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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年6月14日(火)

冒頭発言

石破茂政務調査会長

【石破茂政務調査会長発言】

今日の政策会議でございます。
 「母体保護法の一部を改正する法律案」、議員立法。これは先程の本会議で通ったものであります。
 「東日本大震災に伴う相続の承認又は放棄をすべき期間に係る民法の特例に関する法律案」、議員立法。
 「障害者基本法の一部を改正する法律案」、閣法。
 「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」、閣法。
 同様の法律でありますが、「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための地方税法等の一部を改正する法律案」、閣法。
 すべて了承の上、(シャドウ)キャビネットの手続きを割愛をして総務会に上がったものでございます。今日の総務会で了承をみております。
 また、政調の中に、原発事故被害に関する特命委員会、額賀福志郎・元財務大臣が委員長でございますが、そこに対しまして、原子力安全に対するIAEA報告書、これが去る10日、提出されました。そこにおきまして、いくつかの議論が出ておりますので、ご紹介をしておきたいと思います。内容に関しましては既に皆様ご存知の通りでございますが、この中で事故の分析について記述がございます。その中で、ページで言えば(概要)36ページでございますが、「シビアアクシデント」、重大な事故というのでしょうか、「への不断の備えが十分でなかったことを重く受けとめている」というような表現がございます。これはどういう意味なのであろうかと。現在、賠償問題というものがどういう位置づけになるか非常に議論のあるところでございますが、この報告書の中では、不断の備えが十分でなかったことを政府として、多分政府としてだと思います、読み人は政府でありますので、重く受け止めているという表現がございます。さすれば、国が今回の事故に関してどのような責任を取るのかということが、当然関連を持って議論されるわけでございまして、このような記述の意味は何であろうかという議論があったと報告を受けております。で、先程、読み人は政府と申し上げましたが、このIAEA報告書は原子力災害対策本部というのが読み人になっておりまして、そうすると政府そのものと考えていいのだろうと、私は理解するところでございます。また、この報告書を誰が作成したかということですが、この2ページには、細野豪志・内閣総理大臣補佐官が統括をしたということになっておるわけでございます。職掌上、原子力の担当は海江田(万里)経済産業大臣ということになり、最終的には内閣の長であります菅(直人)内閣総理大臣が責任者と言うことになるわけでございます。で、この統括を補佐官がすると言うことはどういうことなのか、またIAEA報告というわが国の原子力の在り方を国際社会に向かって示す、そういう非常に重要な文書において、これが補佐官の手に依りまして、公開の場面ではない、そういうようなプロセスによって作成をされたと。国会でも審議をされず、取りまとめられているということは、どういうことなのであろうかということが議論になったということでございます。こういう経緯を詳らかにするために、この文書を統括された細野補佐官に国会においてご説明を頂きたいと言うことを求めておりますが、これは慣例上補佐官を呼ばないということになっております。そうすると、誰が責任を持って説明をしてくれるのでしょうねぇ?ということでありまして、このことについて我が党として非常に強い問題意識を持っている所でございます。統括というのは、手編でも車編でのいいのでありますが、どちらでも同じ意味でございますが、行政用語におきましては、上級行政機関が複数の下級行政機関に対して、総合調整をしつつ指揮・監督をする場合に用いられる用語と、法令用語辞典ではなっておるわけでございます。私は、細かい議論をすることは好ましくないと、自ら反省せねばならんことでございますが、指揮・監督ということは、それはラインということを意味いたします。行政機関におりますものは、ラインとスタッフという風に分けることになっております。ラインというのは指揮・命令系統で一本になるものでございまして、スタッフというのはそれを補佐するという風になっております。ですから、防衛省・自衛隊で言いますと、幕僚の幹部というのは、それはスタッフ職であってラインではないという整理をするわけでございますが、補佐官というのはスタッフと法律上位置づけられるにも関わらず、これが指揮・命令系統の統括をすると言うのはどういうことなのか。総理大臣が特に任命したので、スタッフ職がライン職になるということなのか。そうでありとせば、それは国会においてラインにいるものとして説明をするのが当然でありまして、細野さんを(国会)に呼ぼうとしたら、いや補佐官なんだから出てきませんよと。それは、あくまでスタッフなのですからねというようなことで補佐官の出席を拒んでおるわけでございますが、ロジックとして補佐官なので呼ばない。では、なぜその人が統括をするのというような議論になってこようかと思います。そういうような、何て言うのだろう、一般の方に分かりにくい議論をするつもりはございません。要は、これをまとめられた方が国会においてご説明をされるべきであると。そのご説明がないまま、海外に行ってあれやこれやお話になるというのは、それはガバナンス・統治機構の点から言っても問題がありという風に、私どもとしては考えておるところでございます。この原子力の問題につきましては、冒頭申し上げました通り、誰が責任を負うべきであるということが今なお曖昧模糊としておる所がございまして、このお話はキチンと詰めていかねばなりません。これは、今後の我が国のいろいろな基本的政策において、エネルギー政策をどうするのかというのは極めて重要な論点でございます。こういうことを曖昧にしたまま過ごしていくということは、決して好ましいことだと思っておりませんので、我が党としての考え方を早急に取りまとめて、自民党はこういう風に考えるということを世に問う必要があるのではないかと思っておる次第でございます。
 私からは以上でございます。

