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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年3月9日(水)

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言 】

お待たせしました。本日の政策会議の案件は2件ございました。農林部会から出てきております。閣法ですが、「家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案」です。2つ目は国土交通部会から「踏切道改良促進法の一部を改正する法律案」が出てまいりました。これも閣法でございます。どちらも政策会議しては了承致しました。今後の対応は現場にお任せするということにしたいと思っております。また、本日正午から外交部会を開催致しました。一部報道にございますように、東シナ海ガス田は生産段階であるということを中国の企業幹部が認めたという報道がございました。私共としては、このようなことに対する情報について政府は開示をするべきであると考えております。映像や写真などを今まで公開しないできているわけでございますけれども、国民に対して現状をきちんと明らかにし、このことについて国民自ら考えていただくべきであると思います。このような報道がなされておりますが、わが党としては、政府が現在、把握している情報は明らかにするべきであるということを今後要求していきたいと考えております。次に、メア日本部長の発言であります。これは昨日、官房長官も言及しておりましたが、事実関係というものをきちんと明らかにしていかなければなりません。プライベートにお話をされたわけではございません。国務省内において、日本部長という立場で講義もしくは講演をされているわけでございます。一部には、その全文が掲載をされております。このことにつきまして、キャンベル氏が空港のいわゆるぶら下がりで、「個人的に謝罪をしたい」というようなことをおっしゃっておられましたが、このようなことを個人的に謝罪されてもどうにもならないのでありまして、合衆国として、このことについて、どのように考えるのかということは明らかにする必要があると思っております。この発言は沖縄について言及された部分は、かなりその認識が沖縄の実際の思いと異なっていると考えております。その点につきましては、合衆国として、見解を明らかにされたいと思っております。また、他の部分でありますが、仮にあの発言が事実であるとしてという前提付きではありますけれども、集団的自衛権に関する言及がございました。日本は基地を提供する義務を負っています。「さすがによく認識しているな」という感じをもって読みましたが、「日本は義務を負っている」、そして、「憲法9条の改正は合衆国の国益にならない」という件がありました。それは、合衆国から見れば、そう見えるのだろうという風に私は理解をしたところであります。昭和30年に当時の重光外務大臣が合衆国のダレス国務長官と議論をした際にダレス長官が、いくつかの書簡を残しておりますが、集団的自衛権行使を認めることは、合衆国の国益ではない。合衆国の国益とは日本に集団的自衛権を行使させることではなくて、義務として基地を置かせ、自由に使い続ける。これが合衆国の国益であるとしております。これは外務省等々の資料からも窺い知ることができるものであります。だとすれば、本当にこの基地問題というものの根源は、「日本国は合衆国防衛の義務は負わないが合衆国は負っている」ということは不公平ではないかということで、合衆国防衛の義務を負わない代わりに基地提供の義務を負っているということが、事の本質でありますので、沖縄の問題は沖縄の問題として、厳しく糺すべきでありますが、私としては、基地の置かれている根拠そのものについてもこのような認識をもっているのだなと、仮にそれが日本部長という方のご発言だったとしても、あらためてそこに問題意識をもっているところであります。なお、ホスト・ネーション・サポートの議論は時限性のあるものでございますので、この議論をどうするかというのは、早急に詰めていかなければならないことであると思っておりますが、前回のホスト・ネーション・サポートの議論の時に、民主党は明らかにこれに反対をしたわけであります。明らかに反対をしておきながら、今回、その審議を急いでもらいたいというのは、以前と今回と何が変わったのかということであります。私共として、ホスト・ネーション・サポートの重要性というものは、よく認識をしているつもりですが、民主党はこのことに、3年前のことであったと記憶しておりますが、反対を明らかにしたわけであります。今回なぜ態度を転じたのかということはきちんと説明するべきであると考えております。

質疑応答

Q
先程、執行部が集まり会議が行われたようですが、民主党側からのつなぎ法案に対する国会対応について、どのような話し合いが行われたのでしょうか。
