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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年3月20日(金)10:31~10:51
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)

谷垣 禎一幹事長

本日の役員連絡会ですが、高村副総裁からのご挨拶で、東京高裁で一票の較差について合憲判決が出たが、それは当然のことである。そして、当時の野田総理と安倍総裁との党首会談で「0増5減、定数削減」ということで合意していたが、民主党が「それではだめだ」というので0増5減に反対して今日の議論に至っている。その点を細田幹事長代行に今度(3月25日(水))の有識者会議の各党ヒアリングの際に説明いただきたいというご趣旨でした。
私(谷垣幹事長)からは、まずチュニジアでテロが起こりました。犠牲となられた方にお悔やみを申し上げるということ、またテロは断じて許されるものではなく断固非難するということ、それから政府においては国際社会と連携してテロとの闘いに全力を尽くし、加えて海外邦人の安全確保に万全を期すよう努力されたい。昨今の情勢を見ると、東京オリンピック・パラリンピックを控えてテロ対策ということが極めて重要なテーマとなってきた。政府の努力を党としてもしっかり支えていきたいということを申し上げました。また、予算は参議院で鋭意審議いただいているが、今朝閣議で暫定予算を編成するということになったが、緩みなく引き続きよろしくお願いしたい。それから日切れ法案の処理も、与党の責任として年度内にしっかり対応していきたいのでよろしくということを申し上げました。また本日、安保法制整備の方向性について与党合意ができる見通しとなってよかった。高村副総裁はじめ関係者の皆さまのご尽力に感謝する。それから、引き続き法案審査をよろしくということを申し上げました。そして最後に、一票の較差についての東京高裁の合憲判決は妥当な判決であるが、今後高裁判決がいくつか続くラッシュの状態であるのでよく見ていきたいというようなことを申しました。
佐藤国対委員長からは、一部を除いて各委員会は大臣所信に対する質疑、日切れ法案の処理を進めているというご報告がございました。
吉田参議院国対委員長からは、今後の予算委員会の日程、本会議の日程等についてご報告がありました。
また各メンバーより、いよいよ統一地方選挙が始まるからしっかりやろうというお話がありました。
稲田政務調査会長からは、成人年齢に関する特命委員会を開いて議論していくというご報告がありました。
細田幹事長代行からは、昨日の東京高裁の判決等々に関して、高村副総裁のご発言を細かくしてそれを敷衍した解説がございました。
原田人事委員長からは、外交経済連携本部の中の「国際情報検討委員会」の委員長をしておりまして、中国工船による尖閣諸島領海侵入問題について決議を行ったというご報告がありました。

