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記者会見

軽減税率に関する自公幹事長協議をうけて 谷垣幹事長会見

平成27年12月12日(土)17:44~18:04
於:ザ・キャピトルH東急2F「橘」

冒頭発言

【谷垣禎一幹事長発言】

本日、軽減税率制度の大枠案を自公で合意いたしました。今から合意内容を申し上げたいと存じます。1、平成29年4月1日に消費税の軽減税率制度を導入する。2、飲食料品にかかる軽減税率の対象品目は以下のものとし、適用税率は8%(国・地方合計)とする。そのうえで、食品表示基準に規定する生鮮食品及び加工食品(酒類及び外食を除く)。3、軽減税率制度の導入にあたっては、財政健全化目標を堅持し、安定的な恒久財源を確保することについて、自民党・公明党両党で責任を持って対応する。このため、平成28年度税制改正法案において以下の旨を規定する。まず(1)として、平成28(2016)年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保する。(2)、財政健全化目標との関係や平成30(2018)年度の「経済・財政再生計画」の中間評価を踏まえつつ、消費税制度を含む税制の構造改革や社会保障制度改革等の歳入及び歳出の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずる。4、平成33年4月にインボイス制度を導入する。それまでの間は、簡素な方法とする。5、軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう、政府・与党が一体となって万全の準備を進める。このため、政府・与党に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に応じて、軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる。平成28年度税制改正法案において上記の旨を規定する。以上でございます。
まず私の方から若干、今までの井上公明党幹事長との協議について若干の点を申し上げます。主な論点は、3つであったと思います。まず第一に、消費税の軽減税率制度の低所得者対策としてのあるべき姿をどう考えるかというのがまず非常に大きな議論でございました。それから第二に、平成29年4月導入としたときに何ができるのかということであります。それから第三に、安定的な恒久財源をどのように確保するのかということでございました。一番大きな議論になりました「対象品目は何にするのか」という点については、低所得者対策としてのあるべき姿や平成29年4月に導入できるのは何か、こういう観点から議論をしたわけでございます。一つは、収入の水準にかかわらず加工食品が広く購入されている実態、それから消費者にとって分かりやすく、また代替性・類似性のあるものを同じように取り扱う制度でないと分かりにくくなるという観点、それから外食は逆進性が小さくて、外食に対する高額な支出を対象とすることは適切なのか、不適切ではないのか、というようなことを踏まえますと、飲食料品については、対象品目は可能な限り幅広く「酒類及び外食を除く飲食料品」とすることが望ましくて、これを平成29年4月に混乱なく導入できるよう政府・与党一体となって万全の準備を進めていく、こういう議論をしたわけであります。それから他方、この所要財源は約1兆円程度ということが見込まれるわけでありますが、平成32(2020)年度にプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標を堅持して、自公両党で責任を持って安定的な恒久財源を確保する。具体的には、来年度末までに安定的な恒久財源を確保することとして、そのうえで財政健全化目標の達成に向けて「経済・財政再生計画」の中間評価を踏まえながら、歳入・歳出のあり方についても検討を加えて必要な措置を講じよう、これを明確にしたわけであります。そして、軽減税率制度につきましては、長きにわたって検討を続けてまいりましたが、線引きの問題、それから事業者の事務負担の問題、財源問題、そういったことがなかなか難しく、これまで成案を得ることができなかったのですが、この間、両党で精力的に議論を行いまして、ただ今申し上げたような結論となりまして、現段階では最も良い案を合意することができたのではないか、このように考えているところでございます。

【井上公明党幹事長】

私どもは、この軽減税率制度の導入にあたっては、この消費税の持つ逆進性や痛税感の緩和という観点から、国民の理解が得られる制度にすべきであるという点で、やはり食料品、加工を含めた食料品を対象にすべきということを一貫して申し上げてまいりましたが、今回、酒類及び外食を除く食料品全般について軽減税率の対象とするという合意ができました。この間、様々な議論がありましたが、谷垣幹事長はじめ与党の税制協議会の皆様方のご尽力に敬意を表したいと思っております。財源等、今後、与党できちんと責任を持って、「経済・財政再生計画」を堅持して、手当をしていくということについても与党としてきちんと責任を持たなければいけないと思っております。

