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記者会見

石破茂政務調査会長 定例記者会見

平成22年9月8日(水)
於:党本部4階平河クラブ会見場

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

お待たせいたしました。本日8時から緊急経済危機対策特命委員会――私が委員長を務めております。その議論を踏まえ、9時から政権政策委員会で緊急経済危機対策について議論いたしました。そのことについては後ほどご質問があればお答えいたしますが、先ほど10時からそれを踏まえまして野党政策責任者会談を行いました。これはわが党、公明党、みんなの党、たちあがれ日本、新党改革の5党で議論をしているものでございます。明日、政策責任者レベルで官邸に申し入れを行うと、それを受けて共同発表を行うということで一致いたしました。5党ございますが、これに、野党でございますので、共産党、社民党にもお呼びかけはいたしております。これに乗られるかどうはそれぞれの党のご判断でございますので、私どもの方でとやかく申し上げるものではございませんが、野党として一致できるもの、できないもの当然ございます。また、今日集まりました5党の中でも当然意見の相違はあるわけでございまして、共通項として認識を一にするものを一枚紙にし、それぞれの党の政策というものをそれに添付をするというようなスタイルになるのかなと思っているところでございます。今日から明日にかけましていろいろと調整を行いまして、先ほど申し上げました通り、政策責任者が官邸に申入れを行い、その後に共同発表を行うというような段取りになっておるということでございます。緊急経済危機対策については、後ほどご質問があればお答えをいたします。ただ、昨日、本日の議論で相当に前向きな、かつ責任のある議論があったというふうに私は認識をいたしておるところでございます。
その他、本日の政権政策委員会で出ました議論をご紹介いたします。ひとつは文部科学部会長であります義家参議院議員から提起をされたものでございます。北教組に対して会計検査院が会計検査に入るというお話でございます。小林千代美前議員への違法献金事件がございましたが、これは言ってみれば教員が議席を金で買ったと言えるものではないかと、子どもたちをはじめとして国民に北海道の教育に対する大きな不安や不信を与え、教育に対する信頼を著しく損ねたものではないかということでございます。わが党は4回に渡りまして、調査団を派遣して実態調査を行い、実態を明らかにし、道議会、あるいは国会の場において厳しく追及をしてきたところでございますが、それを受けまして本年4月から北海道教育委員会及び札幌市教育委員会が全ての教職員から聞き取りを行うというこれまでにない勤務の実態調査を行ったところでございます。これは8月に公表されたものでございますが、極めて問題のある実態が明らかになったものでございます。これが何で会計検査の対象になるかということを申し上げますと、教職員の給与につきましては、義務教育費国庫負担金として3分の1が教職員の給与の中で負担をされておるということでございます。教職員の給与につきましては、3分の1が国費として支出されているということでございまして、勤務時間中の組合活動は地方公務員法第35条職務専念義務違反によります義務教育費国庫負担金の不正受給として会計検査院の検査対象になるというふうに私どもは考えておるところでございます。
昨日、閉中審査を行いました参議院文教科学委員会におきまして、義家部会長から会計検査院にそのことにつき見解を求めたものでございますが、会計検査院の第4局長から国費に影響が及ぶことも考えられるため、義務教育費国庫負担制度が有効に機能しているかなどに着眼をし、所要の体制を整えて、検査を行うというような答弁があったところでございます。会計検査院が北教組に対しまして会計検査を行うということでございますので、このことはわが党の義家部会長、あるいは下村政調副会長はじめメンバーの地道な努力の結果ということではないかと考えております。そのことの報告がございました。
