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記者会見

石破茂幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成26年5月23日(金)10:20~10:35
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

(役員会の内容説明)
石破 茂幹事長
残り会期わずかである。また、滋賀県知事選挙が間近であり、関連した発言がいくつかあった。

【伊達忠一参議院国対委員長発言】

「厚生労働省提出法案の趣旨説明で、大臣が読み上げたものと、それぞれ事前に各議員に配付されたものの内容に違いがあった関係で、参議院の審議がやや滞りがちである。これは言い訳無用の話であり、政府におかれても、緊張感を持って臨んでもらいたい」との発言があった。また、政府だけの責任ではなく、我々与党側としてもよく自覚をしながら、野党から指摘を受けて初めて気がつくようなことではいけないというようなことであり、自重、自戒の発言がいくつかあったところである。

【佐藤勉国対委員長発言】

「国会改革について、実務者の段階では、自民、公明、民主、維新、概ね合意ができている」
「選挙制度に関する第三者機関の議論がスタートする」との発言があった。設置をするというところまでは、何としても今国会で決めていかねばならないところであり、その後の運営等々については、議運、議長の間でいろいろな議論があり、多くの賛同を得た形でスタートさせたいと考えている。

質疑応答

 NHKの西井です。集団的自衛権などの自公協議の進め方について、公明党の北側副代表が「3つのテーマのうち、できたものから法整備を進めていけば良いのではないか」という発言をされています。幹事長は、先日来、この3つのテーマを一体として、閣議決定を目指すことを強調されていますが、今後の進め方についてのお考えに変わりはありませんか。
それは、いわゆる3つのカテゴリーがあります。警察権、自衛権の隙間を埋めるというようなもの、それから海外における活動、そして、集団的自衛権の一部容認に関わるもの、この3つがあります。もちろんその法案を作成し、できたものから審議するというのは当然なのですが、法案の作成は、同時並行で進めていかねばならないものだと思っております。つまり、いかなる場合にも、国の独立と平和、国民の生命と財産、これを一体のものとして守るだけの法整備も含めた体制の構築を進めていかなければならないということでありまして、国の独立と平和、国民の生命と財産を守るための法律の整備を一体のものとして進めていくということの閣議決定は必要なものです。どれか一つ抜け落ちるというようなことがあってはならないのであって、それを間断なく、シームレスな形で守るべきものを守るということは、閣議決定しなければならないという考えに変わりはありません。
 NHKの西井です。そうしますと、特に集団的自衛権に関わる憲法解釈を変更するかどうかということに結論が出るまでは、例えばグレーゾーンや集団安全保障についての法整備も進められないということになるのでしょうか。
それは一体のものとして進めたいと思っております。ですから、もちろん、どれも整備をしていかなければならないものですが、そういうものが間断ない体制で運用されるということになって、初めて守るべきものが守れるということになりますので、どれも必要であると、私どもとしては考えております。
朝日新聞の三輪です。PKOの駆け付け警護について、この間の与党協議の中でも、武力行使の一体化の話も出たようですが、また改めてお伺いしたいのは、現段階で駆け付け警護は、憲法解釈の変更などが必要なく、今の憲法の解釈の範囲内でできると考える根拠をお聞かせください。特に、他国のPKO部隊も助けなければいけないということも含めて、今の解釈の範囲でできるとお考えでしょうか。

ここは他国の部隊であるか、自国の部隊であるかということに、どれだけの本質的な違いがあるかということは、論議の対象になるのかもしれません。しかし、海外において、例えば、停戦の合意がなされた。そこにおいて、新しい議会とか、あるいは大統領とか、そういうものをつくるべく選挙は行われている。いろいろな国の選挙監視団がNGOとして出ているということを想定した場合に、日本の選挙監視団が襲撃を受けるという場合になれば、それは他国の部隊というものは、当然、その救出に向かう。そのことは、そこで起こっていることが、国、または国に準ずる組織の間における武力を用いた争いというものであるというふうに法的に評価されない。その地域の治安維持というものを、その国から、ある意味、委譲を受けていることになるということですね。それぞれの国が勝手に治安維持をやって良いはずがなくて、何らかの形での権限の委譲が行われている時に、日本のNGOがそういう襲撃を受ければ、他国の部隊は国際紛争解決する手段でも何でもなく、それを救出に向かうということになるわけで、日本の場合には、日本のNGOだけ救出しますが、他の国のNGOは、どうぞその国で、日本以外の国でやってくださいということになって良いかどうかというお話がまずあります。ですから、日本だけを対象とするのか、他国も対象とするのかというのは、ここは議論になるのでしょう。
そしてもう1つは、憲法上、いかなる制約があるかということを考えた時に、自己保存という概念を中心において、自分がやられているのだ。だから武器の使用を行うということで、それが自国であろうが他国であろうが、わかりやすい例で自国の選挙監視団とすれば、そういう人たちが襲撃を受けている、そういう危険に自ら接近するということは、自己保存を超えるのではないかということですが、憲法の要請が自己保存のみしか、武器の使用が許されないと、憲法上、ダイレクトに要請が出てきているものかどうかということです。そこは前もお話ししたと思いますが、カンボジアでPKOを出した時に派遣された自衛隊は、そういうところへ通りかかりました。そこに行って、自分が撃たれている状況というのを作為的に現出せしめて、自分が撃たれるという現象をつくって、それで初めて自己保存だということで、武器の使用ができる。それはどういうことなのだろうか。自らが撃たれている状況を自らつくるというようなことをしなければ、自国民も救出できないということで本当に良いのだろうかというお話です。それは、その国から治安についての一定の権限の委譲を受けている以上、そういうことは可能なのではないかと私どもは考えておりまして、それは危険への接近だから駄目、そういう日本のNGOは、他の国に守ってもらいなさいということは、それは自国民の生命を守る責任を持っている日本国のとるべき態度としていかがなものかというお話かと存じます。

