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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員会後)

平成27年5月25日(月) 17:45 ~18:02
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日の役員会ですが、安倍総裁からは、一つは太平洋島サミットが開催され、これに出席したというお話です。それから、明日から平和安全法制の審議が始まる。自衛隊員のリスクが高まるといった木を見て森を見ない議論が多い。自衛隊員のリスク以前に安全保障環境が厳しくなってきており、国民の安全リスクが高まってきているのではないか。その国民のリスクは自衛隊員が担っているのであって、切れ目のない法整備によって抑止力を高め、国民の安全リスクを低くしていくための法整備である。本質的な議論をしっかりやっていきたいというお話でした。
高村副総裁からは、リスクだけではなくコストの話もある。今の安全保障環境のなかで一国だけでやるにはコストがかかりすぎということもある。本質的な議論をしていきたいというお話でした。
私(谷垣幹事長)からは、明日から平和安全法制が本格的な審議に入って、稲田政務調査会長が質問に立たれるが、世論調査を見ても国民の理解がまだ深まっていないのでしっかり本質的な議論をして説明を尽くしていこうということを申しました。
佐藤国対委員長からは、本会議日程についてご報告がありまして、平和安全法制特別委員会の日程については、27日(水)、28日(木)に総理テレビ入りで審議を行いたいというお話がありました。
稲田政務調査会長からは、本質的な議論ができるような質問を明日、していきたいというお話でした。