もう1点、これはダイレクトに政調に関係することではございませんが、いま民主党で代表選挙が行われておるわけでございます。ところが、この投票用紙が送られてきたのが自由民主党員あるいは自民党の支持者に対して民主党の代表選挙の投票用紙が送られてきたという事実がございました。わが党の党員あるいはわが党の明確な支持者の方が、民主党のサポーターになるということは考えられないことでございまして、本人が了知をしないままに勝手に民主党員にされておった、サポーターにされておった、よって投票用紙が送られてきたという事実が判明いたしました。下村政調副会長の地域におきまして、あらためて下村議員が町会長――東京には町会というのがあるんだそうでございますが――町会長や町会の副会長など自民党の支持者になっていただいている方、なおかつ、地域のいわゆる有力者の方に確認をしたところ、本日午前10時の時点で52名が本人の了解なく勝手に投票用紙が送られてきたということが判明をしたという報告がございました。自民党総支部といたしましては誰が民主党サポーターであるかわかりませんが、これからそれぞれの支部の構成員あるいは党員あるいは後援会員、これにそんな事実はございませんかということの確認を行い、こういうような不正が組織的に行われているのではないかということについて調査を行いと考えております。これは問題提起が下村副会長からあったものでございますが、これはどちらかというと幹事長室の仕事になるのかなというふうに思っております。ただ、政務調査会的に申し上げれば、これは政党の代表者というものはいかに選ぶべきものであるかという議論に直結するものだと思っております。例えばわが党の場合には党員資格を「日本国籍を有する者」というふうに限定をしておるものでございますが、それに外国籍を持たれる方が入って良いのかどうか、そのことには何らの定めがございません。ない党も多いわけでございます。民主党もその典型でございます。実質、あくまで実質でありますが、政権党の代表者を選ぶということはそのまま日本国内閣総理大臣を選ぶということに直結するものでございまして、そのことについて何ら定めがなく行われていいものだろうかと。政党法というものはわが国にはございません。それは日本国憲法の中で政党というものが全く位置付けられていないということに起因をするものでございますが、政党というものがそれぞれの国の法体系の中で、最初は否定をされていたと、それから容認というのに転じ、そしてそれをまた積極的に評価をするというような流れに世界の中ではございます。わが国としては、もちろん否定ではございませんが、容認と積極的肯定的に解するというものの間くらいにあるという認識を私自身持っているところでございますが、政党助成金という国民の税金をいただいて運営をしております党というものが代表者の決め方、あるいは政党の意思決定のあり方、あるいは経理の公開について、何ら国民に義務を負わないというのは非常におかしなことではないかと、私自身、政治改革の議論をしておりました二十数年前から問題意識として持っておるところでございます。ここをきちんとしないのでこのようなことが起こるのだということだと私自身認識をしておりまして、これは石田総務部会長のところを中心に政党法というものをいかに定め、政党というものは納税者・国民に対していかなる義務を負うべきかということをきちんとしなければいかんのではないかという議論を政調の中ではじめるということを今日指示いたしたところでございます。
私からは以上であります。何かご質問があればお答えをいたします。

質疑応答

Q
5党の政策責任者会談なんですが、今日の会談の中で一致した部分というのを伺いたいのですが。
A
はい。一致いたしました部分は、現下の経済情勢についての認識であります。本年の4月から6月期のGDPの成長率が実質では0.1%、名目ではもっと下がっているということでございまして、政府の当初の見通しを大きく下回っており、景気の減速が顕著になっていると。そして、急激な円高が同時進行しているわけでありまして、それがまた株価の下落につながっているわけでございますが、このことによって政府は「雇用だ雇用だ雇用だ」とこうおっしゃいますが、雇用そのものが急速に失われつつあるという危機認識についてまず一致をいたしております。しかるに政府というものは、何ら具体的な対応策というものを出していない。とくに民主党はですね、代表選挙ということで、代表選挙についての考え方はいろいろあるんでしょうけれども、代表選挙は代表選挙で行いつつも、政府としてこの急激な円高・株安に具体的に効果のある対応策を出したかというとそうではないということでございまして、まさしくこれは現政府の無策による「政策不況」そのものであるという認識については一致をいたしております。その後でございますが、政府は経済危機対応への強い意志を示さねばならない。そしてあらゆる政策を総動員し、円高・株安に対する金融・財政政策を打ち出すべきであるという点についても一致をいたしております。聞くところによりますと、明日、政府は予備費の活用ということを決定するということでありますが、そんなことだけではダメだということでありまして、私どもとしてそのようなことは「too late & too little」というような判断をいたしております。