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記者会見

石破茂幹事長記者会見 (役員連絡会後)

平成25年11月15日(金)10:30~10:50
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

石破茂幹事長

【石破茂幹事長発言】

「フィリピンへのお見舞いについて、国対と議運で調整するが、歳費から天引きするという方向でわが党としては決めている。これはわが党だけでいくかどうか等々は、国対あるいは議運でのご相談になるが、いずれにしても早いほうが良い。伊豆大島についても、これはわが党としてやってまいりたい。今後、どのようなことになるか。いずれにしても早いほう良い」

【中曽根弘文党紀委員長発言】

徳田毅議員の離党届受理の件についての報告があった。

【佐藤勉国対委員長発言】

「残りわずかの会期、多くの法案について粛々と進める」
「秘密保護法案の修正協議が今、進んでいる」
「国会改革は、来週18日(月)に実務者協議を行う」
なお、本日は、自由民主党58回目の立党記念日である。

質疑応答

Q
NHKの西井です。特定秘密保護法案の修正協議について、来週中の衆議院通過を与党側は目指しておりますが、修正協議はどの程度調えば、あるいは調わなくても衆院通過をさせるのか、その方針をお聞かせください。
A
現時点で調わなくてもというお話はできません。調えるべく、私どもとしても、あるいは野党としても最善の努力を行うということなので、冒頭の高村副総裁の話にもありましたように、もう最初から駄目だと、特定秘密そのものが存在しないのだとか、そういうものは全て公開するものだと言っておられるところはともかくとして、そうではないところとは、かねてから申し上げている通り、一党でも多くの賛成を頂きたいと思っております。ただ、修正項目もいろいろと意見の隔たりがありまして、時間的な制約から、全てができるかどうか、そこはわかりません。現場においてご努力いただくということです。
Q
読売新聞の羽尻です。明日でちょうど解散から丸1年になります。安倍総理は、昨日のフェイスブックで、「この1年振り返って、長く厳しい1年だった」と振り返っていましたが、幹事長は、この1年を振り返って、どのような思いを抱いていますか。
A
今朝、新聞で総理のご見解を読んだところですが、全く同じ思いを正直言って持っております。「早いですね」と言ってくださる方もおられるですが、私の個人的な感想を申し上げれば、ものすごく長い1年だったと思います。解散というのは、1年しか前のことではなかったのかなという感じがあります。それは、我々が野党の間に生起しましたいろいろな事案というものに対処するということでやってまいりました。私も長く国会議員をやっていますが、ものすごく大変な1年だった。本当に苦闘の1年だったと思います。ただ、私どもは、そのことは承知の上で政権をお預かりをしたのですから、そういう苦しくてつらい1年だったということに弱音を吐いてはならないのだと思います。
Q
朝日新聞の三輪です。小泉元総理は、先日の会見で、原発即ゼロが望ましいということもおっしゃいました。また、自民党の中でもう少し賛成派、反対派含めて議論をすべきではないかとも発言されましたが、幹事長の受け止めをお聞かせください。
A
わが党は、どのような議論でも、それを妨げるものではありません。私は、参議院選挙直前の大阪での討論会で申し上げましたが、あの時に、原発ゼロですかと司会者の方が問われて、各党代表で、全党の幹事長が集まっており、原発ゼロに対して×を出したのはわが党だけです。私だけでした。他は、公明党も、あるいはその他の野党の方々も、皆○、○、○というのを掲げられたことをよく覚えております。要は、私どもとして、再生可能エネルギーの比率を上げ、原子力の比率を落していくということは決まっているわけです。ベストミックスとは何だということを時間をかけて出していきます。要は、百も万もご存じのことだと思いますが、今、原発を止めたからといって、使用済み燃料がなくなるわけでも何でもありません。そのことに対してどうするのだという議論と再稼働という議論は、少しすれ違っているというか、食い違いがあるものです。私が方向性は同じだと言ったのは、だんだん比率を落していく果てにゼロというのがあるのであって、そういう意味で方向性は変わらないということを申し上げております。ですから、それにどのくらいの時間がかかり、どのような手法によって、どれだけの費用がかかり、その費用をどのように捻出し、誰の責任においてゼロにしていくのか。その辺の具体論がなければ、それはスローガンにしかすぎないものです。小泉元総理は、そういうことを全部承知の上でご発言をしておられるのではないかと私自身思っておりまして、小泉元総理の発言というものを、時間があれば、きちんと私なりに精査をして、その一つ一つにどのように応えるのかということ、そして、そういう批判ばかりしていても仕方がないので、我々として、どうしていくのだということを示さなければなりません。その作業に労を惜しんではならないと思っております。