質疑応答

Q
今のお話の最後の部分で、エネルギー政策についての考え方を取りまとめるというのは、今まででも原子力政策だとかエネルギー政策だとか自民党は出してきたかと思いますが、それにこだわらずにゼロベースで考えるということでしょうか。
A

そこの、継続性を断つということを申しあげておるわけではございません。私どもとして、昭和30年代から原子力政策というのを主体的に進めてきたのは我が党でございますので、それが今日の事故が起きますまでの間に何かの問題があったのではないだろうかと、その検証は含む訳でございます。で、これは国という高度の責任を負う能力を有した行政主体がどのように関わってきたか。例えて言えば、保安院を経済産業省に置くという判断はどうであったのかとかですね、あるいは安全性の検証というのは本当に行われたのかとか、あるいはすべての事を想定していたら原子力発電所なんてのは出来ませんとの発言が過去にもあったにや承知をいたしておりますが、そのことについての検証はどうであったのかとか、そういう事の検証の上にこれからの政策というのはあるのだと思っております。ゼロベースという意味は、過去の事は捨象してということを申しあげているのではございませんで、過去の反省を踏まえた上で我が党としてどう考えるかということは世に問う責任があるものだと考えております。

Q
これは、時期、どこの場で議論をするとか、は決まっているのでしょうか。
A

これは政調において、額賀先生の委員会(注:原発事故被害に関する特命委員会)、あるいは甘利先生の委員会(注:エネルギー政策合同会議)がございます。あるいは、これらを合同した形でという事もあろうかと思っておりますが、そこの委員会に所属しなくてもですね、我が党所属の議員として意見を申し述べるという機会はあるべきだと思っておりまして、当面、関係部会・委員会で議論を致しますが、どこかの段階で全議員が己の責任をかけて議論をする場は必要であろうと考えております。

Q
時期的な目途については。
A

これは、いつまでにという事が明確に申し上げられることではございませんし、秋風が吹くまでなどといい加減なことを申し上げるつもりもございませんが、出来れば次期政権というものが出来る時に我が党内の考え方はきちんと示して対峙すべきは対峙すると言う事でなければならないと考えております。それよりも早ければ早いに越したことはございません。

