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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員会後)

平成28年4月25日(月) 17:46~18:12
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日の役員会ですが、安倍総裁からは、23日(土)に熊本の被災現場と避難所に伺って、被害の甚大さと、多くの方が、避難生活が長引くなか精神的にも体力的にも厳しい状況に置かれているという現実を改めて実感した。それから、現在のインフラ復旧の状況などについてご説明がありまして、今後は公共施設の再建、農林水産、中小企業の復興など、復旧復興に向けた動きも本格化する。今後も先手先手で一層機動的な対応を進めるため今年度、補正予算等を編成し、今国会での成立を期す考えであるのでよろしくお願いする。被災されたすべての皆さんが復興を成し遂げるその日まで、政府・与党一丸となって「できることはすべてやる」、その決意で臨みたい。それから、北海道5区補選は、「自公対民共」の一騎打ちで経済政策や安保政策が大きな争点となるなかで、これまでの実績などを有権者に評価いただいて大きな勝利を得た。「勝って兜の緒を締めよ」、国民の声に謙虚に耳を傾けながら身を引き締めて政権運営にあたると同時に、政府・与党力を合わせて山積する課題に取り組んでいきたい。また、京都3区は今回、有権者に選択肢をお示しできず、投票率も戦後最低となった。政権与党の責任を大きく自覚して、一層襟を正しながら国民の負託に応えていかななければならないという趣旨でございました。
高村副総裁からは、熊本・大分の地震は、補正予算を含めてしっかりやっていきたい。それから、北海道5区補選の勝利を参議院選挙につなげていきたいということでした。
私(谷垣幹事長)からは、熊本地震は、安倍総理も視察されて、本日、激甚災害指定の閣議決定もされる等々、政府には全力で対応していただいている。党も連日、対策本部会議を開いたり、本日も熊本県連、あるいは熊本県議会、熊本県、それから全国町村議長会等々からも要望を伺ったところである。また昨日、安倍総理から補正予算編成と今国会での成立の指示があったので、野党への協力も呼びかけてしっかり対応したい。それから、政府においては、引き続き行方不明者の捜索に全力を挙げていただくと同時に、与党も協力して被災者に寄り添った支援に取り組んでいきたい。また、国会は、TPP関連法案については、当初は連休前、参院に送付しようということで審議を進めていたが、難しい状況となったので、継続審議ということで次期国会での成立を目指したい。ついては明日、この点と補正予算の協力を併せて野党によくご理解をいただく動きをしたいと思っております。与野党幹事長・書記局長会談、それからさらに党首会談も視野に入れて、国対で今、調整をしていただいている。それから、北海道5区補選について、大接戦の末、勝利を収めることができたわけですが、候補者や地元関係者のご努力はもとより、公明党あるいは新党大地、党所属議員のご協力など、総力を結集した結果でありまして、心より御礼申し上げるということを申しました。勝利に驕ることなく、兜の緒を締めて、今回の結果をよく分析しながら参議院選挙に向けた対応を進めたいと申しました。
佐藤国対委員長からは、民進党との国対委員長会談について、補正予算の協力要請をした。それから、TPP法案は与党として継続審議とすることを決定した。明日、各党に伝えたい。また、本会議日程についてお話がありました。
吉田参議院国対委員長からは、本会議日程についてのご報告がありました。
溝手参議院議員会長からは、地震被害大変だがしっかりやっていきたいというご発言がありました。
伊達参議院幹事長からは、北海道5区補選の御礼がありました。
茂木選対委員長からは、北海道5区補選の御礼と、参議院選挙の届け出政党の名称を「自由民主党」、略称を「自民党」として提出するということです。
稲田政務調査会長からは、補正予算を組むという安倍総理の指示を受けて、しっかり対応していきたい。それから、参議院選挙の公約づくりもしっかりやっていきたいということでした。
二階総務会長からは、北海道5区補選について、勝利お疲れ様でしたということでした。

以上です。

質疑応答

question
