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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年4月24日(金)10:30~10:55
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)

谷垣 禎一幹事長

今朝の役員連絡会ですが、高村副総裁からのご挨拶で、安保法制の与党協議は5月11日(月)以降、各党の法案審査に入ると思うのでよろしくお願いするということでした。各党というのは自民党・公明党ですね。
私(谷垣幹事長)からは、今週26日(日)が統一地方選挙後半戦の投開票日で、私も本日世田谷区に入りますが、最後まで勝利を目指して頑張ろうということを申しました。また、先日の町村衆院議長の辞任に伴う一連の事態、これは周知のことでございますが、報告をいたしまして、大島衆院議長の選出により党則79条機関の東日本大震災復興加速化本部長の後任に、今まで大島本部長の下で本部長代理をやっておられた額賀福志郎先生にご就任いただくということを申しました。それから、総理官邸の屋上にいわゆる「ドローン」が見つかった事件で、政府はもとより党としても検討すべく、稲田政調会長にお願いして、治安・テロ対策調査会、これは森まさこ先生が会長ですが、そこで議論していただくことにしたのでよろしくお願いするということを申しました。
それから、いわゆるクールビズですが、本年も5月1日(金)から10月31日(土)までの間ということで、具体的な服装については衆参両院の議運理事会における申し合わせに準じるということを申し上げました。また、これから連休がございますが、次回の役員連絡会は、5月12日(火)9時30分からとするということを申しました。
それから、本日は参議院の本会議がありますので参議院の方から先にご報告をいただきました。
吉田参議院国対委員長からは、本会議日程についてのお話がありまして、参議院先議をすべて衆議院に送付することになるというご報告でした。
溝手参議院議員会長からは、そろそろ統一地方選挙も終わるので選挙制度の議論に本格的に取り組んでいくというご報告がありました。
伊達参議院幹事長からは、統一地方選挙の後半戦をしっかり戦っていきたいというお話がございました。
佐藤国対委員長、林議運委員長からは、本会議日程等についてご報告がありました。
茂木選対委員長からは、統一地方選挙の後半戦についてのお話がございました。
稲田政務調査会長からは、「ドローン」の事案については本日、治安・テロ対策調査会で議論するというお話がありました。
二階総務会長からは、「ドローン」の事案については、政府・党が連携して、できることなら今国会でしっかりやっていかなければいけないというお話がございました。
馳広報本部長からは、最近の各社世論調査について報告があったところです。

