ニュースのカテゴリを選択する

記者会見

石破茂政務調査会長 定例記者会見

平成23年4月27日(水)

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言 】

政策会議を行いました。案件は外交部会から「日・ブラジル社会保障協定」、「日・スイス社会保障協定」、「日・インド包括的経済連携協定」の以上3件であります。これは了承をみたところであります。総務会に上がります。シャドウ・キャビネットにはかけません。その他、「平成23年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律案」、「東日本大震災に対処するための土地改良法の特例に関する法律案」、「東日本大震災に伴う海区漁業調整委員会及び農業委員会の委員の選挙の臨時特例に関する法律案」、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律案」、「東日本大震災に対処するために必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案」、以上すべて了承でありますが、最後の財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に関しましては、途中の経過の報告があったということであります。今後事態の推移がありますれば、またしかるべき措置をとるということになっております。その他の案件でありますが、本日の文部科学部会におきまして、大相撲本場所の早期再開についての提言というものの取りまとめが行われました。これは提言ですから、政策会議にかかったわけではありませんが、この大相撲というものが、5月場所につきましては技量審査場所ということで、5月8日から22日まで開催されるということになっております。内容は本場所に準じるものでありますが、これを興業としては行わないと、また公共放送による中継の予定もないと、このように承知を致しているところでございます。もちろん、いわゆる八百長問題の全容解明、処分、再発防止と、この3点セットが揃わなければ、本場所の再開を行うべきではないと、また、大相撲というものの再生に対する取り組みが、十分であるという国民の理解を得られない限り、安易に再開を許すべきではないということはその通りであります。一方におきまして、野球とかサッカーでありますとか、その様な各種のスポーツがチャリティーマッチなどを開催し、多くの善意というものが集められているわけでございます。また、被災者の皆様方も大相撲というものを楽しみにしておられる方も多いということであります。私共として、日本相撲協会が真摯な反省と再生に対する取り組みをこの際、行動によって示すという方法もあるのではないかということで提言をまとめたものであります。例えば、この技量審査場所というものを、チャリティー方式とするなどの運営方法についてあらためて検討するべきではないか。それを踏まえ、日本放送協会におかれては、少なくとも数回は中継を行うべきではないかが検討をされたいということでございます。また、巡業につきまして、年内は中止ということになっているわけでありますが、6月に東北地方への慰問巡業を行うというような方針であると承知を致しております。その際は会場が避難所になっているため、取り組みなどは行わない方針と聞いておりますが、この巡業をなるべく被災者の方々に喜ばれる形とするべきではないかということ、また、通例行われております8月の東北地方の巡業につきましても被災者を慰問するために開催をするべきではないかということであります。7月10日から予定されております7月場所、これを通常の本場所として開催できるように、より一層の取り組みが進められるべきであるということであります。これは色々な議論があったと聞いておりますが、本当に再生というものが、きちんと道筋がたち、国民の皆様方のご理解が得られるということであるとすれば、被災地の方々、ご高齢の方々も多いわけであります。別にご高齢の方々だけが相撲ファンというわけではありませんが、非常に楽しみにしておられる方も多いということであります。そして、またこれはこの文章にはございませんが、この大相撲というものは広く海外にも国際放送として、発信されているわけでございます。色々と間違った報道というものも海外ではなされているというように聞いておりますが、日本はこの様にして、着々と再起へ向けての道を歩んでいるということを海外に発信するためにも、この様なものは必要ではないかという意見もあったように聞いております。以上が文部科学部会としての提言ということで了承されたということで報告を受けております。