朝日新聞の笹川です。北海道5区補選について、結果を見ると与野党ともに従来の支持層をきっちり固めたということだと思いますが、それに加えて今後、無党派層をどう取り込むかということが課題になってくると思います。その点について、参議院選挙に向けて幹事長のお考えがあればお願いいたします。
answer
やはり与党はやるべきことをしっかりやっている、個別の「こういうことをやらない」「こういうことをやる」というよりも、政治が向かっていく全体的な方向、様々な政策分野をバランスよく提示して理解を得ていくということが一番基本ではないかと思います。加えて、今回の選挙の過程などを見ますと、先ほど安倍総理も「勝って兜の緒を締めよ」ということでございますが、やはり謙虚に国民の声に耳を傾けていく。我々も脇を締めて腰をしっかり落として進んでいくということが何よりも大事ではないか。これは別に無党派対策というだけではありませんが、全てにわたってわが党が参議院選挙に臨むにはそういう心構えが必要ではないかと思います。
question
朝日新聞の笹川です。「自公対民共」という構図を今回は前面に押し出して選挙戦を展開したと思いますが、これが無党派層の支持を得られるものだとお考えでしょうか。
answer
「自公対民共」というのは人によって用語の好みというのがありますから、私は人民戦線的発想とか、これも歳のせいだと思いますが、そういう表現をいたしております。私のそういう対応に対する考え方は今までも何度も申しあげておりますが、やはり与党の立場から見ますと、政策の方向というのは総合的なものを示さなければ本当の判断はできないだろうと思います。ただ、人民戦線的発想に立ちますと、総合的な政策というのは恐らく提示できないのではないかと思うのです。つまり、いろいろな会派が一致することしかできないということで、ややもするとピンポイント的な論点・争点の提示ということですね。私の政治に対する考え方からすると、やはり物事をトータルに捉えて、このように日本を持っていくのだという主張の方が究極的には国民の支持を得るだろうと、私はその点は固く信じております。ただ、先ほど「謙虚でなければいけない」というのは、「自民党感じ悪いね」とか「この頃そっくり返っているね」とか、それから例えば今度の災害のような対応があまりにももたついているではないか、というようなことになれば、ピンポイント的な批判が非常に功を奏してくるということがあるわけです。やはり政権がきちんと腰を落として謙虚にトータルに日本の進むべき方向を見据えているなということであれば、ピンポイント的な政治主張に負けるはずがないというのが私の考え方でございます。
question
共同通信の小笠原です。参議院選挙について、「勝って兜の緒を締めよ」などご発言をご紹介いただきましたが、総裁や幹事長など党幹部が注意を促していても議員の発言が再三相次いだ経緯があったと思いますが、今後、参議院選挙に向けてどう党を引き締めていくお考えですか。
answer
これはやはりそれぞれの方のものの考え方というのもあります。問題発言をするからといってものの考え方が全部間違っているわけではない場合もありますね。要するに自分の発言がどういう効果を持つか、どのように受け取られるかということに対する感受性のあるなしというのはあると思いますし、やはり歯に衣着せず、多少誤解を受けても歯に衣着せず自分の思っていることを言うというのも全部間違っているわけではないと思います。ただ、やはり政権政党というのは問題提起をすればいいとかケンカを売ればいいというわけのものではありません。やはり曲がりなりにも人心が安定して収まっている状況をつくるというのが与党ですから、そういう目的から見て、無神経な発言に対しては、一朝一夕に治るような、つけるような薬があればすぐにでも買ってきてつけたいと思いますが、やはり長い目で見ると、そういう自分の発言の意味合いを十分考えない発言をする方は、大事なところ、表舞台には、なかなかお使いするというのは、その人に出てもらうというのは難しいですね。やはりそういうことを通じて、教育の最終的にはそういうことがあるわけです。そういうことしかないのですね。
question
共同通信の小笠原です。今月、幹事長が仙台で講演されたとき、「何を言うか分からないと適切な仕事を与えられなくて、不適切な行動に対して人事をやっていくということがあろうかと思っている」とお話されていました。
answer
それもあまり「この発言をしたからすぐこう」と短絡的に結びつけるのはよくないので、やはりいろいろなときにこの人は全体にいろいろなことを思慮深く考えてバランスの取れた対応をできる人だな、言葉だけではありません、バランスの取れた判断ができる人だなというのは、やはり大事なところで使っていかなければいけませんし、そうでない人を大事なところに使えば使った方もやけどをするということだろうと思います。
