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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年1月7日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

今日は平成22年最初の定例記者会見ということですので、年頭にあたって考えたことを申し上げたいと思います。
やはり、今、鳩山新政権のいろいろな政策展開、あるいは政治の展開を見てみますと、やはり眼(まなこ)を大きく開いて将来までを見据えながら、私ども野党としても道を作っていく必要があるという感じを強くしています。将来を考えるときに、やはり手掛かりは過去を振り返ることでして、今年は2010年ですが、今からちょうど50年前、半世紀前、1960(昭和35)年、これはちょうど60年安保の年ですが、それと同時に池田勇人政権が成立しまして、いわゆる所得倍増計画を引っ提げて、日本の高度成長を軌道に乗せたという時代がありました。この資産倍増論は、設備投資が牽引して好循環を作って、あの日本の高度成長を確実なものにした、日本の戦後政治経済史を振り返っても、記念するべき年でもあります。それから50年経って、今やはり同じような眼を大きく開いて遠くを見つめたいろいろな施策、政策展開というものが必要となっているという感を深くいたします。現在、どういうことが必要かなと考えますと、設備投資が牽引して、日本経済を引っ張って行ったということですが、現在必要なのは、おそらくいろいろなところで環境投資だとか、いろいろなことが言われていますが、そういうものや将来を支える人材への投資、言葉を要約して言えば、未来への投資というものを積極的に考えて、成長政策というものを大きく打ち出していくときではないかと思います。縮めて申しますと、バラマキから未来への投資を、というようなことを大胆に構想する時期ではないかということを、年頭に感じたわけです。
今年は参議院選挙の年でもあり、既に日程が具体的に決まりましたが、18日(月)から通常国会が始まります。私どもは、この通常国会でいわゆる3Kと呼ばれている問題、景気、基地の問題、献金の問題、これらの問題を徹底的に議論して、自民党としても骨太の、徹底的な論争をしていかなければならないと思います。そのことが、参議院選挙についても、1番大きな意味を持つのではないかと思います。それと同時に現在進めている参議院選挙の候補の選定、選挙の準備を進めないといけないと、年頭にあたって感じています。昨年政権交代が起こって、政治のプロセスというものが、やや国民から遠いものになっていっているのではないかという感を深くしています。この参議院選挙で、我々は万全の努力をして、もっともっと政治と国民の距離を近づけていく形を作っていかなければならないと感じているところです。以上が新年にあたっての所感です。
2点目に、財務大臣が交代されましたが、私の知る限り予算編成を担当された財務大臣が予算審議を前にして交代されることは、記憶がございません。大変大きな問題であると思います。菅・新財務大臣には、予算編成に自分は直接責任を負っていなかったからよくわからないという答弁が許されるわけではありません。しっかり準備をされて、万全の答弁を国会でなさっていただくように、私どもは要求していきたいと思います。なお、藤井財務大臣の辞任は、健康上の理由ということです。そういうことであれば、万やむを得ないと申し上げなければならないところです。昨今の報道を見てみまして、私の印象は、財務大臣というお立場は、財政規律をきちっと守っていく責任者ですが、財源の手当てがほとんど考えられていないマニフェストの実施、いろいろ混乱が起こった時に、与党の幹事長室が頭越しに飛び出していくような要求、こういうものの狭間で大変心労を深められて、いわば犠牲となられたのではないかという印象を持っているところです。
それからもう1つ、小沢幹事長の資金管理団体の問題について申し上げたいと思います。この問題について、小沢幹事長への事情聴取が近々行われるということが報道されていますが、これは鳩山首相の問題であれ、あるいは小沢幹事長の問題であれ、その説明が得心の行くものであると思っている方はゼロに等しいと申し上げてよろしいと思います。私どもは、この問題を次の国会で徹底的に追及していかなければならないと思いますが、明確な説明責任というものを果たしていただくことを要求していきたいと思います。

質疑応答

Q
冒頭で「バラマキから未来への投資」とおっしゃいましたが、これは参議院選挙でのキャッチフレーズ、自民党の主張の柱にしていくお考えですか。また、環境投資にも言及されましたが、成長戦略について、何か自民党の政策としてまとめるのですか。
A
成長戦略、我々であれば、来年度予算にどのような考えで臨むか等々、政務調査会でまとめていただいているわけです。当然そういうときの考え方の基本というのは、私の申し上げたところになると思います。
