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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年3月4日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

民主党の小林千代美衆議院議員の問題について、小林議員は北教組から違法に1600万円もの資金提供を受けていた。そして、陣営幹部が逮捕されたという不祥事が起きたわけですが、ご本人は、自らの出処進退を明らかにしない。それどころか説明責任も果たしていないという状況です。鳩山首相、北教組どちらとも頭文字がH、小沢幹事長の問題で、濁ったH2Oと言うそうですが、政治とカネに関する民主党の体質を如実に物語るものではないかと思います。これが民主党らしさかということになってしまうのではないかと思います。わが党は、鳩山首相の関係者、小沢幹事長の証人喚問などを求め、これらの疑惑の真相解明にこれからも全力を尽くしていきたいと考えています。
鳩山首相は、企業団体献金禁止のための協議機関の設置を呼び掛けていますが、これはまったく疑惑を隠すための目くらまし、議論のすり替えにすぎないと思っています。まず前提として、首相ご自身の問題、その他民主党の政治とカネの問題について、きちんと解明される、説明責任を果たされることが前提ではないかと思います。こういう協議機関設置を呼び掛けていますが、国民の生活本位と言うならば、私も質問の際に、社会保障の円卓会議をやるべきではないかとの呼び掛けをしました。社会保障の問題について、与野党でしっかり議論していくことは、国民の1番の関心事だと思いますし、特に年金のような問題は、政権が代わるごとにクルクル変わるということでは国民の不安が消えません。与野党でしっかり議論していくことが必要ですので、政治とカネの協議会とおっしゃるなら、こちらの問題をまず考えていただくべきではないかと思います。
予算審議は参議院に移ったわけですが、予算委員会の初日に、3閣僚が遅刻するという信じがたいことが起こりました。事務方のミスということですが、私どもの政権時代は、閣議、国会の委員会、特に予算委員会の基本的質疑の初日は、非常に緊張したものですが、そこに遅刻するというのは、著しく緊張を欠いていると思います。また、大臣と事務方の連絡・意思疎通も円満に図れないということでは、危機管理上の問題があった時に、きちんと対応できるかどうか非常に不安に感じる次第です。
わが党で、期別議員懇談会を開催しました。昨日と今日、衆議院議員の1回生から5回生までの方々との懇談会を開きました。大変厳しいご意見もありましたが、有益な意見をたくさんいただいたと思っています。いろいろな意見がありましたが、自民党の支持率を上げるために、自民党が変わったというイメージをもう少し出さなければいけないとか、わが党の政策、対案を含めて、自民党だったらどういう国民生活を作っていくのかということをもう少し明確に発信せよというご意見、先日の審議拒否についてもいろいろなご意見がありました。わが党は、自由闊達にモノが言えるところが良さでもありますので、そういう開かれた党ですから、十分にそれを受け止めて、党運営に反映していきたいと思います。頂いた意見の内、政策については、これから国会における審議であるとか、参議院選挙の公約をこれから作りますが、そういうことを通じて、訴えていきたいと思っていますし、国会の質疑では若手も積極的に質問に立っていただかなければなりません。そういうことで党の新陳代謝を進めていきたいと考えています。
参議院選挙の候補者の選定で、公募を47都道府県のうち21選挙区で行っています。そのうち15選挙区で候補者が決定し、30代の方が5名で平均年齢が44.1歳と若い方に頑張っていただく環境をつくることができたことを併せてご報告いたします。

質疑応答

Q
昨日、民主党が参議院選挙の公認・推薦候補者87名の発表を行いました。メンバーを見ると、労組関係者もかなりいますが、自民党としてどのような対立軸で候補者を立てるお考えですか。また、今日の期別懇談会で、河野太郎国際局長から「国会運営で執行部は責任を取るべき」との発言があり、ベテラン議員が出過ぎる弊害についての発言もあったようですが、総裁はそれぞれの声に、どのようにお答えしますか。
A
民主党は第1次の公認・推薦候補の発表ということがありました。労組が基盤の方も随分おられますし、それから随分ご高齢の方もいらっしゃいます。もちろん我々は全力で戦っていかなければいけませんが、今まで63名、選挙区40名、比例区23名で、更に人選を進めていますが、今月半ばには、ほぼ出揃うと思います。候補者の選定には、公募等の手法も活用してもらい、清新な人材に出ていただくことができてきたと思っています。このわが党の候補者を見ますと、若くて清新な方で、十分他党の候補と戦えると思っている次第です。
