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記者会見

石破茂幹事長記者会見(与党アルジェリア邦人拘束事件対策本部後)

平成25年1月20日(日)13:45~14:00
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

13時から、与党アルジェリア邦人拘束事件対策本部の会議を開きました。政府側から説明を受け、その後、質疑に入ったところです。内容につきましては、ご承知の通りですから、繰り返すことはいたしません。
議論の中で、オペレーションは終わったということですので、まだ厳しい状況ということですが、生存が確認されていない方々に対する支援、その確認、救出・帰国に向けて、政府として考えられる限りの措置を取られたい。当然のことだと思います。そのことについて、いろいろな意見が出されました。内容は差し控えさせていただきますが、政府として、これ以上はできないというところまで対策を取っていただきたいということ。
もう一点は、いろいろな情報が錯綜しています。なぜこのようなことになっているのかということについて、多くの議論がありました。それは、情報というものについて、これが人命にかかわるものであるということ、そして、政府同士、関係しているいろいろな企業の立場等々を考えて、現在、政府が行っている情報発信、このことは了とするということです。しかしながら、評価が錯綜ということになっているので、なぜこのような状況に至っているのかということについては、きちんと説明する必要があるということです。政府は何も知らないわけでもないし、何も隠しているわけでもありません。いろいろな要素を勘案して、最善の状況がこういうことになっているということです。今後、情報発信のあり方について、さらに検討いただきたいということです。さらに繰り返しになりますが、現地でなお安否が不明の方々、心配しておられる方々、ご家族を含めて、そういう方々に対して、支援していただきたいということです。
加えて、今後、いろいろな議論がいろいろな場で行われることになりますが、政府与党として、法整備のあり方、体制の構築の仕方について、さらに議論することがあるし、議論だけしていても仕方がないので、そのことについて、結論を出さなければなりません。それは法整備に関わることもあるでしょうし、あるいは法整備まで至らなくても、体制の整備でできることもあります。今後、日本国として、いろいろと海外で活動する日本企業、あるいは邦人に対して、十分な支援の体制、保護の体制というものをとっていかなければなりません。総理が総裁選の時もおっしゃっていましたし、わが党の総裁選における候補者が多く口にしていたように、国民の生命・財産は、日本国民がいかなる地域にあっても守っていかなければならない。それは日本国の責務です。もちろん、関係各国、それぞれ主権国家ですので、日本国として何をしても良いということではありませんが、そういうことについての検討がなお不十分な点があるというのが私の認識です。今後、公明党との協議、政府とのいろいろな協議を通じまして、日本国民の生命・財産の保護というものに、与党としても万全を期してまいりたいと思います。

