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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年2月12日(金)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

今日は予算委員会で集中審議が行われたわけですが、その中で与謝野馨委員から鳩山首相の問題について、鳩山首相の関与を追認させるような重要な質疑がありました。鳩山首相は予算委員会で私が質問したときに、自分の関与が明らかになれば、バッチを外すと答弁をされていまして、今日の質疑を伺うと、鳩山首相側から当然のことながらしっかりと反論される必要があると感じました。鳩山首相ご自身も、母親からも聞いてほしいと答弁されましたが、わが党としては関係者の参考人招致、証人喚問をしっかり求めていきたいということです。
民主党の石川知裕衆院議員が離党されました。この問題については、議員になる以前の問題であり、収支報告書のミスであると、軽微な事件であるというようなことを小沢幹事長もおっしゃっていますが、今回の件は政治資金規正法で刑が確定しますと、公民権の停止、ひいては議員資格の喪失ということも生じ得る事件です。したがって、本件は離党すればそれで済むというような性質ではなくて、わが党は議員辞職勧告決議案をすでに提出していますが、早期の議案の採決を求めていかなければならない。同時に、議員辞職勧告決議案は政治責任の問題ですが、説明責任の問題は依然としてあるので、事実解明のために国会での参考人招致を求めていくということです。これで済ませてしまうということであれば、小沢幹事長への飛び火を恐れて、とかげのしっぽ切りのそしりは免れないと思います。
民主党2人の最高指導者(鳩山首相・小沢幹事長)の周辺秘書5人が逮捕、起訴されている。それに加えて、いわゆる個所付け問題、憲法、財政法の規定がありながら、事前に個所付けを漏えいするというようなことが起こっています。民主党内部から自浄作用がほとんど起こってこない。私は新政権の発足から5カ月も経っていないわけですが、政治の私物化、腐敗という現象が民主党の中で進んでいるのではないかという感を禁じ得ません。
民主党は自ら平成維新とおっしゃり、自分たちの言っていることを革命政権かのように表現されていますが、今までの革命政権、典型的にはボリシェヴィキ政権がそうですが、民意を受けて、革命を徹底したと。そういう権力は、法の支配を受けないということをしばしば言明してきた。民主党にもそういう気分があるのではないか。それゆえに思うがままに振る舞うことがあるのではないかと思っています。権力の行使は、抑制的であるべきだという考え方は、あのような認識の中からは出てこないと指摘せざるを得ないと感じています。

