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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員会後)

平成28年5月30日(月)17:44~18:04
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日の役員会ですが、安倍総裁からは、先週の伊勢志摩サミットは、伊勢神宮からスタートした。荘厳で凛とした空気を共有し、全ての首脳から「感動的だった」など称賛の声が寄せられ、2000年に及ぶ悠久の歴史、わが国の伝統・文化を改めて大変誇らしく感じた。とてもリラックスしたなかで、世界経済、テロ・難民の問題、海洋安全保障と法の支配、北朝鮮はじめ地域情勢など広範なテーマについて、相当突っ込んだ意見交換を行うことができた。G7が結束して、明確かつ力強いメッセージを世界に発信することができた。
最大のテーマであった世界経済について、私が、「リーマンショック前の状況に似ている」との認識を示した、との報道があるが、まったくの誤りである。私から、中国など新興国の経済を巡るいくつかの重要な指標でリーマンショック以来の落ち込みを見せているという事実を説明した。これは、世界経済が「成長のエンジン」を失いかねないということであり、この状況を放置すれば大きなリスクがあるとの認識で、G7は完全に一致した。その上で、G7として新たな危機に陥ることを回避するため、適時に全ての政策対応を行うことを合意した。日本は、議長国としてこの合意に従い、率先して世界経済の成長に貢献する。G7は、世界経済が危機に陥るリスクに立ち向かうため、あらゆる政策を総動員する「新しい責任」を負った。日本もアベノミクスのエンジンを最大限にふかす、そういう決意を世界に発信した。
そのなかで、消費税率10%への引上げについて、2年半延期したいと考えている。新興国経済の落ち込みは、長期化することも懸念される。世界経済の不透明感が増すなかで、日本を再びデフレのトレンドに戻すわけにいかない。そのためには、できる限り長い延期が望まれる。他方、経済再生と財政再建を同時に達成するとの方針に変わりなく、ギリギリのタイミングとして2019年10月まで延期する考えに至った。近日中に会見を開き、私から国民の皆様に直接ご説明する考えである。役員には、ご理解いただき、党内とりまとめに協力よろしくお願いする。世界経済のリスクに立ち向かい、党一丸となって、経済の再生、デフレ脱却に向けた、国民への責任を毅然と果たす。その決意を持って、来たる戦いに臨みたい。
それから、オバマ大統領と、被爆地・広島を訪問した。米国のリーダーとして初めて被爆の実相に触れ、「核兵器のない世界」への決意を新たにする歴史的な訪問になった。核兵器を使用した唯一の国のオバマ大統領の心のこもったスピーチの後、被爆者の方々と握手、抱擁を交わす姿は、本当に感動的だった。戦後70年、日米同盟の絆をここまですることができた。日米同盟を希望の同盟としていかなくてはならない。民進党や共産党は、この日米の絆を破壊する、平和安全法制を廃止するという主張を繰り返しているが、自民党には大きな責任がある。その重みを改めて噛みしめ、来たるべき選挙では、党一丸となって勝利を勝ち取りたい。
高村副総裁からは、サミット大成功お疲れ様でした。参議院選挙に向けて意見をしっかりすり合わせていきたいということでした。
私(谷垣幹事長)からは、サミット、オバマ米大統領の広島訪問、ともに成功裡に終えることができて、国民からも高い評価をいただいている。安倍総理はじめ政府関係者のご努力に心から敬意を表する。また、サミットを踏まえて、消費税の引き上げについて、総理より2年半の再延期の意向が表明された。安倍総理ご自身も今、取りまとめのためにご努力をいただいているが、いずれにせよ最後は党が一致結束して参議院選挙に臨む態勢を築いていくことが重要で、各位のご協力をよろしくお願いする。それから、1月4日から開会した通常国会も、明後日6月1日(水)で会期末となる。この間、平成28年度予算と2つの補正予算の成立、衆院選挙制度関連等の重要法案の成立にご尽力いただき感謝申し上げる。また、今国会は延長しないということで、「総裁よろしいですね」と申し上げたら「結構です」ということでありました。その通り、今国会は延長しないこととしたいので、各位のご了解をよろしくお願いする。それから、明日は、内閣不信任決議案が提出される見込みだが、内閣支持率が高いなかでの、民意と矛盾した野党の行動に対して、粛々と否決をしていきたいのでよろしくということを申しました。
佐藤国対委員長からは、野党党首会談で内閣不信任案提出を決めたという報道があった。野党の動向を見て対応したい。最後まで緊張感を持ってやっていきたいというお話でした。
吉田参議院国対委員長からは、委員会日程、細心の注意を払ってやっていきたいということでした。
溝手参議院議員会長、広島お疲れ様でした。大変ありがとうございました。数少ない被ばく手帳を持っている議員として御礼を申し上げるというようなご趣旨でした。
伊達参議院幹事長からは、サミット、広島お疲れ様でした。参議院選挙しっかりやっていきたいということでした。
