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記者会見

石破茂幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成26年5月16日(金)10:24~10:45
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

石破 茂幹事長

【石破茂幹事長発言】

「もう会期末も近いので、残り会期、衆参とも法案を上げる」
「昨日、議長に、選挙制度の第三者機関設置を8党で申し入れをしたが、与野党国対委員長会談を経て、これを議運で取り扱うというような段取りになる」と発言した。佐藤国対委員長、逢沢衆議院議運委員長からも、関連発言があった。

【河村建夫選対委員長発言】

「当面は、滋賀県知事選挙に全力を尽くす」

質疑応答

NHKの西井です。選挙制度の第三者機関について、これは、まず、今国会での設置を目指すということでよろしいのでしょうか。
結構です。
NHKの西井です。この機関については、国会の正式な機関ということになりますけれども、この結論に、どのように説得力、拘束力を持たせるかということについては、どのようにお考えですか。
これは設置される機関でいろいろな議論がなされることになろうかと思います。国会の下につくるということですけれど、それは議長の諮問機関、すなわち議長が諮問をして答申が出てくる。その答申に対して、院として、それを尊重することになるのでありまして、いずれにしても公職選挙法を改正しなければ、それは実現しないことであります。それは憲法、あるいは公職選挙法の趣旨から明らかなことですので、おそらくそのような取り扱いになるのではないかと思っております。今国会中に設置をしなければ、我々国会として、有権者、主権者に対する責任は果たし得ないと思っております。
朝日新聞の三輪です。安全保障に関する自公協議について、自民党も、公明党も、メンバーは正式に決まったのですか。
公明党は、正式に党の手続きを経る必要があるということですので、発足前に決まるということです。わが党はそのような手続きは経ませんが、これはもう大体内定はしており、役員会に報告をするという形で、そこで確定ということになります。
朝日新聞の三輪です。今後の進め方について、基本的に毎週行っていくのですか。
これは1回目の会議をやってみないとわかりませんが、毎週1回はマストだと考えております。
朝日新聞の三輪です。昨日、安保法制懇の報告書に出ている事例だけでも、4類型プラス新たに6事例出ており、基本的に、それぞれの事例について、まずやっていきたいということなので、それぞれ取り上げるお考えでよろしいのですか。
それはやってみないとわかりませんが、こういうことは必要ですよねということについて、まず認識を共有しなければならないということです。認識を共有する前から、これは法律論を戦わせてみても、非常に空疎なものになってしまうわけで、認識を共有することが必要です。また、それはバリエーションとしていくつもいろいろなものが出てくるわけで、法理論として1つの理論を立てて、それがいろいろな局面に応用されるということになりますが、それはわかりやすい事例としてそういうものは挙がっているということであって、それだけに限局されるということにはなりません。ただ、法理論が共通であったとしても、そのミッションを与える上において、自衛隊法に根拠規定をつくる必要がおそらく出てきますので、それはかなり大きな作業になるだろうと思っております。ですから、事例を挙げ、それに見合うような法理論を構築し、それが他の場合にも適用できるかどうか。そうすると、それが自衛隊法の1つの条文で足りるのか、別の条文を起こさなければいけないのかというのは、それはこれから先の作業でやってみなければわかりません。
朝日新聞の三輪です。そうすると、単純に8月いっぱいまで全部やったとしても、大体15回程度になります。それまでという根拠はないのですが、今おっしゃったようなことをどれくらいの目途、いつまでにやれるとお考えですか。
それは与党協議会で条文が全部書けるはずもないし、その条文を書くにあたっては、役所の作業が必要になるわけです。ですから、憲法論に触れる部分、触れない部分とあって、どこから条文を書き始めるのかということですが、憲法論に触れる部分は、何度も申し上げますが、閣議決定をやらないと条文が1文字も書けないということになるわけで、そこの作業の進捗について今申し上げる段階ではないということです。
朝日新聞の三輪です。では、閣議決定の前までに、少なくともこういう事例については必要だということで認識を共有する。さらにその事例を実現するためには、憲法の解釈変更が必要だ、あるいは解釈変更は必要ない、個別法の改正でできるという結論まで少なくとも出しておかないといけないという認識でよろしいのですか。
それは出さないと作業をやる意味がないのではないですか。まだこれは始めてみないと、今からあれやこれや言ってもしようがないことです。
読売新聞の工藤です。昨日、安保法制懇の報告書と、総理の会見を受けて、公明党からも慎重な意見が新たに出ていますが、幹事長として、与党協議をどのようにまとめていくのか、意気込みをお聞かせください。