今日の期別懇の話ですが、若い人をもっと使えと、これもいろいろ意見を聞いてみますと、そういうご意見もたくさんあります。若い方がどんどん伸びている姿も示していかなければいけません。ただその半面、ベテランはそれなりに全体を見渡した、味のある質問をしていたという評価もあります。だから、若い方をできるだけ使っていきたいと思いますし、やはりこういう質問に立つには、ずっと前から準備しておけよと、できれば良いのですが、今の国会運営の現状ですと、直前に「君、立ってくれ」ということがあるのも事実です。ですから若い方もベテランも野党になったら、国会できちっと質問するのが、野党議員の生命線だと考えていただいて、もし質問の順番が回ってきたら、自分だったらこういうことを質問したいと日頃ネタを用意しておかないと、付け焼刃でやってもなかなか良い質問ができない。是非わが党の所属議員には、日頃からこう質問する材料を整理していただきたいと思います。
それから、責任という話もありましたが、これは野党の国会運営の手法というのは、確かにまだまだ工夫しなければならないのも事実です。そういう意味でいろいろな声に耳を傾けて、さらにより良いものしていかなければいけません。それをきちっとやることの方が大事です。
Q
民主党が2人候補者を擁立する場合には、自民党も2人という話も出ていますが、複数区の候補擁立作業について、今後どのような方針で進めていくのでしょうか。
Q:また、小沢幹事長は昨日の会見では、公明党との選挙協力を否定しましたが、公明党との協力関係については、どのようにお考えですか。
A
複数区について、必ず複数区で向こうが複数立てれば、こちらも必ず複数と、機械的に適用しようとは思っていません。複数区もいろいろな複数がありますので、具体的に見ていかなければいけないと思っています。
それから公明党の関係について、一律にこうというよりも、選挙区、地域での実情がありますから、それに応じて協力できるところは協力していくということではないかと思います。
Q
期別懇で自民党が変わったことを見せなければならないとわざわざ言うのは、変わってないからということでないかとも思われます。名実ともに変わったと認められるには、派閥を解消するなど、もっと党の体質を変えれば、抜本的に変わったと言わなくても変わったと言われると思いますが、派閥解消について、どのようにお考えですか。
A
変わった、変わらないというのは、見方によっても違うと思います。私は、1番変わった、今後にも影響を及ぼしていくのは、候補者選定において、公募や予備選挙の手法を使ってくれとお願いして、現実に、先程申し上げた47のうち21の都道府県でやっていただいた。先程申し上げたように、ずいぶん若い、我々の地域には若くて元気な県会議員がいるなとか、そういう今まで政治の経歴にない方もいらっしゃいますが、若くて清新な方を選ぶことができた。こういうことをかなりの数で推し進め、今後これで終わってしまうわけではありませんので、これは自民党の体質を変えていく、実質的に意味があることだと思っています。それで公募をすると、すべてがそれで満足のように解決するものでなくて、公募の結果、札を入れたことによって、しこりが生じることがないわけではありません。そういうことはできるだけ解消していかなければいけませんが、逆にそういう公募をすることによって、党員と党所属の地方議員たちが、自分たちがこの候補者の選定に参加したという気持ちを強く持って、求心力が高まっているという例が出てきているように思います。やはり今後、こういう手法をしっかり問題点をうまく整理しながら使うことが大事だと思います。
派閥を例に挙げられましたが、派閥が果たしてきた機能を全部否定すべきだとは思いません。度々申し上げていますが、例えば落選者のケアだとか、若い候補者の選挙のやり方の指導は、従来は党が前面に出ないで派閥が行ってきました。実際、野党になり派閥の力が相当落ちてきて、そこまでかゆい所に手が届かないということになっていない面もあります。むしろ実質的な問題は、そういうことに対して党がどれだけ落選者の方をケアしたり、若い候補者に選挙の指導を行えるか。こういうことを充実させていくことが大事だと思います。
Q
関連で、今後はケアなどを行う部局を作っていこうとお考えですか。
A
局ということになるかは分かりませんが、そういうことを考えていかなければいけないと思います。
Q
普天間基地の移設問題について、国民新党を中心にキャンプシュアブの陸上案が浮上していますが、この陸上案の評価をお聞かせください。また社民党の重野幹事長は、この陸上案には反対で、それ以外の道がなければ5月中の結論を延ばしてもよいのではないかと発言していますが、この発言について総裁の受け止めをお聞かせください。
A