質疑応答

Q
NHKの西井です。海外の邦人の保護について、具体的にどのような法整備が必要だとお考えですか。
A
これは現在の自衛隊法第84条におきましては、邦人輸送ということになっています。外務大臣と防衛大臣の間において、輸送の安全が確認された場合に、その輸送を防衛大臣は命ずることができるという趣旨の条文であったと承知しております。従いまして、例えて言えば、某地域で、動乱あるいは災害でもよろしいのですが、いろいろなことが起こった。災害の場合には、大きな問題はありませんが、動乱が起こった場合に、その地域の輸送の安全が確認されない、すなわち某国でそういうことが起こり、そのことについても議論が必要ですが、邦人が空港や港湾までなんとか命からがら辿り着いた。しかし、その地域において、空港、港湾で安全確保されない状況が起こっている時は、輸送することができません。そこにおいて、例えば、そこで銃撃戦が行われているとか、ミサイルが飛び交っているとか、そういうことであるとすれば、それは輸送の安全が保たれないということがあるかもしれませんが、それがなぜそのような条文になっているのか、そこに行くことが憲法9条で禁止するところの「国際紛争を解決する手段として」ということにかかるとするならば、そこで邦人を救出することが、そこと、どのような関係になるのかという議論もなお必要だと思っております。そこで私ども日本国として自衛権を行使するわけではありません。当然のことながらそこにおいて日本政府が自衛権を行使するわけではございません。そうすると、そこにおいて行使される権限とは何であり、そして当該国との関係をどのようにするのかという議論は、もう一度整理する必要があると思っておりますが、私どもが党議決定していることは単なる輸送だけではなくて、救出まで行うことができる。しかしその場合において武器使用というものは、当然自衛権としての武器使用ではありません。しかしそこにおいて、いかにして抑制的に行うことができるのか、ということも配意して法律ができています。総務会まで通って、党議決定しているものでございます。これは野党時代に議員立法を念頭において出しているものですので、与党の立場となっている現在、政府との調整、あるいは与党内の調整が必要となることは当然のことであります。
Q
日経新聞の地曳です。今言っている現地での邦人保護に関する条文については、先の衆院選の政策集にも書いてあり、野党時代にも議員立法として書いておりますが、次の国会以降、閣法として結実していくことも考えているのでしょうか。
A
あらゆる選択肢は排除されるものではありません。私は防衛大臣がおっしゃったことは正確に繰り返すことはできませんが、議員立法の可能性も、つまり、出した時は衆議院議員である小野寺五典氏が提出者になっているわけであります。これをもう一度出すという時に、今の防衛大臣が小野寺さんだから、そのまま小野寺さんということになるはずはないのであって、それが閣法として出す場合には、もう一度内閣法制局との憲法との整合性の議論が必要になってきます。そういう形が良いのか、それとも議員立法という形が良いのか、そこはいろいろな可能性がありますので、ここで断定的に申し上げることではありません。で、議員立法であれ閣法であれ、憲法との関係は整理しておかなくてはなりません。当然のことであります。他方、飛行機と艦船というものが。あの条文に予定されているのであって、では命からがら空港まで、港湾までという時に、それをどのように輸送するのかというのか。艦船と航空機でありまして、車両が抜けております。当然、当該国の主権に配意した上で、そこで工夫ができるかどうかは、議論の余地があることは当然のことであります。
Q
日経新聞の地曳です。先ほどの会議の中で、現地の情報が錯綜していることや邦人安否の確認に時間がかかっていることについて、政府側から何らかの説明はあったのでしょうか。
A
これについては色々な説明がございました。私どもはそこにおいて瑕疵があったとは考えていません。つまり情報というものは、提供した側の意向というものが重要になってくるわけであります。政府として、全ての情報を自らの手段によって把握しているというのは、全てそういうわけではありません。情報提供してくださる方がいるわけです。そういう方々の意向というものを尊重しないと、これから先情報が入ってくることが難しくなってきます。そしてまた、そのようにして政府から入手した情報をすべて出すということによって、情報が今後入りにくくなるとか、かえって状況が厳しくなるとか、そういうことは政府が慎重な上にも慎重な判断を致しております。要はいかにして生命が安全に保たれるということを第一に考えた時に、今の対応に瑕疵があったとは思っておりませんが、どうしてこのようなことになっているということについては、邦人の安全を祈って情報の提供を待っておられる方々、あるいは国民世論というものがございますので、そういうものをよくこれから配意してこれから先情報を発出していかなくてはならないということです。今までの対応に瑕疵があったとは思っておりません。
Q
日経新聞の地曳です。瑕疵があったかどうかともかくとして、情報が錯綜していることや情報の伝達が遅れていることについて、政府からは何か説明はあったのでしょうか。
A
そこはそれなりの理由がございます。何故これがこうなっているかということをいちいち説明する立場におりません。私どもとして政府の説明というものを了としているということでございます。今まで申し上げたことでご理解いただきたいと存じます。
A
(公明党・井上幹事長)今の情報の確認の件ですが、情報が錯綜しているというよりは、邦人17名が現地で仕事をしていた。7人の生存は確認されている。残りの方々の安否について、日本政府、日揮が直接確認しなければならない。そのための準備をしている状況で、できるだけ早く現地に入って直接確認すると、我々は理解しています。そうでなければ、当然、安否がわからないわけですから、生存を期待して待っている方もいらっしゃるわけですし、いろいろな情報があったとしても、そこは直接、政府や日揮が確認する必要があると理解しています。