以上です。

質疑応答

共同通信の比嘉です。高村副総裁のお話にもありましたように、安保法制がいよいよ大詰めで、今後国会審議に移りますが、国会審議の審議時間やスケジュール感について、お話しいただける範囲でお願いします。
今国対でいろいろ、佐藤国対委員長が過去の事例を調べるなど思案を巡らせているところだと思います。私としては、やはり丁寧に議論をしていかなければいけないというのが基本だろうと思っておりますが、私から今申し上げられることはそのくらいですね。
共同通信の比嘉です。5月20日(水)にQT(党首討論)がありまして、そこでもかなり安保の議論があると予測されますが、そういったQT(党首討論)や国会審議を通じて国民にも説明していくというお考えですか。
今までのQT(党首討論)を見ておりますと、どちらかというと総理側が何か問題提起をされるというよりも野党の党首から問題の提起があって総理が反論されるという形が多いと思いますね。しかしおそらく、この日程感から見ますと、野党の方からも何かこの問題についてのお考えの開陳があり得るだろうとは思いますね。ですから、実質的にはこの日がキックオフになるのかもしれません。しかしこれはまだ、私どもが決めることではありませんので、そのような感じではないでしょうか。
時事通信の大沼です。先日、5か月ぶりに日中首脳会談が実現しましたが、その受け止めと、幹事長もこの間訪中されましたが、高村副総裁や二階総務会長も訪中を控えております。今後の日中関係ではどのようなことに期待するか、お願いします。
日中双方の認識とも、昨年の11月のAPECで安倍総理と習近平国家主席の会談ができて、そこで完全に成果が十分挙がったかどうかは別にしまして、大分改善というか道筋が拓きつつあるというのが双方の共通の認識であると思います。私も中国に参りましたが、例えば議会間の交流も再スタートするというようなことになりまして、いろいろなことが積み重なってきております。ですから、大分そういう意味ではいろいろな交流が、意思疎通もできてきたということを踏まえて、今回のバンドンで会談があったわけですので、大分いろいろな実が挙がってきてよい流れになってきているのではないかと思います。ですから今後とも、当然こういうことは戦略的互恵関係を踏まえて進んでいかなければなりませんし、むしろいろいろな問題があるときこそ双方が今までのパイプを使っていろいろ協議をしていく、話をしていくということが大事ではないでしょうか。
日本経済新聞の酒井です。IR推進法案(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案)について本日、自民党の提出者となる方が公明党の部会で法案の説明をして、来週以降の提出を目指すということのようです。改めて幹事長の法案に対する考え方、今まで慎重姿勢であったと思いますが、いかがですか。
私の基本的スタンスは、この国会は、特に後半、重要案件がいくつもございまして、特に安保法制をどのようにしていくかが最重要課題だと思っています。そういう中で、おそらくこの法案を議論するとなると、これはまだ決まったわけではありませんが、内閣委員会でやるのか国土交通委員会でやるのかということになります。しかし、内閣委員会は常に案件が手一杯の状況で、ここでやるとなるとそこでどう審議の計画を作っていくかということは容易ではありません。国土交通委員会でやるということもそう簡単ではないようにも思いますので、どこでどのように議論していくかというのは相当緻密に考えなければ、要するに出したものの店晒しで終わるというのがいいこととも思えませんのでね。今後どういうふうに審議をしていくかというのは、相当注意をして設計していかなければいけないのではないかと思っております。
日本経済新聞の酒井です。国会日程ということと、慎重意見というのも与党の中にはあるという観点も法案成立が難しい背景にあるということですか。
まだ法案成立が難しいと言ったわけではないのですが、かなり緻密に設計をしていかないと簡単ではないと思います。
日本テレビの矢岡です。バンドンでの安倍総理の演説で、「侵略」や「植民地支配」には触れられず、「大戦への深い反省」には言及をされましたが、それについてどうご覧になったかということと、安倍総理は訪米してまた演説されますが、これについてどのような期待を持ってらっしゃいますか。
私は、要するに20世紀の時代はいろいろなことが起こったわけです。これは、日本も20世紀の世界の中で非常に大きなプレーヤーであったわけですが、日本だけではなく世界各国で今の基本的な考えとは違う行動がかなりあったのは事実だと思います。というか、現在の体制そのものが20世紀のいろいろな、日本を含めての活動に対する反省というか、そういうものの上に成り立っているという面があるわけですね。ですから、過去の反省というものをきちんとやる。それは繰り返しおっしゃっていますね。その上でやはり大事なことは、反省を踏まえてできた仕組みの中で、日本は非常に重要な役割を果たしたと思います。平和国家として生きてきた、そのことは我々の誇りでもあるわけですが、やはりそれをきちんと引き継いでいく、継続していくということが大事なポイントだと思いますね。その上で、将来に向かってどのようなメッセージを出していくかということ、そういう組み合わせでやっていこうという考え方は極めてオーソドックスなものではないかと思います。
北海道新聞の村田です。昨日、憲法審査会の幹事懇談会がありまして、5月7日(木)から第二回の憲法審査会が開かれることが決まりましたが、自民党側としては、緊急事態条項の議論などもしたいということもお話されたようです。この憲法審査会の議論の進め方についての幹事長の考え方を改めてお願いします。
