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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年6月8日(水)

冒頭発言

石破茂政務調査会長

【石破茂政務調査会長発言】

政策会議の案件、全部で4つでございます。
 まず、第一に、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律案」。議員立法でございます。了承して総務会に上がります。
 「外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件」でございまして、北朝鮮に関連する法案でございます。これは延長ものでございます。了承で、総務会に上がります。
 「農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律の一部を改正する法律案」。法案内容に関しましては了承致しました。一部報道に出ておりますような問題がございます。従いまして、これは政調で取り扱うことではございません。この取扱につきましては、国対・現場の方にお任せしたいと思っております。事の経緯も含めまして、シャドウキャビネットに報告するということでございます。
 4番目、「復興再生基本法案の修正について」でございます。これは報道にございますように、ほとんどわが党案ということで修正がなったものでございます。これを、政府案・自民党案とも取り下げまして、自民・民主・公明、三党提案というふうに承知を致しております。一部、私どもの原案と異なるところがございますが、附帯決議等々によりまして、わが党の考えを可能な限り反映させていきたいと思っております。了承致しまして、これはキャビネットに上がります。
 もうひとつ、これは議題というよりも報告ものでございますが、この後、林(芳正)・財金部会長、あるいは宮沢(洋一)座長代理からお話を頂きますが、いわゆる「X―dayプロジェクト」というものでございます。これは、財政状況が悪化を致しまして、金利が急騰する・国債が暴騰するなどということが巷間に言われておるところでございますが、それをX―dayと称しますけれども、そういう場合にどういう事を取るべきであるかということは予め考えておかねばなりません。その点につきまして、プロジェクトにおきまして議論がございました。その報告書が取りまとまりましたので、その報告を聴したという訳でございます。これは言うまでもございませんが、問題点の共通認識を図るものでございまして、何かを決めると言うことではございません。しかし、そういう場合にどういう事をするべきかということについて、頭の整理はしておかねばならないという性質のものであるということでございます。私からは以上でございます。

質疑応答

Q
国会内に事故調査の委員会を置くと言うことについてなんですけれども、自民党内の手続きの日程とですね、本国会中に提出出来そうかどうか、教えて下さい。
A

この法案につきましては、わが党として、塩崎(恭久)議員、あるいは西村(康稔)経済産業部会長が中心となりまして、法律案の取りまとめを行ったものでございます。案文・詳細に至るまでまだ出ている状態ではございませんでしたが、この方向性について前回の政策会議で了承となったものでございます。法案の条文の詰め等々ございまして、前回のキャビネットにはこれは議題になっておりません。次回のキャビネットにおきまして、これを議題とし、なお政策会議の中でいくつか議論がございました。それは、そこに設置される委員会、仮に事故調査委員会ということに致しますと、国会内に設けられるものでございますが、極めて専門性が高いものでございますので、国会議員がその委員になるわけではございません。有識者というものが、国会の同意人事という形式を取りまして委員となると言うものでございます。そうすると、国会図書館のような国会の置かれる附置機関のような扱いになりますが、それはいろんな方をお呼びして見解を正し、そこにおいていろいろと国会法並びの権限を持つことになりますので、そうするとそれは一体何なのだと。国政調査権なのかと。国政調査権というものは、議会、すなわちハウスが持つものでございますので、民間人によって構成される、その委員会というものには国政調査権そのものではあるまい、という議論がございます。そうすると、新たに法律によって国会にそういう権能を与えるということになりますので、その点について憲法との関係はどうなのだという議論。あるいは、同意人事という訳でございますが、そこにおいてどのようなことが行われるのかということに対して、国会がどのようなコントロール機能を持つのかということでございます。これは、直接三権分立との関係は出てこないとは思いますが、そこにおいてどのような国会の統制が働くのかというようなこと等々、いろんな議論がございました。その点を更に詰めたうえでキャビネットにおはかりをし、そこで自民党案となったとせば、それをどのように取り扱うのかということが議論になるのだろうかと思っております。それはそれとして、復興基本法まで一緒にやるというか、協力をするというか、我が党の態度が明確になっておりますので、この法案というものを今後どのように取り扱うかということは、政調ではなくて、党全体の判断となります。そのことについて、私が政調会長という立場に置いてあれこれ申し上げると言うことは立場上出来ないということでございます。

