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記者会見

石破茂幹事長 記者会見

平成24年12月16日(金)22:15~22:45
於:党本部平河クラブ会見場

質疑応答

Q
共同通信の下山です。現在、自民党単独で300議席に届こうかという勢いです。率直な感想をお聞かせください。
A
野党であるわが党に対して変わらぬご支援をしていただいた方々、そしてご協力いただいた公明党の皆さん方、まず心から御礼申し上げたいと思います。谷垣前総裁の下で、政策の錬磨に努め、何よりも党綱領を新しく策定し、党のあり方を見直してきた。それを引き継ぐ形で、安倍体制で選挙を迎えたわけで、大勢の方々のご努力の結果だと思っています。併せて、民主党に対する失望感というものがあった。あるいは第三極と言われる方々に対する懐疑的なお気持ちも有権者の皆さまにもあったと思います。そういうものが相まって、こういう結果になったという認識を持っております。一つ一つの開票が全ての開票が終わってから、選挙区の勝因というものを分析し、比例の傾向も分析し、さらにより良きを目指していきたいと思っています。
Q
朝日新聞の石井です。政権の枠組みについて伺います。自民党単独過半数が確実な状況ですが、それでも公明党に連立を呼び掛けるのですか。また、参議院では、自公でも過半数に満たないのですが、他の党に対しても連立協議を呼び掛けることがあるのですか。幹事長の所見をお聞かせください。
A
これは選挙中も、自公の体制で新政権を担わせていただきたいということを、総裁も発言しているわけで、また山口代表もそのように発言されています。また自公協力というものが、それぞれの選挙区、比例区で行われたわけであって、今までの自公政権の実績、信頼関係も考えれば、自公で新しい政権を担うことに寸分の疑いもないと思っています。それは全て結果が出揃ってから、しかるべき時期に総裁から山口代表に対して会談のお願いをし、そういう確認がなされるものだと承知しております。
参議院で少数ということになるわけですから、法案・予算案等々の円滑な成立を考えた場合に、野党の方々に対して、謙虚に、誠実にご協力をお願いするという場面は当然あろうかと思いますが、今回の国民のご審判を頂くにあたって、政策というものを掲げてやったわけで、全体のパッケージとして見た場合、明らかに政策の異なる党に対して、連立を呼び掛けることは、それは連帯して国民に責任を負うという憲法の趣旨からしても、ふさわしくないものだと認識をしております。
Q
テレビ朝日の藤川です。政権奪還が確実になった状況で、今後の段取りについて伺います。公明党との連立協議、特別国会での首班指名や組閣、党役員人事について、どのようなスケジュール感を持っていますか。
A
特別国会の召集については、現政権、つまり民主党政権が決めることですので、私どもは当事者ではありません。なるべく早い時期に特別国会が召集されることが望ましいのですが、これから来週にかけて、例えば3連休も挟むということもあります。国会を召集したのはいいが、どのようにして人事を決めるのかということが、もたつくようであれば、決して好ましいことではないので、新体制というものが早く立ち上がるのにふさわしい時期を模索することになると思っています。党役員人事等については、総裁の専権事項ですので、総裁のお考えになることですが、総裁として、新体制の発足がなるべく早いうちに、強力な体制を組むことを念頭に置かれて、お決めになることだと承知しております。
Q
産経新聞の水内です。幹事長ご自身は、現段階で総裁から続投という話を承っているのですか。また、先程のテレビ出演の際、組閣などにあたって、派閥順送り人事をしてはならないとお話しされていましたが、派閥順送り人事とは別れるというお考えですか。
A
第一点については、総裁からそのようなお話をいただいているわけではありません。今日はまだ開票の最中でもありますし、そういう話があったものではありません。わが公認候補の一人でも多い当選を総裁共々願っているということです。
今回政権を委ねていただいたというのは、例えば景気対策、社会保障の持続可能性の維持、あるいはエネルギー政策、緊迫する外交安全保障等々、多くの懸案、全て民主党政権のせいだとは言わないが、多くの負の遺産というものをいかに解決するかという状況で、政権を担うことになるわけですから、そうすれば最もふさわしい人を総裁がお選びになるということだと、私は拝察しているところです。その場合に、派閥順送りというようなファクターが入ってくることはあり得ないことだと思っております。ですからそこは能力第一主義ということでやらないと、それは国家国民のための党ではないのだと、国民の皆さま方に思われたら、政権発足と同時に、国民の皆さま方の失望を招く。そのようなことがあってはならないことだと、私は認識しております。
Q
読売新聞の田島です。幹事長の任期はまだ残っていますが、党務として与党になってから必要なことは、どのようなことだとお考えですか。
A