以上です。

質疑応答

読売新聞の天野です。少年法の年齢引き下げについて伺います。川崎の中学生殺害事件などということではなくて、選挙権年齢の18歳への引き下げの可能性がかなり高くなっていますが、これとの整合性で少年法の年齢引き下げについてどう思うかということと、世の中で18歳が一つの基準となったとき、健康面など別の面で配慮されている喫煙や飲酒も18歳に引き下げろというような議論が出てきた場合、幹事長はそのあたりについてどのようにお考えでしょうか。
特命委員会でどこまで議論されるのか分かりませんが、今までこの選挙権年齢の引き下げに関連していろいろな議論がありましたが、少年法に関して、特に刑事司法に関して、要するに選挙犯罪が少年法の特例があっていいのかどうかというような議論はありました。ただ、だからといって少年法全体を俎上に乗せるという議論はあまり有力な議論としては、従来はなかったと思います。あとは、私はあまりあとの議論は承知しておりません。
東京新聞の宮尾です。昨年、増田寛也氏が座長を務める「日本創成会議」が、896の自治体が消滅するというレポートを発表して大変社会にインパクトを与えました。今度の統一地方選挙は地方が消滅しないようにどうするかということが争点になるのだと思いますが、自民党がその点について一番具体的に訴えたい、他党と違うところを教えていただけますか。
他党と違うところというか、自民党はいろいろな議論を吸収してやっていきますから、他党と違うということを特に意識はしておりません。むしろ与党としては他党と違うものを打ち出そうと過度に意識するのは却ってマイナスではないかと思います。私は、与党は大道を主張すべきであって、野党こそ自民党と違う案があったら、自分たちはこれを主張するとおっしゃるべきで、そうでないと政治の論争というのはいびつなものになると考えております。ですから、自民党は野党とここが違うということを私は申し上げるつもりはないので、むしろ人口との関係というだけではなくて、やはり職がないと、つまりそこで生活していけないとなかなか人が定着しないというのは当然のことですから、やはり職を作っていくということだろうと思います。その職を作っていくにはもちろん全体の経済事情というものが好転しなければなかなか職を作れないということが一つありますね。それからもう一つは、やはり一般的に職を作るといっても、それは地の利を得たところとか資本の集積があるところなどにどうしても偏ってしまいますから、その地域がどういう特色を持っているかということをきちんと踏まえないと職は増えないと思いますね。これは、東京で一元的に考えることはできないので、むしろ地方でいくつか制度を、全体を我々は用意しているわけですから、そういうものを利用して地域でどう職を生んでいくかということを具体的に考えていただくということではないかと思います。
   それから、出生率などは地方の方が高い場合が多い、そこは東京など大都会よりも地方の方が高いわけですが、それがさらにそういうことを推し進めるにあたってネックになっているのは、やはり産婦人科医が少ないであるとか、あるいは子どもが病気になった場合、小児科医が少ないという悩みがあります。これは、しかし医師の数をにわかにすぐ充実させていくということも簡単ではありませんが、それぞれの地域の医療体制や、それだけではなく保育などすべて含まれているわけですが、そういうものをしっかりしていくということなのではないかと思います。細かに論じていけばいくらもありますが、基本はそういうところに、やはり職を作っていく、そこで生活しやすい環境を作っていくということではないかと私は思っています。
京都新聞の高橋です。安保法制の骨格について、午後にも与党で合意されますが、統一地方選挙に向けて野党から安全保障のあり方について議論があるかと思われますが、幹事長は地方においてどういった訴えをされるおつもりですか。
この安保法制に関しても、何か袋小路に入ったような議論が行われている。もちろん、プロはプロで細かいところまで詰めて抜け穴のないようにというか、きちんとそれで対応できるか、首尾一貫したものをきちんと詰めていく、プロとしては当然のことだと思いますが、やはり基本はどこにあるのかということを繰り返し繰り返し言っていくことが私は必要なのだと思います。基本は何かというのは、人によって基本の立て方は違うかもしれませんが、私は3つくらいあると思いますね。一つは、日本にとっての同盟国アメリカ、これは最大の軍事大国であり経済大国であることは現在においても間違いないですね。ところが、オバマ大統領は、「世界の警察官というのはもうアメリカの現在の役割ではない」というようなことをおっしゃっております。例えば、今の安全保障条約が結ばれた1960年頃に比べますと、世界の中でのアメリカの力というのは相対的に弱くなっているという面は否定できないと思います。そうしますと、やはりそれを埋める努力というのはなければいけないというのが一つ背景にあると思います。
   もう一つは、やはり日本の周辺というのは非常に緊張が緩和されている状態とは必ずしも言えないということがあるだろうと思います。それは、朝鮮半島有事もそうですし、尖閣諸島等々をめぐってのいろいろな紛争というか、中国の工船はしばしば出没するということがありますね。それに対してどう対応していくかというような問題もやはりあるのだろうと思います。しかし基本は、日本は1945(昭和20)年に敗戦を迎えて、それ以降ずっと沈没していたかというとそうではなくて、非常に世界史上でもまれに見る成長・発展を遂げた国の顕著な例だと思うのですね。そういうある国が急速に伸びていくときは、周辺諸国にある意味で脅威を与えてきたことは歴史ではしばしばあるわけですが、我々の先輩はそこを非常に注意して今日まで来た。これは我々が守るべき先輩の良き遺産だろうと思います。しかし、湾岸戦争のときに気付いたことは、日本も金だけ出していれば国際社会から評価されるというわけではない。やはり地域の、日本くらいの国になれば地域の安全や何かにもある程度責任を持ってほしいという国際社会の期待もあった。その2つの流れを考えますと、一歩一歩日本は周辺に脅威を与えないように進んできた。それは大事なことである。しかしそれが、自分は後ろにいるというだけではなかなかできないこともある。そういったような流れが今日まで来たと思います。だから、ステップ・バイ・ステップだが今まで足りなかったところを少しずつ埋めていく努力が必要であるということがあるのではないでしょうか。これは私の総括の仕方で人によって違うと思いますが、そういう基本をよく説明するということが大事ではないかと私は思っています。
産経新聞の豊田です。先ほど原田人事委員長が報告された決議に関して、他の出席者から何か発言はありましたか。
この決議に関しては特に発言はなかったと思います。
産経新聞の豊田です。原田人事委員長から、訪中のご予定のある幹事長や二階総務会長に対して「日本の立場を伝えてほしい」というような要望などは出ていないということですか。
そういう決議をしたということは、それぞれ日本の立場としてそういうことをしっかり踏まえるようにという趣旨は含まれていたのだろうと思います。
産経新聞の豊田です。幹事長が訪中された際に日本の立場をお伝えになるお考えはありますか。
それは、あらゆる局面から日本の立場は伝えなければいけないですね。
NHKの瀧川です。安保法制の与党協議について、本日まとまるということで、これまでの与党協議をどのように評価されているか、それからまた4月に再開しますが、これにはどのような議論を求められますか。
相当粘り強く緻密に議論をされてきたのではないかと思います。高村副総裁、それから北側公明党副代表をはじめ関係の方々、大変なご努力だったと思いますね。このことには敬意を表したいと思います。それで、先ほど「あまり細かい議論に走ってもいけない」と申しましたが、やはりプロとしてはきちんと条文の隅々まで詰めて、そしてそれが吟味に耐え得るものであるのかどうか、国会審議にきちんと答え得るものであるのかどうかチェックしていかなければなりませんから、今後はその作業があるのだろうと思います。
時事通信の大沼です。本日、役員連絡会の中で幹事長が来週から訪中される経緯について何かしらの報告はされたのですか。
していません。
時事通信の大沼です。訪中に対して幹事長としてどういったことを成し遂げたいか、どういった成果を出したいかについてお聞かせください。
どういった成果というようなことは、私はあまり考えていないのです。むしろ、今までも申し上げましたように、日中の間はなかなか難しいことが多くて、昨年APECで首脳会談が実現して、閉じていた扉がようやくある程度は開いたのですが、完全に開いたというところまではいっていないわけですね。ですから、いろいろなところでやはりパイプの数を増やし、パイプを太くしていくという作業をしなければならないわけで、つまりそういうことに少しでも力になればということですね。