Q
先程ですね、国会内で、幹部、幹事長始め政調会長も会合を開かれていたようですけれども、国会の延長あるいは予算等について、どのような結論がでたのでしょうか?
A

はい、国会のことはそれぞれの担当の方にお伺い頂くのが正しかろうと思っております。ただわが党のトップであります総裁が、例えて言いますと6月9日のこの場の記者会見におきましては、第一次補正予算には賛成した、復興基本法にも協力する、あるいは税において6月末で切れるから対応についても協力する、混乱を回避するまでの間協力できるところは協力してきたと。しかし、それ以外の案件については内政・外政ともに重要課題が山積しており、退陣を表明している総理が求心力をもってそういう案件を処理することはできないと。そういう総理大臣に協力することはできないので、こうした課題については国民からの信を得たきちっとした新体制で対処すべきだと。すいません、私その場にいたわけではないので、あるいは解釈を間違えているのかもしれませんが、基本的に総裁が公の場でおっしゃったこの大方針に反しないかたちでわが党としては対応していかなければならないということだと思っております。政府からまだ会期の延長について、公式にはなんらの意思表明もございませんし、与党の中でどのような議論があるのか今の時点において知る由もございません。私共として復興基本法は自民党が案を書き、ほとんどその通りに衆議院を通過し、参議院において審議を頂いておるという状況でございます。一次補正についても、わが党の提案は相当生きているわけでありまして、私共として為すべきことはきちんとするということであります。しかし、例えて言えば特例公債法案でありますとか、そういうものについて一部で言われていますように総理が辞めたからじゃあ通してあげようとか、そういう関係に立たないものであります。今官邸内においても辞めろとか辞めるなとか、色々なご意見の相違があるようでございますが、やはり政府・与党としてこうであるというものを示した上で、わが党の対応を考えるということであります。私共としてなお処理すべき法案、特にわが党が議員立法としてご提案すべきものはありますが、22日までに本当に必要なものであれば処理することができるのであります。当面、22日の会期内に懸案を処理するとのわが党の方針に変わりはないものと理解を致しております。

Q
政府提出の自然エネルギーの固定買い取り制度法案について、自民党としての対応は。また、今のところ審議に応じていないようですが、なぜ審議に応じないのでしょうか。
A

エネルギー政策全体におけるグランドデザインが政府から今もって示されていないということが大きな原因ではないかと思っております。この件について詳細に承知しているわけではございませんが、CO225%削減は一体どういう話になりましたかねということ、そして原子力政策というものについて政府としてこれを撤回すると、少なくともCO225%削減と喧伝した形でどのようにするのかということについて、きちっとした方針が示されていないということだと思っております。自然エネルギーのウェィトを高めていくということ、それは当然進めていくことですし、再生可能ということもございましょう、しかしそれはエネルギー政策全体の中でどう位置付けを持つか、それは当面の産業に対してどうなのか。あるいは将来的な日本の経済にとってどうなのかという全体像が示される必要があると思っております。私共として論点が明らかになり、政府のスタンスというものが示されるというのが第一だと思っておりまして、全く議論しないということではございません。

Q
今日、東電の賠償スキーム法案が閣議決定されたわけだが、自民党としての賛否及び成立に協力する考えはありますか。
A

これは被災者の立場に立って考えると、十分に支払われるか迅速に支払われるかということが極めて重要なものだと思っております。もう1つ重要な論点は、その仕組みがサステナビリティというのか、持続可能性と訳したら良いのか、それを持つものなのかということがきちんと議論されなければなりません。それはそういうような迅速性と十分性と持続性の3点から私はなお正す点が多々あると今の時点で理解を致しております。先程の細野さんのお話でも申し上げましたが、政府としてですね、このシビアアクシデントについて重大な責任がある、シビアアクシデントに対する不断の備えがなかったことを重く受け止めているということが、政府の公式な文書の中に出ているわけでそうすると誰が如何なる責任を如何なる論拠によるべきかということも、なお詰めていかねばならないということでしょう。そしてこれが、賠償の十分な額が支払われるということにおいて永続性があるものなのか、そして誰がいかなる負担をするかということが本当に奉加帳を回すお話ではなくて、それがこういう論拠によってお金を支払うのだと、それによる負担は実は電力料金を上げるというかたちにおいて行われるのか、なんなのか、その辺りもきちんと詰めていかなければ議論として不徹底だと思っております。今の時点でこれにもろ手を挙げて賛成ということには当然ございませんで、今申し上げましたような内容を其々の委員会できちんと質すということが被災者に対する迅速かつ十分な支援をし、わが国の電力というものの供給が安定的に行われる上においても重要なことだと思っております。