(「バラマキから未来への投資」は、)キャッチフレーズとしても使っていただいても結構ですが、中身がそういうものになっていくであろうということです。
Q
谷垣総裁が予算委員会等で質問されるかわかりませんが、財務大臣が代わり、野党として藤井財務大臣と菅・新財務大臣のどちらが攻めやすいとお考えですか。
A
やってみなければわかりませんが、やはり予算編成に直接関与していたのは藤井大臣です。やはり、言ってみれば予算の裏表、強いところも弱いところも、ある程度ご存じである藤井大臣だったら、答弁に立たれるのだろうと思います。もちろん、菅大臣も国家戦略の担当で、大きな視点から予算編成にタッチされたと思いますが、やはり細部にわたるまでと言って良いかわかりませんが、あるいは財政論の全体像をつかんだ上でご議論になるのか未知数です。先程、私は、予算編成に関与していないから、わからないということは許されないと申しました。これは当然のことですが、菅大臣にも全体像をつかんで答弁していただかなければならないということだと思います。
Q
山崎拓元副総裁らの動きについて、70歳定年制という党の内規がクローズアップされていますが、確か昭和58年に制度から制定されてから、ごく少数しか例外が認められて来なかった経緯があります。今回、もし認めるならば、例えば比例候補が少ないとか、どのようなことならば認められるのか、総裁のお考えをお聞かせください。また山崎元副総裁らは、国会召集前に自分たちの去就を決めてくれとの話をしていますが、それまでに結論をお出しになるのでしょうか。
A
今もお話がありましたように、今まで全く例外を認められなかったわけではないのですが、極めて限定的であり、それなりのその時の理由があった。原則を明確にすることは比較的簡単ですが、例外というものを明確にすることは、なかなか難しいのです。今のご質問のように、例外はこの場合であるとお答えする準備は、私にはありませんので、むしろ1つ1つ個別の事情を考えるということです。例外が例外でなくなることはなかなかできない、基本は基本であるということを申し上げなければならないと思います。
通常国会開会前に、去就と言いますか、判断を下してほしいというお話は確かにありましたし、それはそれでもっともなことだと思いますので、国会召集前に結論が出せるように、努めなければならないと思います。
Q
ツイッターについて、総裁はどのようにお考えですか。総裁はツイッターを書くお考えはありますか。
A
こういうものは、好きな方と嫌いな方がいらっしゃいます。私は好きでも嫌いでも、やったことがないのでわかりません。ただ、私は自分の性格として、つぶやきみたいなことを言うのはあまり好きではありません。やはり論旨明快に言いたいと思っていますので、ツイッターはよくわかりませんので、つぶやきみたいなものだというのであれば、これはつぶやきの好きな方にやっていただければ足ることで、(ことわざで言うところの)ごまめの歯ぎしりのようなことをツイッターに乗せる気はありません。
Q
鳩山首相はAmebaでブログを始めましたが、谷垣総裁は始めるつもりはありますか。
A
いろいろなことがありまして、なかなかそういう時間的余裕がないのが実情でして、今のところ具体的に考えていません。
Q
本日、総理経験者に3人お会いされて、そのお三方から、いずれも山崎元副総裁の件についてのお話があったようですが、このお三方の中の話で、この問題での印象深い話と総裁がお感じになったことをお聞かせください。
A
お三方とも若干それぞれのニュアンスをお持ちの発言であったと思いますが、右顧左眄(うこさべん)しないで、自分の信念を貫けということであったと思います。(それに対しては、)そうだなと思いました。
Q
現在、改革クラブと統一会派を組んでいますが、そのメリットについて、総裁のお考えをお聞かせください。また、7月までに合併などはありますか。
A
メリットと言いますか、改革クラブと統一会派を組んだきっかけは、いわゆる暫定税率問題、道路特定財源問題の時に、当時改革クラブの方は民主党にいらっしゃった方が多かったわけですが、その中でもこの問題に関しては我々と協同して下さった方々が、改革クラブをおつくりなさったわけです。そういう経緯を踏まえて、参議院で統一会派を組むということになって、衆議院で統一会派を組んだという経緯です。メリットというよりも、ある問題に関して意見を一緒にして、統一行動をしたということが前提にあるわけです。現時点では、もちろん統一会派を組んでいるわけですが、この問題に関わらず、一緒に行動していこうということでありますが、それをさらに一緒になるということまで、具体的に議論しているわけではありません。
Q
参議院の候補者選定について、片山虎之助元総務大臣も参議院選挙出馬に意欲を示し、執行部とも調整が進んでいるという話をされていましたが、総裁のお考えをお聞かせください。
A
まだ結論が出ているわけではありません。大島幹事長の下で、他の方々も含めて調整していただいている段階です。
Q