質疑応答

(幹事社): NHKの瀧川です。自民党のなかでは、軽減税率の対象を加工食品に広げることについては当初から慎重な意見が強くありましたし、現場の混乱を考えると谷垣幹事長も難しいというお考えを示されていたと思いますが、今回、これだけ大幅に広げた理由と、これを実際に導入した場合、混乱はないのか、その辺りいかがですか。
(谷垣幹事長): ある意味で明確な基準は、生鮮食品は明確な基準はある。ただ、これは今申し上げたように、実際、消費実態等々を見ますと、私なども独居老人ですのでスーパーへ行って買い物なんかしましても、圧倒的に加工食品が含まれているということがあります。この間、いろいろな議論がありましたが、加工食品のなかでも、そのなかでさらに線を引こうとするとこれは相当難しい。しかし外食を除くということなら、具体的にはこれから税調でさらにきちんと詰めていただきますが、外食ということでいくなら、いろいろこれは井上公明党幹事長ともご議論をしたのですが、これは線引きが何とかなるのではなかろうか。ここは、これからさらに精力的に詰めなければいけないところだと思っています。
(幹事社): 財源規模は1兆円程度になるということですが、この確保の具体的な部分については合意文書の中には盛り込まれていません。この点に関しては、協議のなかではどの程度詰められたのですか。
(谷垣幹事長): これは、これからまた税調で具体的に議論をしていただかないとならないと思います。かなりの額でございますので、今、あてずっぽうにものを申し上げることはできませんが、詰めるのはこれからの議論ですが、相当「こういうところはどうだ」、「ああいうところはどうだ」という議論もいたしまして、もう本年は税制も大体、あるいは予算もほぼ形が出来上がっておりますから、これからやはり1年かけて精査をしていくということだろうと思います。
(幹事社): 財源の部分は野党も批判を強めてくると思いますが、井上公明党幹事長はこの点についていかがでしょうか。
(井上公明党幹事長): これは今回の合意で、一つはまず財政健全化目標は堅持する、そのうえで安定的な恒久財源を確保することについては自民・公明、与党としてきちんと責任を持って対応するということを踏まえて、やはり来年度の税制改正法案のなかにきちんと明示をするということで法律的な縛りをきちんとする。一つは、当面は平成28(2016)年度末までに、これは歳入・歳出における法制上の措置等を講ずることによって安定的な恒久財源をまずは確保する。さらに、財政健全化目標は平成30(2018)年に中間評価をしますので、それを踏まえて、最終的には平成32(2020)年の再生計画の目標、そこをきちんと達成できるようにしていくということで与党としてきちんと責任を持ちたいという趣旨でございます。
朝日新聞の松井です。新聞・書籍の扱いについては、どのような議論を経てどのような結論に至ったのでしょうか。
(谷垣幹事長): 本日は、私どもの議論は食料品のことを議論いたしまして、これはこれからの自公の税調のプロセスで詰めていただくということです。
テレビ東京の篠原です。今回、当初4000億円と自民党が主張しているなかで2.5倍の1兆円まで譲った。これは来年の参院選の自公協力を意識したもの、選挙目当てではないかという声もあるのですが、この点はいかがですか。
(谷垣幹事長): これは、先ほど申し上げたような、やはり軽減税率というのは何なのか、消費実態を見たときに、やはり加工食品を入れていくというのは軽減税率制度の目的に合致するのではないか、私たちも基本的にそのように考えております。ただ、今まで議論してきたのは、それがきちんと平成29年4月から実施できるかどうか。それから、これはこれから具体的なことをやっていかなければいけないのですが、財源措置をどうしていくかという問題は確かにあるのですね。だからそこを精力的にやっていくということですね。
日本経済新聞の酒井です。安定財源を確保するということですが、たばこ増税や税収の上振れ分を使うという案も出ています。その辺りいかがですか。
(谷垣幹事長): いろいろなことをおっしゃる方があるのですが、一つ一つやはり利害得失がありますから、きちんと考えていかなければいけません。それから、上振れというのは、これは下振れすることもありますから、あまり上振れというわけにはいかないと思います。その辺はしっかり考えたいと思います。
(井上公明党幹事長): まずは来年の平成28年度予算編成、税制改正のなかできちんと議論をしていくということで、ここは明確にしていきたい。今、具体的にこれだということは、想定はしておりません。
先ほど消費税制について言及がありましたが、軽減税率をやるために、将来の消費税率の増税を念頭に置いてのものなのでしょうか。
