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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年6月2日(火) 10:34~10:54
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日の役員連絡会ですが、冒頭、昨日、町村信孝衆議院議長がご逝去されましたので全員で黙とうを捧げました。
高村副総裁からのご挨拶は、平和安全法制の審議は進んできて、問題点も出尽くしてきている。安倍総理の答弁に対してはいろいろ野次などもあるが、しっかり説明して国民の理解を得ていきたいということでした。
私(谷垣幹事長)からは、まず町村前議長のご逝去について、当選12回のご経歴で、衆議院議長、文部大臣、科学技術庁長官、外務大臣、内閣官房長官等々を歴任されました。在職年数が31年4カ月。以上のご経歴により党葬ということになります。そこで通夜は4日(木)18時から、葬儀は5日(金)11時から青山葬儀所において、町村家・自民党合同葬という形で執り行うということを申しました。
平和安全法制法案につきましては、連日、総理はじめ政府において丁寧また的確な答弁をしていただいていると思っている。引き続きしっかり議論を進めて、国民の理解をさらに深め、成立に向け努力していきたいということを申しました。また、先週、鹿児島県の口永良部島の爆発的噴火、それから週末の小笠原諸島西方沖での地震で関東中心に全国的に揺れを感じたという件で昨日、政調で火山・災害対策合同会議を開催していただいた。必要な対策を講じるべく、党としても政府をバックアップしていきたいということを申し上げました。
佐藤国対委員長からは、平和安全法制特別委員会は、昨日までに22時間の審議を終えた。与党から3日(水)、5日(金)の審議を提案しているが、野党は「TV入りなら受ける。TVなしでは受けない」という対応をしているというご報告がありました。
吉田参議院国対委員長からは、参議院の委員会日程、本会議の日程についてご報告がありました。
茂木選対委員長からは、参議院選挙に向けた準備を進めていくというお話がありました。
稲田政務調査会長からは、火山・災害対策合同会議の開催についてお話がありました。
馳広報本部長からは、最近の世論調査の動向についてのご報告がありました。
平沢中央政治大学委員長からは、中央政治大学院で今まで「まなびとプロジェクト」というものをやっているが、女性を対象とした「まなびとWOMEN」というものを開講するというお話がありました。

以上です。

質疑応答

Q
フジテレビの山崎です。本日、選挙年齢を20歳から18歳へ引き下げるという公職選挙法の改正案について委員会で採決される見通しで、6月中旬にも成立するということですが、改めてこの法案の意義と、民法や少年法との兼ね合いについて幹事長の所見をお願いいたします。
A
選挙権を得る年齢を18歳とするというのは、日本では今まで20歳でしたが、これは民法上の成人年齢などと合わせているわけですが、国際的に見ると18歳というのが流れとなっているように思います。そういう意味では、日本も国際的な動向に合わせたというように思うのですね。ただ、そうは言いましても、やはりそれに合わせた主権者教育というものをしっかりやっていかなければならない。これに関連しては、私の理解が正しいかどうか分かりませんが、私は昭和20年の生まれですが、当時私が小学校に入った頃は、社会科教育というものの意義が非常に強調されておりまして、終戦前までは、体制としては選挙権というものは男性が持っていたわけですが、一応憲法上は天皇主権であった。それが国民主権ということになって、やはり主権者としての教育を推し進めなければいけないという意味合いのことが相当議論されていたのが昭和20年代だったと思うのです。そうなのですが、あまりそれが最近では強調されないというか当たり前になってきていたのかなという感じがいたします。改めて18歳になったということで、主権者教育みたいなことをいろいろな形で行う必要があるのではないかと思います。それから、これは現在の日本の社会情勢というか、ご承知のように財政赤字というものも非常に積っている。これは将来に向けての負担になっていく場合、単に18歳ということだけではなくて、未来の世代にどう責任を取っていくかということも私どもは考えていかなければいけない。その意味で、決して今の18歳以下の方と無縁というわけではないのですが、2歳引き下げるというのはそういう意味合いがあるのではないか。また、日本の主権者教育ではそういう意味合いを十分活かしていかなければいけないのではないかというようなことを今、思っています。