A
これは、正式な提案が政府・与党からございませんので、今、私がこの場で言及をすることは適切ではないと思っております。私共として、政府・与党から正式な提案がありました時に、我々の手続きに従って対応を決めるということであります。それ以上でもそれ以下でもございません。
Q
民主党内では、つなぎ法案というものが具体的に出てきておりますが、こういった手段については、どのようにお考えですか。
A
私達としては、平成23年度予算というものは、財政再建の視点が著しく欠けていると考えております。そして、マニフェストに拘泥するあまり、財源のないままに、国債の発行や埋蔵金と称するもの、私はそれを使うということは、赤字国債と何ら変わらないという認識をもっておりますので、マニフェストに拘泥し、その財源は借金に求め、次代にツケを回すということだと思っております。そして、いつも申し上げているように、成長に寄与しないものが散りばめられた、辻褄合わせ、財源あさり、そして官僚任せの予算だという風に思っております。現在、参議院において予算の審議中であります。私共として、この予算は認めることができないという立場であります。当然、関連法案も一緒に送り込まなければなりませんが、これを何としたことか、分けてしまったというところから、今回の様な状況が生起しているわけでありまして、「こういうことになるのは、野党が悪いのだ」というような非常に不可思議な宣伝をしておりますが、そうではないと考えております。衆議院においては多数を持っているわけですから、一括で参議院に送り込むということが当然であったと思います。つなぎ法案でありますが、色々なことが言われておりますが、私共として、予算あるいは関連法案を認めることができない以上は、このことについて、今、「応じる」とか「応じない」とかということを申し上げるべきだとは思っておりません。政府として、与党として、どういう提案をするか、そして、今の状況を招来せしめたのは、自分達の責任であるということを全く認めないで、「これは野党が悪いのだ」というような言辞を弄しているのは極めてフェアではないと思っております。
Q
政府が昨日、主婦の年金問題については、過去に遡って払うという内容と、支払いについてもその欠落期間が生じて、受給資格がないというようなことが起きないようにするという2つの柱をもとにした内容で法の改正案を出していく方向になりましたが、これに対する評価と、自民党として、これが出てきた場合に対応をどうするのかお聞かせ下さい。
A
実際に見てみないと分かりません。ただ、配偶者がサラリーマンであったと、それがサラリーマンでなくなりました、脱サラをしましたということであれば当然、主婦の方ご自身もお払いにならなければいけないわけで。実際に真面目にお支払いになっておられる方もあるわけで。そういう方々と均衡を失するということは絶対にあってはならないことだと思っております。そうすると、かけなかった期間というものについて、それがなくてもこれからもお支払いはしますということは、遡って払わなくてもお支払いしますということは、どう見ても国民感情からして、納得のできないことであるという風に思っております。これは通達でやったということは誤りであったということを認めたように側聞を致しておりますが、そうであれば、どういう法律を作るのか、その法律において公平性というのはどのように担保されているのかということを具体的な提案があった時に、よく精査をいたしたいと思っております。
Q
細川大臣が大臣給与の自主返納を決めましたけれども、これで責任が回避されると思いますか。
A
それは違います。今の大臣が大臣給与を返納するというのは、要するに差額を返すというお話だと思います。就任されて半年ぐらいだと思いますけれども、それを返納したので、免責されるという話ではないと思っております。また、長妻前大臣と細川大臣との間で引き継ぎがあったのかなかったのか。これは、私は大臣引き継ぎを何度もやっておりますので、よく承知をしておりますが、そこにおいては、膨大な事務文書が随伴しているものでございます。すなわち、大臣同士がサインを致しますが、それには非常に多くの書類が付いてくるわけでございます。それを見れば、引き継ぎの内容に含まれていたか、いないか、当然これは大臣室に積んでおくものではなくて、自分で読まなければならないものであります。また、大臣の引き継ぎがある時には、事務方から「ここにはこういう事が書いてあります」「こういう事が引き継ぎ事項であります」ということは、まさしく行政の継続性という観点からも当然なされているはずです。なされていなければおかしいということであります。「これは引き継いだ」「私は聞いていない」という様な、言葉を選ばずにあえて言えば、そういう醜いことはやめてもらいたいということです。引き継いだのか引き継がなかったのか、一体誰の責任であるのかということです。それを明らかにするのが今の政権与党の責任であると思っております。ですから、現大臣が差額分を返納し、それでおしまいというようなそんな生易しい問題ではございません。あるいは課長がなぜそのような事がなし得たのか、厚生労働省の中でどのような議論がなされ、Q&Aが出されていたようでありますけれども、Q&Aは誰の責任で作成したものなのかということを全て詳らかにしなければ、この問題の責任は明らかにならないと考えております。
