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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年6月22日(水)

冒頭発言

はい、政策会議の案件、3点であります。  ガレキ処理促進法案、正式な名前は、「東日本大震災により生じた災害廃棄物の処理に関する特別措置法案」、議員立法であります。これは、とにかくガレキの処理が進んでいないということは、それぞれ理由のあることなのであって、今、市町村の代行を県がやっているわけですが、それを国が代行出来るようにするという事。あるいは、復興庁が出来るまでの間、最もふさわしい組織によってそれがなされる、これは環境省を非難するわけではないのですが、現在の処理が遅れているというのは、国の行政の対応というものに整合性が取れていないということもございますので、その点において政府はきちんとした対応をすべきである等々、現在ガレキの処理が遅れている理由というものをそれぞれ克服するような条文によって構成をされております。これは、(シャドウ)キャビネットにかけることに相成ります。  もう一本議員立法でありまして、「災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案」。これは遺族に兄弟姉妹を付け加えると言うものでございます。これは議員立法、おそらく全会一致ということになる見通しでありますが、議員立法でございますので、これはキャビネットにかけます。  もう一点、「東日本大震災に対処するための私立の学校等の用に供される建物等の災害復旧等に関する特別の助成措置等に関する法律案」。これは今回、私立の学校が相当の被害を受けておるわけでございますが、その助成措置を拡充するというものでございます。これは学校等ということでありますので、医療施設でありますとか保育園でありますとか、そういうものを含んではおりません。そういうものも合わせて、私どもとして法律案の後発という形になりますが、私立と公とのアンバランスというものは克服をしていかねばならないと考えておりまして、そのような法律の立法も急ぎたいと考えておるところでございます。  その他、「平成23年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律案」、これの各党との協議による修正事項についての報告がございました。了としたところでございます。  また、一部報道等に出ておりますが、「総合エネルギー政策特命委員会」というものを設置致します。本日付でございます。委員長には、山本一太・政調会長代理兼参議院政審会長にご就任を頂くということでお願いをいたしておるところでございます。いろいろと我が党の中に、この種々の委員会がございます。会議もございます。これも現在進行中のものでございますが、そこの議論というものを合わせまして、私どもとして今後のエネルギー政策をどうしていくかという事について、統合した形で考えをまとめて行きたいと、このように考えておる次第でございます。  以上です。

質疑応答

Q
会期延長の話なんですけれども、本日、自民党が、民主党が幹事長会談で提案した70日延長について、自民党の方は反対を決めました。それで、今後なんですけれども、政権奪還、あるいは菅政権打倒の為にどのような戦略で進めて行かれるのか。例えばですね、問責、あるいは法案の廃案などいくつかあるかと思いますが、お考えをお聞かせ下さい。
A

これは、この対応は総裁に一任をされておるところでございますので、私があれこれ申し上げることは適当ではないと思っております。ただ、政務調査会の立場で申し上げますと、2次補正、あるいは特例公債法案、更には再生可能エネルギーに関する法案。これにつきまして、わが党としての考え方がございます。
 公債特例法案について申し上げれば、わが党の主張は一貫をしておりますし、4月29日、民主・自民・公明の3党の政調会長会談におきまして確認された事項、すなわち、子ども手当のみならずその他の、高校無償化、高速無料化、農家戸別所得補償、メリハリのつかない、政策の重点化というものが捨象されている―そのような予算というものは撤回をすべきものであると。そのようなお金は、災害対応に回すなり、あるいは発行される国債の減額に回すなり、現在大変な状況にある皆様に、あるいは後世の世代にきちんと対応できるようなものにすべきであるということは、変わらず訴えていかねばなりません。菅さんがやめるからそれでいいんだとか、そういうお話には全然ならないものでございます。
 あるいは、2次補正につきましても、現在、政府で編成作業が続いておりますのは、いわゆる世の中において1.5次と呼ばれるような、財源も復興債というものを使わない。あるいは、使途についても二重ローン等々、喫緊のものに限られるということでありますが、私どもとして大型の2次補正というものを早急に組んでいくということが必要だということは、国会の中で主張していかねばなりません。
 エネルギーの法案につきましても、この法律というものは何を意味するか、私どもとして昨年のマニフェストにおいて、再生可能なエネルギーの比率を上げていくべきだということ、そして買い取り制度というものを拡充していくべきであるということは、我が党も主張してきたところでございます。自民党がこの法律に反対だとか、そのようなことでは全くありません。ただし、この原子力発電所の事故というものを契機に、契機にと言いますか、原因となってエネルギーの需給というのは非常に心配されている所であります。これによって、我が国の経済、あるいは雇用というものがどのようになっていくのかということも合わせて議論されねばなりません。私共としてまだ法案を政調全体として仔細に議論をしたわけではありませんが、相当の議論が必要であろうという風に考えておるところでございます。従って、政策的にわが党が今まで言ってきたことというのをきちんと訴え、二次補正予算は本格的な予算でなければならないということを我々は申し上げてきましたが、非常に急ぐものだからこれをやらせてくれということで財源についてもきちんとした議論なく、使途についてもきちんと議論をしない。(二次補正予算を非常に急ぐとの主張)そうであれば一次補正でやっておけば良かったでしょというお話でございます。本格的な予算というものを速やかに執行すべきだいうことを私共は訴えていかなければなりません。特例法案にしてもこれを通さなければ、この予算というものが執行できない状況が起きるということは私共は百も万も承知をしておりまして、それの速やかな成立というのは当然のことでございます。
しかし、3党の政調会長の間で確認をされた事項、このことの遵守はいったいどうなったのか、それに私共はこだわるとか、そのことに付け込んでということは全くありません。どうやってそれを見直し、被災地に回すか、そしてどうやって次の時代の負担を減らすかということは先程申し上げた通りでございます。要はこの政権の延命ではなくて、何が日本経済のためであり、何が被災地のためであるということをきちんと議論をするということをやっていけば、自ずとどこが違うかということは国民の皆様方に明らかになる、かように考えておる次第でございます。問責決議案等々については、私の所掌を超えておりますのでお答えは致しかねます。