キャンプシュワブの陸上案は、私は専門的に検討したわけではありませんが、海兵隊を運用するにあたり、適切な十分な土地というものが用意できるのか等々の問題が解決されなければなりません。そのことが解決されるものかどうか、私もちょっと具体的に材料は持っていません。ですからアメリカとのいろいろな協議の中で、運用に支障がないかどうか検証されると思いますが、当面言えることは、県外移設ということを、鳩山首相をいはじめ今まで相当言ってこられましたので、そういう観点からすると、公約違反ということが言えると思います。この間の名護市長選挙は、鳩山首相が県外への期待感をあおったということからあのような結論が出たわけですが、そういうことをどのように整理していくのかという問題があると思います。
今の陸上案というわけではありませんが、鳩山首相の発言も随分、ぶれている。閣内の発言も今までいろいろな変転をたどりました。そのことが日米関係をはじめ、日本の国際的な信用を損ねているという面があることは、指摘しておかなければいけないと思います。
Q
期別議員懇談会について、一部出席者からは単なるガス抜きではないか、本当に聞き入れてくれるのかという不安の声がありましたが、このような声にはどのように答えていきますか。
A
こういう話はいろいろなご意見がありますから、正反対の意見もありますから、全部を実行できるというわけでは必ずしもありません。先ほど申し上げましたが、政策面の提言などで生かせるものは生かしていかなければいけませんし、若い人を使えというのもこれから各委員会で法案審議が始まりますが、そういう中ではふるって参加していただきたいと思いますし、とにかく生かせるものは生かしていくということです。
Q
ツイッターについて、以前、谷垣総裁は「ごまめの歯ぎしり」のようだとおっしゃっていましたが、改めてツイッターをどのようにとらえているかお聞かせください。
A
つぶやきというイメージがありましたので、ごまめの歯ぎしりということを申し上げました。つぶやきという何となくそういう音吐朗々発言するイメージとは違いますので、ただ新しいメディアですから、新しい可能性はあるのだろうと思います。それは使われる方はそういうことを大いに利用されたら良いのでは、新しい可能性を探求されたら良いのではないかと思います。
Q
民主党の肩を持つわけではありませんが、政治とカネの問題は確かに由々しき問題だと思います。ただ政権交代前と攻守交代しただけで、国民はその構図に飽き飽きしているのではないかと思います。だからこそ、民主党の支持率が落ちても自民党の支持率に反映されないと思うのですが、ここは、思い切って自民党は企業献金をやめるから、民主党は団体献金をやめてはどうかと言ったら、自民党の支持率が上がるのではないかと思うのですが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A
飽き飽きしているということもあるかも知れません。ただ私は攻守を変えただけだとおっしゃいますが、やはり今の納税時期にもういいじゃないかというわけにはいかないと思います。それと攻守を変えただけとおっしゃいますが、今の自民党の中にゼネコンに電話をしたら5千万円が「ポン」と入ってくるそういう政治家が果たしているのかなと。確かに自民党は、かつてはカネで苦しんだ最も悪しき部分でした。最も悪しき部分の方がそのままカセットのように向こうに行って「かしゃっ」とやっている姿は、私は指摘しておかなければいけないと思います。
企業・団体献金、「おれたちも止めるから、あんたたちも止めろ」と。しかしこの話は、先ほども申し上げましたが、明らかに目をそらすために彼らは言っているわけで、前提条件があります。私は前提条件が片づけば、その協議に応じることはやぶさかではありません。もちろん北教組の資金というのは、違法なもの。だからこそ裏金になっているわけですが、透明性の問題とかいろいろあります。ただ前提問題を果たさないで、これを言うのはちょっと違うなと思っています。
Q
公明党との関係について、政策面で公明党は企業・団体献金の禁止に前向きであったり、高校授業料の無償化で朝鮮学校を対象にすべきだと言っていたりしますが、自民党と政策のかい離が少しずつ出てきているような印象を受けるのですが、今後の政策面での協力関係をどのようにお考えになっていますか。
A
確かに一緒に政権をやっているときも、具体的な政策の調整では難航したこともあったことは事実です。それでそういうことで政権にいると妥協をして、お互いに足して2で割ってということもありましたので、それぞれの主張である意味では鮮明なところが失われたという問題点もあったと思います。ですから、政策面では、おそらく公明党もそのようにお考えだと思いますが、もう少し自分のアイデンティティを主張していこうとなると、政策面での協調はときどき難しい所が出てくるのはやむを得ないと思います。
そういう中で、選挙協力できるかどうかというのは、先ほど申しましたように地域事情もありますので、そういう中で協力できるものは協力をしっかりやっていくということではないかと思います。