テレビ朝日の水頭です。特定秘密の情報監視機関について、先日、自公で国会法改正案を今国会に提出することで合意しました。これから野党と調整がありますけれども、この国会で法律を成立させる意義と、その監視機関について、幹事長のお考えを改めてお聞かせください。
これは法施行が12月であることに鑑みますと、今国会中に法案を成立させ、その組織の構築を図らなければ、法施行に間に合わないという物理的な制約がありますので、今国会中にということは、これはマストだと、当初から申し上げている通りです。これから野党の方々とのいろいろな協議に入るわけですが、そこにおいて、どのような意見が述べられるのか、報道で知る限りでして、実際に私自身が聞いたわけではありません。ここは三権分立の範囲内で、どれだけ議会がそれに関与ができるかということです。おのずからの限界は当然ありますが、勧告したときに、それでも従わないということになれば、それなりの説明責任を政府は負うことになります。これは三権分立の範囲内で、お互いの牽制というのか、そういう機能を最大限発揮させるためにどうすれば良いか。そこはお互いの緊張関係であり、牽制がどれだけ有効に働くかというお話は、これから与野党でなされることになると承知しております。
共同通信の内保です。一昨日、大飯原発3・4号機の運転差し止め判決について、まず幹事長の受け止めをお聞かせください。また、政府方針として、原子力は重要なベースロード電源と位置付けましたが、この方向性への影響というのはどのようにお考えになりますか。
最大の安心・安全の基準は何かということであって、それがクリアされたものは当然動かすし、それがクリアされないものは動かさないということです。ですから、大飯原発が、それをクリアするのか、しないのかということについては、私自身専門的な知見を持っているわけではありません。関西電力と原子力規制委員会との間でいくつものやりとりがなされているところであり、関西電力としては、最大限の安心・安全を確保すべく、今、鋭意努力をしているという状況だと承知しております。いずれにいたしましても、最大限の基準というものをどうクリアするのか、そこにおいて専門的な知見が討論されて結論が出るものだと思っております。
共同通信の内保です。滋賀県知事選挙が目前に迫る中で、この判決が選挙戦に影響するとお考えですか。
それは有権者のご判断ですから、私どもとしては、原発に対する今までの考え方、最大限の安心・安全、世界最大級の安全・安心が確認されない原発というものは稼動しないということですので、今まで申し上げてきた私どもの方針が、これによって揺らぐということはありません。確認されないものは再稼動させないということです。
TBSの橋口です。自公協議の進め方で、最も一致点の多いグレーゾーンの議論は、1回で終わるというお考えなのか、数回かかるのか、どれぐらいの頻度、どれぐらいのペースをお考えでしょうか。
それはやってみなければわかりません。どういう事態なのかということが、その場で初めて出て、「ああ、こういうことなのですか」みたいなことであれば、時間はかかるでしょう。なぜか知りませんが、新聞に出たりしておりますけれども、事前に、まだ政府としてそれができたという話は聞いておりません。実際にその協議が行われるまでの間に、一応、政府からこういうことを考えているということは、事前に提示があるものだと思っています。その場で、初めて出て、その場で初めて考えてみたいなことで時間がかかって仕方がありませんので、起こると想定されている事態は何なのか、それに対して今の法律、すなわち海上保安庁法、あるいは警察官職務執行法、あるいは自衛隊法、なぜ対応できないのかというところまでは、認識を一にした上で、法制の整備はどうするかという話になるのであって、対応できるという論者は、なぜ対応できるのかという話になるのでしょうし、対応できないという論者は、なぜ対応できないのかという話になるのでしょう。そこは何が議論の中心なのかということを、協議が始まる前に、きちんと皆が認識した上で臨むということだと思います。今国会中にということを申し上げております以上、そういう議論の進捗が図られるように、それは私どもとしても、政府を督励してやっていくことになります。それから、議論を非常にいい加減に済ませるという物事の性質ではありませんので、ただ、その議論に参加しているメンバーというのはこういうことをずっと考えてきた人たちが多いので、それは議論の事前のいろいろな準備をしていけば、かなり早く、充実した結論が出ることも期待されると思っております。