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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年7月27日(水)

冒頭発言

石破茂政務調査会長

【石破茂政務調査会長発言】

今日開いた政策会議は条約3件、これは技術的な条約であり、了承として総務会に上げました。原子力賠償支援機構法案を了承致しました。これは総務会長からもご報告があったかと思いますが、この法案については本日衆院の委員会にて採決ということで、急いで相当議論を詰めたところでございます。この法案に関しては、修正の上賛成することとしたところでございます。

ただし、元となる原賠法の徹底した見直しを図っていくということで見直し条項をつけたということ、また国の責任についてきちんと定めるということ、今後の原賠法の見直しについて言及しているところです。さらには電力の地域独占をどうするのかということも今後党内で議論していくということになります。総務会において、了承されたということでございます。石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案、さらには東日本大震災に係る災害復旧及び災害からの復興のための臨時の交付金の交付に関する法律案、ともに議員立法でございます。政策会議で了承し、石綿法案はシャドウ・キャビネットに、震災に関する法案は了承し、総務会に上げました。政策会議に関する報告は以上です。

その他、特例公債法案とマニフェストとの関係についてはかねてから議論されておりまして、本日の役員会でも議論されたものでございます。お手元の2枚紙については、207兆円を全面組み換えします、無駄遣いを根絶して16.8兆円見つけますよというものです。

そして、一昨年の話でありますが、当時の細田幹事長から民主党の鳩山代表に公開質問状として出したものです。数字の歪曲、誇張についての認識を質すという趣旨の質問状でありました。私が問題と考えるのは、その回答でございます。当時の役員室担当の平野元官房長官からでございます。ご覧いただければ分かりますが、わが党の質問に全く誠実に答えていないものであります。今日、マニフェストの見通しが甘かったなどと仰っていますが、その源流はここにあったのではないかと考えております。もし、この時にわが党からの質問に真摯に答えていれば、このようなことにはなっていないのではないかと思うのであります。民主党からの回答を読めば読むほど真面目に考えたのかと、憤りすら感じるわけでございます。

今日も子ども手当に関する実務者協議を継続いたしております。先般高知に党務で出張した際に頂いたご意見では、高知県における子育て世代で年収1000万円の家庭などいくらあると思っているのかということでございます。1000万の所得制限に何の意味があるのかという意見を多く頂きましたが、これをどう考えるかという事です。また、今度のつなぎが切れた時はどうなるのだということを我々は問うているわけです。そういうことに関して、真摯な回答が得られないようであれば、子ども手当について合意ということにはならないだろうと考えております。実務者の方々の真摯な協議に期待をしているところでございます。

加えまして、本日も山本一太政調会長代理が委員長を務めます総合エネルギー政策特命委員会を開催致しました。再生エネルギー特別措置法案についても、党内で開かれた議論をしているわけでありまして、わが党のスタンスを明確に定めた上で、国会審議に臨んでいきたいと考えております。私からは以上です。

質疑応答

Q
再生エネルギーについて、山本委員会で一定の結論が出るまでは委員会の審議入りそのものにも反対するということでしょうか。
A

審議入りを妨げるということではありません。審議において政府を質すこと等は多々あるわけであり、また審議入りは国対や議運で議論されることであります。ただし、わが党の賛否をどうするのか、もしくは修正案をどう考えるのかということについては、委員会と政調の特命委員会での議論を一体としてなされるということ、これは、政党の物事の決め方として当然のことと考えております。

Q
再生エネルギー法案に関して、自民党が現時点で問題であると考える点はどのようなものがありますか。
A

一つは閣議決定がなされているエネルギー基本計画との関係であります。これを変更するのであれば当然閣議決定をし直さなければならない。原子力エネルギーの比率を5割まで上げるという内容です。これが一つ。
もう一つは、太陽光であれ、風力であれ、水力であれ、あるいは地熱であれ、どのような再生可能エネルギーでいつまでの期間に、誰の負担で行うのかということが明らかになるべきであると考えています。それによってわが国のエネルギーの供給を始め、エネルギー政策がどうなるのかということ。現在も産業の空洞化が懸念されており、企業が静かに日本を離れつつある。企業は遠い将来の見通しが立たないといけないわけであります。政治の役割として、安定したかつリーズナブルなエネルギーの供給というのは、安全の確保と両立させつつ行わなければならないと考えます。

企業家の立場、あるいは労働者の立場としてもそうだが、日本の経済はどうなるのだ、それによって雇用だとか給与だとか、年金はどうなっていくのかという現実の経済に答えていくということが未だつまびらかではない。再生可能エネルギーを電力会社が買い取るということになると、それは半ば義務的に買い取らなければならないということになる。再生可能エネルギーのコストもしくは優先順位などについても政府から確たる見解が出ているわけではありません。もちろん、再生可能エネルギーの比率を上げていくということは望ましいことであり、わが党のマニフェストとも符合することではあります。しかし、今回の原子力災害を踏まえて、再生可能エネルギーについても精緻な議論をもう一度する必要があると考えます。

Q
いま政調会長が指摘したポイントすべてに民主党が回答した場合には、修正案をもって賛成するということもありえますか。
A

それは当然ありうることであります。どういう回答をするのかということでしょう。とにかくこの法律を通してくれとか、ましてや顔を見たくないのであれば早く通せとかは、一国の宰相が言うべきことではない。顔を見たくないから法案を通すというような姿勢をわが党は取りません。再生可能エネルギーに移動していくということに関しては総論として誰も異論はないのです。しかし、それが経済に、景気に、雇用にどのような影響を与えるのかということは当然議論されてしかるべきであると考えます。なんでもいいから通しちゃえとか、菅さんの辞める条件を整えるのだということが目的とするなら主客転倒であると考えます。