質疑応答

Q
今日の与謝野馨委員の質問で、自民党としては鳩山首相の母親の参考人招致を求めて、鳩山邦夫氏のお話を紹介されましたが、党として経緯を聴取するお考えはありますか。
A
どなたを参考人招致するか、証人喚問を行うかは、与謝野委員が名前を出していますが、どなたを参考人招致して、どなたに証人喚問を求めていくか、これは国対でしっかり仕分けをする作業をしなければならないと思います。
鳩山邦夫議員については、与謝野氏の質問のあと、ご本人もメディアの取材に応じたようですが、いろいろなこと覚悟されてあのような発言をされたのかと思っています。わが党としては、大島幹事長が事情を聞いていますので、必要があればまた聞くということもあるのかも知れません。
Q
本日の午前中、公明党の井上幹事長が個所付け問題についての集中審議を求めたいとの発言をしていますが、自民党としてはどのようにお考えですか。
A
個所付け問題は、単にこの審議の入り方自体は、わが党の中にはいろいろな議論がありました。国の歳出に関しては、国会の議決を得なければならないと、憲法での規定でもあり、財政法の根本でもある。まさにそれに入っていこうとするときに、それを事前に漏えいするような問題が起きている。それはもちろん守秘義務の問題もありますが、それ以前に、やはり憲法とこの予算審議と言いますか、財政支出との関係をどう考えていくのかという基本的な問題がありますから、これは徹底的に解明しなければならない。その点は、公明党のご認識とわが党の認識は共通するところがあると思っています。
Q
先ほどの証人喚問などに関しては、現在、衆院で審議中の来年度予算の採決の前提であるとお考えですか。
A
こういう時期ですから、我々も予算の中身自体は、我々も当然に批判するところがあるわけですが、しかし、そのいつまでもズルズルと予算の成立を遅らせるということは、我々はとりたくありません。しかし、そうは言ってもこれだけ重大な問題であるならば、当然にその前提として解決してもらわないといけない問題がある。今、聞かれたことは、まさにそういう文脈の中で、考えていくと。我々も先ほど国対で何が参考人で、何が証人喚問か整理しなければならないと言いましたが、そういう文脈の中で問題を提起していくということです。
Q
関連で、与党側は2月26日の採決を目指しているようですが。
A
当然、採決をする前になすべきことをしっかりと対応してほしいということです。
Q
与謝野氏によると、鳩山邦夫氏は1年前から2年前に母親から電話で「兄は子分を養うために金がいるというけれど、あなたはいらないのか」と聞かれたと述べています。これまでの鳩山首相の発言とは整合性が取れないと思うのですが、谷垣総裁はどのようにお考えですか。
A
どういうふうに解釈するかは、あのご発言だけではというところもないわけではありませんが、少なくとも今日の質疑、それから今の鳩山邦夫議員の取材での発言をどういう文脈かと考えてみますと、鳩山首相側から母親に何らかの意味での資金の融通を求める行動があったということでしょう。それが本当に鳩山首相が、まったく関知していない中で運ばれたのかどうか。そこのところは、あの質疑でかなり疑問が生じてきたということではないでしょうか。
Q
それを明らかにするために参考人招致、証人喚問を求めるということですか。
A
そうです。
Q
鳩山邦夫氏は、我々の取材に対して、「母親から自分は聞いたことは確かだし、それを与謝野氏との会話で話したことも確かだが、それがイコール、兄が母親に無心したと言っているわけではない」と発言していますが、それがイコールと類推する根拠は何ですか。
A
それは親子の関係の中で、由紀夫さんは、どうも大変お金がかかるようだと。それは、どういうルートで母親のところにいったのかまでは、今日の質疑からははっきり浮かび上がってはこないわけですが、そういうご本人側の事情、鳩山首相側の事情は少なくとも母親はよく承知しておられた。電話の中で邦夫議員にも、そういうところは、あなたは大丈夫なのとお聞きになったということは、これはやはり鳩山由紀夫首相との間でも、そういう発言が、そういう会話が、あるいはあったのではないか。あり得たのではないかというふうに思っても不思議ではないです。
Q
与謝野氏の質疑の中で、鳩山首相が知っていても知っていなくても脱税は脱税だと。総理の資格はないと指摘されましたが、谷垣総裁の認識をお聞かせください。
A
与謝野氏の論理は、もちろん脱税を知っていれば、これは総理の資格はないというのは当然だと思います。これだけ巨額な金額の動きを知らなかったということ自体が、果たして一国をマネージメントする資格があるのかということです。その点については、私も同感です。
Q
谷垣総裁の質問の中で、鳩山首相は、もし知っていればバッチを外すと発言されましたが、今日、それに対して疑義が生じたということは、非常に重大な局面を迎えているという認識ですか。
A
今日、浮かび上がってきたことは、鳩山家と言いますか、親子の間で必要な政治資金についての会話があったのではないかということが、浮かび上がってきています。そうすると、総理としてはそれを払しょくするだけの行動を起こさなければならないのは当然のことだと思います。それがなければ、やはり心証は限りなくクロに近づくということではないでしょうか。
Q
参院選比例代表の候補者の擁立作業について、前衆院議員を擁立しようとの動きも見られますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
それだけの全国の方々に、やはり政治のうえでしっかりと自分の果たすべき使命を持っていることが大事なことではないかと。使命ないし、使命感が大事だと思います。それから例えば、知名度が高い方であって、全国の方からなるほどと理解をしていただける方であれば、それはメリットがあるだろうと思います。
Q
これまで自民党を支持していた業界団体、例えば農政連が民主党側からの候補者擁立を検討したり、自民党1党支持から中立に変える団体がありますが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。また参院選に向けて、業界団体とどのように連携していきますか。
A
今まで我々を支持していただいた、あるいは選挙のときに協力に支持していただいた団体に、そういうところに引き続き支持をお願いすることは当然の行動だと思います。そういう中で、やはり与党と接触を深めた方がメリットがあるという考えもあって、今おっしゃったような現象がないわけではないと思います。やはり私が党大会でしたか、どこかで申し上げたように、要するに選挙のときに政権交代ということになると、1回ごとに自分たちは常に政権側だということをおっしゃることは団体も難しい面があると思います。政策の方向性をしっかり議論していくということになり、そのなかで賛否を決めていくという方向になってくのではないかと思います。