Q
今国会中の成立は無理だということでしょうか。
A

それは今国会がいつまでなのか、それは政府としてどのような御提案をされるのか、私共、現在において知り得る立場にございません。

Q
今日は菅首相がですね、閣僚懇談会で野田財務大臣に二次補正の編成の指示をしたが、辞めると明言していないのだが、限りなく辞めるという趣旨の発言をしながら、指示を出すということは続投の意志があるとの憶測を呼んでいるが、この点に関する見解は。
A

それはですね、何が非常に不満かと言うと、御記憶の方もおられると思いますが、一次補正予算、連休中に審議を致しました。私はあそこで質問に立ってこの一次補正の射程距離はどこまでですかということをお尋ねを致しました。そして、射程距離がどこまでなのか、二次補正をいつまでに組むのか、そのことが分からなければ一次補正予算だけポンと出されてもですね、それは審議はできない。連綿と続く間断なき補正予算というものを組まなければこの未曽有の災害に対応できないのであって、どうなんですか、という風に聞いたら答えは無かった。二次補正についても明言せず、財務大臣であったか、補正事由が生じた時と発言する等、実に実にそんな答えはないだろうという感じであります。補正予算を組め、二次補正予算を組めという指示は出てません、今日まで出なかったわけであります。今日まで出なかった。例えば、190キロにわたって海岸線というものが相当のダメージを受けている。ではそれをどうするのか。あるいは、全壊した病院に対してなんら手当てが為されていない、それをどうするのか。鉄道インフラについては何ら手が付いていないがそれをどうするのか。あるいは今の仮払い金の支払いはどうなるのか、等々ですね、あるいは瓦礫の処理を国がやるということになれば当然予算というものは変わってくるわけであって、瓦礫の処理が進まない理由は民有地が確保できないということにあるのであって、さすればそのためにお金はどうするのかですね、山ほど一次補正の積み残しはあるわけですよ。加えて申し上げれば、補正予算というものは災害地、被災地の復旧・復興のみならず日本経済全体をどう失速させないかという観点も必要なものでございます。日本経済全体が電力需給の不安定によって回復基調に乗り損ねる可能性も十分あるのであって、そうであれば被災地の復旧・復興のみならず日本経済全体をどうするのかという視点からも二次補正は編成されなければならないところ、今日に至るまでその指示が出なかったということは私にとって全く理解ができないことでございます。意地悪く言えばですね。安住さんが言ったようにこの国会は22日で閉じると、2次補正はもう出さない、そういう路線であったところ二次補正というものをやるのだということで、それをやるまでは政権を維持するという、良いものみっけたみたいなですね、非常に意地の悪い言い方をすればそういうところがあったのではないか。補正予算というものは我々が言っているように一次補正を成立させた時点から、あるいは並行してこれはホントに瓦礫の処理や仮設住宅とか、そういうものも全然十分ではないのだけれども、それに限定したものであってその後どうするのかを考えていなかったし、指示が無いものを財務省はやらないわけですよ、そういう姿勢そのものが実によろしくないと思っております。政権延命の道具としてこの二次補正を使っているという風にしか思えないのであって、言葉を選ばずあえて言えば実に不愉快。そんなものを延命の道具に使うな、新政権のもとでその財源を併せて、つまり一次補正予算で私共は出とともに入りもおかしいということを申しあげました。今回は借金しないからそれで良いもんね、では二次補正はどうするんですか、それは復興債を出さねばならない、ではその償還はどうするのかという話はなんら議論されていないわけであります。そういう一次補正の時からわが党が指摘してきた問題になんら確たる姿勢を示さないまま、延命の道具に使うとしたらこれは許されざることだと思っております。

Q
先日ロシアのイワノフ副主相の発言で日ロ平和条約は不必要であると、経済協力関係は進んでいるとの趣旨の発言があったが、それに対する政調会長のご所見は如何に。今の菅政権の対ロ外交、昨年来修正を続けてきているがどのように挽回したら良いのか。
A

