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記者会見

石破茂政務調査会長 定例記者会見

平成22年3月10日(水)
於:党本部4階平河クラブ会見場

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

お待たせを致しました。本日の政権政策委員会であります。マニフェストの作成について、チーム編成を行っております。一部入れ代えもございましたが、チーム編成に基づきましてマニフェストを作成するということであります。5月の連休明け、すなわち連休が明けます月曜日、これを期限と致しているところでございます。具体的な作業を加速いたしてまいります。もう1点、後ほど義家文部科学部会長からご説明があるかと思いますが、地方公務員の労働組合の透明性を確保するためのワーキングチーム、これを設置いたします。座長を私がつとめます。後ほどご説明申し上げます。法律案につきまして審議を行いました。これは、いちいち詳細は申し上げません。高校無償化法案、反対でございます。その他賛成する法律もございますが、後ほどもし、ご質問があればお答えしたいと思っております。私からは以上でございます。

質疑応答

Q
外務省の有識者委員会が密約についての報告書を出しましたが、これに対する政調会長の認識をお伺いします。また、今朝の外交部会で河野太郎さんが「自民党が密約を公表できなかったこと恥ずかしい」「歴代外相経験者を集めて話を聞くべき」と発言されていますが、会長の見解をお伺いします。
A
1点目でございます。いわゆる核の密約、これは広義も狭義も含みます。これがあったということが明らかになりました。私は、それはそれで1つの意義があろうと思っております。これがあったという事は事実でありますし、これが自民党政権時代に無かったと言ってきたことでございまして、その事実が明らかになったということは、意義のあることだと思っております。自民党政権時代に明らかにしなかったことについての責任、これは、「いやそれが正しかったんだ」などという強弁をするのではなくて、なぜ明らかに出来なかったのか。それは時期によって差もございます。これが合衆国によって公表された後も無かったと、いうことはどうであったかと。そのことが国益にプラスになったのかどうかという観点から、責任を問うということではなくて、国益にとってどうだったのかについては、私は議論をするべきだと思っております。それは、個人の「お前、隠してた、けしからん」と、個人の責任に帰すると言うよりも、その内閣の責任も問わねばならないことでありますし、あるいは、ごく短期間でありましたが、細川・羽田政権下においてもそれは明らかにならなかったのでございます。自民党がその責めの多くを負わなくてはなりませんが、そのことが国益としてどうであったのかという観点から、議論をするべきだ。そして、その事に責任があるとすれば、それは、私どもとしてきちんと明らかにせねばならないことではないかと思っております。ただ、これは個人的な見解でございますので、政調としてそういう風に決めたというような問題ではございません。もう1点、ではこれからどうするのだという建設的な議論も、当然わが党としてはしていかねばならないことでございます。つまり、非核3原則を2.5という風に改めるべきか、ということでございます。それは実際に、水上艦はそういうものを積んでおりません。岡田外相の見解は、「非核3原則を見直すつもりは無い」と。合衆国もそういうものを持ち込まないと言っているのだと、いうことですが、それはNCNDでしたっけ、可能性として情勢の推移にともない、それは変わるかもしれません。その時には、安全保障の観点から、この非核3原則をどうするかということの議論を避けてはいけないと思っております。これは安全保障の問題でございますので、いわゆるテクニックの問題ではございません。わが党として過去の事も大事です。それは両方に通じるものなのかもしれませんが、安全保障の観点からどうだったのかという議論をしたい、私はそうあるべきだと思っております。
Q
北教祖問題ワーキングチームを新設して、どういった議論をされるのか。国会対策委員会の労組追及の会議との役割分担はどのようになりますか。
A