質疑応答

Q
文部科学部会の提言なのですが、これは提言ということなので、どなたがどこ宛てに提出する予定なのでしょうか。
A
これは文部科学部会における提言なのですね。これは別に自由民主党政務調査会とか自由民主党とかというクレジットが付いているわけではございません。これは日本相撲協会やあるいは日本放送協会に向けての提言ということになろうかと思います。ですから、ここは注意をしていただきたいのですが、いわゆる八百長問題とかそんなものをいい加減にいてよいだとか、そういうものをなし崩し的にけじめがつかないままやってよいということを言っているわけでは当然ありません。
Q
文部科学部会長が直接持っていかれるなどということは決まっておりますでしょうか。
A
そこはまだ決しておりません。わが党としてこういう提言をしたということを今ここで申し上げているわけでありまして、今後どのような手続きをとるかということまで今詳細に定まっているものではございません。
Q
財源の確保法案につきましては、今日どの様な議論が政策会議ではありましたでしょうか。
A
今日はこのことについては、まだ確たる議論というものが方向性をみたものではございません。従来の議論というものに動きがあった、あるいは特段の変化があったというこだとは承知を致しておりません。
Q
昨日の与野党国対で、官房長官が公債特例法案の年金部分の切り離しについて説明しましたが、この考え方についてどの様にお考えになるのかということと、自民党の対応を決める際に何らかの影響が生じてくるのかということを教えていただけますでしょうか。
A
技術的にこういう切り離しというものは当然あるという風に考えております。私共として、入りの部分において、政府として技術的にその様に切り離すという考え方は理解できないわけではありません。しかしながら、それでは例えば年金部分の3分の1から2分の1というものの、私共の言葉で言えば、流用というものについて、今後どの様に恒久的な措置がなされるのかというようなことについての答えがあるわけではありません。その後について、どの様に考えるかということについてもあわせて議論をしなければならないということ、技術的にそういうことはありうるということは認めます。しかしながら、それをもってして、直ちに賛成とかということにはならない、微妙な言い回しで恐縮ですが、いくつか詰めておかなければならない論点があるということだと思っております。
Q
その後の恒久的な措置が納得いく形で示されれば、当然対応としても変わってくるということでしょうか。
A
そこまで示すかどうかということだと思います。だから、恒久財源とは何でしょうかという時に、いわゆる子ども手当等々、これをどうするのかというお話と、あとは税と社会保障の一体改革、これをどうするのかということについて、切り離すというお話があるだけで、ではそういう様ないわゆる手当の類、これをどうするか、あるいは税と社会保障の一体改革をいつまでに結論づけるのか、責任ある政府として考えているかということについてのお答えというものは何らないものですから、このことだけで、評価をすることはできない。技術論としてそういう様なものはありうるということにとどまります。
Q
この歳入の法案と歳出の予算案についてもそうなのですが、公明党のほうで両方とも賛成に回るという報道も一部でありました。自公で歩調をあわせて国対はいくということで、2幹2国2政で一致していると思うのですが、この賛否について、どの様な形で、自公ですり合わせていくのか教えていただけますでしょうか。
A
これは、なぜ賛成をするのかということについて、私も報道ベースでしか存じません。これは公明党の中でも色々なご議論がありまして、公明党の政策責任者がはっきりと賛成をするという風におっしゃったというようにはまだ聞いておりません。これは、予算案には賛成しながら歳入法案には反対するというのは、いかにも分かりづらいというようなことは承知をしております。ただこれは昨日も申し上げたかもしれませんが、「これは補正予算用の財源ですよ」とか「これは本予算用の財源ですよ」ということが、線が引いて決まっているものではございません。特別会計になっているわけではございませんので。そうすると、入りの法案が通らなければ補正予算が執行できないのかといえば、それはそうではないということになるわけでございます。そうすると、歳入のほうはもっと工夫の余地があるのではないかというふうに私共は考えておりますし、「正すべきポイント」でも明らかに致しましたようにそれは復興債というものを発行すべきであるという考え方に我々として変わりはございません。私共として、党が立てた方針というものに齟齬がないように2次補正まで視野に入れた公明党との調整を続けていく必要があると思っております。
Q
アメリカの格付け会社のスタンダード&プアーズが日本国債の格付けの見通しを現在の安定的からネガティブに変更したのですが、震災を機に財政赤字が拡大をするのではないかというのが理由のようですが、これについてどのようにお考えでしょうか。
A
