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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年7月3日(金) 10:35~10:55
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

 本日の役員連絡会ですが、高村副総裁からのご挨拶で、本日、維新の党が対案を持ってこられるので対応する。対案を作られるご努力には敬意を表するが、しっかり中身を見たい。いずれにしろ国会に提出され、政府案と一緒に審議されるようにしてほしいということでした。
 私(谷垣幹事長)からは、平和安全法制は、本日は集中審議ということで、着実に審議を積み重ねて進んでいる。本日は、維新の党から維新案の提示があるが、高村副総裁と稲田政調会長で対応していただく。それから、党としてさらに国民の理解促進を図っていくために、今、党則79条機関の「安全保障法制整備推進本部」というのがあります。江渡聡徳衆議院議員が本部長をやっているわけですが、これを「平和安全法制推進本部」に名前を改めまして、その下に新たな実働チームを立ち上げて、関係部署と連携して活動を展開していきたい。ご理解とご協力をよろしくお願いする。それから、いよいよ衆議院の審議も大詰めに来ているが、脇を締めて摺り足で進んで、いやしくも「驕っている」というようなことが言われることのないように頑張ろうということを申し上げました。
 吉田参議院国対委員長からは、本会議の日程等々についてご報告がありました。
 溝手参議院議員会長からは、参議院選挙制度改革でいろいろと動きが出てきているが、こちらも大詰めなのでしっかりやっていきたいというお話でした。
 伊達参議院幹事長からも同趣旨のご発言でした。
 佐藤国対委員長からは、平和安全特別委員会の日程について、本日中に中央公聴会の日程を決めたいということでした。
 茂木選対委員長からは、群馬県知事選は明後日、投票日であるので頑張ろうということでした。
 馳広報本部長からは、平和安全法制について、アニメ動画を本日からホームページにアップする。その他の広報展開も検討中であるというご報告がありました。

以上です。

質疑応答

 NHKの瀧川です。平和安全法制推進本部の下に置かれる実働チームというのは、どういう人がどのくらいの規模でというイメージで考えてらっしゃいますか。
 それはまだ今、検討中なのですが、実態的には、例えば今申し上げた馳広報本部長からご発言があった「映像を作る」などいろいろなことをそれぞれの部署でやってきているのですね。こういうときは、皆が「こういうことをやりたい」とか「ああいうことをやったらどうだ」などというご提案があって、対応できるものは対応してきたのですが、何かその都度対応していると何が何だか段々分からなくなってくるというか、もう一度その辺りを整理して、足らざるものがあればやり、今までやってきたものはやはりそういう全体的な視野の下にやろうと、概ねこういう趣旨であります。
 読売新聞の天野です。国民の理解を深めるために分かりやすく説明していくというようなチームなのですか。
 いろいろなことが必要なのはそのとおりなのですね。例えば、本日も議論がありましたが、色々な論点があるが、その論点で、与野党間で大体こういうことだなと、概ね合意ができていること、あるいは対立していること、「こういうことも整理しよう」など、いろいろなご議論があって、当初は分かりやすい説明ということが中心でした。映像等も分かりやすく理解できるものを作ろうということなどです。どこまで歩み寄ってきたかというのは、むしろこれは、私がこういうことを言っていいかどうか分かりませんが、論争を見ておりますと大体、細かく丁寧に議論をすると必ずしも国民に分からない、分かりにくいのではないかという計算を野党はかなりやっておられると思うのですね。だから問題を単純化して、私が言うといけませんが、細かいところをいわばやや大きめに、針小棒大とは申しませんが、大きめにして、分かりやすい説明をしていくと称しているというところがあるだろうと思います。ですから、なかなかどこまでが合意ができて、どこまでが対立しているのかということを、もう少し冷静な議論を望みたいなという気持ちは、私はテレビあるいは委員会審議を拝聴しておりまして、そういう感じがいたします。ちょっとやや自民党の宣伝めいたことになりましたが。
 日本経済新聞の酒井です。平和安全法制推進本部は、これまでのようにいわゆる中身を議論する機能も残しつつ実働チームも作るということですか。
 実動チームというのは、中身を議論するというよりも、どう理解を進めていただくようにするかというのが主たる狙いですね。
 日本経済新聞の酒井です。維新の党の修正案の話も出てきましたが、それをここで詰めるということではないのですか。
 いやそれは、本日は高村副総裁と稲田政調会長に出ていただいておりますが、やはり高村副総裁を中心に論点を整理していただくということになるだろうと思います。
 時事通信の大沼です。高村副総裁は、国会に維新の党の対案を早く出していただいて国会で審議するのが筋道だと言っていますが、幹事長は維新の党の対案についてどう思われますか。