以上です。

質疑応答

Q
産経新聞の力武です。先ほども少し世論調査のお話がありましたが、弊社が先週末に行った世論調査でも平和安全法制について「よく理解している」という方は半数以上いるのですが、今国会内で成立させるという姿勢については「反対」がこれまた半数を超えておりまして、こういった結果についてまず率直にどう思われるかということと、今後、明日から始まる審議に改めてどのように国民の理解を求めていくかということについてお考えをお聞かせください。
A
これは、多分今までの安全保障の法制度の概要が頭に入っていると、今度何が起きてきているのか割と分かりやすいと思うのですね。しかし、多くの方はなかなかまだ、今までの体制も、こういう例えば周辺事態法があり何々がありなどといったことをどこまで十分理解しておられたかということもあるだろうと思います。ですからそういう意味で、何が変わって今度はどういう仕組みになるのかというのを理解していただくのはなかなか大変だということはあると思いますね。一番基礎的なことから説明をしていくということを積み重ねていくしかないのではないかと思います。今までも、この会見でも申し上げたことがあるかもしれませんが、常にこういう平和安全法制をある程度変えていくときには大概、最初は相当な拒否反応、拒絶反応があるのは今までの例でした。それは、やはり誇大に危険性を誇張するような論調も他方にないわけではなかったということもあると思いますが、説明していくうちにだんだん理解が進んでくるというのは今までの例でもあったと思います。
Q
朝日新聞の笹川です。冒頭のご説明にありましたが、役員会では総理からは自衛隊員のリスクの問題が取り上げられているのは木を見て森を見ない議論であると言われたという理解でよろしいですか。
A
木を見て森を見ないというのは、自衛隊員のリスクということばかりを言うのではなく、まず日本国民の安全のリスクというのが高まっているのだ、というご趣旨だったと思います。
Q
朝日新聞の笹川です。それに対して幹事長はどのように受け止められていますか。
A
やはりある意味での安全保障環境が変わってきているので、切れ目のない抑止の体制を作りたいということを別の表現をすればそういうことになるのだろうと思います。
Q
朝日新聞の笹川です。ただ一方で、自衛隊員のリスクが高まるということを認めた上でそういう必要性を訴えるということもできるのではないかと思うのですが、いかがですか。
A
そこは、何と何を比較して「リスクが高まっている」とおっしゃっているのか私はよく分からないのですね。今までも、一度もそれを発動したことはありませんが、個別的自衛権を発動しなければならないときの自衛隊のリスクというのは当然あったわけですね。一度も発動はされなかったが、では日本国自体が攻撃をされたときの自衛隊のリスクと、ああいう新三要件の下で集団的自衛権の、これはごく一部といえば一部なのですが、発動されたときの自衛隊のリスクと、どのように比較をするのかなということを議論してみますと、どうリスクが違うのかなということです。私は、元々リスクがあるのだと感じています。これが論理的な説明かどうか分かりませんが、私はそういう感覚ですね。
Q
朝日新聞の笹川です。本日、衆議院議員の資産が公開されました。資産がゼロであるという議員の数が75人と過去一番多くなったそうです。この理由について幹事長はどのようにお考えですか。
A
分かりません。ただ、このところ何度か選挙をやりまして若い議員が増えてきている。そういう方の中にはまだほとんど資産も形成していない人がおられるということはあるのかなと思います。そういうことではないでしょうか。私は、初めて選挙に出たとき大して資産はなかったのですが、父が亡くなったので出たのですが、父が亡くなったとたんに相続と言っても大した資産ではないですが、相続したので多少資産ありげに見えましたが、父が亡くなる前はまったく着たきり雀のような状況でしたから、そういうことがあり得るかもしれないなと思ったりします。
Q
共同通信の比嘉です。個別的自衛権と集団的自衛権の話で見ると幹事長のおっしゃるとおりかもしれませんが、自衛隊員の後方支援の幅が今回の平和安全法制ではかなり広がると思います。自衛隊員が後方支援をしている最中に、戦場ではないところでの活動とはいえ、そこに例えば攻撃が加わるなどといったリスクは増えるのではないかと思いますが、その点はいかがですか。
A
私は、先ほど申し上げたように、必ずしもそれは、今までもあったリスクではないかと思っています。ただ、結局のところ、安倍総理が言われているように、今までも自衛隊員はいろいろな形でのリスクを負っていた。宣誓もしてあの仕事に就いているわけですね。むしろ今高まってきているのは、国民全体のリスクだと思います。ただ、こういう議論をするときにお互いに注意をしなければならないのは、今までも、私はたびたび申し上げているかもしれませんが、ある国が急速に力を伸ばしていく。経済力も軍事力もつけてくる。そういうことがしばしば、場合によっては非常に難しい状況で戦争の原因になったことがあります。そういうときに何が問題化というと、お互いに疑心暗鬼が生ずるわけですね。「おれたちの方が相手の力によって包囲されているのではないか」と双方が思っていることがしばしばあります。ですから、少しご質問の趣旨と違ってしまうかもしれませんが、やはりお互いの手の内というか、そういうことを十分知るということが大事です。私が野党総裁のとき、習近平国家主席がお見えになったときも十分中国側の軍事拡張の意図や中身を明らかにしてほしいということを申し上げましたが、リスクがある、ないという議論も大事なのですが、やはりお互いにそれぞれの意図を明確に伝え合って、皆さんのご質問の中に必ずしもそういうご質問がないのが私は残念でして、お互いの意図を十分に伝え合って、双方余計な距離感やリスク感を持たないようにしようということをもう少し皆さんも強調していただけたらと思います。
Q
朝日新聞の笹川です。資産公開の範囲で、普通預金や親族名義の資産などが公開の対象になっていないということや、虚偽の報告をしても罰則規定がないことなどがしばしば問題になるのですが、今まで法改正がされていません。この法改正の必要性についてはどうお考えでしょうか。
A
普通預金というのは、当座預金とは違いますが、私の場合でものべつ変化しています。例えばカードなどを使ったときに入れなければならないなど、しょっちゅう変化しています。あれを全部公開するといっても、それは家計簿を見せろというのと同じようなことで、しょっちゅう変動していますから、そういう意味で普通預金は公開しなくていいということになっているのだと思います。私はそれで差し支えないと思います。普通預金などの場合ですと、どんどん変わりますから、それを全部フォローしろといってもこれはなかなか容易なことではありません。だから、そういう意味で合理性のことではないかと思います。親族名義の資産については、例えば昔は共稼ぎでないご家庭も非常に多かったから、奥さん名義にしておいて脱法行為をする人もあるいはいたかもしれません。しかし今日、それぞれ自立して働いている方が多い中で、私は親族名義のものを全部公開せよというのはやや過ぎた要求ではないかと思っておりまして、私はそういう必要はないと思います。むしろそういうことよりも、ずっと常に公開しなければいけないわけですね。だから、先ほど申し上げた普通預金などでも、どのように変化しているかというのを追える体制になっているわけですね。あるとき、いきなり爆発的に資産が増えたということがあると「これは何だったのだろう」ということになるのでしょうが、そういう経緯が見られるということが大事ではないかと思います。
Q
TBSの加納です。先週金曜日に中谷防衛大臣が新たな法制で自衛隊員のリスクが高まることはないと明言されましたが、安倍総理はリスクが増大するかどうかということに関しては明言を避けていると思います。こうした大臣の発言はこれから野党側から追及される可能性が出てくると思いますが、幹事長はどのようにお感じでしょうか。
A
中谷防衛大臣は、私はご本人ではないのでどういう意味でおっしゃったのか細かに聞いたわけではありませんが、おそらく中谷防衛大臣のご発言の意図を忖度しますと、先ほど言ったように、要するに自衛隊員は国家国民の危急のときには一身をささげるというような、文言が正確でないかもしれませんが、そういう誓約をしていて、昔からリスクはあったのだと中谷防衛大臣は考えておられると思います。今急にリスクが高まると言われるが、それはもう昔から当然リスクを背負って、あの方は元々自衛隊のご出身ですから、そういう思いが強いのではないかと想像しますが、しかしそういう意味でおっしゃったのか私はよく分かりませんが、私はそのように理解しております。