これは国対に設置されているものとは当然連携してやっていきますが、これは国対にお任せという話にはなりません。政調としてこれは文教、あるいは総務と、併せてやっていかねばならないものだと思っております。当然連携をとりながらやりますが、政策論としてどうなのか、あるいは法律改正をどのようにするのか、と言う事まで含めますれば、政調会が担うべき役割は相当にあるだろうということであります。何を議論するかということですが、要は透明性ということであり、そしてそれがまたどのように実効性をもって確保されるかということだと思っております。誰が金を出し、誰が選挙運動をし、そしてまたその金の出所がどこであるかは誰が金を出しているかとも関連する事ですが、それが税金であったりした場合にですね、そこはどうなんだ、ということもございます。透明性というものがきちんと確保されなくてはならない。そしてまた、公務員の公正・中立がきちんと担保されるための法整備も必要であると思っております。
Q
高校無償化法案ですが、改めて反対する理由をお聞かせください。また、公明党等が進めている修正協議の流れへの対応はどうされますか。
A
1つは、公立・私立の差が広がることになるのではないかという現実的な問題がございます。また、私もこれは個人的な考えなのですけれども、高校をいきなり無償化するというのは、本当に正しいのだろうかということであります。本当に経済的に困窮されたご家庭の無償化をすることによって、あるいは奨学金というものを充実することによって、救うべきはそういう方々ではないのだろうかと。富裕なご家庭にまで全部それをやらなくてはならないという必然性は私には見出しがたい事でございます。国際条約からそうなのだというご議論もあるようですが、国際条約は本当にどの国でも同じように実施されているかどうか、私はつまびらかに存じてはおりません。今、高校入学の機会というものは相当高くなっておるのですけれども、そこにおいていきなり全部無償化というのが本当に正しいのか、本当に中学までの勉強がきちんと理解をされているのだろうかと。大学で「分数」を教えている世の中、あるいは足し算と掛け算のまじった計算ができない子供がやたらに多いというお話でございます。私は中学までの勉強をきちんと身につける、義務教育ですから、そのことにもっと力を入れるべきではないだろうか。高等学校においては、本当に高等学校にふさわしい教育がなされるべきであり、無償化だけに議論が当たっていますが、教育全体としてどうなのかという視点はこの法案からは感ぜられないところでございます。それらもろもろの問題点があって、私どもとしてこの法案には反対であるということであります。
Q
高校無償化法案に関連して、朝鮮学校を無償化対象にするかが議論になっていますが、会長の見解をお聞かせください。
A
このことについて党内で議論がまとまっておりません。未だ「これが結論である」というものが出ておりませんので、今の段階では、私としてコメントはしかねます。
Q
民主党の藤田国際局長の件ですが、9.11テロに対する見解・考え、に対する会長の見解をお聞きします。
A
藤田議員が極めて真摯な議論をされる方であるということは私よく承知しております。また、防衛大臣の時に何度か委員会でこの問題で議論もさせてもらいました。ワシントンポストが藤田議員の考え方について非常に厳しい見方をされているということがあります。答弁でも申し上げましたが、9.11陰謀説は根拠の無い言説だと思っております。これは日本国として、国際社会と共に9.11、あるいはああいう様なテロ行為に対して断固として戦うということで、イラクに派遣もいたしました。今後も対応していかなくてはならない問題でございます。それを、与党の国際局長という責任ある方が、根底からひっくりかえすような議論に与されるというのは、いかがなものかと思っております。野党であればまだしも、いや、野党でも決して良いとは思いませんが、十分な検証も無いまま、あるいは確証もないまま、与党の国際局長という立場であられるわけですから、本当に陰謀であるということを、実際にそれを論証する様なものを示してもらわないと国益を損ねると思いますし、国際社会との協調からも離反することになると思っております。
Q
ワシントンポストの社説では、鳩山政権全体に嫌米の流れがあるとの中味でしたが。
A