Q
政調会長の御判断ではないかもしれないが、民主党内の一部では菅首相の退陣と引き換えに特例公債法案の成立に期待する向きもあるがそのことについては。
A

菅首相がお辞めになるということで特例公債法案を通すということは、従来のわが党の主張からすれば論理必然でもなんでもないことに相成ります。私共として特例公債法、すなわち、赤字国債の発行を可能にする法案の前提として子ども手当でありますとか、いわゆる4Kなるもの、これの撤回が条件と言いますか、前提と言ったほうが良いでしょうか。菅さんが辞めるイコールそういったものが無くなるということにはなりません。菅さんがお辞めになる、よって特例公債法案を通すということには相成らないということだと私は思っております。まだ民主党側から菅さんが辞めるので特例公債法案通してね、というようなお申し出があるわけではございませんので、あくまで仮定の話でございます。

Q
仮定の話ですが菅さんが4K撤回を持ち出して特例公債法案の成立を持ちかけてきた場合、次の政権に引き継がれるか不透明ですが、菅さんから提案があった場合は。
A

引き継がれるか怪しいです。民主党の意思決定のメカニズムはよく分かりません。ただその、いわゆるマニフェストで掲げられたこの4つの項目をどうするのかということについて、行われるであろう、辞めると言わないと代表選挙にならないので、そこにおいて大きな論争のテーマになるのではないでしょうか。民主党の衆議院議員の先生方はこれをやりますということで議席を得られた方々でありますので民主党の中において、選挙において約束したことをですね、辞めていくあんたが勝手に反故にするなというみたいなお話があるかもしれません。そこは民主党の中のお話でございますので、わが党からとやかく言う話ではございませんが、これは言ったけどもやっぱり撤回しないというようなことを言われちゃいますとこれは議会における色々な審議というものを根底から損なうことになりますので、おっしゃったことは確かであるよという担保は現時点でなかなか見出しにくいのではないかと思っております。総理がなんとおっしゃるかということと政党としてそれをオーソライズするということは一体のものでありまして、それがないとするならばそういうものに迂闊に乗ってはという警戒心が私にはございます。