もうこれもやってみなきゃわからないことで、私の個人的なことを申し上げれば、そもそも集団的自衛権は何ですかということについて、認識が一致しないまま議論しても、定義について、認識に齟齬がある議論ほど無意味なものはないと思っています。集団的自衛権とは何でしょうかということ、そして個別的自衛権とは何でしょうかということについて、認識の一致を見て、その後の作業の進捗の早からんことを期すということだと私は思っています。「集団的自衛権」イコール「戦争ができる権利」イコール「アメリカとともに地の果てまで行って戦争をする権利」という理解をなさっている方もおられるわけです。集団的自衛権というのは、そもそも国連憲章の中になぜ位置付けられたか、そしてそれが、いかにそのご懸念のようなことを払拭するような仕組みがつくられるか、あるいは今まで集団的自衛権の行使と行使する国が主張したものが、いや、そうではないのだということが、例えば国際司法裁判所等々でどのような判示がなされているのかということです。ですから、それは集団的自衛権とは、そもそも何ですかということに当然結びついてくるわけであって、そこの定義というものを、大体、新聞でもテレビでもそうですが、集団的自衛権とポッと出るわけです。だけど、それについて持っているイメージが人によって違うということになると、これはそもそも議論にならない。今までもそうで、集団的自衛権賛成と言う方は、もうこれを賛成しなければ同盟が維持することは困難になるとか、抑止力が確保できないとか、そういう議論で、集団的自衛権反対と言う方は、これをやると戦争になるのだという話で、そこが交わってこなかったのは、そもそも集団的自衛権とは国際法的にどうなのかというような概念が食い違ったままであったから、こんなことになっているのではないかという反省を私自身は持っているところです。

時事通信の丸橋です。そのグレーゾーン法整備の必要性について、改めて幹事長のご所見をお聞かせください。また、安保法制懇の報告書の中では、国籍不明潜水艦の潜没航行など、いくつか事例が載っているのですが、どういった具体的事例において、グレーゾーンにおいて法整備が必要だとお考えですか。

グレーゾーンという言葉が何か最近流行っているのですけれど、要は、防衛出動を自衛権の行使としてかけられるのは、わが国に対する急迫不正の武力攻撃と評価される事態が起こって、初めて防衛出動が下令されるということになるわけです。それがわが国に対する急迫不正の武力攻撃と評価されない、それが国家、あるいはそれに準ずる組織であるかどうか不分明である。そしてまた、そこにおいて行われる行為が武力行使ということに評価が至らない、例えばそこを占拠して退去に一切応じないというような場合に、急迫不正の武力攻撃というものではない。しかし、そこにおいて侵害されているのは、例えば領土という国家主権そのものが侵害されているという状態が起こっている。しかし、それは急迫不正の武力攻撃によるものではないとするならば、これは国民の生命、財産、公の秩序を守るところの警察権でもって対応すべきものなのか、そして警察官職務執行法において、危害許容要件が厳格に定められている。それはなぜなのかといえば、基本的人権の尊重というものがベースにあるからだが、わが国の主権を侵害しようとしている勢力に対して、その警察官職務執行法の概念、危害許容要件の厳格化というものはどこまで及ぶものなのか等々、そういう論点が不分明のまま、ここまで来ております。あるいは、主権の侵害である領空侵犯に対して、これは警察権で対応するという処理をしているわけですが、本当にそうなのだろうか。それは実際に、領空を侵犯しなければ、主権の侵害は起こっていないわけですが、飛行機のようなものすごく速い飛翔体に対して、そのような法制の整備で対応可能なのだろうかという議論はずっと昔からあるわけですね。ですから、そういう部分の警察権で対応しきれない、しかし、急迫不正の武力攻撃ではないというようなカテゴリーが明確に存在するわけで、そこに対してどのような法制を整備するかというのがグレーゾーンの議論です。潜没潜水艦の場合には、これをグレーゾーンで対応するのか、それともそれが潜没して航行しているということをどのように評価をするか、それは国連海洋法条約との整合で議論をすることになりますが、それに対して浮上せよというような警告をどのような形で行い、それに対して応答がない場合に、それは急迫不正の武力攻撃が行われているわけではない、潜水艦は潜没して航行しているという状態だ。それに対して、一種の国家実行的にスウェーデンが対処した措置とか、いろいろな措置があるわけです。そういう場合にどのように対応するかという議論をこの国では突き詰めていたしておりません。突き詰めてしていないということは、結局、現場の自衛官に対応せよというようなことは、文民統制の観点からしてあるべきだと私は思っておりません。しかし、政治として判断するときに根拠法制がないということになると、一体どうするのだという事態が起こるわけで、そういうことに備えておくという法制の整備は、潜没潜水艦をグレーゾーンというふうに評価するかどうかというのも含めて、議論を詰めなければならないことです。

