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記者会見

石破茂政務調査会長 定例記者会見

平成22年2月17日(水)
於:党本部4階平河クラブ会見場

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

今朝の政権政策委員会でありますが、本会議趣旨説明聴取議案、本会議において趣旨説明を求めなくてはならない議案につきまして、各部会からとりまとめをいたしまして、今後国対と相談いたします。中谷議員からハイチPKOの視察の報告がございました。これは後ほど中谷さんから会見があるものと承知をいたしております。新たに特命委員会等の設置をいたしました。1つは成長戦略、経済をどう成長させるかというやつですが、これは特命委員会でありますので、私が委員長をつとめます。座長は塩崎代議士にお願いを致します。もう1つはエネルギー政策に関しましての合同部会、これは経済産業でありますとか、関係の部会が合同でそういう組織を立ち上げます。そのトップには甘利元経済産業大臣にお願いをするということになっております。その他いくつか議論がございました。前回も申し上げましたように、マニフェストという言葉を使いますが、これを作らなくてはなりません。5月の連休明けには提示をするということで作業を加速をいたしております。先般、全国政調会長会議を開きまして、政策に関する意見の提出を各県連にお願いしました。各都道府県連からおおむね出てきておりますが、まだ一部でてきていないところがございます。それを見るということと、あとはわが党所属全議員に対しまして、こういうことをマニフェストに盛り込むべきだというアンケートを今行っているところでございます。これも今週中に締め切ります。出さないという人はもう意見を述べてはならないということであります。それを総合しながら、前回申し上げました横串でどのようにやっていくか。各お役所に書いてもらい、それに味付けをしてホッチキスでとめるというやり方はいたしませんし、できるものでもございません。特に、政治主導のあり方とは何なのだ、ということについてはクリアに出さねばならないだろうと。そしてまた公務員制度の改革についてもクリアに出さねばならないだろうと。総選挙の敗因は多々ございますが、公務員制度改革についてきちんとした案を示すことができなかったと。そして医療・年金の問題について、わが党としてきちんとした案を、出したつもりでもそれが国民に響かなかったということだと思います。総選挙の敗因となったわが党の政策、あるいはその提示の仕方については明確に答えを出すということが必要だと考えておりまして、そのような議論をしたところでございます。また本日は、国防部会におきまして、陸上自衛隊中澤一等陸佐の問題について議論をいたしました。このことにつきまして、わが党としてどう考えるかということでご報告がございました。そのことについて議論を行なったところでございます。

