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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成22年12月16日

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

年末で会議が重なり、あれこれご迷惑をおかけしております。本日の11時から政策会議を開かせて頂きました。
これは、のちほどシャドウ・キャビネットが終わりました後にご説明を申し上げますが、議題の第1は『「来年度予算と税制に関するわが党の基本方針」(案)』についてお諮りをいたしました。いろいろなご議論がございましたが、一応ご了承を頂いたものでございます。この後、シャドウ・キャビネットにかけました後、皆様方にご説明に供したいという風に思っております。
第2点は、先程12時から「総選挙公約検討委員会」と言うものを開催いたしました。まだわが党とし総選挙対策本部といったものは立ち上がっておりませんが、政務調査会といたしまして、総選挙公約を作るという具体的な作業に本日から着手した次第です。これは、選対本部が出来れば、その中の公約委員会と位置付けられると考えておりますが、それから仕事をしたのでは間に合いませんので、本日スタートをいたしました。委員長は私でございます。その下に、責任者として林芳正・政調会長代理、事務局長は赤澤亮正・衆議院議員、政調会長補佐でございます。メンバーは、全部の政調の部会長、全員の政調副会長、政調事務局長、政調会長補佐2名。これに加えまして、田野瀬・幹事長代理、世耕・幹事長代理、山谷・組織運動本部長代理、梶山・広報本部副本部長、林(幹雄)・選対局長代理というのがメンバーでございます。政調の中につくるものではございますが、これは選挙との関係、あるいは組織運動本部の各団体との関係、あるいはどのようにして広報していくかという問題。そういうものもございますので、政調でまとめてから幹事長室や組織運動本部、選対との調整をしておるというのは非常に不効率でありますので、この委員会の中に幹事長室、組織運動本部、広報本部、選対からお入り頂くことでスタートした訳でございます。
当面の作業といたしましては、これも相当時間をかけて作ったわけでございますが、懐かしいなあとお思いの方もいらっしゃるかもありませんが、参議院選挙の時にこの『Jファイル』というものをまとめました。民主党で言えば『政策INDEX』にあたるものでございますが、これにすべての公約が載っているということで参議院選挙は戦ったわけです。この中でメリハリを付け、分かりやすい形で公約のパンフレットを作ったわけでございます。作業の段取りといたしまして、まず参議院の時に作りました『Jファイル』をもう一度点検するという事でございます。これも相当議論の上で作ったものではございますが、それから半年近く経っておりますので、直す部分というのがございます。あるいは、新しく付け加えなければならないという部分もございます。あるいは、書きぶりを変えるもの、既に実現をしてしまって落としてよいもの―いろんなものがございますので、各部会これを持ち帰りまして、ここの精査を行う。これがまず第一でございます。そのお願いをいたしました。
その上で、「はい、これが公約ですよ!」と出しましても、それぞれの人は何でしょうかと言う事にもなりますので、わが党として、特に重点を置いて有権者に問うべきものは何か、ということを考えて下さいと言う事を申しあげました。それから第3点として、参議院の時もそうでございましたが、全員参加ということが当然でございます。おれは意見を言っていないとかですね、そういう風なことは絶対にあってはならぬことでございますので、すべての議員を対象といたしまして、自分が実現をしたいと思う公約。わが党の公約として、自分はこれが必要だと思うもの。単に願望だけ書いても何の意味もございませんので、それを可能ならしむる法律、どのような法律が必要か。あるいは予算措置で済むものであれば、どのような予算措置が必要か。法律も法律のタイトルだけ書いても何の意味もないのであって、法律は「かくかくしかじか、このような法律である」と言うようなことを具体的に書いて頂いて、所属200名弱の国会議員に対しまして、年内にそういうものを送付いたします。これにお正月仕事で書いて頂きまして、年明けに取りまとめたいと思っておる所でございます。
今申し上げました2点、このJファイル2010の点検、それからそれぞれの議員が必要だと思う公約、それを可能ならしむる法律案というものについて、1月中には取りまとめて次の段階に入りたいと言う風に思っておるところでございます。公約検討委員会につきましては、以上であります。