(井上公明党幹事長): これはあくまでも従来から「骨太の方針」のなかで、財政再生計画のなかに盛り込まれた文言そのものですから、我々としてはまったくそういうことは考えておりません。
テレビ朝日の成田です。自民党幹部の方々はこれまで「できないものはできない」とおっしゃってきたと思いますが、今回、加工食品を含むということは、「できないものはできない」と言っていたものができるようになった見通しが立ったということなのでしょうか。
(谷垣幹事長): これについては、相当な議論をいたしました。それで、まだ万全な策というところにはまだこれから詰めが必要ですが、「できないものはできない」というのは、主として、皆さんがテレビなどでお取り上げになっているのも、加工食品のなかでの区別を取り上げられておられる例が多いと思うのですね。私も加工食品の内部で分けるのは相当難しいと思いますが、今までの協議の結果、見通しがある程度できてきた。これをさらに詰めたいと思っています。
テレビ朝日の成田です。財源の面についてはいかがですか。
(谷垣幹事長): 財源については、先ほど井上公明党幹事長もおっしゃったように、きちんと法律のなかに書き込んで来年までに用意するということですね。
消費税の10%超への再増税については、選択肢に含まれているのでしょうか。
(谷垣幹事長): これは将来の課題ではあると思っています。しかし、今、我々がこの問題を議論するときの現在の課題ではありません。
社会保障メニューの削減については、これも選択肢にあるのですか。
(谷垣幹事長): それはやはりいろいろな効率化などは考えていかなければならないだろうと思いますね。
(井上公明党幹事長): 社会保障については、今回の社会保障と税の一体改革のなかで、1%分について社会保障の充実に使う、また安定のために基礎年金の3分の1から2分の1に引き上げる財源にするということで、使い道が決まっている分というのはきちんとありますから、特に充実分については、それぞれ法律で決まったり予算上の措置として決まったりしていますので、そこはきちんとやるというのは当然だと思います。ただ一方で、社会保障といえどもやはり重点化・効率化というのは常にやらなければいけない課題ですから、そういうことを含めて安定財源をきちんと確保していくということだと思います。
税収の上振れ分を財源に充てるということに対するお考えはいかがですか。
(井上公明党幹事長): 税収の上振れ分を財源に充てるということについて、要するに我々はあくまでも財政再生計画というのがやはり一番大事ですから、この財政再生計画がきちんと平成30(2018)年度の中間評価を踏まえて平成32(2020)年に達成する、そういうなかで考えていくということだろうと思います。
ジャパンタイムスの吉田です。総合合算制度を廃止して高所得者を優遇する軽減税率は本末転倒だという批判がありますが、これについてはいかがですか。
(井上公明党幹事長): これは社会保障と税の一体改革のなかで、いわゆる逆進性対策として合算制度や給付付税額控除、あるいは軽減税率ということを選択肢として法律にきちんと書き込んだなかで、今回、与党としてこれは軽減税率でいくということでやったわけですから、当然今回、加工食品まで含めて対象となったことによって、その法律の趣旨というのは、私は充足していると思っています。
毎日新聞の横田です。本日、会談に先立って麻生財務大臣とお会いになっていましたが、どのような調整をされていたのか、また外食を含めるということについては、公明党としてはどういう主張を最後の段階でされていたのでしょうか。
(谷垣幹事長): これは当然、国会が始まりますと財務大臣が国会でご答弁をなさり、責任を持って対応しなければいけないわけですから、それはこの案をまとめるときに、財務大臣のご意見も伺いながらそれを活かしてやっていくというのは当然のことでございますので、させていただきました。
(井上公明党幹事長): 外食の件について、一部報道で公明党は難色を示したというような報道がありますが、まったくそういう事実はございません。私どもは、食料品全般について議論するなかで、外食を含めて当然議論にはなりましたが、線引きで紛れがないという意味では外食を含めるというのは非常に有効な手段だと思いますが、一方でやはり安定した恒久財源ということもありますから、そういう議論のなかで、両党の税調会長を含めた議論のなかで線引きがきちんとできるという見通しを我々としては立てたということで、やはり財源問題というものを優先するという判断になったと思っております。
テレビ東京の篠原です。幹事長として筋は通せたと思いますか。
(谷垣幹事長): 皆さんどうお思いでしょうか。私は、政治家がやったことは自分が評価することではありません。