共同通信の内保です。小松一郎内閣法制局長官が退任されました。内閣法制局は内閣の一組織だということは十分承知した上でお尋ねしますが、今後、集団的自衛権を含む安全保障論議が本格化するのを前に、この今回の退任、交代というのは影響があるとお考えですか。
それは政府は組織で動いているものですので、小松さんの大変な能力、識見、あるいはこのことに対する造詣の深さ等々、私は極めて高く認識をしているものですが、それが交代されたからといって、政府の対応に何らかの変化があるということが極力ないようにしていくのが政府、あるいはそれを支える与党の責任かと思っております。
産経新聞の千葉です。自公協議が始まる前ですが、いわゆる駆け付け警護について、公明党の山口代表はかなり昨日柔軟な姿を示されておられます。小型の武器使用の解禁というのは、昔からかなりテーマになってきた話だと思いますが、これについての幹事長のご所見をお聞かせください。
 山口代表の会見を子細に承知しているわけではありませんが、結局、駆け付け警護が、なぜ今まで駄目だと言われてきたかと言えば、それは自己保存としての武器使用というものから一歩出て、自ら危険へ接近するという判断をされてきました。そうすると、自己保存というものからは超えるのではないかというお話を、今から14、5年前からしているような気がします。自公の安保PT、私はまだ防衛庁長官になる前だから、それぐらい昔のことです。確かに自己保存としての武器使用から危険への接近を自らするわけですが、しかし、それを行わない限り、そこにおいて活動しているNGO等々の安全を守ることができない。カンボジアにPKOを出した時に、いくら何でもそういうわけにはいかないということで、これは西元徹也・元統合幕僚会議議長が書いておられたことだと思いますが、まず、自ら撃たれて、正当防衛の状況を現出する訓練とか、そんなことが本当にあるのかという話があり、あるいは巡回している時に、たまたまそういう状態に遭遇したというような構成をとるとか、そういうようなことで、本当に武器を携行しないNGO、例えば選挙監視のようなもの、あるいは民生安定のようなもののわが国の同胞たる国民の生命、財産をいかにして守るかという話で、そこに駆け付け警護もありますよと、あるいは、警護をすることがありますよということ自体が抑止力となって、わが国のそういうNGOに対して不当な攻撃を回避することになるということだと思っております。ですから、ここはあくまで自己保存ということに限定するよりは、総理が昨日申しましたように、国民の生命、財産をいかにして国家として守るかということの法制を整備することは、国家の責任であるということであって、それをヘジテートすることは、私はあるべきだとは思っておりません。
西日本新聞の久保田です。自公協議は来週から始まりますが、自民党内の意見集約、安保法制整備推進本部での議論は、いつかの時点で何か結論というものを出したりするのでしょうか。
結論は既に出ているわけです。それは、わが党の総選挙における公約であり、そしてまた、参議院選挙における公約が結論です。ただ、そこの議論に参加してない方が大勢おられるので、もう一度認識を深めていただくためにやっております。今日に至るまで、何回か開催をいたしましたが、この結論を変えるべきだというご意見を未だに承っておりません。もちろんこれから先、そういうご意見が出ないということを断ずるつもりもありませんし、これから先、認識を深めていただくために、今までは議員や学者の方に、そういった話をしていただきましたが、これからは反対論に立たれる方、あるいは現場でそのようなオペレーションに従事をしてきた方のご意見を聞いて、そこからやはりこの結論を変えるべきだというお話が出たとするならば、そのことを否定するものではありません。ただ、党としての結論を出すというよりも、認識を深めていただく、あるいはいろいろなご意見を聞いて、そういうのは違うということがあるとすれば、それは質すことはありますが、いつまでにこの議論を終えるということは、当面まだ決めておりません。ただ、やはり、国会開会中というのは1つの目途ではなかろうかと思います。そこから先も必要であればやります。
テレビ朝日の長谷川です。集団的自衛権について、公明党は慎重な立場は崩していませんが、与党協議の中で、集団的自衛権、それからグレーゾーン、集団安全保障、どれを優先して時間的に始めていくのかということと、あと、並行してやっていくというのか、改めて幹事長のお考えをお聞かせください。
だから、それは何度かお答えしたと思います。何か新しい観点があってお聞きになるのであればもう一度お答えしますが。
テレビ朝日の長谷川です。昨日、総理の会見を受けてのコメントで、山口代表は、同じように警察権や個別的自衛権で対応できるというような立場を崩していません。これに対する、ご所見をお聞かせください。
そうであるということと議論の順番というのは、ぴったり理屈が一致するわけではありません。これは第1回の協議をやってみないと、どういう順番でやるかは決まりませんが、憲法解釈を変更しなければ、法制の整備に至らないものというのは、やはり閣議決定を経ないと法制の議論にはなりません。ですから、安保法制懇のレポートの中でいくつかの事例が出ました。それが本当に必要なのかどうなのかという認識を共有するところから始めるということを申し上げました。その上で、憲法の解釈というものを変えなくてもできるものが、それは時間的な緊要性から言えば優先するということになるのだろうと思います。ただ、議論の立て方として、「いや、難しいことから先にやろうよ」というお話もひょっとしたらあるのかもしれません。やはり一番難しいものが議論に時間がかかるのだからというご意見を述べられる方が仮にいらっしゃるとすれば、そんなこともあるかもしれませんが、やってみないうちから、どれを優先するかどうかを私の立場で申し上げるべきことだとは思いません。