二国間関係というものを、本当に安定した状況にしていくためには、私は、平和条約の締結というものは不可避なものだと思っております。私は最近、イワノフ副首相と話をしていませんので、そのことについて突っ込んだ議論、あるいは認識のどこに齟齬があるのかということについて確たることが申し上げられる状況にはございません。ただ、私が防衛庁長官在任中に、私が三月に訪露し、五月の初頭にはイワノフ(当時の国防大臣)が、日本に来たということがございました。私と彼とで、通訳だけを交えて、大使も全く交えずに二人だけでずいぶんと長い時間お話をいたしました。そこにおいて、セルゲイ・イワノフなる人物がですね、ナショナリスティックな、ロシアの国益だけを剥き出しに主張する人ではないということ。そして、中国、あるいは合衆国に対して、いろいろと深い考察を持っている人物であるということを私は認識をいたしました。長官退任後も何度か話をいたしております。その彼からなんでこういうような台詞が出てくるのか、私はちょっと了解をいたしかねているところでございますが、ここは、やはりせめて橋本・エリツィン会談のところまできちんと戻していかないと、次の話にならないと思っております。どこで認識の齟齬を生じたのか、あるいは昨年民主党代表選の最中に、メドベージェフ大統領が北京を訪問し、胡錦濤主席との間で領土問題あるいは歴史認識について、共通の考えを持つというような共同声明が発表されましたが、そういうようなことも踏まえた上で、ロシアの戦略がどのように変わったのかということについて、きちんと考察をしないまま場当たり的な対応をすることがあってはならないと思っております。詳細にお話する時間はありませんが、私としては橋本・エリツィン会談までもう一度きちんと戻すという努力は日本政府としてすべきものだというふうに考えておりますし、これから先の日ロ間は経済協力だけすれば十分だということには相成りません。領土問題を棚上げにするということは、私として取るべき立場ではございません。

Q
確認なのですけれども、政調会長はこれまで原子力政策の検証が必要なのではないかということをおっしゃってこられて、それは先ほどおっしゃっていた日本のエネルギー政策がどうあるべきかという自民党の考え方をまとめていくという中の作業として行っていくという理解でよろしいのでしょうか。
A

左様でございます。ですから、かつてですね――ごめんなさい、正確に記憶していないので間違いがあったら教えてください――全てのことを考えていたら、全てのリスクに対応するとしたならば原子力発電所は作れないということをたしか誰かが昔言っていますね。政府の関係者がね。それを是としてきたとするならば、そこにやはり誤りがあったのかもしれないと思っております。それは杞憂のようにですね、天が降ってくるとかそういうような話をしているわけではないのであって、こういうようなことも考えられる、ああいうことも考えられるということについて、十分な対応ができていたであろうかと。私は先般福島に参りまして、オフサイトセンターなるものを見てまいりましたが、実際にあれがちゃんと機能はしていなかったわけですよね。放射性物質が入らないような空調装置もなければ、実際にああいうような震災が起こっても、集まった人は15人しかいなかったというようなお話であってですね、それはもうオフサイトセンターの用を果たしていなければいったい何なんだということであって、やはりいろいろなことに対して備えができていたかという検証はしなければならないし、それをやった上でこれから先の原子力政策は論ぜられるのであろうと。あるいはその防衛庁長官をいたしておりました時に、仮にこの原発テロがあったらどうするのだという議論は相当に庁内でいたしました。原子炉は非常に堅牢にできているのであって、砲撃に対しても非常に抗たん性が強いというような結論が出たような気はいたしておりますが、原子炉は大丈夫でも電源系がやられたらどうするんだということが今回の福島原発の姿であってですね、原子炉は大丈夫だが電源系について、そういうようなテロリストに対する備えは十分かとかですね、そういうことをきちんとやっていれば、今回のことは回避し得たのではないか。それから誰が悪いの何のという話ではなくて、私どもとして、もっと想定外なんぞという言葉を使わないための努力をすべきではなかったのかということが私自身にはございます。少なくとも原発テロについてはもっと詰めておくべきだったという反省は私自身すごく持っております。それをきちんとクリアした上で、なお原子力発電というものは受け入れられるかどうかという問いかけはわが党としても真摯かつ謙虚にしていかなければならない。それは原子力政策をいままで主になって推進してきた者が負うべき責任だと思っております。