それは、決してわが国にとっては、良いことではありません。反米もそうですし、嫌米もそうですが、合衆国というのは多面的な国家だと思っております。後の時代から見れば誤っていたと、いうことについてはきちっと検証し改めるという健全性を持った国家であると思っております。政権全体が嫌米、あるいは反米と思われるということは、それが本当に同盟国の一方の当事者としてふさわしいのかという議論を呼びかねません。同盟というのは価値観、国益を共有するから成り立っているのであって、それがシェアする部分が少なくなった時に、ではもうやめようかということになりかねないものであります。同盟というのは、私は良く言いますが、イギリスのファーマストンが「わが英国にとって永遠の同盟もなければ永遠の敵もない。あるのは、永遠のイギリスの国益のみである」ということを言ったのですが、そういうものです。だとすれば、日本国の利益にかなうのであるとするならば、同盟を維持する努力は必要でしょう。どの部分の国益をシェアしているのか、その事の認識をきちんと持ち、その同盟を続けるための努力というものをしていかなくてはならない。今の普天間の議論を聞いていても、いかなる国益を共有し、それを維持するための努力をどの様にするかと言う議論が全く欠落していると。私はこのような議論は極めて危険であると考えております。
Q
与謝野さんの発言について、伊吹座長が「なぜ後ろから弾を撃たれるのか、執行部は考えなくてはならない」と。また、山本有二議員は、総裁と与謝野さんが会談するべきだとおっしゃっているが、この発言に会長はどのようにお考えですか。
A
私は山本先生あるいは伊吹先生のご発言を直接聞いたわけではありません。前後も全部聞いたわけではありませんので、それについてどうだと聞かれても、必ずしも全部知っているわけではないので適切なお答えにはならないのかもしれませんが、後ろから鉄砲を撃つ、撃たないはともかくとして、なぜこういう発言が与謝野先生から出たのか、ということについて、後ろから鉄砲撃つなという言葉だけで片付けられるのは、決して良いことではないと思っております。私は、麻生内閣でご一緒し、総裁選も戦い、与謝野先生の見識、あるいは国を思われる真摯なお気持ちには全く疑いを持っておりません。私が心から尊敬する政治家の1人であります。その与謝野先生がなぜこのような発言をするに至ったかということについては、執行部全体でよく反省をしなければならない点があるだろうと思っております。それは執行部の一員である私としても、与謝野先生の月刊誌へのご寄稿、まだ2度ほどしか読んでいませんが何度も読み返してですね、なぜこんなことになったのかと。政策の責任者として負うべき責任も大きいだろうと思っております。真摯に受け止めなければならない問題だと思っておりますし、目的は、今の政権が続いてはならないということ。そして、仮に鳩山さんが他の誰かに代わったとしても、今の政権の枠組みが続く限りこの国に明日はないということだと思います。それに代わるべき受け皿に自民党がなっていないとするならば、いかにしてなるかということをまず考えねばならないだろうと。与謝野先生は、「まず新党だ」とおっしゃっているわけではなくて、この党をどうするのかと言うことをおっしゃっているわけで、その問題意識にきちんと答えると言う真摯さが、われわれ執行部には必要だと思っております。山本先生がおっしゃった谷垣総裁と与謝野元大臣の会談は、私は当然あるべきだと思っております。そういう機会は早ければ早いほど良いと思っておりますし、総裁はそういう声にきちんと耳を傾けられる方だと確信しておりますので、私自身、与謝野先生が谷垣先生と会われて、真意をただすとか事情聴取するとかそんな話ではなくて、本当に今の政治を終わらすためにどうすべきか、ということについて、真摯な議論がなされることを期待しております。
Q
子ども手当て法案の反対理由を教えて下さい。
A
それが何の意味があるものなのか、という事でございます。お金をもらって嫌な人はそうはいないとおもいます。ただ、これが目指さんとするものが一体何なのかということであります。私は女性の社会進出、社会参画、もっともっと女性の能力や意欲が社会において活用されるべきだと私は思っております。働きたいんだと、子供も育てたいんだということの両立をする手法が、一律2万6千円をばら撒くことだとは全く思っておりません。働く女性の方々の負担をもっと軽減するやり方は有るのではないかと。それは保育所であり、保育士であり、そういうことをもっと充実させる方法もあるでしょう。あるいは3世代の方々が、もしお望みであるならば、いわゆるおじいさんおばあさんが子供達を見てあげる環境、そういうものをチョイスしやすい住宅政策もあるべきなのでしょう。あるいは、男性が育児に対してもっと積極的に参加をするような条件整備も必要なのでしょう。私はこの政策の目的は、いかにして働くお母さん達の負担を減らすかということだと思います。働いておられなくても子供を育てなくてはならない、そういう女性の方にも有効な施策は有るはずだと思っております。そういうようなことで賛成はできません。もっと他にやるべきことがあるだろうということでございます。