Q
本日菅政権発足1年となりますが、政調会長も何度か委員会で質問されているが、この1年自民党がどういうチェック機能を果たしてきたかについて。また、先般不信任案を提出したわけだが、改めて菅政権の問題点は。
A
チェック機能というものは色々果たしてきたと私共は自負を致しております。それは、例えば事件もので申し上げれば、尖閣の対応というものが一番の象徴と思っておりますが、こういう対応は国家の統治機構論としてあるべきではないということを申し上げました。結果として、問責というものにつながっていったわけですが、国家の統治のメカニズムというものをよく理解をされていないと私共は認識をして参りました。そのことについて民主党の皆様方、あるいは菅政権の認識の浅さと言うのか、理解度の不十分さと言うのか、そういうことは折に触れて指摘をして参ったと思っております。あるいは、平成23年度予算、あるいは第一次補正予算、あるいは平成22年度補正予算につきましても、特に財源の面においてこれはおかしいということを指摘をして参りました。それは党の考える正すべきポイントというもの、そして私共が予算の提出権を持っているわけではございませんが、わが党であればこういう予算を組むべきだということを常に申し上げて参りました。そのこともチェック機能と言うよりもこうあるべきだ、ということをわが党は責任野党として果たしてきたのだと思っております。3月11日の震災、津波発災以来のことは、もう最近のことですので申し上げるべきものでもありませんが、例えば先程報告の中で申し上げた復興基本法につきましても宮沢、加藤議員が非常にご努力なさってわが党として本来こうあるべきだ、すなわち阪神・淡路大震災と同じスキームの法案がぽーんと出てきたわけで、それではダメです。全く様相も異なるのだから復興再生院というものを作り、そしてまた復興債を出し、その償還の道筋を明らかにするという内容の法律がほとんどそのままの形で通ることになりました。あるいは数百項目にわたる提言を出し、それが1つ1つ具現化されつつあるわけでございます。それは私共がパーフェクトであったわけではございませんが、政府与党の足らざる点を責任野党としてきちんと指摘をしてきたのだと思っております。  菅政権の問題点というのは、今申し上げたことに尽きるのですが、要はその場をいかにしのぐかということ、問題の先送りですね。そして、責任をいかに例えば官僚、これは検事が決めたんだとかですね、自民党時代からそうだったではないかとかですね、あなたには言われたくないという言葉をお使いになりましたが、残念ながら問題の先送り、あるいは責任転嫁という政権ではなかったかと思っております。確かに菅さんになって民主党2年目ということですが時の政府というのは常にパーフェクトな体制で臨まなければなりません。仮免だからとかいう話は成り立たないのでありまして、やはり国家の統治のありかたというものについて野党的なお考えが抜けない政権ではなかったかなという風に思っております。足らざるところ十分補えたかどうか、それについて自信を持って申し上げられる立場ではありませんが、私共として可能な限りの努力をしてきたという自負はございます。
Q
今国会会期末が近づいておりますが、以前は会期を延長した上で、二次補正予算案を早期に提出しろというのが自民党の主張であったと理解しています。いま状況が変わったのであらためて政調会長のお考えを。
A
それは、会期を延長するかどうかは政府の判断でございます。従来であれば、私共が与党の時代にですね、我々政府与党の側が会期延長させてねというふうにお願いをし、野党がダメだということが通例でございましたが、なんだか世の中どっちがどっちだかわからないのですが最近、私どもが会期を延長しろと、まだまだやるべき法案がいっぱいあるではないかというお話でございました。しかるに、この不信任を出すに至った経緯のところで、総裁なり、大島副総裁なり、石原幹事長が国会で申し述べておりますように、そもそも信用というものがないのだと、あなたが代わらなければならないのだと言ってまいりました。局面は大きく変わってですね、とにかく早くお辞めいただきたいと、そして、早く後継の体制を作り、その新しい体制の下で、復興基本法以外の、二次補正でありますとか、あるいは税と社会保障の一体改革でありますとか、あるいは2プラス2に向けたいろいろな安全保障上の課題の検討整理というようなことは、新政権の下でやっていただきたいということでございます。そうすると、会期を閉じるだの延長するだのということが、その中においてどういう意味を持つかということでございまして、私どもとしては新政権の下で、きちんと議論が出来る体制、それを整えてもらいたいというのが現在申し上げられる最大のことだと思っております。会期をどうするかというのは政府・与党がお考えになることでございますが、そこにおいて、とにかく一回不信任が出てしまったのだから、否決されたのだから、もうこれ使えないよねとか、そういうようなことをお考えになるべきではないと思います。
Q
今週初めくらいに大連立でちょっと盛り上がりましたが、自民党としては、とにかく民主党が新たな代表を選ぶことが大事なんだというスタンスなのだと思います。その上であえてお伺いしますが、今後の民主党との協力のあり方、大連立というのを踏まえた上で、あらためて政調会長のご認識を伺います。
