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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年6月9日(火) 10:40~10:57
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日は、役員連絡会開催前に、町村信孝前衆議院議長の奥様が党葬を終えたということで御礼のご挨拶にお見えになりました。
高村副総裁からのご挨拶は、60年前に自衛隊ができたときにはほとんどの憲法学者が違憲と言っていたが、そのとおりにしていたら自衛隊もないし日米安保もなかった。日本の平和が保たれていたのか極めて疑わしい。私が批判するのは憲法学者ではなくて学者の言うことを無批判に受け入れる政治家だ、という趣旨のご発言でした。
私(谷垣幹事長)からは、今、平和安全法制について現場で審議に大変ご苦労をいただいているが、その上でより一層国民の理解を促進していくため、党として、昨日付けで、全選挙区・比例区支部長、各都道府県連会長・幹事長に対して街頭演説会や車座集会など開催の要請文書を出した。ご協力をお願いしたいということを申し上げました。また、一昨日は、青年局が全国一斉街頭行動を実施した。私自身も東京で街頭に立ったが、丁寧に説明しながら反論すべきところはしっかり反論して国民の理解を広げられるようにしていきたい。その上で、その他法案の審議を進めていく上でなかなか厳しい状況だが、こういうときは政府・与党一致協力して緊張感を持ってやっていこうということを申しました。それから、青森県知事選挙では、三村申吾知事が4選目の当選を果たすことができた。各位のご協力に御礼申し上げるということを申しました。
佐藤国対委員長からは、平和安全法制特別委員会は明日、質疑を行う。12日(金)も質疑を行いたい。また、重要法案の審議が山場を迎えているのでしっかりやって参議院に送付したいということでした。
溝手参議院議員会長からは、四会派が選挙制度改革について案をまとめて今、公明党と協議しているということです。
伊達参議院幹事長からは、北海道の街頭活動についてのご報告がありました。
茂木選挙対策委員長からは、青森県知事選挙についてと、18日(木)から群馬県知事選の告示であるというお話でした。
稲田政務調査会長からは、平和安全法制についての考え方を資料としてまとめた。また、年金情報流出問題についてのQ&Aも作成したということでした。
木原青年局長からは、一昨日の全国一斉街頭行動についてのご報告があったところです。