Q
細川大臣の進退や辞任については、どのように考えますか。
A
そういうものを精査した上で引き継ぎを受けていたのに、そのことを懈怠したというのであれば、それはまさしく責任があると思います。あるいは、知らなかったということであれば、組織内におけるガバナンス能力の欠如ということになると思います。やはりその役所で生起したこと、そしてそれがまた国民の権利義務に密接に関連することは知らないでは済まされない話でございます。それが不注意によるものであったとしても結果責任は免れないと私は考えております。
Q
租税特別措置についてお伺いします。民主党の予算がおかしいという政調会長のお考えは分かります。政府の予算関連法案の対処の仕方にも不満があるということは分かります。その上で伺いますが、租税特別措置は多くのものが自民党や公明党の自公政権時に色々工夫され出てきたもので、それが数多く含まれています。そういったものについてはどのような対応をするのでしょうか。政策的な継続の問題とそれから政局的な判断のバランスが問われる問題であるかと思いますが、いかがでしょうか。
A
現在、一方の院である参議院において審議中のものであります。まだ関連法案が送り込まれていないという一種の不正常な状況にあります。これは自然成立するからと考えてはいけません。国権の最高機関である一方の院において、この予算の問題点を議論している段階、そして本来一体で送られるべき関連法案が送り込まれていないのは政府与党の責任でございます。そのことについての見解を全く述べないままに、これは「自公政権時に作ったものだから政策の継続性があるはずだ」とか、あるいは、「これが通らなければ国民生活に影響がある」というのは、私達が「予算はこうあるべきである」だとか「税制はこうあるべきだ」と早い段階から示したにも関わらず全くそれを斟酌せず、考慮しないでこういう事態を招来せしめているのであるので、そのことについて政府がどう考えるかということを言っていただかなければ困ります。私共として政策の継続性は大事です。そして、租特の様々な措置というものは色々な利益というものを尊重しながら精密に作ってきたものでありますので、それの恵沢というものを当然国民は受けなければなりません。そのことが可能であるように私どもは組み替え案を示し、そして税制かくあるべきだと示しました。それに耳を傾けていればこのようなことにならなかったのですから、そのことについては認識がないままこれは自公政権でやったことだとおっしゃるのは議論の筋道としては逆ではないかと思っています。
Q
主婦年金について、予算委員会で細川大臣が、12月に課長通達が出された時に、政務官が報告を受け、自分は受けていないということを開陳されましたが、政務3役で意思決定をしていくという、いわゆる政治主導を民主党は掲げているにも関わらず、このような実態であることに対してどのように考えるのかということと、課長が処分されたわけですが、そもそも課長、事務方は政務レベルで決めたことなので当然大臣も知っていることであるだろうと認識していたと思うのですが、その実態をどのように考えますか。
A
「政務3役」と言いますが、大臣・副大臣はラインの関係であります。政務官というのはスタッフの関係にあります。スタッフである政務官が報告を受けたから政務3役としては了承したということには、国家行政組織上、そのようなことにはなりません。スタッフたる政務官は自分が受けたからよいということにはなりません。大臣に、あるいはラインたる副大臣にきちんと報告をし、政務3役としてはこういう意向であるということでなければ厚生労働省という行政が機能しないということになります。政務官が聞いていればそれでいいということにはなりません。ではなぜ大臣に対する報告を怠っていたのか、それは政務官の責任が問われます。そしてガバナンスの問題ということが大臣に問われます。政務3役というボックスがあり、そこに課長が報告をしたということであれば、行政官として一定の責任を果たしたと思います。私は厚生労働省で勤務したことがないので存じませんが、このように重大なことは課長が大臣に直接報告をするということが当然あってしかるべきであると考えます。私自身が防衛省や農林水産省をお預かりしていた時は必ずそういうことは局長からではなくて実際にそれを預かる課長から報告を受けていました。だとすれば政務官に報告をしたという課長に責任を負わせ、更迭するということは行政の在り方として極めて稚拙なものであり、適切さを欠くものであると認識を致しております。