それは解散直後だったと思いますが、古屋圭司党・政治制度改革実行本部長から、試案というものが提示され、総裁も幹事長たる私も了としたものです。これから正式に党・政治制度改革実行本部を開き、総裁に対する答申を行い、総裁がこれを実現されるということですから、もちろん議論の推移にもよりますが、あの党改革のあり方というものをなるべく早く具現化していくことだと思います。そこは党の近代化ということですね。求められるのは党の近代化ということです。全ての決定は国家国民のために、ということであって、民主党の失敗は、いろいろな人事を党の分裂を回避するためには、必ずしも適材ではない方を重要な職に据えてきたことが、民主党の失敗の大きな要因だということを私は見ていて、よくわかったことですので、わが党はその轍を踏んではならないことであります。
また、派閥という存在を決して否定するものではありませんが、派閥が人事や党運営に数を頼んで介入するというあり方よりも、政策集団ですから、政策を磨いて、党の政策というものに寄与する形になるべく持っていくというか、そういう派閥のあり方、政策集団本来のあり方にふさわしいものを目指していかなければならないのではないか。要は、自民党に期待してみたものの、「何だ、元の自民党が戻ってきただけじゃないか」というような失望をいささかも国民に与えることのないよう、総裁が配慮されることだと思います。
Q
時事通信の西垣です。特別国会の日程は、自民党とも相談して決めることになると思います が、そのあたりの日程について、どのようにお考えですか。また、補正予算、本予算をどうするのか、通常国会のスケジュールについて、どのようにお考えですか。
A
特別国会の召集は早い方が良いと思っていますが、先程もお答えしましたように、早く召集しても、議長から始まって、各常任委員長、国会役員の選任、あるいは各委員会の委員、わが党の多くなった議員に、適材適所で能力を発揮していただかなければなりません。そして、首班指名ということになれば、当然組閣ということになるわけで、それぞれの方がいかなる立場で国家のためにお働きにいただくかという調整は、わが党の中でしていかなければならないし、公明党の皆さま方ともお話をしなければならないことで、召集したが何も決まらないということになってはどうにもならない。ですから、いかにすれば、新体制が万全に近い形でスタートできるか、早ければ早い程良いに越したことはないが、それが確定的にこの日ということを、今申し上げる段階ではないということです。ですから、年末も迫っているので、そこはなるべく早いうちに、総裁がご判断になるということでしょう。
また、平成24年度、今年度予算の補正予算というものを早く出していかなければならない。その速やかな成立を図る。これは、景気対策の面からもかなり本格的なものになるということです。平成25年度予算については、まず入りの部分であるところの、税制をどうするかということであって、税制には短期的なものと中長期的なものがあるわけですが、平成25年度には反映されないが、平成26年度予算に反映されるというものを一括してやるべきなのか、2段階論みたいな形でやるべきなのか、そこは考慮の余地があるだろうと思っています。平成25年度予算というものを、やはり概算要求からスタートするのか、多分そうなると思いますが、まず税制をやる。それと並行して、平成24年度補正予算をつくる。そして、平成25年度本予算にかかるというような、いくつかの作業を、かなり困難なことでありますが、並行的にやることになってまいります。暫定予算というものをなるべく短くする観点から、いろいろな作業を加速度的に進捗させたいと思っています。
Q
NHKの西井です。来年7月に予定されている参議院選挙対策について、これだけ衆議院で議席を獲得すると揺り戻し現象があると思います。また、候補者選定についてどのようにお考えですか。
A
揺り戻しがあるのは、直近の選挙で有権者が示された期待に新政権が応えられなかった場合に揺り戻しがあるわけであって、そういうことがないように、新政権というものは国民の失望を招くことなく、国民の期待に応えられるものを一歩一歩着実に進めていくということで、揺り戻しということが起れば、今までの努力が水泡に帰すことになりかねませんので、そういうことがないように政権の運営に努めていかなければならないと思っております。
参議院の候補者については、選挙区あるいは比例区とも、候補者が出揃っていない選挙区もそうですし、比例区の候補者もまだ足りない状況ですので、その作業を急がなければならない。各都道府県連に対して、総裁から急ぐようにという指示を出すことになると思います。比例区については実力があり、そして比例区の特性から考えて集票能力のある方の選定を急ぎ、急いで発掘し、出馬をお願いし、選挙体制に万全を期していくということです。
Q
ニコニコ動画の七尾です。7月まではあっという間な気もしますが、国民の期待に応えながら良い形で来年7月を迎えるためには、どういった政策が最も重要だと思われますか。
A