雇用の創出に力点を置いた予備費の活用、そして、補正予算の編成、そして、平成23年度予算の編成という形で切れ目のない予算編成というものを早急に行わなければならないということであります。補正予算の規模につきましては各党差がございますが、補正予算を早急に組むべきである、そしてその内容は「too late」なのは、もうこれは仕方がないが――時間が相当空費をされておりますので――、「too little」にならないように、思い切ったものでなければならないということも一致をいたしております。政府はそこに向けてあらゆる政策を総動員すべきであり、それが責任であると、よって、そのような補正予算を審議するための国会を早期に召集し、議論を行うということ。つまり、現状認識、それはいまの政府の責任である、それに対して、予備費の活用だけではなくて、補正予算そして23年度予算、そこに切れ目のないわが国の意志を示すべきであるということ、そして、補正予算を組まねばならないが、その規模は思い切ったものでなければならない、その審議のために国会を早期に召集すべしというのが、今日の5党の一致した考えでございます。
Q
その5党会談の前にまとめた自民党の独自の経済対策の、規模、財源それから主要項目についてご説明を。
A
規模につきまして一致をみたものではございませんが、この最終調整は林代理の下で行うとのことで一任を受けております。当初4.2兆というものを積み上げて考えておったものでございますが、もう少し上乗せをしなければならないのではないかという意見がいくつか出されました。そのことについて大きな異論があったというふうには認識をいたしておりません。
また、財源につきましては、剰余金あるいは予備費に加えまして、私どもとして国有財産等々売却できるものはすべきではないかという考え方と現在この地価が下がっている時にそういうことを行っていいのかという2つの意見がございまして、この点の調整を要すると思っております。また、国債を発行すべしと、建設国債でございますが、それで財源を賄うべきだという意見と、そうではないのだと、国債はなるべく圧縮をし、現金給付を現物給付に変えるという形でいろんな経済対策を出しておりますが、そこの部分で現金給付、例えば子ども手当で行っている現金給付、もうすでに行われた部分もございますが、これから行おうという部分もございますので、そういう現金給付から現物給付に回す、あるいは、社会実験として行われております高速道路無料化、あるいは戸別所得補償、そういうものを財源とすべきではないかというご意見と2つございました。これをいま調整いたしているところでございますが、もうすでに行われている政策だからこれはこれでやむを得ないねと、来年はそういうことを抜本的に見直すということを前提として建設国債もやむなしというような考え方で当初原案を作成したものでございますが、やはり我々として乗数効果のない、経済効果の乏しい、雇用創出効果に乏しいものは1日も早くやめるべしと、そこを財源とすべしというような強いメッセージを発するべきではないかという意見が強かったというふうに思っております。そのことと補正予算の規模というものは当然リンクをするものでございますので、最終調整を行っておるところでございます。
Q
最後はいつごろ決まって、どんな形で発表されるのでしょうか。
A
本日から明日にかけて集中的に作業を行います。早ければ今日遅く、遅くとも明日の明け方には決まるのではないかと考えております。
Q
今日は2時に臨時総務会があって緊急経済対策をかける予定だと思うのですけれども、それはどうなるのか。
A
そこまでに間に合わせるように骨格においてはですね、作業を進めたいと思っております。細かな修正点はまだあるかもしれませんが、2時の総務会までにわが党の方向性というもの、そこは財源も含めてでございますが、総務会に諮れるものをつくりたいと思っております。
Q
話変わって恐縮なんですけれども、参議院選挙の時に、自民党さんは消費税10%としていましたけれども、民主党の代表選でどちらが勝ったとしても、自民党としてはねじれ国会の中で実現に向けて努力されるということに変わりないということでしょうか。
A
まったく変わりはございません。
Q
民主党の代表選の中で、参院選で盛り上がった消費税の話というのはあまり争点になってないというか、どちらも触れたがっていないような状況ですけれども、その実態についてどういうふうにご覧になっているのか。
A