Q
本日、総選挙公約検討委員会が開催されましたが、重点を置くべき政策と現時点で考えておられるものは何でしょうか。
A

前回の参院選挙や今年の統一地方選挙の公約は相当精緻なものであると考えております。これらの政策から既に実現されたものを落として、なお実現されていないものを残すということになります。それにひとり一法案プロジェクトを各部会においてご審議頂き、政権を奪還した時に実現すべき政策は当然載せるということになります。ですから、基本としては参院選挙の公約から大きくそれるものではないですが、その後の大震災を受けて、国土強靭化、災害に強い国土を創るというのはひとつのポイントとなります。

そしてエネルギーを安全に安定的に供給するという為の政策はかなりのウェートを占めるものであると考えます。加えて、尖閣の問題に象徴されるわが国の主権に関する問題です。さらには、普天間問題を始めとし毀損されつつある日米同盟についても、極めて重要な問題であると言えます。また、全体を貫くのは、持続可能性を持つのかどうかということだと考えます。

我々が4Kと言って、富める者もそうでないものにも同様に国家の資源を配分することに異を唱えるのは、そこに経済の成長がないということであり、一度配れば終わりであり、サスティナビリティがあるものとは考えていません。財政についてもそうであり、今さえよければいいというものではありません。
今後、総選挙公約検討委員会で様々な議論を行い、本日了承頂きましたスケジュールにのっとり8月の半ばまでに大方の道筋を決めたいということでございます。

Q
原子力損害賠償機構法について、自民党内にも東電を法的処理すべきであるという意見も根強くありましたが、東電の今後のあり方について政調会長の考えをお聞かせ下さい。
A

今回の修正において、今後どのように対応していくべきかということに関しても課題として条文化されているところでございます。東電を即時解体するということが、被災者の賠償権、それによって生ずる債権が他の債権と比して優先するのか劣後するのかということを考えた時、即時法的処理ということが被災者の為になるとは考えておりません。必要なことは被災者に迅速かつ適切な補償がなされるということです。どれぐらいの賠償額になるのかが確定していない段階で、法的処理すべきであるか否かを議論するのは適切とは考えません。

Q
菅総理から2013年の衆参同一選挙が望ましいとの発言も出ているが、この発言についてどう考えられますか。
A

各種報道で菅総理は退陣表明をしたということになっておりますが、菅総理は一度でもそのようなことを言ったのでしょうか。既に退陣を表明している総理が総選挙について言及すること自体矛盾していると考えます。しかし、菅総理がいつ辞めるとは言っていないということであれば、総選挙についての発言はなるほどつじつまが合うということになります。そこは是非総理会見等の場で皆様方に確認して頂きたいものでございます。既に退陣を表明されているということを所与とするならば、選挙について言及するのはあるべきことではありません。

Q
4Kについて、今後民主党がどのような見直しをしていくかが焦点になると考えますが、4月末の政調会長合意の中には、高校無償化が明示されていませんが、4月末の段階で落ちているのは何故でしょうか。
A

高校無償化は既に23年度において実施をされております。9月からは有償にするということは技術的に極めて困難であるという点が一つ。第二は高校無償化は既に定着化しているのだという主張が民主党から出ているということです。しかし、定着しているからいいではないかとか、もう始めてしまったからいいではないかということについては、理念の問題としてさらに詰めるべきではないかと考えています。

また、高校無償化というものを明示的に落としているわけではありません。合意文書をよく読んで頂ければわかるかと思います。富める者もそうでないものを等しく同じ施策を講じる。高校無償化は現金を支給をしているわけではないですが、さらなる現物支給をすべきではないかという論点は、合意文書の中から落としているわけではないし、民主党もこれは合意文書から落ちているのでもういいよねということにはなっておりません。

Q
北朝鮮問題について、6カ国協議に向けて関係各国が調整に動いているが、一部報道では菅総理が訪朝するのではないかということですが、それについてはどうお考えですか。
A

北朝鮮の問題は、拉致問題の解決という我が国の主権に関わる問題を含むものであります。拉致問題の解決の為に、北朝鮮と様々な交渉をすることを否定するものではございません。しかしそこでベースとなるのは、小泉総理が訪朝された時の日朝平壌宣言であります。北朝鮮は現在それを遵守しているとは考えておりません。北朝鮮とは米国、韓国等ときちんと連携を取った上での交渉があるべきだと考えております。中井元国家公安委員長が要人と接触しているとか、菅総理が訪朝を予定しているのではないかと報じられておりますが、非常に危うさを感じます。北朝鮮外交は非常に瀬戸際的であり、トリッキーなものであると考えます。わが国の今の外交の体制においては、国益の観点から極めて慎重に対応するべきであると考えます。

Q
原子力賠償支援機構法の修正案の中で、ステークホルダーについて言及されているが、例えば附則3条2項には、要請を受ける金融機関の義務までは書かれていないが、これでステークホルダーの協力が担保されるとお考えでしょうか。
A

それは、法的義務まで課したと読めるかどうかということは、修正協議もしくは本日の採決までに政府側を質し確認があるものと考えています。金融機関や株主が嫌だと言えばどうなるのかと言うと、そこは国民負担の最小化という文言があることからも、ステークホルダーは国民負担の最小化という社会的責務を果たさなければならないと考えています。

法的に担保されているのかと言えば、権利義務の関係で法的に担保されているところまで条文からは昇華しているとは考えていません。しかし、立法者の意図からすると、ステークホルダーにかなり厳しい責務をかけたものであると考えています。