質疑応答

Q
マニフェストについて、消費税のことですが、昨日の与謝野さんのところでは消費税の部分があまり明確ではないようですが、どのように書き込むお考えでしょうか。
A
これはまだ議論をいたしておりませんので、私が今の段階で断定的なことを申しあげることはできません。ただあえて個人的に述べよということであるとすれば、単に消費税だけ上げるというようなことを出すつもりはありませんが、消費税をどうするのか、前政権においても議論がありましたが、どういう時期に上げるのか、そして法人税とか所得税とか、そういうものとの関係はどのようになるのか。あるいはゼロ税率、複数税率、それをどうするのか、それを完全に目的税化するのか、そして財政というものがどうなっていくか、1400兆円といわれるが、それをネットで見るとどうなるか、負債がどのように増えていくか、そして金利政策・金融政策というものをどう組み合わせるかということを、総合的に出していかなくてはならないだろうと。どうしても消費税上げということだけに特化して議論する向きがあってですね、4年間消費税を上げませんと、いろんなことを無視してまず消費税は上げませんと言うのは、それは相当むちゃくちゃな議論だと私は思っています。そういうのは許されるべきではないと思っている。一方で、財務大臣が消費税の議論を始めると。そういうようなバラバラの対応をわが党としては取るつもりはございません。ただ、直接税に頼って、これから先、医療・福祉というものを見ていくことはもう限界がございます。つまり、例えば法人税の今の水準は1985年くらいまで落ちているわけであって、どんなに税収が落ちようとも、高齢化というのはそれと関係なく進むわけで、そうすると安定的な財源としての消費税という議論が必要なんだろうと思っています。ともすれば、消費税を上げるか上げないかということに特化して議論してきたのがわが国の財政をここまでしてしまったという認識を私は持っておりまして、金融政策と組み合わせ、そして外需というものをどうやって喚起していくか、その間どうやって内需でつなぐかということもパッケージにした中で、消費税というものをきちんと位置付けるべきだと思っております。
Q
金融政策について、昨日の予算委員会において菅財務大臣が1%程度のインフレターゲット論を述べましたが、それについてどのようにお考えですか。
A
インフレターゲット論というのは、よくある話でして、わが党の中にもそのような論者がいることも事実であります。ただ、それをどうやって制御・コントロールするかということがなければ、科学の実験ではないので、こうやればきちんと1%でインフレがおさまるということはありえないわけでありまして、それが制御不能になってしまうということは避けるべきものだと思っております。デフレを脱却するということのために、何ができるのか。それは財政政策には限界がございますので、金利政策あるいは金融政策、金利はほとんどゼロにはりついておりますので、これをどうするかというものが無ければ、デフレを脱却することはできません。ただそのインフレに1%などときれいなお話になるのかどうか。つまり、財務大臣としてそんな希望的な観測のような、おまじないのようなことを述べても駄目なのであって、どのような政策を用いて1%にするのか、それをどのようにコントロールするのか、そうしたものが無いままそういう発言をするのはやや無責任ではないかと私は思っております。
Q
先程の最初の質問に関連して、成長戦略を含め、財政再建も含め、消費税・法人税も含め、パッケージでマニフェストに盛り込んでいきたいという理解でよろしいでしょうか。
A
そういうご理解で結構です。単に消費税を上げるか上げないかという議論に特化する、非常によくない言い方かもしれませんが、矮小化する、消費税は上げません、無駄を徹底的に削って、それまでは消費税はあげませんということでずっときたわけですね。ですけど、本当に万人が万人無駄とみとめるものはどこにあるのか、仮に無駄だと言われるものでも、それが内需を刺激し、経済の失速を防ぐということであれば、それは無駄とは言わないのではないか。私は意味が全くないとは言いませんが、やや政治家のための、選挙のための議論をすることによってですね、この国の財政をこんなにしてしまったという反省を私自身は持っているわけでございます。そこをきちんと逃げないで挑みたいし、自民党は消費税を上げる政党だというレッテルを貼られないための政策というものを提示する責任はわが党にはあると思っております。しかし、財政の健全化には必ず道を開くということでございます。
Q
そこで、政治の方が身を削る部分はセットになってこざるをえないのかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
A
これは政調内部でもいろんな議論がございまして、相当思い切ったことをやらないと国民のご理解は得られないということだと思っております。国会議員を大幅に削減をするということはお話としてはその通りだと思いますが、さて、衆参のあり方も含めてそういうお話にするのか、例えば衆議院も比例と選挙区を同じように減らすのか、それともそこに差をつけるのか、ということがございますが、私は手法はともかくとして、政治もこれだけ削っているのだということ。そして、私たちの歳費は、極端な話、例えば服役中でまったく国会にお出かけにならない方、あるいはご病気で全くお出にならないという方にたいしても、同じように払われるわけでありまして、そのあたりをどのように考えるんだということだと思います。やはり政治がこれだけ自分達も切ったのだということは、中負担・中福祉の国を目指そうと思えば、負担が中くらいということをお願しなくてはなりませんので、そのためには、お前達はそんなことをいう資格があるのかねということにきちんと答える姿勢がなければならないと思います。