Q
各社の世論調査で、自民党の支持率がじり貧傾向でちょっと落ちているのですけれども、また不信任案提出に対してもあまり理解が広がっていないのですが、これはどのような原因と思われますか。
A

自民党の支持率が民主党と非常に近接している、あるいは社によっては逆転現象を起こしているということは、私どもとしてかなり真剣に真摯に受け止めねばならないことだと思っております。私はなるべくですね、メディアではご説明をするようにしているつもりですが、なぜ不信任を出さねばならなかったのか、なぜあの時期だと判断をしたのかということについての更なるご説明は必要なものだと痛感をいたしております。やはり政治は結果責任なので、国民の皆様の支持が下がっているというのはそれなりの理由があるはずであって、それはやはりご説明の仕方が十分ではないということ、そして、自民党は何をしているんだというご批判がすごく多いわけで、例えば、1次提言、2次提言、3次提言をしましたよということの説明がなお十分ではない。とくにメディアに対する説明が十分ではない。復興基本法というものの中身が何であり、政府案と自民党案のどこが違い、何で自民党案が通るに至ったかということのPRももっとしていかねばならないと思っております。私は自分に対する反省も込めて申し上げるのですが、やはり一般世論と与党野党問わず永田町の考え方の間に相当の乖離があるのであって、それが乖離を埋める努力をするのは我々の側であって、世論の側でないのは当然ことでございます。私どもの方としてその乖離を埋める努力をしないまま、「世間はわかっていないなぁ」というふうに慨嘆をするというのは、私としてはしてはならないと思っておりまして、大いに反省をするところでございます。

Q
いま、党内で検討している二重債務の話でですね、政調会長も参加されていたと思うのですけれども、自民党も民主党も両方とも支援機構が金融機関の債権を買い取るという仕組みまでは一緒なのですが、自民党案の中ではいわゆる農協とか農林漁業系の金融機関でですね、債権を買い取るというところまで踏み込んでいるのですけれども、一方で対象事業者に対して資金の貸付とか出資とかいうことを行うというふうになっているのですけれども、これは個人の農業者とか漁業者に対する出資貸付というものまで考えいているのか、それとも、あくまで法人とか株式会社とかに限定しているのかということが一点と、もし個人の事業者に対してまで踏み込んでいるのでしたら、生活資金と事業資金のすみ分けというものをどうするのかということがポイントになると思うのですけれども、その点、政調会長のお考えを。
A

すみません、そこについて、担当者ではございませんので、答えに不十分な点があったら、後で訂正をさせたいと思います。ここは個人まで含むということだと承知をいたしております。そうでなければ、個人で農業経営をしている方々の生活再建というものが極めて喫緊の課題である以上ですね、法人あるいは類似のものに限定する理由はなかったはずだというふうに記憶をいたしております。それから生活資金とそうでないものというのを分けるというのはかなり技術的には難しいことでございますが、基本的に眼目とすべきは農業経営が再開できるかどうかという点におかれるものだと思っております。そこにおける基準というものはあくまでその農業経営が再建できるかどうか、逆に申し上げればそうでないものに対して、どういうような融資を行うのかということはきちんと議論がされるべきものだと思っております。生活再建というものは、例えば、被災者生活再建支援法という別途の法律がございます。これは住宅に対して100万とか300万とか500万とかそういうお話なのでございますが、まだわが党の中でその立法作業が十分に進んでいるわけではございませんが、農業者に対する救済というものは、金融以外にもいろいろな方途が考えられるのだと思っております。私は生活資金についてはそのまま切り離せと言っているわけではございませんが、立法の趣旨からいってそれは業の再建・継続というものであって、生活の再建というものはまた別の法律の用意があるのではないかと。すみません、精緻な答えではないので、後で担当者の方にご確認をいただきたいと存じます。