次に、統一地方選挙の政策パンフレットについてでございます。これは、山口俊一・政調筆頭副会長に統一地方選挙公約作成委員長をお引き受けを頂きまして、時間をかけて議論を頂きました。統一地方選挙につきましても、ともすれば今までわが党の統一地方選挙の公約というものは、総花的・網羅的であって、字がずらずらと並んでですね、そんなものは誰も読まないというところがあったことは否定し得ないという風に思っております。統一地方選挙政策パンフレットというものを今日議論をし、基本的な方向について了承を頂き、後書きぶり等々につきましては今後一任を頂いたものでございます。お手元にお配りしておりますのはこういう民主党7つの大罪という私達の日本が危ないというものであります。構成としてこの順番は変わるかもしれませんが、民主党が侵しました大別すれば7つになろうかと思いますが、経済、地方、将来、農業、教育、領土、日本、「このままでは日本が危ない」というものをそれぞれの分野において書いたものです。批判をするだけでは仕方がないもので、わが党ならどうするかということで山口委員長の下で最終的な取りまとめをしております。時間的にはこの完成版は1月23日の党大会でお配りしようと思っておりますので、今後詰めの作業を進めて参ります。私からは以上です。統一地方選の政策パンフについてのご質問は山口委員長にお願い申し上げます。

質疑応答

Q
先ほど仰った冬休みの宿題ですが、アンケートは全国会議員か。回答は任意か。
A
全国会議員に行います。『Jファイル』の検討はそれぞれの部会長にお持ち帰り頂いて、年明けに部会を開いて頂いて、考えをまとめて頂きます。ただ、衆参の党所属全国会議員に対して出しますものは、自分が、わが党が実現したい公約あるいは政策、それを可能にする法律、予算を書いて頂き、これはマストでございます。回答しない方は意見がないということで取り扱わせて頂きます。参議院選挙の時も全議員アンケートを致しました。残念ながら第1回締切では、半分にも満たないものでしたが、第2回、第3回締切、それぞれみんな忙しい方、他の用事を抱えてらっしゃる方もおられますので、いついつまでに出さないともう知らないよということではありませんで、締め切りを何回か延ばすことはやむを得ないことだと思っております。ただ、全ての議員が意見を述べたということがわが党として必要なことだと思っております。民主党のように勝手に偉い人が出てきて全てひっくり返すようなことは、私供は致しません。全部の議員が意見を述べ、議論を闘わせる、全員参加がわが党のやり方でございます。併せまして、先程言い忘れましたが、全ての都道府県連に対しまして意見を求めるということも当然致します。あと、パブリップコメントにかけることも参院選とどうように行いたいと存じます。
Q
政府がまとめている予算案と税制改正大綱について、問責を受けている2閣僚が署名することになる是非と署名した場合の党としての対応はどうあるべきか。
A
法的拘束力がないということは当然みんな承知の上でございます。しかしながら、憲法は、内閣は連帯して国会に対して責任を負うという条文を持っておりまして、これは憲法の解説書を読めばわかりますように、衆参両院というのが国会であります。そうしますと一方の院において問責というものが可決されている2閣僚が入って署名をしたという税制あるいは予算案というものは、それは本当に連帯して国会に対して責任を負うということに対して相応しいのかという議論は当然あることだと思っております。そういうような議論と中身の議論と両方を我々はしていかねばなりません。中身の議論については、2閣僚が署名をしようとしまいが、こんなものそもそも認められないということで中身の議論をしないということがあってはならないと思っております。こういう方々が作った予算案をどう審議していくか、また、党全体として常会に臨む姿勢として決定をされるべきものと考えております。
Q
予算について、政府・与党で検討されているものと乖離があるように感じますが、修正、あるいは組替え動議というような対抗手段を考えるのか。
A
当然です。それが受け入れられなければ当然反対でございます。ただ、補正の時もそうでしたが、単に「反対」だけでは極めて無責任な話ですので、わが党としての考えを明確に述べた上で反対をし、当然組み替え動議を出すことになると思う。
Q
後期高齢者医療制度の後の制度を政府は来週決めるようだが、どのように評価し、自民党として対応するのか。
A