どうあるべきだというお考えはありますか。
A
今、調整中ですから、こうあるべきだという考えを申し上げる段階ではないと思います。
Q
先程おっしゃった例外に入るとお考えですか。
A
これは、年齢基準から言えば、例外かもしれません。しかし、いろいろな要素があります。これは片山元総務大臣の場合だけではありません。いろいろな要素を考える必要があるのかもしれない。そこらは、まだ申し上げる段階ではないということです。
Q
本日、島根県連の幹部が党本部にお越しなりましたが、青木幹雄前参院会長の出馬に関していろいろな意見があります。青木前参院会長の出馬について、総裁はどのようにお考えですか。
A
1つだけ申し上げておきたいのは、年齢制限は比例区の問題です。ですから青木前参院会長の場合には、選挙区ですから直接その問題は関係しないということだと思います。
Q
今後の衆院選挙区支部長の選任方針について、総裁のお考えをお聞かせください。
A
いろいろなことがあると思いますが、お願いしているのは、できるだけ各都道府県連、選挙区支部で基本的に考えていただくということだと思いますが、できるだけ公募ないし予備選挙といったような手法を使っていただいて、もちろん公募とか予備選挙を使えば、すべて良い結果が出せるというわけではありません。公募をやる場合にしても、選ぶ方の眼力というのが求められたりすると思いますが、できるだけオープンな手法を使っていただきたいということです。それと同時に、やはりこういうときであっても、自民党から出たい、自民党で政治をやってみたいという方がかなりいらっしゃることも事実ですので、そのあたりをこれらから詰めていきたいと思います。
Q
いつぐらいまでに決めたいとお考えですか。
A
何か4年間解散がないかのごとき議論が今までありました。しかしそんなことではないと思っています。最近、度々申し上げていますが、内閣総辞職ないしは解散に追い込むんだということを申し上げていますが、今の政権の現状、実情からみて、そう遠くないという考え方を持って、衆議院の選挙区支部長も選んでいかないといけないと思います。
Q
党員から不安の声も挙がってくると思いますが。
A
具体的に選定のプロセスを始めたところもありますので、やがてこれは今はどちらかというと、党大会前、参院の比例等々に勢力がいっていますが、その後、衆院についても急いで取り組まないといけないと思っています。
Q
JALの再建の問題で、企業再建機構が法的整理をする方向で動いているようですが、この手法の是非について、総裁の受け止めをお聞かせください。
A
個別企業のいわば再建というか、破たん処理と言っていいのか、法的処置ということになると思いますが、問題は、実情がもう少し分からないと的確なことをなかなか言いにくいんです。私もかつて金融再生委員長をしたり、産業再生機構を担当しまして、企業の再生とか破たん処理を見てきましたし、責任者の1人としてやりましたが、中身が分からないとなかなか的確なことは言えない。
ひとつは、法的処理をするということは、ある意味では透明なプロセスという面があろうかと思います。しかし、法的処理を透明なプロセスではありますが、一方、透明なプロセスにともなうコストもあると思います。1番は、国民の空の足が奪われてしまう、うまく機能しなくなるということもいけないのでしょう。残念ながら私どもは、まだJALの現状について十分な情報を持っていませんので、これは国会で十分な情報を求めて議論していかなければならないと思います。
率直に申し上げると、政府におかれましても政権交代してから、JALをどういう方向に持っていくかについては、相当、迷走、上品に言うと紆余曲折を経ながらやっていると思います。私どもが問いたいことはたくさんあります。やはり国会で相当議論しないといけないと思っています。
Q
川崎国対委員長が、通常国会において鳩山首相の母親など何人かを参考人招致する考えを示していますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
先ほども申し上げましたが、政治と金の問題、特に鳩山首相と小沢幹事長の問題は、徹底的に国会で議論しないといけないと思います。どなたを証人、参考人として来ていただくかということについては、川崎国対委員長を中心に計画を立てると思いますので、基本的には川崎国対委員長にお任せをいたします。
やはり事柄が単に政治資金の問題、単にと言ってはいけませんが、政治資金の問題でもありますが、あれだけの使途がどこに行ったのかという大きな問題ですが、もうひとつは一種の相続対策ではないかという疑惑を国民が持っている。もうじき確定申告の時期が来ますが、やはりこういう問題に対して、きちんとした説明がなければ、解明がなければ、なかなか国民の納税意欲というものに水を差してしますと思います。これは第一義的に与党、あるいは当事者が説明責任を果たすべきものですが、野党としてもそのことを国民のために解明していくぞという気迫を失ったら、野党の存在意義はないというつもりでやりたいと思います。