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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年3月2日(水)

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言 】

政策会議を13時から開催致しました。本日の案件は2件でございます。まず議員立法でございますが、高市早苗衆議院議員・政調副会長から提出をされました。これは1人1法案の第1号みたいな話でありますが、「刑法の一部を改正する法律案」が第1の議題であります。これはどういうことかと言えば、国旗・日章旗であります。国旗損壊の罪を新設する。条文で申し上げれば、刑法第94条の2ということになります。条文は「日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」となっております。このようなことが、構成要件になります。この法律は公布の日から起算し20日を経過した日から施行するということであります。これは了承されました。今の日本国の刑法におきましては、第92条において「外国国章損壊等」という条文があり、「外国に対して侮辱を加える目的で、その国の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」という条文がございます。これと横並びの構成になっているものでございます。なお、「国旗及び国歌に関する法律」に定められたものを国旗というふうに称しているわけでございます。今まで、日章旗に対するこのような条文がなかったわけですが、これはやはり、外国の国旗を損壊したものに対してはこのような法律があるのに、なぜ日章旗を汚損しても何ら罪に問われないのだという考えがございます。それは素朴な感情であると思います。それを条文化したということです。色々な議論がございました。それは、当然このような法律は作るべきであるということですが、国外犯の規定を設けなくてもよいのかということや、あるいは日章旗というものは大きさが決まっているわけですが、日章旗もどきであればどうなるのかということ。あるいは国旗国歌法でありますが、国旗に対して侮辱を加える、損壊するということは認められないが、歌はどうなのだという話がありまして、フランスなど他国の場合には歌に対する侮辱ということも罪になるということでございます。これは今後の検討課題です。おそらく替え歌とかそういうものではないかと思いますが、当面、「外国国章損壊等」と横並びの形で条文を作るということです。これは議員立法ということで了承されました。本法案はシャドウ・キャビネットにあげまして、総務会に報告をするということになります。次に竹本直一議員から報告がありました。こちらも議員立法でございます。竹本内閣部会長からお話しがありましたのは、「地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案」でございます。これは、地震に対応するため、都道府県における地震防災緊急事業5箇年計画を作成し、これに基づく事業に係る国の財政上の特別措置等、つまり補助率の嵩上げでありますが、これを定めて地震防災対策上必要な施設の整備を推進するという内容の法律でございます。平成7年6月に阪神淡路大震災の後でありますが、委員会に提出し議員立法として制定され、5年間の時限措置となっているものでございます。これまでに2回、平成13年と平成18年に延長をしておりますが、今回も有効期限が本年3月末日でありますので、さらに5年延長し、平成28年3月末日までにするものでございます。こちらも了承されました。これはシャドウ・キャビネットにはかけずにそのまま総務会に報告ということになります。本日決まりました案件は以上2件であります。

質疑応答

Q
刑法改正案について、他党へ共同提案を呼び掛けるのでしょうか。また、衆・参どちらに提出をするのかお聞かせ下さい。
A
衆・参どちらに提出するかはまだ決しておりません。法律のそれぞれの処理の状況を勘案しながらやってまいりたいと思います。おそらく前段のご質問と関連するお話しだろうと思いますが、これは当然、国旗国歌法というものは成立をしております。それと対をなすとは申しませんが、そのような性格をもったものでございますので、全ての党にご説明をすることになろうかと思います。特に、たちあがれ日本、みんなの党、公明党にはきちんとご説明をしたいと思っております。民主党に対しても、当然説明をしたいと考えております。国旗国歌法に反対をされた方もおられるようでございますが、これは当然、今の政権与党たる民主党に対しまして説明をするということはあるべきだと考えております。共同提案とかそういうことは現在のところ議論はしておりません。