Q
税制の抜本改革という、ゼロベースで見直すというお話だと理解するんですが、自民党はこれまでずっと挑み続けてきて、郵政解散でも「2007年度に抜本改革を示したい」とか、大変難しい作業だと思うんですが、今から始めてもマニフェストに書き込めるのか、参院選のスケジュール的には難しいものだと思うんですが、これに向けて取り組むという理解でよろしいでしょうか。
A
結構です。先ほどご紹介しました、成長戦略に関する特命委員会というものの結論は4月中に出すようにと言ってございます。それぞれの成長戦略なら成長戦略、無駄撲滅なら無駄撲滅、そして税制は税制と、同時並行的に走らせて、中途でその議論を与謝野先生の委員会もございますので、それを中心に整合をとっていきながら進めれば、私どもには議論の蓄積が相当ございますのでできると思っております。ただそれをややバラバラにやっておった嫌いが無きにしも有らずだと思っております。今度の予算編成を巡っても、国の財政って本当に大丈夫なのかというようなご指摘が随分出る様になりました。国民の皆さん方も、今お金をもらえるのは嬉しいんだけど、国の財政が破たんしちゃったらどうなるの。次の時代にものすごいツケが残るんだよねと言うことは、漠然と感じていらっしゃるのだろうと思います。そして国の財政がこうであることによって、IMFの昨年のカントリーレポートではですね、日本は2020年に財政破たんの危険性ありと指摘もされるし、外国人投資家のビヘイビアにも関係することであります。私どもは狼が来る狼が来るということを声高に言うつもりはありませんが、狼というのはいつか必ず来るのだと。来てからでは遅いのでこの話の提示の仕方は難しいのですが、そうならないためにどうするのか、最悪の事態にならないためにどうするのかということを考えることは、財政においても安全保障の考え方というのは必要だと思っておりまして、最悪の事態を想定し、そうならないためにこういうことをすると述べることは、財政であっても安全保障の考え方が適用されるものと思っております。
Q
成長戦略特命委員会について、他のメンバーや会合のペースについてはどのようにお考えですか。
A
これは先ほど申し上げましが、座長には塩崎代議士、主要メンバーとしては平経済産業部会長、はじめ経済産業部会のメンバー達になると思います。人選等々は今急いでおりますが、「はっつぁん、くまさん」のお話ではありませんので、そういう問題に精通した方達でやってもらいたい。同時に、それが本当に難しい数理計算をちりばめたものでは誰も読まないので、それが分かりやすく提示できる、スキルのある人を使いたいと思っております。時期を4月の末までという風に設定しましたので、もう2月の半ばも過ぎてますので、相当頻度を上げてやって頂くということであります。この委員会はある意味でサンセット方式をとろうと思っておりまして、成果がきちんと出せないのであるならば委員会を存続させる必要はないということだと思っております。作業はきちんと加速致しますし、それがきちんとできなければ、連休明けにマニフェストを示すことなどできないということであります。
Q
陸自の中澤一等陸佐の発言問題について、どういう議論があったのでしょうか。
A
中谷議員から詳細のご説明があるかと思いますが、政権政策委員会では小野寺外交部会長から報告と言う形で発言がございました。これについて、「事情を聞く」ということが電話のみによって行われたということ、非常に早い時点で処分が行われたということ、これは一体どういうことなんだという話が1つございます。もう1つは、発言の内容でございますが、中澤一佐は、訓示の中で、同盟というものは外交や政治的な美辞麗句で維持されるものではなくて、ましてや信頼してくれという言葉だけで維持されるものではない。これは実に当たり前のことではないかと。総理の発言を念頭においたものではないと中澤一佐はおっしゃっておられる様で、それはそうなんでございましょう。それを前提において考えたとしてもですね、これをけしからんのだと言うとすれば、当然言葉だけで 維持されるものではないと、そういう風に総理も思っておられるはずでありましょうし、これが間違いであるということであるならば、一体どういうことなのか、そこを言っていただかなくては困ります。中澤一佐は当然そうだよねと。そんな言葉だけで維持されるものではないと。そういう言葉があり、それを裏付けるきちんとした自衛隊の精強性というものがあり、そして日米同盟というものがその礎であるとするならば、これは日米の合同訓練であると承知をいたしておりますが、さればこそ、その言葉を、きちんと裏打ちをする日米同盟、その精強性、信頼性を高めるべきであるということは、まさしく総理の言葉を裏打ちするそういうことで発言したと考えるべきものであってですね、実にけしからんとするならば、何がけしからんのかを言って頂かなくては困ります。