ここはですね、やはり消費税を含めた税制抜本改革について、どちらも踏み込んだ言及なしに雇用対策とか経済対策とか、あるいは強い社会保障であるとか、そういう議論だけがなされているということには非常に強い違和感を感じています。おっしゃいますようにあえてこのことから逃げている、むしろ小沢さんの方が逃げてないと言えば逃げてないのでありまして、消費税上げないと言っているんですから、これはそれなりに1つの考え方なのだと思いますが、むしろ菅候補の側で、もちろん党内においてきちんとした議論を詰めないまま「自民党の10%を参考に」と言ってしまったのは間違いだけれども、税制の抜本改革やらなければいかんのだということ、そして消費税を上げるにしてもその使い道をどうするのと、だから安心社会というものを作るんだと、あるいはそのことによって雇用を実現するんだというのがストーリーとして見えてこないということは非常に残念なことだなと、私はあくまで感想として持っております。
Q
先ほど冒頭の話でも少し触れられたんですけれども、民主党の代表選で、民主党の党員・サポーターとして在日外国人が投票をできるという形になっておりますけれども、国政への参政権を持たない在日外国人が総理を選ぶ選挙に参加できるということについてですね、政調会長あらためてお考えを聞かせてください。
A
これはですね、私の言い方が十分でなかったかもしれないが、要は政党というものが位置づけられていないということが問題なのだと思っております。つまり、政党の代表者を決めるということは実質参政権なのだけれども、形式的に詰めればそれを参政権と評価すべきかと言えば、法的には参政権の外にあるのではないか。実質は参政権なんですよ。そこは政党のあり方というものをきちんと法律で位置付けていないからこんなことが起こるのだということだと思っております。わが党として、外国人の方の地方参政権というものは憲法上も大きな疑義があるということで、本年の参議院選挙においてもこれを議論をきちんとしないままに実現するということは絶対反対と、これは憲法違反の疑いありと、問題が多くあるというスタンスを明らかにしております。よって私どもとして地方参政権というものを認めるべきではない、ましてや国政についての参政権、参政権というのは当然選挙権と被選挙権が一体のものなのですが、選挙権はあるが被選挙権がないという参政権とはいったいなんぞやという議論まで出てくるものでございます。そこのところをきちんと法的に詰めないでですね、感情的な議論するというのは非常によろしくないと私は思っておりまして、本日、総務部会長に対して、この政党法というものをきちんと詰めて、できれば次回の総選挙のわが党の公約にすべく法案という形で示したいと思っているところであります。
Q
昨日、尖閣の付近でですね、中国漁船と海保の巡視船が衝突しましたけれども、この件について受け止めをうかがいたい。
A
このことはわが国の法に照らして厳正に対処すべきものだと考えております。そのことは、海上衝突予防法になるのかな、そこの法制はうろ覚えなのですけれども、そのことについて中国側に瑕疵ありとすればですね、当然わが国の法制に従って厳正に対処すべきことは当然だと思っております。
Q
民主党代表選のサポーターの投票用紙が自民党員に送られてきたという話なんですけれども、14日に代表選がありますが、その前の日くらいまでにある程度自民党の全体の総数というのは公表いただけるのでしょうか。
A
これはどうでしょうかね。これについて政調会長として申し上げる立場にはございませんが、下村さんのところでですね、ご自身の後援会にどうなんですかと聞いてみたら52人も出てきましたと、それが地域的に何の理由か知りませんが一定の地域に集中して行われたものなのか、そうではないのか、悉皆的な調査というものが、投票日であります14日までにできるかどうか、ここは幹事長室の判断あるいは役員会における議論を踏まえてわが党として対応を決すべきだと思っております。ただ、そのような事実を指摘するからにはですね、具体的ななぜわが党がこのようなことを言うのかということについてきちんとしたものがなければ公党に対する誹謗中傷にもなりかねないと思っておりまして、そこは厳正にわが党として責任ある政党としての対応を取りたいと思っております。
Q
自民党の人事でですね、今週中にもということが報道されております。この人事、代表選の前に決めるということについてですね、先生のお考えを。
A
内容については総裁の専権事項でございますので、私がとやかく申し上げることでは当然ございません。代表選が終わって、その顔ぶれを見て対応すべきか、その前にわが党の姿勢を明らかにすべきかとその判断だと思っておりますが、役員会あるいは役員連絡会のスケジュール決まっておりますので、代表戦前にそういうことをおやりになるという総裁のご意志だと考えております。それは代表選の結果がどういうことであろうとも、わが党としての姿勢は代表選の結果を見る前に、見ずしてきちんと決めるということに総裁のお考えはあるのではないかと考えております。