   それから民法上の年齢とはどうかということになりますと、これは民法上の18歳を成人にするということはそれだけ早く権利を獲得するということでもありますが、同時に保護がなくなるということでもあります。今までで言うと、例えば未成年が契約をした場合に親権者はそれを取り消すことができる。軽率な契約などをしてしまって、場合によってはそういうことをできる仕組みになっているわけですが、18歳で成人だということになるとそういうことができないわけですから、これについてもしっかりした成年教育というようなものが必要になるのではないかと思っています。
   また刑法では、これはまたいろいろなご議論があると思いますが、私はまだ18歳というのは刑事罰という点で言えばまだ人格がフレキシブルな時期ですから、少年院等々少年法の下における矯正教育というのは成人と違う面がありまして、一般の成人年齢が仮に引き下げられたとしても、あるいは有権者になったとしても、少年法の矯正教育というのは十分意義を持ち得るのではないかと私自身はそう思っております。
Q
日本経済新聞の酒井です。新たに240万人の有権者が加わると言われていますが、自民党として支持の獲得に向けて、インターネットを使うなどいろいろあると思いますが、どのようなことを考えていますか。
A
まだ十分検討が進んでいるわけではありませんが、やはり先ほど成人教育や有権者教育ということを申しましたが、党としても何かそういうことをできるのかどうか、そういう辺りも検討課題だと思いますし、インターネットの活用などということについても実は、私自身はもう大分18歳とは年が離れておりますのであまりよく感覚がつかめないのです。やはり青年局辺りで少しその辺をどうしていくかということも、青年局とは限らず全体の選挙制度そのものなども関連してくると思いますが、少し考えてもらいたいなと思っております。
Q
日本テレビの加藤です。本日は皆さんかりゆしウェアを着てらっしゃるということで、それに関連して例えば沖縄県の基地問題など政治課題について役員連絡会でお話は出たのでしょうか。
A
特段、沖縄の政治情勢について話があったわけではありません。
Q
朝日新聞の笹川です。確認ですが、町村前議長の党葬の葬儀委員長は安倍総裁ということでよろしいですか。
A
はい。党葬は総裁が委員長という形になるわけです。
Q
朝日新聞の笹川です。参議院の選挙制度改革について、昨日の役員会では溝手参議院議員会長から「与党で議論の取りまとめに努力したい」という話があったということですが、幹事長としてはどのようなことを期待しますか。
A
今まで各党入れてやってきたのはどうもまとまらないということで、まずやはり自公で整理をしなければということだろうと思いますね。ですから、一つはやはり憲法上の要請ということが基本的にある問題ですね。ずっと議論されてきたことにはそういう背景がある。他方、これは自民党の主張ということになると思いますが、主権者として一票を行使するわけですね。自民党はやはり主権者意識というものと、これは自民党というよりもやや私個人の表現になるかもしれませんが、自分が例えば、私の場合で言えば京都府民であるとか、鹿児島県人であるという意識と、主権者意識というのがそう簡単に切り離せない構造になっているのだと私は思っているわけです。やはりそれだけ都道府県制度というものは国民の政治意識と深くかかわっているわけでして、そういう都道府県制度というものも基本に見据えながら、という議論を自民党はしてきたと思いますね。ですから、その調整をどう図っていくか、自民党の方からするとそういう課題だろうと思います。また公明党は公明党で選挙制度に自民党と必ずしも同じ視点で見ておられるわけではありませんので、そこをどう調整していくかということだろうと思います。
Q
朝日新聞の笹川です。そうしますと、公明党の主張している「合区」というのはかなり難しいということですか。
A
私は直接の交渉当事者ではありませんから、それ以上の個人的見解は差し控えたいと思います。
Q