 私は中身を全然知らないです。
 時事通信の大沼です。本日、対案を示された後、高村副総裁は国会で審議すべきだと言っていますが、幹事長としてはいかがですか。
 国会で審議するならば、法案になって出てこなければなかなかできないですよね。それは一体いつ、どういう形で出してこられるのか。我々も真摯に対応すると申し上げていますし、そのつもりですが、「出すぞ、出すぞ」という音無の構えでいつまでも、荏苒と日を送るというわけにはいかないとは思っております。
 テレビ朝日の千々岩です。維新の党の対案については、衆議院の審議も大詰めですが、会期が結果的にどんどん延長されていくような懸念もおありということですか。
 いや、まだ何にも分かりませんので、国会で協議するのかなどいろいろお問いかけがあるから、それはやはり国会で協議するなら国会に出していただくということになるのではないか。なかなかそれがいつか分からないということではなかなかと、ごく常識的なことを言っているわけです。
 読売新聞の天野です。昨晩、田辺誠元社会党委員長がお亡くなりになられましたが、何かエピソードなどあればお願いいたします。
 田辺先生は日本社会党、つまりかつて自民党と社会党が対峙していた時代の社会党を中心的に支えられた方です。私もいろいろご指導いただいたことがあります。もちろん、国会のなかでは野党の指導者でいらしたわけですから、対峙をするということも、対峙というと若輩が僭越ですが、そういうこともたくさんありました。しかし他面ですね、私は今もユニセフ議員連盟の会長というのをやっておりますが、当時私は事務局長というのをやっておりまして、田辺先生が社会党を代表して副会長、会長は伊藤正義先生がやっておられたわけです。随分、いろいろご指導いただきましてね、例えば、内戦中のアフリカの国のかなり奥地まで行くときに、議員団を派遣するとき、「私は日本食じゃなきゃ食べられない」とか、「ちゃんと布団が敷いてなきゃ寝られない」とかいう人ではできないですから、環境変化に耐えられる人を社会党代表で出してくださいなんて田辺先生にお願いして、ここから先はそう言うといけないかもしれませんが、「わかった」と田辺先生に言っていただいて、出していただいたのが岡崎トミ子さんでした。そんなこともあって、いろいろ田辺先生とは個人的にも懐かしい思い出がございます。心からご冥福をお祈りする次第でございます。
 朝日新聞の笹川です。平和安全法制推進本部についてですが、立ち上げはいつということになるのでしょうか。
 総務会に報告する必要がありますので、正式には来週の総務会で報告して了承を得るということになると思います。
 朝日新聞の笹川です。正式な発足としては来週の総務会の後ということですか。
 手続き的にはそういうことですね。
 朝日新聞の笹川です。一部報道ですが、昨日のBS日テレの番組に岩屋毅衆議院議員が出演予定でしたが、幹事長室からの指示で出演を取り止めたということですが、この事実関係について伺います。
それは、私は知りません。
 朝日新聞の笹川です。先週来、別の民放番組でも出演を予定していた自民党の議員の方が出演を取り止めるということが相次いでいます。こうした報道が相次いでいることについていかがですか。
 そういう報道が相次いでいるというのですが、よく分かりません。もっとも私自身としては、きちんと政府・自民党の考え方を踏まえて正面から議論をしてくださる方に出ていただきたいとは心から強く願っております。
 朝日新聞の笹川です。これについては、棚橋幹事長代理が各議員の方に対して出るのをやめるようにという連絡というか働きかけがあったと複数の議員の方がおっしゃっていますし、そういう報道もなされています。これについては、幹事長は把握されていないということでしょうか。
 私が申し上げているのは、私は、今のような事実は把握しておりません。ただ、こういうときに驕っているとか、そういう謗りを受けるような人は絶対に出さないでくれという気持ちは持っています。そういうことは棚橋幹事長代理に申し上げております。とにかく驕っていると言われるのは勘弁ならんというくらいのつもりで、勘弁ならんとはまだ棚橋幹事長代理には言っていないのですが、私の気持ちを申し上げるとそういう気持ちはございます。
NHKの瀧川です。本日、拉致問題の再調査から一年となるのを前に、北朝鮮から調査の報告の延期を政府側に連絡してきたということですが、この北朝鮮の対応を幹事長はどのようにお考えか、また党としては今後どういうスタンスで臨むお考えでしょうか。
 誠に遺憾ということに尽きると思いますね。今までも、大体一年くらいかかるなどいろいろなことがございまして、こちらから途中の経過を知らなければならないというので、北朝鮮に政府の担当者が出張したというようなことがありまして、そのときはまだ一年経っていなかったわけですので、もう少し辛抱も必要かというようなこともございましたが、やはり私どもとしては誠実な対応をあくまで求めなければいけないということだと思います。こういうことは、今まで対話と圧力ということでやってまいりましたが、どういうことができるのか、私どももしっかり考えなければいけないところかなと思いますが、少しまだその辺の分析も十分できてはおりません。