Q
NHKの西井です。小泉元総理は、原発ゼロを目指すに当たって、これまで原発に使っていたお金を再生可能エネルギーの開発等に回せば、代替がきくというような理屈を述べていますが、それは現実的だとお考えですか。
A
今、原発が動いていないことによってどれだけの費用が余計にかかっているかということも併せて考えていかなければなりません。原発が全部止まっていることによって、年間4兆円、1日100億円というお金が海外に流出しています。ですから、先ほどのお答えの中で、どれだけのお金がかかるのかということとともに、そのことをどのようにして捻出していくかということです。これまで原発にかけたお金というのは戻ってきません。では、これから何をどれだけかけようとしているのかという話とともに、今、原発が止まっていることによって、余計にかかっている国民負担をどのように考えるかということです。ですから、パラドックスみたいな話で、原発の比率を下げていくために、安全・安心が確認された原発は再稼働という論理は、それはなかなかご理解いただけないところだと思いますが、私はそれを必要なことだと思っております。あくまで安心・安全を確認されたということですが。同時に、わが国がそのように安心・安全が確認された原発技術を持つということは、これから先、世界中の原発は多く稼働する方向にあるわけで、それがより安全な、より安心な原発であることにわが国として責任を持つべきなのではないでしょうか。
Q
毎日新聞の高橋です。衆議院の選挙制度改革について、この20日に、昨年の総選挙についての最高裁判決が出されます。衆議院の定数削減について、今後どのように進められるのですか。今は自公民の3党で協議されていますが、これを全党の枠組みにするような考えはあるのでしょうか。
A
ここは3党でやっていますけれども、実務者協議というものを行い、私の記憶に間違いがなければ、そこは全党入るのだと思います。そこにおいて結論が出れば良いのですが、そこにおいて結論が出ないということになるならば、出ないという状況を一度確認をする必要があるのだと思います。論理的に直接関連するわけではないですが、消費税を来年の4月に上げるということがあります。論理的に決してつながりがあるわけではないが、やはり国会として姿勢を示すということも必要だと思います。ただ、その時までに、何が何でもやるつもりはありませんが、全ての党が一致することが不可能であるとすれば、どのようにこれを決めるのかという段階に行くのだろうと思います。そうでなければ、何も決まらないまま時間が過ぎていくということになりかねません。ですから、一致点が見出せるか見出せないか、全党入った実務者の協議というものが1度必要だと思っております。最高裁判決がどのような論理で、どのような判示がなされるかということは、今の時点で私が予測すべきことではありません。
Q
産経新聞の力武です。明日で衆議院解散から1年で、その後、自民党が選挙で勝って、2回目の自公連立政権が発足しました。公明党とは安全保障や憲法、軽減税率などの経済政策でも異なる課題というのがいろいろとありますが、その公明党と連立政権を組む意義を、幹事長はどのようにお考えですか。
A
これはもう何度も申し上げていることですが、政党が違うので、政策が違うのは当然のことです。政策が一致していれば、合併すれば良いのです。
ご指摘のように、安全保障政策、あるいは憲法、あるいは税制を巡って、一致していない点はたくさんあります。それぞれの分野について、今までもPKO、あるいは社会保障制度、あるいは有事法制など、自公PTを作って随分と詰めた議論を行ってきました。それによって得られた成果というのは多くあると思っております。私どもと公明党は党の成り立ちが違いますし、支持していただいている層も異なっているのだと思っています。昨日、私は、あるパーティーで申し上げましたが、そこにおいて議論がなされている自分たちの主張というのは正しいのだろうか、あるいは、どうすればもっと広範にご理解をいただけるだろうかという努力を、我々自民党は決して惜しんではならない。そういう意味で、とにかく、例えば定数削減そのものに反対だとか、あるいは中選挙区に戻せとか、原発は即刻ゼロであるとか、そういうことをおっしゃっておられる党ではないので、自公連立の10年間、あるいは連立野党というものは世の中に存在しないのですが、野にあった3年半の間も、野党という立場において協力してきたという実績は、私は相当に重いものがあると思っております。
何か違うのだということについて、お互いに議論を避けてはなりません。そこにおいて主張をぶつけ合うことによって、より良い結論というものが出るものだと思っておりまして、自公連立で気をつけなければいけないのは、お互いに遠慮するあまり主張を鮮明にせず、あいまいな形に、最初から予定調和のようにすることは決して良いことではありません。それは、連立の意味と反するものだと思っております。ですから、いろいろな議論について、とにかく正面から議論をするということが、自公連立においては今後さらに求められると思います。