Q
ガバナンスの問題など、様々な面で右往左往している細川大臣の下で救済策について審議するということについてはどのようにお考えですか。
A
副大臣でいらした時は労働の担当であり、厚生のことは知らなかったとおっしゃっておりますが、そのことは言い訳にはなりません。予算委員会の審議を通じて思うのですが、それぞれの大臣が、責任をもってきちんと正確な事を答えるための知識もなければその責任感もないのだということだと思っております。我々自民・公明の内閣であった時に、やはり官僚が出てきて答弁するということは、特段の要求がない限りは行いませんでした。私も予算委員会において閣僚席で聞いておりましたが、どの閣僚もきちんと答えたと思っております。官僚のサポートなく答えていました。政治主導とはそういうことでありまして、もし自信がないのであれば担当局長を同席させてくれと理事会に対して要求があってもいいのではないかと思っております。そうでないと、国会審議の意味がありません。意味のない審議などしても仕方がありません。どうすれば責任を持って正確な答弁ができるか、内閣全体として考えなければならないことだと思っております。
Q
主婦年金についてですが、そもそも問題が自民党政権の頃からあるものなので、与党だけに責任があるわけではないとの声が民主党のほうから挙がっていますが、そのことについてはどのように考えますか。
A
「誰が今の政府を担っているのか胸に手を当てて考えてみなさい」ということです。様々な問題があっても自分達であればきちんと解決するということで政権をとったのではないでしょうか。そしていま問題となっているのは、このような救済方法が一遍の課長通達でなされたということが問われているのであって、こういう問題は前からあったということと一遍の課長通達で不公平な救済策がなされた、そういった法に反した行為がなされたということはこの様な問題が以前からあったということを言ってみても、何ら免責されることではないと思います。
Q
中国東シナ海油田の問題ですが、生産段階に入ったということが、もし仮に事実であれば、それに対してどのように対応し、どのように解決策を見出していくべきだと考えますか。
A
まず情報をきちんと開示し、国民世論というものを喚起した上で、つまりは情報が分からないままの、国民に情報を開示しないままの交渉というものは交渉そのものが力をもたないと思っております。情報をきちんと開示するとともに、こういうことは日中の合意に大きく反するものであるということを中華人民共和国に、新大臣あるいは丹羽大使なり、そういう立場にある人が目に見える形で抗議をし、そしてまたその回答を求めるということが必要だと思います。まず、情報の開示、そしてそれと同時に国民のきちんとした世論の下に政府としてその場限りでないきちんとした申し入れを行い、正式な回答を求めるということがなければなりません。
Q
政府に情報開示を求めていくということですが、具体的にどうすればよいのでしょうか。石破政調会長が官房長官に申し入れしたり、写真の公開を求めたりするということでしょうか。
A
これは現在、予算委員会において予算あるいはそれと一体である政府の姿勢が質されているところであります。国会という場において大臣交代というアクシデントがございましたが、自民党としても様々な情報を出すべきだと今まで言ってまいりました。ガス田についても同様です。しかし、「政府の回答は政務3役の判断により出さないということになりました」というのが今までの回答でありました。もし今回もそうであるとすれば、新大臣がなぜそのような判断をするのかということも併せて見解を申し述べるのは、国民の前に政府の姿勢を明らかに一番しやすいと思っております。
Q
つなぎ法案を政府・与党が考えているわけですが、3分の2で成立させるメドが立たないなかでこういった方法をとることについてどのようにお考えかということと、そういった状況で国民生活に混乱が生じることが考えられますが、それについて野党側から何かお考えはありますでしょうか。
A
3分の2にならなければ、つなぎにならないという事実があります。国民生活を混乱させないという責任は政府・与党にあるのでありまして、一体で衆議院を通し、参議院に送り込んでいればこんなことにはなりませんでした。少なくとも再可決するというわけではなく、衆議院は過半数で通るわけですから、なぜそれをやらなかったのでしょうか。そして、今でも参議院において予算の審議をしているのであって、本来あるべき予算の姿、本来あるべき税制、本来あるべき関連法案、そういうものについて全く一顧だにしないまま、つながらないつなぎ法案を出してみたり、国民生活が混乱するのは野党のせいだと言ってみたり、責任政党として、与党としての自覚を欠くものだと思います。国民生活が混乱しないようなやり方は政府・与党において、いくらでもとりうるものであるのにも関わらず、なぜそれをしようとしないのか、最も問われることであると考えます。