以上です。

質疑応答

Q
朝日新聞の笹川です。週末の各社の世論調査で、政権支持率が若干下がっていました。特に、平和安全法制について「説明は十分と思うか」という質問に対して「そう思わない」という答えがまだ多いようです。これについて本日、役員連絡会で話題に出たかということと、幹事長はどう受け止めていらっしゃるか、お願いします。
A
確かに先週後半、少し厳しい状況が出てきているというのは間違いないだろうと思います。問題はやはり、きちんと説明をするということでしょうね。ですから今は、例えば今度の法制に違憲性がありやなしやということなどは、私どもとしては、そういった問題は慎重に議論を進めてきて、「違憲性の問題はない」ということです。そういう資料も政調で作っていただいたわけですが、まずはやはり自分たちの支持者に、そういうことをよく納得してもらうように努力しようという議論ですね。
Q
朝日新聞の笹川です。以前の会見で幹事長は「国会の審議で論点が出尽くしているのではないか」とおっしゃっていましたが、いかがですか。
A
出尽くしてきているのです。出尽くして新たな論点というのは実はほとんど出てないと思います。それから、「説明が足らない」というのも、どこが足らないかという指摘は必ずしも明確ではないと思います。わが国の安全保障の議論は、たびたび申し上げていますが、「抑止が必要か」、「いや、抑止という考えがそもそも間違っているのだ。非武装中立がいいのだ」というのは、今そういう対立はなくなったように見えますが、議論の根底を探っていくと、やはりそういう戦後ずっと続いた議論があると思いますね。ですから、そういう議論の両方が突っ張り合いますと、具体的な理論になかなかならないというところがあって、「抑止はだめなのだ」という人に説明するというのはなかなか、「抑止が絶対だめで、非武装中立が絶対正しい」と思っている方になかなか説明も難しいところがあると思いますし、逆に言えば、非武装中立を信念としている方から抑止論を論破するのもなかなか難しい。もう少し具体的な議論になればいいのにな、というのが実は私の感じでございますが、なかなかそうではないというところがあると思います。
Q
TBSの加納です。平和安全法制特別委員会について、国会会期が24日(水)と迫ってきて、4日(木)の憲法審査会を受けて野党側も追及を強めていますが、会期内はなかなか難しい状況になってきたというお考えでしょうか。
A
いや、まだそういうことは判断しておりません。やはりまず我々の反論すべきところは反論し、説明が足らないところがあったらきちんと説明していくということを積み重ねる段階ではないかと思います。
Q
日本テレビの加藤です。高村副総裁の冒頭での発言について、民主党の枝野幹事長の発言を受けての発言だったと思いますが、枝野幹事長の発言のなかには幹事長もある意味名指しをされていましたが、幹事長としての受け止めをお願いします。
A
それぞれ憲法の見方はいろいろあるのだろうと思います。ただ、これもこの場でも申し上げておりますが、我々の依拠するのは、この憲法の判断のときには、やはり最高裁判所の論理がどういうことかということですね。それは、私どもは基本的に、わが国の固有の自衛権というものは否定されていないというのが最高裁判所の判断だろうと思います。そこでその固有の自衛権とは何かということですね。これについては、実は判決には詳しく述べられているわけではありません。一部には「それは個別的自衛権だ」という考え方もありますが、判決自体は個別的自衛権のみであるということも言っていない。「固有の自衛権」、一国の存立、国民の生存が、非常に危殆に瀕したときは何もできないはずがない、という発想が背景にあるのだろうと私は思います。そうすると、その固有の自衛権は何か、ここはまた論者によって意見が違うかもしれません。私はそういうなかで考えたときに、集団的自衛権も固有の自衛権、ただ、だからといって集団的自衛権が全面的に使えるというわけのものではない。これはもう、縷々申し上げるまでもないことですね。今までも個別的自衛権があるということはほぼ多くの方が認めていたと思いますが、個別的自衛権についても憲法9条下でそれが全面的に使えるわけではない。今までの新3要件ではない旧3要件というものがあった。そういうかぶりというか制限は当然、集団的自衛権が固有の自衛権に入るといっても、当然、憲法上の縛りはある。そういう文脈で私は理解をしております。
Q
テレビ朝日の千々岩です。高村副総裁の発言の趣旨は、憲法学者の言ってきたことをそのまま実践すると日本の平和と安全は保たれなかったのだということだと思いますが、幹事長は今回の高村副総裁の発言をお聞きになってどのように思われましたか。
A
高村さんと基本的に考え方は共通していると思っています。私は、日本の平和を守ってきたものは2つあって、1つはやはり外交だと思います。「平和外交」、日本は戦争を旨とするわけではない。法とルールにしたがって問題を解決していこう。それからやはり発展していく国をバックアップするなど、いろいろなことをやりながら平和外交に徹してきた。これは今でも、今現在、国際的にも高く評価されているところだと思います。しかしそれに加えて、やはり抑止力を整備してきた。その抑止力も、抑止といってもいろいろなことがあり得るだろうと思いますが、抑止に関しても必要最小限と申しますか、そこにやはり憲法の縛りがかかっているわけです。ですから、抑止とその外交の努力が日本の安全や平和を守ってきたと私は考えておりまして、その抑止に関してはやはり、よく言われることですが、あまり大きな隙間があったのでは抑止が成り立たない場合があり得るということだと思いますね。だからそこは、安全保障環境の変遷に伴って考え方に若干変化があるのは自然なことではないかという文脈で私は理解しております。
Q
テレビ東京の鵜飼です。非武装中立を信念とする方々になかなか理解してもらうことは難しいと思いますが、街頭演説などを見ていますとそういう意見の方もある一定の割合いて、全ての人が賛成する法案はなかなかないと思いますが、一般的にも理解が進んでいないような状況だと思います。こういう状況でも今の国会で成立を目指されるという姿勢に変わりはありませんか。
A
非武装中立というような考え方、今どれだけ多くの国民がそういう考え方を持っておられるかどうか、むしろそういう方はあまり多くないだろうと私は思います。ただ、今までの防衛議論はやはり基本的に「抑止対非武装中立」というような発想から積み重ねられてきた部分が、これは私の理解ですが、かなりそこにウェイトがあった。やはり今までウェイトを置いて議論されてきたことは、どことなく頭の中にというか発想の中に沈殿しているところがないとは言えない、そういう面が強いのではないかというのが私の見方です。確かにそういう意味でいろいろ理解が足らないとか、わからないとか、あるいは批判的な議論も出てくるのだと思いますが、これは、バッサバッサとやればいいなどとは私は毛頭思っておりませんが、それは着々と一歩一歩進めていくというのは当然のことだろうと思います。
Q
NHKの瀧川です。発言の確認ですが、「先週後半以降、少し厳しい状況が出てきているのは間違いない」というのは、何についてのご発言ですか。
A
政権の支持率もありますし、やはりこの平和安全法制に対する批判的な議論もある意味で強くなってきているというところはあると思います。
Q
NHKの瀧川です。「支援者に対して理解を訴えていこう」というのは、役員連絡会のなかでそういうお話をされたということですか。
A
「あれ、大学の先生などが違憲と言っておられるのか」という受け止めはないわけではないと思いますので、やはり我々の基本的な支持をしてくださる方に「そういうご心配はないのです。やはりきちんと憲法と論理を踏まえてやっているのです」ということは理解していただかなければいけないですね。
Q
TBSの加納です。今この平和安全法制の審議が進んでいるなかで、憲法審査会がこのような参考人の質疑などをすることに関しては否定的な意見も党内にはあると聞くのですが、幹事長としてはいかがお考えですか。
A
それぞれ仕事をしていただくのは結構なことだと思っています。ただ、私の基本的な考え方は、やはり部分だけを見ればどれも早く進める方がいいのだと思いますよ、良いものであるならば。ですが、やはり我々人間のやる仕事というのは、今何をやっているのか、何に集中すべき時期か、精力を何に注ぐべきかなど、どのような仕事でも当然そういう判断をしながら、力の分散は避けなければいけないという側面もありますね。だから、やはり全体で何をやっているのか、それぞれの方が自分の仕事を一生懸命やられるのは非常に結構なことだと思いますが、やはり全体を見ながら、それなり、回っていく態勢、それなり、収まる態勢、結局、与党の政治は、一つ一つは正しいことをやっているが全体はがちゃがちゃだということでは、与党の政治としては高い点は付けにくいですね。やはり全体がある程度収まっているという状況のなかで物事を進めていくというのは大事ですから、やはりそういう視点が必要ではないかと思います。
Q
TBSの加納です。そうしますと、これまでは与党側が「開催しよう」というスタンスでやってきたと思いますが、今度は野党側が開催を求めていく立場に逆転してくると思います。そのあたりはいかがですか。
A
必要な議論はなさったらいいですが、何をやっていくのか、それはつまり、勢力も分散はいけませんが、今全体がどういう状況にあるのかというなかで資源・人材・時間を投入していくのは当然だと思います。