question
時事通信の越後です。本日の自公幹事長・国対委員長会談で、TPPの今国会見送りが決まったわけですが、その理由についてと、明日、与野党幹事長・書記局長会談がありますが、今後の国会運営について野党側にどのようなことを求めていくお考えですか。
answer
非常にTPPというのは大事で、見送りとおっしゃいましたが、要するに今国会中、例えば乱暴な手段を労して今国会中に必ず仕上げようということにはいかないね、ということです。ですから、「見送りだ」「ではもう何もしないで寝ているのだな」というわけではありません。やはりきちんと議論して、理解をしていただくということはやっていかなければならないと思います。
question
時事通信の越後です。明日、与野党幹事長・書記局長会談で野党側にどのようなことを求めていくのですか。
answer
これは非常に大事なことだから、臨時国会ではきちっとやはり結論を出すことにご協力をいただきたいということを申し上げたいと思います。
question
北海道新聞の徳永です。北海道5区補選について、今回、新党大地と連携しましたが、連携によってどのような影響があったのか、また今後も同じような協力関係を続けていくのかについてお願いいたします。
answer
その辺はこれからよく分析をしませんと、まだ昨日の開票のときもかなり予想と違ったなどいろいろなことがありましたので、よく今後、分析をする必要がありますので、まだ今、そこまで言うだけの判断力は、私はないのです。今後についても、全部同じような形を取るのかどうか、その辺りは北海道連でどう考えるかということもあるでしょうしね。その辺はいろいろ相談に乗りながら決めていきたいと思います。
question
産経新聞の住です。産経新聞の世論調査についてお伺いします。参議院選で憲法改正は重要な争点になるかという問いに対して「思う」は6割を超えて、「思わない」は3割超えという状況です。憲法改正の是非は、賛成・反対はいずれも45.5%でおおむね同じです。改憲勢力の3分の2以上の議席確保について「よいと思う」のは48%で、「思わない」よりも多くなっています。今の憲法で平和と安全が守れるかという問いに対して「思わない」という声が5割を超えて「思う」より多くなっています。これらを見たときに憲法改正の機運が高まってきているように思えるのですが、幹事長の考えをお願いいたします。
answer
憲法改正についての考え方は、憲法を改正せよという方もあり、いやいや改正すべきでないという方もいらっしゃるわけですね。改正すべきという考え方であるという考え方も多様だと思います。元々自主憲法の制定と言っておりましたのは、わが党が自主憲法の制定と唱えておりましたのは、その背景にはやはりマッカーサーの占領下で一番の根本法典を国会がつくったということにやはり問題があるのではないかという認識があったと思います。現在でもそういう認識の意味はなくなったわけではないと思いますが、他方、憲法制定以来、もう70年を経過しているわけですので、やはりここは憲法をいささか使いにくくなっているなとか、あるいは現実と合わなくなっているのではないかというところが出てきているのも事実だろうと思います。憲法改正でもこの2つのどちらの立場に立つか、その2つの立場がまた矛盾するわけでもないのですが、どちらの面を強調するかによって考え方はずいぶん開いてくるだろうと思います。
これは別に党の考え方というわけでも必ずしもないのですが、私の考え方は、憲法改正は、日本の憲法の硬性度合いというのは各国憲法のなかでも極めて硬性度が高いものだと言われております。つまり、改正はなかなか簡単でない形の憲法になっている。加えて、今の憲法、日本国憲法だけではなく、その前の大日本帝国憲法のときから通観しても、憲法改正というのは、大日本帝国憲法の改正条項で今の憲法をつくったということをどう見るのかというのを除きますと、一回も経験がないのですね。つまり私は、憲法改正に関しては日本の政治は初心者であると思っています。ではやはり憲法改正が必要だといってやってみたら、国民投票にかけてみたら失敗したということになりますと、なかなかこれは時間が経って相当問題のある条項もある、しかし失敗した、というとなかなか次が難しくなるので、私は最初は、その点は、慎重にというか、つまり必ずできるということをまず考えるべきではないかと思っています。つまりそう考えますと、少なくとも野党第一党を巻き込んだようなことから始めていくというのが、やはり憲法というのは根本法典ですから、本当に難しい状況になれば、反対がたくさんあってもこういう憲法をつくらなければならないという必要が生じてくる場合もないとは思わないのですが、一番最初にやるのは、やはり野党第一党等の理解を経ながらやるというのが、私は現実的というか、そういう道なのではないかと、これは私のどちらかというと個人の考えです。
