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記者会見

施政方針演説を受けて 谷垣禎一総裁ぶら下がり会見

平成22年1月29日(金)
於:院内第24控室

質疑応答

Q
施政方針演説が終わりました。「いのちを守る政治」と鳩山首相はおっしゃっていましたが、どのような感想をお持ちになりましたか。
A
ずいぶん長い施政方針演説だったと思います。私もどのようなことをおっしゃるのかなとかなり一生懸命聞いたつもりですが、結論から言いますと、今、国民が政治や日本の社会で、どうしてほしな、こうしてほしいなと思っていることと随分すれ違ったことをたくさんおっしゃったという感じがします。だから、私自身も肩透かしを喰った気がしますけれども、ちょっとややきつめに申し上げますと、こういう本当の関心とずれた所の答えがポンと出てくると、皆、失笑するわけですよね。国民の皆さんをシニシズムに誘うような演説ではないかなという感じを持ちました。
Q
総裁もこの後、代表質問に立たれますが、この施政方針演説を受けて、本予算の審議も始まりますが、自民党として、どういったところを突いていきたいとお考えですか。
A
今、私が申し上げたことは、この施政方針演説が、国民が本当に問題にしているところとすれ違っているのではないかと、私自身も受け止めているわけです。国民の関心が唯一政治と金の問題だけというわけではないでしょうが、少なくとも衆議院議員が逮捕されるという事態に対して、どう認識しているのかということが触れられていなかった。
さらに申し上げると、やはり多くの国民が感じているのは、小沢幹事長の秘書が逮捕されたことに対して、今は少し違っているのかもしれませんが、民主党を挙げて対抗していくぞという雰囲気、こういうある意味での法治主義とか世論、国民の民意、衆知をどう結集していくかということに、今の民主党の姿勢は沿っていないのではないか。やや、ここは民主主義、手続きとは離れた世界ではないかという認識が、今日の鳩山首相の演説には、ひとかけらもない。
「いのちを守りたい」という言葉でありましたが、「コンクリートから人へ」とおっしゃるんですね。私が度々申し上げていますように、コンクリートから人への転換というのは、自民党政権時代にある程度やってしまったことで、今G7の中で、日本は一番非社会保障支出の率が低い国である。ですから、日本の財政圧迫要因は、挙げて社会保障経費である。そこの正面からどう取り組むんだというのも、この首相の演説からもひとかけらも感じられない。
例えば、日米安保50周年とおっしゃるけれども、安保の周辺部分をどうしていこうかというお話はあっても、安保の中核部分はどうしていくのかという問題意識はほとんどない。大変失礼ですが、そういうことをずっと感じていました。
最後に、言わなくても良いことを申し上げますと、佐藤春夫の『酒、歌、煙草、また女』という詩があるのですが、その一節を挙げますと、「感傷的でよかったが 今も枯れずに残れりや」というのがありまして、そういうのを思い浮かべながら、今日、本会議場におりました。