Q
それに関連して、菅さんが辞めたからそれで良いというわけではないという発言について、昨日来、3党幹事長会談が行われ、調整が行われているが、最終的に菅首相退陣の確約が取れず、あいまいになっているが、迷走の菅首相の姿勢や責任については?
A

それは菅総理のお気持ちというのを直接聞いたわけではありません。あくまで報道等々において承知をする限りですが、政治を私物化するな、ということだと思っております。要するにご自身がお続けになることが、なぜ被災地の復興にプラスなのかということ、なぜ色々な予算・法律、これを通すことにプラスなのかという御説明がありません。自分でなければだめなのだ、なぜならばという御説明が一度もないということに、私は非常な違和感を覚えております。被災地はまだ復旧段階にあるわけで、これを急がねばならないにもかかわらず、なぜ瓦礫の処理が進まないのか、あるいは仮設住宅が立たないのか、今日のように被災地は梅雨に入り、真夏日でもあり、避難所で私も連休に行った時にこれが夏になったらどうなるのかという思いをものすごく強くしました。あるいは復興特別委員会においても、わが党長島議員からじゃああの大きな体育館にどういう風に冷房装置を置くのか、そのための電気工事はどうなるのかという質問があって、対応すると言っていましたが、少なくとも今日あそこで冷房装置が動き出したという話を私は知りません。つまり、遅れているには遅れているだけの理由があるのであって、なお自分が続けることが被災地の早急な復旧につながる、なぜならばという御説明がなにもないということは、非常にきつい言い方かもしれませんが、自分が留まることが優先であって、自分が留まることがなぜ色々な復旧・復興へのプラスになるという御説明が何もない。それはその説明があるべきだと私は思います。自分が続けたいというならば、なぜプラスなのかということを説明しなければ、続けたいから続けるんだという風にしか聞こえません。それは一国の為政者がとるべき言い方とは全く思いません。

Q
原子力損害賠償支援機構法について、自民党は国会延長の方向の中でどのように対処するのか?
A

これは各論に至るまで私が承知をしているわけではありませんが、この機構法において大切なのは迅速性、いち早く被災者に対してお金が支払われるという迅速性が必要です。もう1つは、この機構が持続性を持つものであるのか、サステナビリティという言葉を使っても良いのかもしれませんが、これが論点だと私は思っております。もう1つは、これが日本全体の安全性並びに産業政策にどういう影響を持つものなのかということも議論されなければなりません。私は被災者に対して迅速にお金が払われるということが優先されると思っております。しかし、払われたは良いがこの機構が持続しないということになれば、その時点でおしまいということになってしまいます。これが持続性あるものなのかということは検証されなければなりません。それは国の負担がどこまでいくのか、そして国が負担するならばその所以はなんなのかという議論を避けて通ることはできないと思っております。そして、エネルギーの安定供給ということがなければお金も出てこない、あるいは雇用も維持されないということもございまして、その点から議論がされて修正すべき点があるのではないかと今の時点では考えております。

Q
再生可能エネルギーの法案に戻りますが、自民党内からも菅総理の下でそこまでやるのはどうかという意見もありますけれども、それについてどういう対応をするべきだとお考えですか。
A