国民の期待から言えば、景気対策が一番だと思っています。これは消費税率を上げるということはわが党の確定的な方針ですし、3党合意の趣旨もそうであります。そうすると弾力条項もありまして、景気が回復していかないと消費税を上げられないということですので、景気の回復にまず一番配慮しなくてはならないと思っております。それと社会保障の持続可能性がほとんど連動しますので、社会保障改革の中身はまだこれからの部分が相当あります。そこは早急に議論を詰めていくことになります。ですから景気の回復と社会保障の持続可能性が一つのパッケージとしてあります。その中に、為替の問題もあります。2番目は現実の脅威とならなければ、国民の期待に上がってこないし、そのようなことが上がってきますが、安全保障対策というもの、すなわちこの選挙中にミサイルが飛び領空侵犯が初めて行われたということがあります。これは補正予算、来年度予算が絡むことですが、外交安全保障政策というものをわが党できちんと新たにお示ししたい。そして被災地の復興については、多くの被災地の方々がわが党に期待を寄せてくださったわけで、そういう方々が少しでも明るい気持ちで新年を迎えられるようにすること。そこは新年を迎えるまで具体的な予算がお示しできるわけではありませんが、本当に自民党と公明党であれば、被災地の方々が少しでも心安らかに新年を迎えられるということをお示ししたい。そしてエネルギー政策、原発ゼロとか卒原発とか脱原発とかあれやこれやいうスローガンはありますが、現実的にわが国の経済のあり方を考えるときに、私どもの申し上げている3年、10年という期間で、原発のあり方を決めていくことをご支持いただいているわけですから、それに則って、信頼される安全で、経済というものの発展に資するエネルギー政策というものを、安全確認した上ではじめていくと思います。
Q
琉球新報です。安全保障政策に関連する普天間移設問題についてお伺いします。沖縄県で当選確実にされている自民党候補者が県外移設を訴えているわけですが、そのことのご所見をお聞かせください。幹事長は普天間の危険性を除去していかなくてはいけないと訴えておられましたが、移設先については言及されていません。防衛省の方で補正作業が提出される状況になっていますが、辺野古移設推進されるのか、移設される場合、どのように理解を得ていくのか、幹事長の所見をお聞かせください。
A
そこはどういう形で民意が示されるのか最終的に拝見させていただいた上で、民意に沿う形でやっていかなければいけないと思っております。選挙中にも申し上げたことですが、最終的に県外移設というゴールにおいて、私ども党本部と沖縄県連に齟齬はございません。そこに至るまでにどう安全保障関係を好転させていくかという問題があります。更に日本でできることをアメリカに負わせていないか。日本全体で負うべきことを沖縄に押し付けていないか。沖縄1区の候補者の言を借りれば、本土が沖縄に甘えていないかということは、私どもは認識していかなければいけないことだと思っております。だとしても今のワーストの状態である普天間固定化をいかに回避するのかが優先順位の最大のポイントです。辺野古移設はベストであると思ってはいけないと思っております。あくまでワースであるということを念頭に置きながら、どうやってまずワーストを解消するのか、ステップを踏みながらやっていかなければならないと思っています。沖縄県民の方々のご理解なくして、これが済むものとは思っておりません。結果を見て、まずワーストの除去からスタートさせて、そして最終ゴールは沖縄県連と私どもで齟齬がないように進めていくことだと思います。
Q
フジテレビの島田です。今回の選挙は、一票の格差が違憲状態のままで行われました。参議院選挙はより格差が大きなものとなりますが、これだけ大勝した後で、自民党・公明党はそれに取り組んでいくのか、スケジュール感をお聞かせください。
A
取り組むのは当然のことです。それは解散するとき野田さんから取り組むのですかという呼びかけがあり、わが総裁から全力的に取り組むものだという答えを申しております。ですから大勝したから忘れましたということにはなるわけではなく、定数の是正、一票の格差というものがあっていいとは思っておりませんので、是正となおかつ議員定数の削減も約束していることですからやらなければなりません。面倒だからどんどん先送りということになりますと、7月に参議院選挙が来るわけで、「一体あんた方何しとったのですかね」となることが必然でありますので、かなり早い時点でしていかなければならないと思っています。
Q
新華社の郭です。中国との関係改善をどう考えているのでしょうか。自民党は中国といろいろなレベルでのパイプをどのように生かしていきたいですか。
A
中国政府との信頼関係を核にすべきと思っております。それは(尖閣諸島の)国有化をあの時期にやったことが正しいのかといわれれば、そこが中国政府にしては正しいとは思っていません。時期の問題もあったろうと思います。私どもとして領海・領空を守って行く、そして領土を守って行くという意思には全く変更はありません。妥協するつもりはありません。そこと中国との信頼関係は、お互い引越しするわけにいきませんので、中国が抱えている多くの問題をよく認識をしながら話をしていくことだと思います。それは妥協とかそういうことではなくて、お互い国益をかけて、腹蔵なく、忌憚なくというか、本音で話をするということですよ。お互いが相手を慮って遠慮しあって本当のことをいわない関係が良いことだと思っておりません。お互い国益を懸けておりますので、いうべきことはきちんと言う。国益はきちんと守るということですが、互いの抱えているいろいろな問題に配慮するということが必要だと思っております。まず信頼関係の醸成が必要でありますが、合わせて安全保障環境については、隙のないものを作って行くということを両立させていかなければなりません。