question
産経新聞の住です。政党支持率ですが、自民党は39%で前回から上昇しています。民進党は5.5%減の7.3%となっていて、前々回の調査でも民主党と維新の党を個別に聞いた形でも合流によって拡大ではなく支持が離れているのではないかと思います。その辺りのお考えをお願いいたします。
answer
これもこの場で何回か申し上げていると思いますが、結局、四半世紀前に、政権交代可能な政治体制をつくろうということで、今の選挙制度の基本ができました。その政権交代可能な政治体制というのに賛成した人も反対した人もいます。自民党としては政権交代可能な政治体制というのは、あまり嬉しいスローガンではなかったことも事実です。しかし、長い目で見れば、政権交代というのは、やはり避けて通れないものだろうと思うのです。実は、小選挙区を中心にした制度をつくる背景には二大政党的な考え方があったと思いますが、それが一体何なのだというのは、試行錯誤を繰り返して、ようやく多くの国民が自民党に替わり得る政党はこの党ではないかということで、その党が政権を取ったのが2009年の鳩山政権だったと思います。それが3年3か月で、民主党自体はいわば、こういう表現はやや民主党に失礼かもしれませんが、四分五裂した原因はどこにあったかと言われると、自民党に取って替わろうという意味では、あの党は皆団結していたと思いますが、自民党に替わったとき何をやるのかという政治的アイデンティティーは極めて脆弱であったと。だから、政権を3年3か月やったら最後はバラバラになったのだというのが私の見立てです。しかし、長々と言ってもいけませんが、小選挙区を中心とした制度では、バラバラであっては時の与党になかなかかなわないので、何とかその野党再編というものを考えるのは、むしろ当たり前のことだと思います。私はそのときに、岡田民進党代表は、何を野党再編の理念として掲げて、どういう政党を野党第一党としてつくっていこうとされているのかというのはずっと関心を持ってきました。つまり、先ほどのような、結局のところ、最後は、何をやろうかというアイデンティディーがなくてバラバラになったという歴史を見ておりますと、やはりそこをしっかりしなければ、野党としての、野党第一党としての責務は果たせないのではないかという目で見ていたのです。今回、民進党という党をつくられて、どういう性格の党として打ち出されているのかよく分かりませんが、その一番最初の選挙が共産党と組むということになると、なぜ政権交代可能な政治となったら、冷戦が終わったということが前提にあるのは間違いないと思いますが、共産党が共産党綱領を全部改められた、共産党という名前も全部やめることにした、とおっしゃるなら、それは分からないでもないですね。しかしそうでないとすると、それは、「民進党さん、共産党と組むのか。アイデンティテーって何なのだろな」という声が出るのは当たり前だろうと思います。ですから、今おっしゃった数字は、これは人によって見方はいろいろであろうと思いますが、私の見立ては、やはりそういうところの弱さがその数字に表れているのではないか、というのが私の見立てでございます。
question
朝日新聞の笹川です。北海道5区補選が始まった当初は、この結果が安倍総理の衆参同日選に踏み切るかどうかの判断材料になるという見方が党内で強くて、それは衆参同日選と消費税増税の再延期の判断と絡むと言われていました。ただ、選挙中に熊本地震が起きて、衆参同日選はかなり難しいという雰囲気が広まっています。それに加えて、消費税増税の再延期についても、衆議院解散をしなくてもできるのではないかという声が与党内の一部から挙がっているのですが、こういう声は与党内の大勢を占めるものになりつつあると幹事長はお考えでしょうか。
answer
そもそも当初の見立てからして、私は、別にそんな見立てをしていませんので。そういう見立てをしていた方はいらっしゃるだろうと思いますが、何とお答えをしていいのか、答えに苦しむというのが私の立場です。