いまの現状を考えた時に、自然エネルギー――それを再生可能エネルギーと言ってもいいのですが――のウェートを上げていかねばいけないということについて、異論はほとんどないのだと思っております。さればこそ、わが党も昨年の参議院選挙公約において、再生可能エネルギーの買い取りということを公約として掲げて、国民の皆様方のご支持を得たところであります。そうしますと、菅さんだろうが、誰だろうが、逆に言えば菅さんじゃなくてもいいという意味にもなりますが、再生可能エネルギーのウェートを上げていくということ、そしてそれがどれくらいの期間で、どれくらいの数字を目指していくか、その間においてエネルギーの供給はどのようになっていくのか、この原子力災害というあらたな事態を受けて、それをどのように修正をしていくのかということが論点になるのであって、再生可能エネルギーのウェートを上げ、原子力発電のウェートを下げていくという方向については、何も菅さん民主党と私ども自民党の間に相違があるわけではございません。要はそういうような点をどういうように議論をし、どういうように姿を変えていくかということだと思っております。ですから、菅さんの下でやらせられないということを拘るつもりは私はありませんが、逆に申し上げれば、菅さんじゃなくてもやっていかねばならないものだということだと理解をいたしております。

Q
冒頭におっしゃった山本一太さんが委員長をされる「総合エネルギー政策特命委員会」なのですけれども、先ほど会長がおっしゃいました通り、党内に額賀さんの委員会ですとか、甘利さんがやっている会ですとか、いろいろあるのですけれども、これから自民党のエネルギー政策をまとめていくに当たって、どこがどういう役割――具体的にここにはこういう役割を担ってほしいとか――のイメージをお持ちでしょうか。
A

これは、例えば、甘利先生の委員会というところは、提言をまとめ、それは政策会議に報告をされ、総務会においても了承を得たものでございます。ひとつの成果物としてその提言があり、二次補正に向けての作業というものもいまお願いをしておるということですね。あるいは額賀先生の委員会は、この原子力災害の補償というものをどういう形でやるかという喫緊の課題について、ご議論をいただいておるものでございます。あるいは細田さんの電源立地におきましては、電源立地地域の安全性をどう確保するのかということのご議論をいただいてまいりました。ですからその合同会議のご議論でもいいのですけれども、自由民主党として、あるいは狭く申し上げれば自由民主党政務調査会として、そういういろんな成果物を統合する形で、これから先どうするかということを発信していかねばなりません。これは、二年前に新しい野党としての政調を発足する時に、あまりばらばらと委員会を作るのはやめましょうねと、できれば部会中心でいきましょうねというお話でしたが、部会の負担というのが、とくに経産部会なんぞというのはですね、他の国交とか厚労もそうですが、過度に及んだところがありまして、それぞれの委員会にお願いをするという形にしておりました。ただ、どうしてもうまく整合が取れなかったということもございまして、今回はとくにこれから先のエネルギーをどうするかということについて大変な課題となってまいりますので、政調会長代理にトップになっていただき、それぞれの委員会の委員長であった(いまもありますが)方々には顧問という形で入っていただき、そこの成果物とかけ離れない、というか、それを踏まえた上での提言ということになるのは、党の意思決定メカニズム上当然のことだと思っております。

Q
以前、自民党のこれまでの原発政策について検証ということをおっしゃっていましたけれども、これはどこの委員会が担うのでしょうか。
A

それは当然ここでしょう。
いままでどこに問題があったのか、そのことの責任から逃れるつもりはまったくないわけで、実際にこういうようなことが起こっているわけであってですね、そうすると、これは昭和30年代に遡る話ですけれども、例えば、原子力損害賠償法というものを作った時にですね、この法律の読み方をどうするかということについてはかなりどちらでも読めるような書き方にしてしまったし、そこを詰めることはなかった。なぜならば、原子力というものは絶対なのだということでですね、そういうような神話のようなもの、あるいは、そういうようなものがあってはならないという一つの決めつけというものがあったのではないかと。ですから、いまに至るまで、この原子力損害賠償法の読み方についていろいろな説があるわけでございます。ですから、それは昭和30年代から始まってですね、今日に至るまで、そのほとんどを自由民主党政権が推進してきたものであります。ですから、そこのそもそも原子力政策を始めるに至ったところからですね、検証したことは一度もないわけです。そうするとこれはこの新たな委員会が負うべきものではないでしょうか。そこはいろいろと反省をしなければいかんところがあります。ただ同時に、石油ショック以降、原子力発電のウェートが増えていって、それによって石油のウェートが下がっても、日本は経済成長を続けたということはございます。ただ、そういうような光の部分だけではなくて、影の部分についてもきちんとした検証の責めから我々は逃れうるものだとは思っておりません。