 共同通信の比嘉です。先ほど幹事長は、野党の審議の方法について「細かく丁寧に議論すると必ずしも国民に分かりやすくない議論をやっている」とおっしゃいましたが、この点についてもう少し伺います。
 もう少し申しますと、それぞれの党がどうやったら自分たちの主張が分かりやすく国民に伝わるかという、美しく言えばそういうことでありますが、しばしばそういうことで論点が単純化され、そして誇大に表現されるということがないとは言えない。今回もそういう面がかなり出てきているのではないかという印象を持っております。
 共同通信の比嘉です。それは、よく言われる「徴兵制の恐れがあるのではないか」などということを指していらっしゃるのでしょうか。
 徴兵制もそう言えばそうでしょう。しかし、何も徴兵制だけじゃなしに、全体の議論が賛成、反対の論点を国民方々によく理解していただくという組立てになっているのかなと思うことがしばしばございます。
共同通信の比嘉です。まだ国民には理解が進んでいるとは言えない状態であるということですか。
 国民の理解が進んでいるとおっしゃいましたが、国会の議論もお互いにもう少し工夫があって然るべきではなかろうかということを申し上げているわけです。つまり、理解をするのにいろいろな手法がありますが、国会の議論というものが的確に行われるということがやはり大きな意義を果たさなければいけないと私は思うのですね。国会議員としては、やはり国会の議論が、与野党が何を対立しているのかということを明確に浮かび上がらせるという役割がある。ところが、それぞれがやはり過度に単純化して、しばしばかなりの誇張をともなって、分かりやすさを求めようとすると、果たしてそれが国会の機能としていかがなものであろうかということです。私の一番嫌いな言葉の一つが「ディベート」という言葉でございまして、ディベートという言葉を聞いていると、とにかく論争のための論争ということがしばしばあるような気がするのですね。あまり脱線した感想を申し上げるのは差し控えます。
 東京新聞の大杉です。大西英男衆議院議員について、幹事長は27日(土)に対応されて、また再度厳重注意をされましたが、なぜそういう判断をされたのかということと、なぜこういう事態になってしまうのかということを幹事長はどのように考えていらっしゃいますか。
 一連の処分を発表したとき、会見をして申し上げましたが、一つは、わが党は言論の自由、報道の自由というのは民主主義の基礎を形作るものでありますから、もちろんメディアと政治家というのはある意味での緊張感が常にある、そういう職業の関係としてそうだろうと思います。ですから我々もメディアを批判してはいけないと思っているわけではありません。「こういうところは全然議論が違うのではないか」という批判は可能ですが、やはりメディアの存立というものが民主政治の根幹を形作っているものの一つであるから、言うなればスポンサー料をどうしろという話は、それは各企業がスポンサーになるときに、「こういう報道をするところには出せないな」というような判断をされる、それはそれぞれの自由ですが、権力にある者がその兵糧を絶つぞというのは言ってはいけないことだし、これは政治家としてそういうようなことを考えるのは、考えるのは自由なのかもしれませんが、私は、そういうことは自民党としては全くふさわしくないと思っていることがひとつ。
 それから中の方が必ずしも沖縄のことをおっしゃったわけではありませんが、沖縄の「占領されればわかるのだ」というようなことは、わが党には沖縄をどうしようかということで一生懸命取り組んでこられた先輩がたくさんいるわけです。 何度も何度も沖縄に入って沖縄の方々と対話を重ねられたりするなど、やはりそういう地道な努力を、ある意味でわが党は、ほかの党はなさっていないというわけではないのですが、しかしわが党はほかの党に負けないだけの熱意とボリュームでもってやってきたと私は思っています。そういう努力を無にするような発言である。誠に遺憾であるということです。そしてさらに申し上げるならば、その時はあまり申し上げておりませんが、今一番大事なことは自民党が謙虚な姿勢を欠いているのではないかというような見方をされるのが一番いけないと私は思っております。やはり摺り足でもって脇を締めて、私はたびたび繰り返しております。
 これは、こういうことを言うとまた余分なこと、「寡黙であれ」というのが私のモットーですが、何でそういうことが起こるのかということをおっしゃいました。政治家は時々、私のようなことばかり言っていると物事が進まないということがあるのです。私が最初、当選した頃、先輩たちの議論を見て、「そんなこと言っていいのかな」ということも部会でガンガン言っておられる。あまり私のようにおとなしい議論だけだと官僚と対峙できないということもあったと思います。だからやっぱり元気者がいるということ自体を全部否定してはいけないと思いますが、ここで今誤解をなさらないようにお願いしたいのは、「元気者だからといってすべて許されるわけではないぞ」ということです。日本社会の中には元気者の発言を許すというところがないわけではありません。そして元気者がいるというのは結構です。しかしそれはやはり自ずから超えてはならない則というものがあるのではないか。元気であってはいいけれど、驕っていると思われないように脇を締めていかなければならん。そういう時期だっていうのは私の基本認識であります。