Q
ロシアが北方領土に巡航ミサイルを配備すると報じられておりますが、北海道の一部が射程に入ることについてどのように考えられますか。
A
北方四島が、わが国固有の領土であることは明々白々でございます。これは、歴史上も国際法上も明らかな事実であることは今さら申し上げるまでもございません。そこにおいて巡航ミサイルを配備するということは、今まで北方四島において軍事展開はあったわけでございますから、そこにミサイルが配備されることによって北海道の一部が射程に入ると言いましても、それが際立って軍事的に何か意味を持つかと言えば、軍事的にそのように強い意味を持つものだとは思っておりません。当然、日本全土を射程に入れた弾道ミサイルというものはロシア国内から撃てるものでございます。おそらくご指摘は、日本固有の領土にその様なもの、すなわち北海道でありますとか、あるいは射程の長さによっては、その他の部分も考えられないわけでもありません。しかし、アメリカや中国に撃つということは極めて考えにくいわけでございます。そうすると、その目的は日本国ということになるのだと思います。あるいは、移動物体が対象ということもあるのかもしれませんが、そうしますと、このことはかなり政治的には大きな意味合いを持つものだろうと思います。私共が固有の領土であると強く主張し、またそのように認識しているわけでありますが、そこにわが国を射程に入れたものを設置するということは、軍事的にはともかくとして、政治的にあるいは領土の問題からいって、極めて問題であるという風に考えております。わが国として、当然しかるべき措置を講ずることになろうかと考えております。
Q
刑法の改正案について素朴な感情を条文化したということですが、なぜ今なのか、背景に何があるのか、また、提出はいつ頃になるのかを教えていただきたいのですが。
A
可能な限り早く提出したいと思っております。「なぜ今なのか」というご質問ですが、「なぜ今まで提出されなかったのか」ということのほうが問題だと思っております。外国の国旗を損壊した場合は罪に問われるのに対して、なぜわが国の国旗に対しての罪がなかったのかについては、それなりの理由があってのことだろうと思っております。戦前がどうであったのかは詳らかに存じませんが、国旗国歌法により日本国の国旗は日章旗であると定められた時にきちんと立法しておくべきものであったと認識しているところでございます。昨今、わが国の国旗が外国において侮辱を加えられるということも発生しているわけでございます。例えば中国で日本の国旗が焼かれるなど色々なことがございます。それに対して、中国では罰する法律がないということでございますが、「誠にけしからん」と私共は主張しているわけですが、日本国においても国内で日本国の国旗に対するそのような行為に何ら罰則がないではないかと言われたらなかなか論理が通りにくいことです。本来、国旗国歌法が成立した時にこの法律はできるべきでありましたし、なぜ今まで提出されなかったのだろうかというのが私の思いです。
Q
前原外務大臣の政治資金収支報告書に実態のない献金が記載されていることが判明しました。他にも野田佳彦財務大臣や蓮舫大臣についても「政治とカネ」の問題が報道されておりますが、どのように考えますか。
A
事実を正確に把握しているわけではございませんが、一般論として「政治とカネ」の問題に対して民主党は極めて厳格という風に人々はこれまで思ってきました。その中にあって、前原誠司外務大臣、野田佳彦財務大臣は、まさしく今、菅体制の主流をなす人々であり存在感があります。蓮舫大臣についてもそうであります。早急に事実関係というものを確認し、もしそれがご指摘の通り事実であるとすれば、訂正するのは当然でありますが、そのことに対してのご自身の考え、「民主党というものは「政治とカネ」について色々なことを言っているけれども足元はどうですか」ということについて、やはり現政権を担っている中枢の方々は厳格に対処するべきであると考えております。
Q
小沢氏の問題と鳩山氏の問題に関しては、あまり国会では説明されていないのですが、今回の事態に関しては国会ではどのような対応を考えられていますか。
A
それは当然、閣僚として国会において何故このような事態が生じたのかということについて詳らかにされるという責任があると思っております。
Q
2月25日に発表されました「平成23年度政府提出予算正すべきポイント」という資料を拝見したんですが、その中で「税と社会保障について政府に素案をまず示せ」ということや「素案を伴わない超党派協議は時間のロスだ」ということが書かれているのですが、それは素案が出された後であれば、協議に応じてもよいという理解でよろしいでしょうか。
A