格付け会社は色々な考えに基づいてやっているものでありまして、民間の企業というものが、行った事について、論評するべきかどうかというような木で鼻をくくったようなお答えをするつもりはございません。それは、やはり格付けが下がったとするならば、それは何故なのかということもよく考えていかねばならないと思っております。CDS、クレジット・デフォルト・スワップというものも、これは実際問題、保険料の様なものでございますけれども、これは震災以来上昇していると、つまり、保険料が上がっているという現実問題も起こっているわけであります。そう考えていきますと、格付けが下がると、あるいは保険料、保険料という言い方を便宜するとすれば、このCDSが上がっていくというようなことは、やはりこれから先の日本の財政について懸念が表明をされているということだということは率直に受け止める必要があると思っております。そうであればこそ、「1次補正では借金をしないのだよ」と、「国債を出さないのだよ」ということかもしれませんが、これは1次補正の議論で最初から申し上げているとおり、なんで1次は出さなくて、2次からはよいのかと、やはり国債というものをきちんと出し、もちろん不要不急の経費は削った上でですが、そういう国債を出す、そしてまた私共が申し上げておりますように、それは別管理として、どの様にしてそれを返済していくのかということ、そしてそれが、議論として出てくるのは、例えば復興税のような形で増税をするべきだという案が出てきてみたり、あるいは日銀が引き受けるべきだみたいな案が出てきてみたり、どうもこれから先、経済が成長し、なおかつきちんとした財政の再建、債務の円滑な償還というものがなされるかということが示されていないというところに大きな問題があると思っております。やはりそこは、震災発災前も日本の財政は極めて厳しい状態であったわけで、国債の格付けも、その時から下がっていたわけです。このことは、私は決して増税論者ではありませんけれども、財源に関する話は先送りだという話があちらこちらで起こっております。本当にそれでよいのですかと、財源に関する話、すなわち増税ということではなくて、どうやって経済を成長させるか、その上でどうやって財源を見付けていくかというようなお話がセットになってなされるべきだと、これは私が個人的に思っていることですが、何でもかんでも財源の話は先送り先送りというお話が、一方において何で先送りをしてよいのだという話がセットになっていないので、やはりそのことは市場に与えるシグナルとしてはあまり好適なものではないと思っております。
Q
昨日の全議員総会ですが、谷垣総裁はじめ執行部から菅政権への批判が相次いでいます。今後どのように菅政権の交代を目指すか、その道筋や戦略について内閣不信任や問責決議の提出を踏まえ、どのようにお考えかお聞かせ下さい。
A
昨日も色々な議論がありました。私もずっと聞いておりましたが、やはり菅政権ではダメだということはわが党のコンセンサスだと思っております。ただ、総理大臣というのは自ら辞めるか、あるいは不信任が可決され、解散ではなく総辞職の道を選ぶかこの2つしか菅政権を終わらせる道筋はありません。不信任を可決すると考えた場合、衆議院定数480名のうち過半数が必要ですから、愛知6区補選で丹羽ひでき氏が当選されましたが、まだわが党は118名であります。他の野党を全部足しても過半数には足りません。そうするとどうやって不信任を可決させるか、不信任を上程して否決されれば、それは裏返して信任ということになるわけですから、この提出をする場合、とりあえず出しましたではダメで、どうやって過半数をとるかということについて、昨日もあった議論は、マニフェスト絶対を叫ぶ人達とは組むべきではないという話も随分出ておりました。そうすると、どうやって過半数を取るのですかということについて、私は政調会長という党3役の立場で軽々な発言をすべきではないと思っておりますが、ただ道筋を立てずに、とにかく倒せという話をどなたもされているわけではありません。そこについてどう考えるか1人1人の国会議員としてどう行動するべきかということをよくよく考えた上でなければいけないことだと思っております。また、国民世論は菅総理はすぐ辞めろ、夏までだと、一段落着いたら辞めろというのを足すと8割くらいになるわけで、どのように行動することが、被災地の復興に対して時間的な遅滞を生じせしめないか、遅れを発生させないか、何よりも避けなければいけないのはこんな時に政治は何をしているのかという様な印象を国民に持たれないということがとても大事だと思っております。菅政権を倒した後、どのような政権が望ましいものなのか、復興あるいは財政政策、外交政策もそうでしょう。そういうことについての議論がないままに色々な話が報じられるということはかえって国民には何をやっているのかという印象を持たれることになるかもしれません。
Q
出席者の中には、民主党内でも政権批判が高まっていることについて、敵の敵は味方だという考えではいけないという意見もあったかと思いますが、小沢元代表の動きも念頭にあるかと思うのですが、倒閣の道筋とも絡むのですが、改めてその辺の意見についてご見解をお願いします。
A