私は、今まで憲法審査会、我が党では中山太郎先生などがいろいろ積み重ねてこられた。それは、一つの党派の考え方で押し切るというようなことではなかなかできることではないので、数の論理ではなくて各党各会派に平等に発言の機会を与え、丁寧に運用してきた。やはりその基本的な姿勢は間違っていないと思いますし、今後ともそういうことでやっていかれるのが正しいのではないかと思います。その上で、いろいろな考え方の方が国会の中にはいらっしゃるわけですが、過去の日本のイデオロギー論争の中で、憲法をどう扱うかというのは非常に大きな役割を果たしてきたというか、位置を占めてきたわけですね。だから、この議論もやりようによって大きなイデオロギー的議論になる議論でもあるのです。そういうアプローチの反面、やはり今の憲法も人間のつくったものですから、完璧に出来上がっているものでもないのですね。しかも、できてから70年近くの歳月が経っているわけですので、その間に「ここはやはりどうも欠けているな」と思われる点があるのだろうと思います。私は、まずはそういう、「やはり今の憲法では、何か起こったときにこれではうまく機能しないな」と皆が感じているところがあって、それはこういう政治の中でいろいろな駆け引きがありますから、それを会派によって明言するとしないとに関わらず、今までの記録を見ますと、実際のところ「皆がそこのところは感じているのだ」ということがかなりあるのではないかと思います。「かなり」がどれくらいかは人によって見方が違うと思いますが、やはりまずそういう欠点というか、欠けているところをどうやって補っていくかという議論が私は望ましいのではないかと思っています。そういうことになりますと、緊急事態をどうするかというのも、実はいろいろな緊急事態が想定されるわけですが、東日本大震災で、やはりあのとき具体的に選挙ができなかった。あれは地方選挙でしたから法律でカバーできる面があったわけですが、憲法事項はなかなか法律で補うというわけにはいかない面もありますので、ああいうときに例えば被災地を代表する国会議員の選挙、任期が切れていなくなってしまうということでいいのかどうかというのは、やはりそこは問題があるなと思っている方は多いのではないでしょうか。まずはそういうところを取り上げるというのがあるべき姿ではないかと私自身は思っています。
東京新聞の宮尾です。統一地方選挙で無投票当選が非常に増えているということで、幹事長は12日(日)の夜に、「今回に限っては」という留保をつけて、「野党が十分な候補を立てられなかった」ということを原因として指摘されておりましたが、より根本的には成り手不足ということもあるかと思います。改めてこの問題の原因をどのように考えているか、また改善するためにはどうしたらよいとお考えか、お聞かせください。
人員不足ということももちろんあるのですが、これは例えば都道府県議会と政令指定都市より大きな団体の選挙と、市町村議会議員とでは問題の所在が違うのではないかと思っています。私は、市町村議員の場合には、実際は報酬等がかなり、私が聞いている話では、「地元でどうしても立てられないときにどうして出てもらえないのか」と聞くと、やはり率直に「この給与では持ち出しでやっていられない、無理だ」、「財産があるならともかく小さな商店街をやっているだけなので、自分が議員になるとお母ちゃんに全部店を任せることになるのだけれど、それでは持ち出しでやっていけない」というようなことが現実にはかなりあるように私は思っています。どちらかというと、今「身を切る改革」という言い方が流行語でして、やや反時流的言質になるかもしれませんが、つまり昔のように名望家が例えば村議会議員になる、その名望家のお宅は田地田畑もかなりあってというような方が議員をやるという時代とは少し違ってきておりますので、本当にこれでなり手があるのだろうか。
 それからもう一つの問題は、例えば持ち出しであっても社会的な名誉が極めて高いというようなことであると、「持ち出しでもかまわない、自分がやるのだ」という方もあるのかもしれませんが、総じて言うと、批判は多いがなかなか「あんた、ようやっとるな」と言ってもらえないところが私はあるような気がします。ただ、これは自治体のいろいろな行政の質にもよりますが、やはり現実にはかなり自治体・行政が、今の言葉で言えば「上から目線」でやっていて、ここも言葉がいいかどうか分かりませんが、自分の集落から出ている議員さんが怒鳴りこんでくれるとそれが改まったなど、怒鳴りこんだという言葉がいいかどうか分かりませんが、やはり議員から「町長、あれはちょっとまずい」と言ってもらうと、なるほど後がうまくなっていくというようなことが現実にはありますので、やはりいい方に出ていただいて、あまり怒鳴りこみというのが横車を押すようなものでは困るのですが、住民が本当に困っているようなことを行政に向かって、面と向かって指摘できるような方がやってくださる方が必要なのですが、そればかりが問題というわけではないと思います。つまり、先ほどおっしゃったように、働き盛りが少ないなど、さっきのことと重なっておりますが、働き盛りの人で、皆が「ああいう人にやってもらいたいな」と思う人は、現実には商店街の会長であったりPTAの会長であったり、いろいろな役がみんなやってきて「そんなとてもできないよ」ということもありますね。だから結局、役場などに勤めていて、年金が出ている、一応仕事が暇になった、兼業農家で役場を辞めて農家をやっているというような人がずいぶん出て世話役さんのような形でやっておられる。それは、今申し上げた収入面などを補うのは年金がある人でないとなかなかできないなど、そういうようなことがいろいろ絡み合っているように思います。私の発言は時流に沿った発言では必ずしもありませんので、反論もあると思いますし事実誤認だというご意見もあるいはあるかもしれません。それから、先ほど私が申し上げたことは、繰り返し申し上げますが、すべてそれだけが原因かどうか断言する自信はありませんが、一つの要素ではあり得ると思いますね。
東京新聞の宮尾です。都道府県議や政令市議に比べると小さい市町村の議会の歳費は少し安いと思います。そういうところを上げるというのが一つの改善策になると思いますか。
ただこれは、先ほど言ったように、「身を切る改革」というのがある意味でトレンドというか、そういう議論が非常に行われている中で、なかなか住民の支持を得られるかどうか、容易ではないですね。
東京新聞の宮尾です。投票率が下がっていることについて、永遠の課題ではあるのですが、この改善策というか、有権者の関心を高めるにはどうしたらよいと思いますか。
これは長い課題で、もっと別に言えば、投票率が90数%というような体制が健全かどうかというようなアイロニカルな問題も一方でないわけではないのですが、やはり5割を割るというようなことが時々起ったりするのは健全とはなかなか思えない。これは地域にもよると思います。例えば、村議会とか町議会がやっていることに皆さんの関心が高い地域と、やはり大都会のようなところでは、国政には割合関心があっても、必ずしも、例えば東京で言えば区議会がやっていることに皆がどれだけ関心を持っているのか。逆にいえば、議員の広報活動も上手にできているのかどうかということもあるし、また報道が、陽の当たるところには皆関心を持っていくということもありますから、もちろん新聞等々でもそれぞれの市民版などがあって、地方議会の動向が報道されていないわけではないわけですが、なかなか必ずしも国政ほどは十分報道されないという面もあるように思いますね。この辺が、どれが原因なのかはなかなか難しいのですが、諸々の課題が組み合わさっているように思います。