茂木選対委員長からは、沖縄県議選しっかりやっていきたい。参議院選挙も一丸となってやっていきたいということと、参議院選挙の取り組み状況についてご報告がありました。
稲田政務調査会長からは、明日午後、政調全体会議でG7サミットの報告を受けるということでした。
二階総務会長からは、国会や選挙戦前の区切りのなかで、参議院選挙の公認あるいは復党等の問題について速やかに扱っていくべきであるというご発言がありました。

以上です。

質疑応答

question
NHKの瀧川です。消費税増税の延期について、安倍総理の意向を受けて党としてはどういう対応を取っていくお考えですか。
answer
明日、政調全体会議を開いてサミットの報告を受けるということになっておりますが、その席でサミットのことも含めて、サミットの報告等ということでございますので、そういった議論が出てくると思います。そこでいろいろな議論を出していただくということだと思います。
question
NHKの瀧川です。安倍総理は早い時期に会見をして国民に直接説明したいという方針を示されましたが、党としての議論は明日で集約、あるいは幹事長に一任など、そういうイメージですか。
answer
一任というか、これは最終的には法律を出さなければならないわけで、法律で総務会などいろいろな議論があると思うのです。現在の段階で、そこまで詰めた、中身についても、おおむねの方向はあると思うのですが、そんな細かな議論をするわけではありませんので、明日、議論をしてどういう議論が出てくるかですね。そういうことだろうと思います。
question
NHKの瀧川です。党内には先送りに関して賛否両論あると思います。幹事長としてもかねてからご自身の意見を持っていたと思いますが。
answer
両方の意見があるということは、私も富山で「進むも地獄、退くも地獄」ということを申し上げましたが、例えば先ほど申し上げたような後進国のリスクというのもある、ないわけではないと思いますね。それから、これは必ずしも経済が失敗しているというわけではないのですが、ある意味で個人消費というようなものがなかなか伸びていかないということもあります。それをやった場合に、それが今のような危惧が全部払拭できるかと言えば、危惧はあるのですね。ではやらなかったらどうなるかということになると、これはもう前々からの議論のようにいろいろな議論があるわけです。ですから、どちらが絶対的に正しいというような議論ではないのだろうと私自身は思っています。だからどちらか決断しなければならないということだろうと思います。
question
NHKの瀧川です。先送りをした場合、解散をするべきだという声が麻生副総理をはじめ党内幹部からあるのですが、これについて本日、安倍総理からお話があったのでしょうか。
answer
ありません。解散の話は、それぞれ意見はあります。しかし解散するかどうかは総理がお決めになることですね。それからまた逆に、解散するという判断はあると思うのです。そのときは当然、表に出されるわけですよね。紫の袱紗が出てくるわけです。ところが解散しないというようなことを表明されるということは多分ないのではないかと私は思いますね。
question
東京新聞の木谷です。公明党の山口代表は安倍総理と会談した後、「自民党とも必要であれば相談したい」と発言されましたが、与党協議を設ける考えはおありですか。
answer
特に今のところは考えておりません。
question
東京新聞の木谷です。二階総務会長が派閥の会合で、「安倍総理から衆参同日選はやらないと聞いた」と述べられましたが、こうした方針は幹事長にも伝えられているのでしょうか。
answer
だから先ほど申し上げたことで、ないというようなことを総理大臣が言うことはあり得ないと思います。やるときにやるとおっしゃるのですね。あとはそれぞれ解散権のないものは「やるべきだ」「やらざるべきだ」という議論はありますよ。しかし、責任者はやらないという判断をしたということはあり得ないと思います。この問題はそういう問題、いろいろな人がいろいろな議論をしますが、最終的にはそういう問題だと思います。
question
時事通信の越後です。増税を2年半延期したいとのことですが、2年半後には総裁任期が切れてしまっていて、これについて無責任という批判の声もあるのですが、いかがですか。
answer
いろいろな議論があり得ると思いますね。それは無責任だということを言う方もあるかもしれません。だから、そのように政治的に見ればいろいろな言い方があると思います。もう一つの問題は、政治的に見ることも私は不必要だとは言いませんが、もう一つは経済情勢をどう見ていくかという問題があると思うので、一つだけで判断するわけにはなかなかいかないという問題ではないかと思います。
question
時事通信の越後です。安倍総理の説明のなかには、不足する財源や社会保障政策についてどのような財源を基にして行うなどありましたか。
answer
それは、私もある程度アイディアみたいなものは考えていないわけではないですが、それはもう少しやはり財務省なり何なりで詰めてもらう必要があって、今まだそこまで十分ブラッシュアップされていない段階で、まだ私のようなアバウトな者の口から軽々に申し上げるのは控えたいと思います。