これは厚生労働部会で子細にご議論頂くことになりますが、要は高齢者の方々の負担を減らすということに主眼がありまして、この部分は現役世代に更なる負担を求めるということになります。本当にそれが正しいのかどうか、私は厚労部会の結論をまだ聞いておりませんが、高齢者の方々のご負担を軽減するということのために若い世代の負担を増やすことになります。それは私、基本的にそういう考え方でいいのだろうかと思っておりまして、高齢者の方々のご負担の減らし方というのは、これは消費税の議論を避けているからこういう話になるんだろうと私は思っておりますが、高齢者の方々、現役世代、ともにですね、どっちかが負担をしてどっちかが負担をしないということではなくて、バランス的に、トータルでこの制度を持続可能なものにするためには、そういう一時的な解決の方法というのは必ずしもふさわしくないものだと私は思っております。
Q
法人税の減税のことについて伺いたいのですが、今日の税制改正の決定でそれが盛り込まれるようですけれども、政調会長としてですね、政府の決定の経緯についてどうお考えになるのか。あわせて法人税減税のお考えを。
A
私は前から法人税の減税が必要だということは申し上げております。今ですね、これだけ賃金が高いのである。他の国と比較すればという話ですよ。そして、円高基調は変わっていないのである。加えて、CO2 25%削減であるとか、製造業への派遣の禁止であるとか、企業に対して非常な負担が掛かっているということでございます。ニワトリを殺したらもう卵は産まれないのでございまして、こう言うとすぐ「お前は企業優遇か」と言われますが、「卵を大切にして産むニワトリを殺しちゃったらどうにもならないでしょう」ということであります。
その中で法人税の減税、諸外国に比べてですね、高い負担というものを軽減するということは、いますぐできるということなのでやらねばならない。ただ、それで減税になる金をどこで調節をするか、どこで埋め合わせをするかということは、法人税の世界の中で、法人に対する税の中でレベニューニュートラルということを考えるべきでは決してないと思っております。消費税というものに手を付けませんものですから、結局、あるところから、取りやすいところから取ってその穴を埋めるか、もしくは借金を増やすか、どっちかしか道はございません。そのやり方が健全なやり方だとは私は考えておりません。それは税の全体の中で議論されるべきことでございますし、一方においてGDPを上げるということはですね、付加価値を高めるということでしょう、付加価値の総和がGDPなのですから。
そうするとですね、法人の活力を上げるということは当然あるべきことではないだろうかというふうに思っております。そこで消費税を避けているものですから、あちこち辻褄合わせの増税が行われるということになって、日本全体の経済を浮揚させるという考え方からは、決して好ましいものだとは思っておりません。菅総理は、「とにかく私の決断で法人税を下げた。後は知らん!」というようなことだとしか私には思われないのでございます。
Q
先程の総選挙の公約の中で若干触れていたところで、付け加えなければいけないこととか、消さなきゃいけないことがあるということをおっしゃいましたが、現時点でどういう点についてそこは過不足を改善する必要があるのか。
A
そこはわが党は参議院の公約において、消費税を5%アップするということを申し上げました。そしてそれぞれにどれだけの金が必要かということもお示しをしたところでございます。それをさらに具体的にどういうことになるのかと、介護はどうなるのか、もちろん3分の1から2分の1への引上げというものも当然含むのでございますが、そこが消費税上げ分がすぐですね、「消費税を上げて借金を返すのだ」というふうに言われますが、常に申し上げている通り、消費税を5%に上げたからといってですね、借金が返せるというそんな生易しい話ではございません。これ以上借金を増やさない、財政の発散を防ぐと同時にこれから先の安心を確保するための5%アップでございますから、そこは具体的にどういうふうになるのかということを書き込むことが一番肝要であると思っております。あるいは参議院選挙後に出した法律もございますので、そういうものはきちんと書き込んでいかねばならないであろうと思います。
もう1つは参議院選挙後に生じた事象というのは、尖閣を中心とする領土問題がございます。これの法制をどうするかということも書きこまねばなりません。朝鮮半島で動乱が起こった。邦人が退避せねばならない異常が起こったという時はですね、「行けるようにするんだ」なぞと総理がおっしゃっておられますが、じゃあどういう法律にするんだというのが全然わからないわけでございます。自衛隊法をどう改正するんだというのもございません。ああいう思いつきみたいなことを私どもはやるつもりは全くないのでございまして、これに対する法制をどうするか、さらに参議院の時にも申し上げました集団的自衛権行使についてどのような法制が必要かということも、もちろん党内の手続きを踏んだ上でございますが、領土あるいはわが国の独立と平和、これを守るためにどうすればいいかということも書きこみたいと思っております。