Q
小泉元総理の発言に関して、幹事長は「私として、よく精査して1つ1つにどう答えるか。自民党としてどうするか示さなければならない」とおっしゃいましたが、具体的なイメージとしてどういう形でそういうものを示していくのか、例えば会見の場とかというものをお考えでしょうか。
A
そこは、この問題を提起されたのは、別に私は責任転嫁するつもりは全くないのですが、総務会という場において、野田毅総務というわが党の理論的主柱のような方からのご提言があったことを私はかなり重く受けとめております。これは党で決めることですし、小泉元総理は、今、党員ではありますが、公約を掲げ国民の洗礼を受けた議員という立場にはありません。ですから、党として決めたことに全く影響はないというのは、事実としてはそうですが、このわかりやすさ、発信力というものを決して等閑視してはいけないと思っております。それから、野田毅先生がおっしゃったのは、「あるいは方向性は一緒なのではないか、全くわが党の考え方と反するものではないか、よく考えてごらん」ということのご発言があったので、私として、これはかなり時間のかかる作業だと思いますが、ワンフレーズごとに、よく拳々服膺(けんけんふくよう)して、理解をしていかなければならないものだと思っています。ですから、それに対して自分の考え方を述べるときは、それは自分の考え方は正しいのだということも大事ですし、間違っていては困りますが、それがどうやって一般の方々にご理解いただけるのかということも配慮していかなければなりません。そういう説得力が問題でして、私どもは役人ではないので、「これは間違っている、以上」ということでは仕方がない。そうであれば役人に任せておけば良い。一般有権者に軸足を置く、基礎を置く我々政治家としては、小泉さんと同じような発信力、どんなに正しい議論でもわかってもらえなかったらないのと一緒なのです。そこをよく注意しながらやっていかなければなりません。それはそんなに簡単なことだとは、私は思っておりません。
Q
朝日新聞の三輪です。小泉元総理は、日米関係でメガフロートについても言及されましたが、今、普天間移設が議論になっている中、考える余地のあることなのか、所見をお聞かせください。
A
この問題は、いかにして一日も早く普天間のあの状況を除去するかということで始まったお話です。私自身、メガフロートというものを相当に勉強し、これが正しいのではないかということを申し上げたことは確かにあります。ただ、今の時点になってみて、もう1度、環境影響評価をやり直し、そこに相当の年月をかけ、で、またメガフロートにするかどうかということの判断もすごく時間のかかることです。その間、普天間の状態がずっと続いていくということは、本当に良いのだろうかという思いがあります。日米合意の重さも、我々はよく認識しなければなりません。
私として、今の日米合意を何とか実現し、普天間のあの危険な状態を一日も早く除去するということ以外、今、考えてはいけない。小泉元総理がそのようにおっしゃったのは、私も昔そういうことを言ったということを、すごく感慨深く読んだのですが、だからといって、今さらメガフロートに転換するとかいうことは、決してこの問題を解決するために、今の時点においては寄与してないものだと思っております。
Q
朝日新聞の三輪です。教科書検定基準の見直しが今日、閣議決定されました。その中に、特に通説的な見解がないようなものは、より慎重に、そしてバランスが取れた記述をすべきだというようなことになっています。それはやはり慰安婦問題や南京事件を念頭に置いているのかもしれないですが、そういう基準が見直されるということに関して、どのようにお考えですか。
A
そのように閣議決定されるということは、我々がつくっている政府ですから、そのことについて共同で責任を負っていかなければならないことだと思っております。ですから、記述がより正確であるということを目指すのは当然のことであり、これは、ここはもう幹事長としてではなくて、私の個人的な見解ですが、こういう考え方もあると、こういう考え方もあるということを、なるべく客観的に提供する。そして、その判断を教育を受ける側が下すのであって、最初から、結論を明定をするということはあるべきではないと思っております。ともすれば一方的な考え方、それを自虐史観的と言うか言わないかは別として、そういうことばかり書かれてきた、そうではない主張が伝えられるという機会がなかったということは、あまり歓迎すべきことだとは思っておりません。ただ、通説的見解がまだ存在しないかどうか、そして、このことに通説的見解とは何なのかということをめぐっては相当の議論がありますが、私は自分の国を大事に考えていくということがなくて、他国を思いやることはできないのだと思っております。ただ、自分の国を大事にするにあたっては、良いことも悪いこともきちんと認識をしながらやっていくということが必要なのでしょうし、何が良いことなのか悪いことなのかということについては、いろんな議論があるでしょう。