時事通信の大沼です。昨日、自転車の罰則規定などを盛り込んだ改正道路交通法が施行されましたが、自転車愛好家の幹事長としてこういうルールの必要性についてどのようにお考えですか。
A
長い間、「歩道通行可」、自転車は歩道を通行してよいという意識が日本の自転車乗りの頭の中には染みついているのだろうと思います。私どもの子供のころは、自転車は車道を走り左側を走るもの、つまり「車両」であると教わり、学校でも教わってきたのですね。ところが、モータリゼーションが進行していく過程の中で、車と自転車の事故というようなものが起きてきて、やはり車優先の考え方が背景にあって基本的に車道は車の走るところという観念が強くなっていった。それで、自転車に乗る人を守るために「歩道通行可」ということにしたのだと思います。そこで、自転車に乗る人たちは「自分たちはどこをどういう方向を向いて走るのか」という意識が基本的になくなってしまったというのが今までの日本の自転車に関する交通規制の現状だろうと思います。そうしますと、車両であるから左側を走るのが、歩道を走ると自分は歩行者のような感覚になって右側通行だと思う。つまり、どちら側を通行するかという意識のない自転車乗りが非常に増えているわけです。そうすると、我々が左側を走っているときに逆走してくる人にまま出会うことになる。車を運転されれば、車は左側を走るものですから対向車が来たときにどちら側に避けるかということは感覚的に、肌の感覚としてルールができていると思います。多くの自転車乗りは、対向車が出てきたときにどちらに切るのが正しいのか感覚がないのです。自分が右側通行だと思っていれば避ける方向は右の方に切りますね。ところが、左側通行だと思っている人は左側に切るわけですよね。そうすると、車道で対面したときにお互い同じ方向に避けるということになる。こんな怖いことは実はないのです。ですから、もう一回自転車に乗る人たちが自分たちの道路における通行の基本は何かというのを徹底しなければならない状況になっていると思います。もちろん、そういうルールの尊重やルールを作るということだけで問題が解決するわけではありません。自転車の走行する道路がより走りやすい形になっているか、危険ではないかどうかというようなものも大事なことですし、それから小さいお子さんが車道を走るということが可能かどうかといえば、それはなかなかそうではない状況もたくさんありますね。そういう状況なのです。
 それからもう一つ必要なのは、自転車が車道を走ることが原則だとすれば、車の運転手のなかには「大体自転車がちょろちょろ走っているから走りにくくてけしからん」と思っている人も、私はたくさんいるように思います。ですから、「道路は皆のためにある」、ちょっと横文字を使えば「シェア・ザ・ロード」という考え方が自動車のドライバーにもなければいけない。もちろん、サイクリストも当然、車と一緒になって車道を使うのだから、例えば車があって、信号などで車がずっと連なっていると左側をばっとすり抜けていくような自転車乗りというのがたくさんいるのですが、やはり車と一緒に走るときに、道路を共有するときにどういう振る舞いを自分たちがしたらいいかどうか。すみません、どうも自転車の話だからついついご質問を機に長々と答弁いたしました。
Q
テレビ東京の鵜飼です。例えば日本の場合は、道路にいろいろな種類があって、例えば虎ノ門ヒルズの前のような自転車専用レーンがあるところもあればそうでないところもあったり、一本道のところもあったり、また歩道に自転車走行スペースがあるようなところもあったり、規制が進んでいる一方でインフラの方がまったく追いついていないような印象を持つのですが、規制ばかり進む現状について幹事長のお考えをお願いします。
A
規制が進んでいるといえばそうかもしれませんが、かなりこの頃は青い線を引いてそこに矢印をつけたりして、つまり「逆走するな」ということですが、自転車の走る位置を明示したりするような努力も行われております。ただ、全体が走りやすくなっているかといえば、必ずしもそうではなくて、やはり走られればすぐお気づきになると思いますが、自転車乗りにはどこでも「東京のあそこはちょっと右に曲がりにくいね」などいろいろありますね。そこはもう少し道路行政というか、あるいは交通規制の行政でもよく工夫していただきたいことはたくさんあるのですが、これは一挙に全部改まるというのはなかなか難しいと思いますから、粘り強くやっていかなければいけないのではないかと思います。