それは以前から、そのように申し上げているところでありまして、財政健全化責任法も同じような構成になっておりますが、まずは素案もないままに議論をしようというのはおかしいのではないかと思っております。自由民主党は自由民主党として、昨年の参議院選挙において消費税の10%引上げや使途をどのようにするかを示し、国民の皆様方のご審判ご投票をいただいているわけです。公明党さんは公明党さんで案をもっておられる。私共は案をもっているが、政府は案がございません。それはやはり議論としておかしいのではないかと思います。やはり、政府としてはこうであるというものがあり、それに対してそれぞれが案を持ち寄るということでなければなりませんが、政府には案がございません。皆様方のご意見を聞いて政府の案を作りますということのようですが、税と社会保障という極めて重要なテーマであるのにも関わらず、政府には案がございません。野党の案を参考にして作るということは一種の連立とはいいませんが、政策面においては野党がやりますというようなことであり、責任の所在がかなり不明確になると思っております。ましてや、政府案に対して、民主党の中から反対という話がでてくるので、政府は案を示せないというのであれば、それは政権与党のガバナビリティーとしていかがなものですか、ということを申し上げているものでございます。
Q
6月に政府は提案を出す予定ですが、その前の4月に社会保障改革案を出すということです。そこにきちんとした財源の話が示されていれば、素案としてそれなりの対応をされるのでしょうか。
A
それが政府の素案としてオーソライズされていれば、それはそれでよいと思います。それが試案であるとか、まだ党内で決定を経ていないということで、またひっくり返るということになれば、結局真面目に議論するだけの意味がないということです。こちらも日々真剣に議論をして、わが党の案をまとめているわけでありまして、後から「ひっくり返りました、ごめんなさい」ということになると、こちらもそのような暇はないということであると思います。
Q
予算と関連法案の件ですが、予算は参議院に送付されましたが、歳入の裏付けとなる関連法案については衆議院でもほとんど議論されていない状態にあります。経団連会長は「税金泥棒」とおっしゃいましたが、まだ議論すらされていないというのは異常な状態だと思うのですが、打開する方法というものは何かないものでしょうか。
A
歳入と歳出はセットです。歳出については参議院に送付されました。歳入の方はまだ決まっておりません。それは一体で議論されるべきだと言ってまいりました。しかし、「入りの方はよいから、とにかく出だけを参議院に送れ」とお決めになったのは、政府・与党であり、それによりこのような状況が現出しているのだと私共は考えております。私達が組み替え動議を出したのは、わが党として申し上げれば、これ以上借金を増やすということを抑制せねばならない。総予算は減らしてしかるべきである。公債発行額は減額をすべきであるということです。そして、多くの人に同じ様に恩恵が及ぶが、本当に困窮している方に十分な手当てが行き渡りません。そしてまた政府のカネを家計に移転するということだけでは経済浮揚効果はもたないので、それは喜ばれるかもしれないが、いま喫緊に必要なものは経済浮揚に資する政策ではないかということで、子ども手当等々のそういう政策は取り下げるよう歳入歳出一体で申し上げてきました。しかしながら、修正は一顧だにせず、これがベストだと言い張り、それを参議院に送付してしまったということであるとすれば、これは政府の姿勢に相当問題があると思います。私達は議論をしないと言っているのではありません。この予算案は正しいのかどうかときちんと提案をしたけれども、政府・与党は即座に否決するということであるとするならば、これは議論をする必要がないと政府・与党は断じたという風に言わざるを得ないです。私達はずっと「こうあるべきだ」と営々と積み上げてきて、案を出しております。私達は議論の材料をきちんと出しているので、それに乗るというような誠実さがあってしかるべきだと思っております。今日の状況をどう打開するかはこのような事態を招いた政府・与党がきちんと考えるべきだと思っております。
Q
予算案は通過したのですが、関連法案が通っていないということで、与党側はつなぎ法案を検討しているということですが、つなぎ法案が出てきた場合は自民党側はどのように対応をされるのでしょうか。
A
それは法案が出てから考えましょう。それはどういう意味合いを持つものかよく検討は致します。ただ、私達として今のやり方に対してかなりの疑義、憤りをもっておりますので、それがどういう形で法案が出されるのか。それはその時期あるいはそれを示した意図というものをよく承ってから考えたいと思っております。