A
それは、これから行われるであろう――あくまで「であろう」ですね、菅さんが辞めると言ったわけじゃないから――菅さんが辞めると表明した後で行われる代表選挙において、マニフェストをどう取り扱うのか、あるいは自民党との関係、他の野党との関係をどうするのかということは、民主党代表選挙において投票権を持っておられる方々がお決めになることでございます。ここにおいて選ばれた代表なり、そしてまた、その意を体した幹事長がどういうふうにおっしゃるかということを踏まえなければ、私どもとしてあれこれ申し上げることはできません。ただ、私どものスタンスというのは昨年の参議院議員選挙においても本当に長時間の議論を経て相当に思い切った政策というものを出しております。あるいは今回の復興基本法に表れておりますように、復興のお金というものは復興債でまかなうと、そして償還の道筋も明らかにするということを謳っております。そして、国がふさわしい責任を果たすということ――これは財源も含めてのお話でございますが――を申しております。そうすると、復興に対するわが党の考え方というのは基本的に法案に表れているものでございます。そして、政策的なものは昨年の参議院選挙でお示ししたものが骨格でございます。そうすると代表選挙において自民党が何を考えているかということは十分ご理解の上で、どういうお立場でどなたが立候補されようとも、それについてどう考えるか、これから先、自民党とのあり方をどう構築していくかということが当然テーマになることでございますので、それを見るほかはございません。
Q
まず、午前中だと思いますけれども、税法について、税調も含めて党幹部も入られて議論されたと思うのですけれども、現在の党内での議論状況、あと、民主党と、公明党とも議論が煮詰まってきた部分があると思うのですけれども、現時点での状況を。
A
これは、詳細は林政調会長代理の方がご存じでありますので、私から申し上げるより、非常に技術的なことでございますので、間違えたことを言いますとかえってご迷惑をお掛けしますから、林代理の方からお答えをさせていただきたいと思っております。ただ、税法につきましては実際に個人の方、あるいは企業の皆様方、そういう方々に対して非常に深い関係を持つものでございますので、その点においての配意をしながら、いま国民生活あるいは国民経済にとって必要なものはきちんと決めておくというスタンスで税調幹部において議論がなされたというふうに承知をしており、私どもの党の幹事長、あるいは政調会長としてそれを了とする作業をいま行っておるところでございます。 林 芳正政調会長代理  税制調査会については、この間の補正を審議する際に3党ですでに合意をしておりますが、そこに、税制改正法案の扱いについて、各党で早急に検討を進めるということで合意をしました。つなぎ法案というのを出した経緯からして、6月いっぱいでつなぎが切れるということも客観的な事実としてございますので、そういう前提で内々に各党の間で実務者すなわちわが党であれば税制調査会長ということですが、いろいろなやりとりをしていただきまして、わが党の場合は税制調査会で、そういうことも含めて平場、それから役員会等々を重ねてまいりまして、ほぼわが党としては税制の抜本改革はまさに消費税を含む抜本改革でございますから、消費税を抜きにつまみ食いをするということはおかしいということがまず第一点。それから、納税者の利便を図る諸章の点につきましては、納税者権利憲章を除く、すなわち国税通則法を除く点についてはおおむねよろしいのではないかと。それから租税特別措置については結構であろうと、こういうようなことで、当初、この国税通則法をどうするかということでいろいろ頭を悩ませておったわけでございますが、これについては税制の抜本改革と同じように今後の検討に委ねようということで、民主党の方もそれで結構だということでございますので、一番悩みが多そうだった部分がそういうふうになりましたので、そういう形でおおむね政策担当者の間で合意ができたということで、6月末までがつなぎの法案、いま少なくとも会期が22日までという前提で考えますと、かなり時間が切迫しておりますので、合意をした上で、幹事長にも合意に入っていただくという意味は、幹事長・国対の方で最終的に会期が終わったけれども間に合わなかったというようなことがないようにするために一緒にこの合意に加わっていただくということで、幹事長、政調会長で合意をしていただいたということでございます。
Q
参議院の復興特の人事で柳田元法務大臣が内定したということなのですけれども、政調会長は以前に予算委でも質問されたと思うのですが、この人事についてどう思われますか。
A

それは参議院がお決めになることですから、柳田議員もですね、いろいろな責任を感じてお辞めになったと。そしてその時にいろいろなことをおっしゃったわけでありますが、それを踏まえて、またさらに能力を増して登場されたのではないかと期待をいたしたいところでございます。それ以上申し上げるところではございません。

以上