敵の敵は味方だと言っても、マニフェストは絶対であると民主党代表選挙の時の小沢さんを支持された方々のご主張はわが党の主張とことごとく反するものであります。去年参議院選挙でわが党は、これから先あるべき政策を示して、多くのご支持をいただきました。これと全く異なる主張をされている方々と組むということはあの参議院選挙は一体何だったのかとなります。そうするといくら敵の敵は味方だといってもそういう人達と組むということは、一体どういうことなのかということを多くのわが党所属議員は分かっているからこそ、そのような発言になったのだと思います。そうするとそういう人達とは組まない、当たり前のことですが、しかし菅総理は辞めない。ならば一体どうすればよいのですかということについて考えるべきことでしょう。それは一体何なのかという答えは、与党の菅総理を支える方々がこれから先日本国はどうあるべきかということに思いを致して判断されるべきことだと思います。それが与党に手を突っ込むとか、こちらと組んだらどうだとかということよりも、一体何を実現する事が今の日本国のために必要なのかということ、それをいまの政府を支える方々がよくお考えになるべきだと思っております。自民党として、例えば1次補正に対する考え方や復興基本法に対する考え方とかを、わが党としてこの様に考えると提示する事が先です。あれと組む、これと組むなど政局的な動きをすることなく、自民党としてこうなのだと示す作業が今の政務調査会に与えられた責務だと考えております。
Q
憲法の話ですが、菅首相が年末年明け、たちあがれ日本などとの連立のような動きをとってきましたが、その根本は衆・参のネジレにあると考えられると思うのですが、それについて憲法審査会があまり進んでいない現状や、2院制改革の議論が進んでいないとか国の形の議論をしなければいけないと皆危機感はもっているのでしょうけれども、現状についてどの様にお考えであるのか、また今後どうすればよいのでしょうか。
A
菅内閣でもそうですし、安倍内閣も福田内閣も麻生内閣もこのネジレに苦しんできました。衆参両院があることによって、より慎重な議論がなされて、よりよい結論が得られることであれば2院制というものはうまくワークをするのですが、政権選択の院である衆議院が決めたものが参議院で止まってしまうとなると衆議院選挙とは一体何でしょうかということになります。そうすると衆議院と同じような会派構成がなされるべきだということになりますが、同時選挙でも行わない限り当然選挙にズレがあります。そうすると同じ様な選挙制度をとったとしても違う結果が表れてくるわけでありまして、1院制という話を真剣にするか参議院の位置付けを再考する、参議院の権能をどのように考えるか、そこにおいて上院たるにふさわしい選び方をするというものがあるのだと思います。皆様がご存じのように(両議院は)選挙された議員となっています。そして全国民を代表するという形となっております。仮に衆議院の小選挙区比例代表並立制が民意を反映するのにふさわしい方法とするならば、参議院がそれと違ってよいはずはないだろうとなるわけで、同じ選挙のやり方で選ばれる上院下院、衆議院参議院とは世界で極めて珍しい形態であって、そこがどうあるべきだという議論が根底にあるべきではないかと思っております。そこは今のほとんど同じ選挙制度でいく限りネジレはある程度恒常的に生じるものだと思っておりますものですから、どちらが与党であれ野党であれ本当にこれでよいですかと話をすべき時期になっているのではないでしょうか。私は理念理想を同じくする人が1つの政党を作るべきと考える論者ですが、そこにおいて衆議院参議院のあり方ということも双方の利害を捨てて本当にどうなのだと議論をし、結論を得るということがどうしても必要なのだと思っております。
Q
そう考えると、昨年の臨時国会以来、参議院が政権与党に対する問責を突き付けることである種の政権に対する攻撃を続けてきた実例があると思うのですが、今後はそういう方向については抑制的であると考えてよいでしょうか。
A
それは問責というものをどう捉えるかです。例えば仙谷長官、馬渕大臣の問責を可決しました。その時に例えば仙谷長官がとってこられた色々な行動、馬渕大臣が取ってこられた色々な行動、それを一方の院がそれに対して責任を問うと言ったわけですから、では、こことここが誤っていた、これから先はこのように直すのだというような意思表示が問責の対象となった閣僚からなされ、総理もその通りだとあってしかるべきでしょう。しかし、何も間違っていない、今までと一緒だと言われると参議院が示した問責とは一体何なのだとなるのは当然だと思っております。残念ながら仙谷・馬渕両大臣に関する限り、ここが間違っていた、ここを改めるべきだったと発言が全くないままにこういう状態ができているということは、衆参のネジレをどうやって少しでも解消していくかということに対する今の内閣の誠実性のなさの表れだという風に考えております。衆議院で不信任がありますのはそれに対して総理大臣は解散という対抗手段がありますので意味があるわけです。しかし、参議院は解散がありませんので問責が可決されたらすぐに辞めなければならないということになると、参議院は6年の任期がありますので絶対的な権力を持つということになるわけです。わが党の参議院議員達も、それでどんどん閣僚を代えればいいと思っているわけではなく、どういうように改めるかと求めていたのだとそういう真摯な姿勢はわが党の参議院はもっております。あるいは参議院の解散となると、なぜ2院が必要なのだという話になってしまいます。そこはもっと議会の真摯な決議に対して内閣は誠実に応える義務があると思っております。憲法で定められた閣僚は国会における会議に出席するし、意見を述べることができる。こういうような憲法の規定をよくよく認識しながらどうすればその憲法の規定をキャビネットとして実行することができるかということに対して誠実さが足りないと思っております。