question
時事通信の越後です。詰めていく作業というのは参議院選挙前に行うということですか。
answer
ある程度は出てくるのではないかと思いますが、まだその作業日程等々については十分承知しておりません。
question
共同通信の小笠原です。先ほど幹事長は「どちらが絶対的に正しいというような議論ではないが、どちらか決断しなければならない」とおっしゃいました。
answer
どちらもメリットデメリットがあることは事実だと思いますね。
question
共同通信の小笠原です。幹事長としては安倍総理の方針を容認して、党内をこれからまとめていくというお考えだということでよろしいですか。
answer
先ほど申しましたように、安倍総理ご自身で今、取りまとめの努力もされております。私の仕事は、政策面の判断も国民にお約束したことですし、三党合意で私も当事者であったから、私に責任がないとは言いませんが、どちらかと言うと政策判断は政府がまずやっていただかなければいけないので、私はそれをどうあと党内をまとめていくかというのが主たる私の仕事なのですね。もちろん幹事長としてそういうどの方向でまとめていくかということについて責任を逃げるつもりはありません。しかし私の主たる仕事は党内をまとめて参議院選挙のときにバラバラにならないようにしていくということが当面、私の仕事です。
question
朝日新聞の笹川です。幹事長は三党合意の当事者であり、財務大臣も三年間務め、昨年の軽減税率でも仕組み作りで中心的な役割を果たした。その立場からして今回の決定を率直にどのようにお感じになられているのか。
answer
率直に言うと、「進むも地獄。退くも地獄」だと思っています。なかなかどっちも難しいのですよ。今までは皆さんに「決めたことだから」と言っていました。決めたことだけど、決めたことだから楽にできるというものではありません。いずれにせよ現実の判断は、前へGOと言ったら前へGOが100%良いということは現実にはなかなかなくて、どっちの方が多少良いかということですから、これは評価が違うと思います。
question
日本テレビの加藤です。2年半の延長の幅ですが、政治的判断と経済情勢の判断とおっしゃいました。意味するところは、東京オリンピックというのも時期としてあるのでしょうか。
answer
一つはそれがあるのだろうと思います。まだその議論は十分していませんし、あまり意見の開陳も十分に聞いているわけではありませんけれども、私も景気判断等の専門家ではありませんから、あまり軽薄なことを言ってはいけませんが、やはりオリンピックに向かっていく過程は上昇していく過程であろう、今までの日本の例、諸外国の例を見てもそうだろうと思います。
question
毎日新聞の高橋です。前回の衆議院選挙の時に、自民党として必ず消費税を上げるということで戦ったわけでしたが、上げられる経済状況にならなかったことに対して、どう説明されますか。
answer
これはおそらくこの記者会見で安倍総理から明快な説明があると思います。私からもお願いしておきました。やはり、先ほど申し上げたことのなかにちょっとありますが、新興国の不安要因というのがあると思います。
question
ジャパンタイムズの吉田です。今日の役員会では安倍総理からの2年半延期したいということに特に異論はなくて、役員会としては、明日以降の党の手続きに任せるという理解でよろしいでしょうか。
answer
任すというか、そこで議論していくということですね。
question
ジャパンタイムズの吉田です。特に異論はなくてそちらの方で。
answer
今日の段階で、特に異論というのはなかったと思います。
question
産経新聞の豊田です。週末の各社の世論調査で、内閣支持率と政党支持率が軒並み大きく上昇しています。この結果についてどう見ていますか。
answer
いくつか要因があると思いますが、やはりサミットとオバマ大統領が広島訪問をされたという外交面での成果の評価ではないかと思います。まだ詳しく分析してはいませんが、そういうことだろうと思います。
question
産経新聞の豊田です。一方で、消費増税の再延期については肯定的な結果が多かったと思いますが、参議院選挙の戦い方にどう影響があるとお考えですか。
answer
これは難しいのです。いつの時点でも、景気が良かろうと「増税することに賛成ですか」と聞くと、賛成が圧倒的に多いというのはなかなか考えにくいことと思いますね。ですからその数字の評価は難しいですね。
question
日本経済新聞の竹内です。一億総活躍プラン等に盛り込まれている政策については、消費増税が仮に延期になっても実施していくべきというお考えですか。
answer
お約束したことがいろいろありますね。だから財源はどうしていくかというご質問の中でお答えしたつもりですけど、私の頭の中にもそういう場合にはこういうものを使うのだろうなという、ある意味での想定がないわけではない。しかし今精査していないなかで、軽々に申し上げるのは控えておこうということです。
question
NHKの瀧川です。役員会の前に安倍総理とお二人で会われていましたが、これは何だったのでしょうか。
answer
これは二人の話ですから申し上げるのは控えます。