化対策に対しては、責任ある取り組みを進めてきたわけです。昨年の麻生内閣での中期目標決定の際にも見られたように、国民各層の幅広い意見を真摯に伺って、オープンな議論を堂々と行いながら、丁寧に合意形成に努めてまいりました。そして実効性のあるメニューをまとめてきたと思います。それが本日提出した法案となって、結実しているということです。
わが党のこの問題に対する姿勢を示すという意味で、今日の法案の提出に総裁である私も立ち会ったわけですが、この法案のキーワードは、「明確な目標と道筋、そして責任感」ということです。これに対しまして、政府の「地球温暖化対策基本法案」は、未決定、未調整の寄せ集めであって、日本の責任感が全く感じられない法案です。皆さんご承知の通り、昨年鳩山首相は、国内の合意形成の議論もないままに、唐突に1990年比25%削減という国際公約をしてしまいました。大々的に国際社会に大きな数字を示すことで注目を集めようとしたのだと思います。本来は、事前に対策案を積み上げて、そして国民の理解を得た上で発表すべきであったものですが、政府は、検討過程はもとより、発表した後ですら国民に対する真摯な説明というものを欠いています。政府の基本法案は、未決定、未調整のオンパレードだと言わざるを得ないと思います。今後の国際交渉においても、この問題に対するわが国の真剣な姿勢が伝わらないことは明らかです。我々が常々鳩山外交の欠点として指摘している、美辞麗句を口にして注目を集める。しかし、中身が伴っていないので、結局、国際社会にわが国の責任感が伝わらない、わが国の責任感が問われる事態となって来ているということが、この問題についても、はっきり表れていると言えると思います。
政府案との詳しい違いは、これを取りまとめていただいた野田毅委員長にお譲りいたしますが、わが党のものは、わが国が独自で実行する真水の目標、2005年比15%削減を規定して、それに責任を持って取り組むための法案です。数字が大きいだけで真水も決められていない政府の案とは違っています。今後は、国会論戦において、わが党の案と政府案と比較することで、政府案の詰めの甘さを浮き彫りにしてまいりたいと考えています。

【地球温暖化対策特別委員会・野田毅委員長発言】

今、総裁から申し上げた通りですが、一言で言えば、政府の案は誠に無責任であると申し上げていいと思います。それは総裁からお話がありましたが、1990年比25%削減ということは、別の表現をすれば、2005年比30%削減と同じ量になります。わが党は2005年比15%、国内での排出量を削減するということです。政府の方は、国内での削減量は言及していません。したがって、言葉面で行くならば、国内削減量はゼロであっても、海外から全部購入しても成り立つ議論になっている。ここが明記されていないことでありますから、国内におけるどういう具体的な努力を、どのような道筋で、どのような方法で、国民にどのような負担をお願いして、ということは全く中身がない。大分議論があったようですが、結局はまとまらないということで、ただ1人数字だけが世界の中で駆け回っている。
今1つは、国際交渉で日本がリーダー的にやろうということなんでしょうが、今、世界は、主要国においても、アメリカにおいても数字のステップダウンということになりつつあるし、カナダはもちろんのこと、様々な国が既に昨年言っていた数字よりも後ずさりしてきているということで、そういう中で日本はどうするんですかと、主要国がやるということを前提としての数字だという話になっているわけですが、主要国がステップバックした場合は、日本は自らの削減量はおろか、トータルとしてのことも90年比25%という数字さえも取り下げることになるのか、その議論も明確ではないということですから、私は誠に無責任極まることだと思っています。
わが党は、数字だけ見れば半分ぐらいということですが、そもそもその数字自体が、今日世界の中でのまさにトップランナーである日本の今日までの削減努力、これはどんな数字を見ても明らかであると思います。これを更に国内のいわゆる真水、外から購入する部分は除いて、自らの努力において達成しようというこの数字は、きわめて厳しい数字だと思います。それだけに昨年麻生内閣で、これを党として決めるときには、大変な議論があったことは皆さんご承知の通りです。そういう意味で志を明らかにしようではないか、心を1つにしてやろうではないかと、そういうことで作ってきた。したがってそれだけに多くの関係者のいろいろな議論を踏まえた上で、国内での道筋を明確にした上で、厳しいけれども、清水の舞台から飛び降りる気持ちで作ったのがこのわが党の数字です。そういったことを頭に置いて頂ければ、今回の政府案が中身について全然まとまっていない。例えば排出量取引においても、いわゆる総量規制型で行くのか、あるいは原単位排出量を軸にするのか、これすら両論併記ということになっているでしょうし、あるいは温暖化対策税の件はどうするのか、具体的な中身は何もありません。実際に、そういったことを考えますと、これから先に、あらゆるものはこれから詰めていくようですから、具体的な材料について、比較をするだけの材料が政府案にはない。こういうことであろうとも思っています。

質疑応答

Q
自民党の姿勢を示すために法案提出に立ち合ったとのことですが、今後もこのような形で行うのですか。
A
今まで、総裁が法案提出に立ち合ったというのは、私の知る限りなかったと思います。今日は、この法案の重要性、我々はこれだけ力を入れているんだということを示すために、私も衆議院に出かけて提出したのですが、今後、あらゆる議員立法に全部、私が提出に行くというのは不可能だと思います。やはりこれだというものは、そういうことをさせていただくということです。
今、多くの方々が心配しているのは、政権が打ち出すいろいろな政策が、端的に言えばアンチビジネスになっているのではないか。その象徴が90年比で25%削減ということだと思います。アンチビジネスと申し上げましたが、実はアンチビジネスというのは、アンチ雇用創造なんです。そのことところは、今の日本の経済、社会のあり方から見れば、極めて重要だと思います。先ほどから責任ある議論をして、プロセスも国民各層の意見を聞きながら進めてきたというのは、実はそのところにポイントがある。やはり我々としては、どういうふうに環境と経済というものを両立させていくか。そこは無責任ではいられないという思いで、今日は私が立ち合ったということです。
Q
民主党の生方幸夫衆議院議員が小沢幹事長を批判したということで、党の役職である副幹事長の職を更迭されましたが、このような動きをどのように見ていますか。
A
具体的なことがよく分からないので、あまり論評する資格はありませんが、かねがね民主党の党運営は、極めて強権的、独裁的なものだと思ってきましたので、その表れという印象で受け止めています。