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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年2月16日(水)
於:党本部4階平河クラブ会見場

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言】

本日政策会議を開催致しました。その前に、午前8時から領土に関する特命委員会を開催致しました。私が委員長を務めておりますが、後ほど実質的に仕切って頂いている委員長代理の新藤義孝議員にご質問頂ければと思います。先般来、議論になっております尖閣諸島の実地踏査に関する決議及び竹島問題に対する政府の対応に関する決議を了と致しました。今後、総務会に諮りまして党の決定ということにさせていただきたいと思います。
尖閣諸島における中国漁船の衝突事案等いろんな事案が生起しているところでございます。そういうことも踏まえて、われわれは尖閣諸島の実地踏査を行うべきであるということで、今回の決議に至ったわけでございます。
決議文にありますように、「特に昨年の中国漁船衝突事案をきっかけとして、尖閣諸島及び同周辺海域の実効支配をいかに強化すべきかが問われる事態となり、もはや、これまでのような対応が、『平穏かつ安定的な維持及び管理』に寄与する時代ではなくなった。」ということであり、状況が変わったという認識でございます。われわれの政権時代もいろんな対応をしてきました。不法上陸による強制退去等も行いましたし、また石垣市の固定資産税に関する調査というものもわれわれが政権時代にそれを認めないということもあったわけであります。それが正しかったかという検証はもちろんしなければなりません。ただ、われわれとしては、時代状況が変化したということであり、今までのようにやっていると「平穏かつ安定的な維持及び管理」に寄与しないという認識であります。しからば、どのようなことをもって実効支配というかでありますが、何が必要なのか現地に行ってみないと分からないということであります。灯台の改修や、気象観測所の設置や、無線中継所の設置や、監視レーダーサイト等の有人施設の設置や、ヤギについての調査、モグラの調査等いろんなことがあるが、まず何が必要なのか把握されなければならない。目に見える形で実効支配を示し、わが国の主権と領土を守る意思を国内外に明確に示さなければならない。そうであらねば、「平穏かつ安定的な維持及び管理」は到底行うことができないということを認識するべきである。また、終戦の年に台湾に疎開しようとした方々の船が米軍によって撃沈されたことがあるが、そこで命からがら生き延びて尖閣に上陸された方も、病気になられたり、苦しい状況の中、落命された方々がおられる。そういう方々の御霊をなぐさめる慰霊も、ご遺族の強い希望もあり、なんとしても実現しなければならないと考えます。そういうことを踏まえて、国は責任と主体性を持って、早急に尖閣諸島の調査を行い、島の利活用の推進に着手すべきであると考えます。また、国会の権能を用いて、国会の議決の上で、国政調査権に基づき、尖閣諸島において、上記の施設等の整備の為の実地踏査を行うべきであると考えます。政府に「やれやれ」というだけでは、政府は何もしないということは、今までの経緯からして当然推察されるわけであります。われわれは、政府に要求するだけではなくて、国政調査権に基づいて、実地踏査を行うべきであると考えます。先週この議論をし、いくつかご意見をいただき、今回の決議にいたったわけであります。
もうひとつは、竹島でございます。
韓国政府が竹島における設備に関するいろいろな工事をおこなっている。また、定期航路も開設されているということです。われわれは、こうしたことに強く抗議すべきであると考えるし、そうした行為を中止させなければならないと考え、国会においても取り上げ、質問主意書もだしているわけであります。今の政府はなんの対応も行っていない。そればかりか、政府の対応、現場の状況等について公表すらしていない。これが誤ったメッセージとして伝わり、日本政府は何をしても反応しないのだな、ということになる。われわれは、領土、国民、あるいは排他的な統治機構、この3つが国家主権であると考えております。ただ、われわれは地域主権や地方主権という概念を認めてはおりません。日本国憲法上、主権というのは最終的には国民が決めるという国民主権、そして排他的な統治機構を有するという国家主権、この2つが主権であって地域に主権があるとは考えておりません。
地方分権と地域主権は全く異なる概念であります。そこを認識したうえで、主権者である国民に対して、情報を開示するということは、国家主権という観点から当然のことだと考えております。そのような情報開示もされていないわけであります。これ以上、政府の無為無策ぶりは看過できないわけであり、竹島に関する国民世論を一層喚起し、暫定水域における漁業秩序の確立、国境離島の警備強化を進めなくてはならないということであります。また、島根県においても、近々「竹島の日」に関する行事が行われるが、党としても議員が赴き、党としてしっかり行動したいと考えるが、それに先立ち3つの決議を行い早急な対応も求めております。
1.韓国政府が、海洋科学基地の建設や竹島の住民宿泊所の拡張工事を着々と進めている事実を日本国内外に広く公表すること。
2.韓国政府に対して、計画を即時に中止するよう強く抗議し、この問題に関する日本政府と韓国政府の協議の場を設置するよう申し入れること。
3.国民意識の啓発、領土教育の充実等の施策を進めるべく、政府に竹島を所管する組織を設置すること。
すなわち、内閣府設置法に基づき、北方領土は内閣府が所掌するわけであるが、設置法に基づく、竹島を所掌する省庁はないわけであります。いろんな経緯があってのことだが、わが党としてかねてから、内閣府設置法の一部を改正する法律案により、それを所管する国の組織を定めるべきという意見があったわけですが、今回決議という形で、これを求めるというわけであります。当然、これは議員立法として提出しなければならないと考えております。韓国の動きが着々と進んでいるわけであり、これに対して、何も対応しないということは、ありうべからざることであると考えております。
以上の決議を行いました。今後しかるべく党内手続きを取っていきたいと考えます。私からは以上であります。

質疑応答

Q
予算関連法案の審議が衆議院で始まったが、どのような対応をされていくつもりか、決意表明ではないが、方針等をお聞かせ頂きたい。
A
我々としては、国民の負託に応えられるべくきちんと審議に応じるということでございます。まだ、審議が始まったばかりのときに賛成、反対を明言するべきではないと考えます。ただ、内容を見たときに、とても賛成できませんねというのが、多々あります。税法等々そういうものであります。基本的には、なかなか予算関連法案に賛成できるものではないと考えております。ただ、国民生活にとって負担が増えるというものが、中にはあるであろうし、また、地方の財政もよく考えていかねばならないと考えています。最初から全部反対ありきということを申し上げるつもりはございません。よく精査をしながら賛否を決めていきたいと考えます。
Q
予算委員会で菅総理は尖閣問題について、言ってはいけないかもしれないが、代表選の最中にあったことが影響したかもしれないと発言されたが、この総理の認識をどう考えるか。
A
代表選の最中であろうがなかろうが、日本国は日本国として動いていなければなりません。代表選挙の最中だったからということを、一国の総理が発言するべきではありません。代表選にかまけてとは言いませんが、相当のエネルギーを代表選挙に割いていたのではないでしょうか。わが党の総裁選挙の最中に、現職の総理たる人がそういうことをやったというのは、私は寡聞にして知りません。代表選の最中を狙われたのではないだろうかとか、そういう認識を持っていたとしたら、そういうことを思われる自体で一国の指導者として不適切なことだと思っております。
Q
鳩山前総理の、抑止力というのは方便でしたという発言について、どのように受け止めておられるか。また、予算委員会で北澤防衛相は、人生の中で1番目か2番目に驚いたと批判しているが、今後どう対処するつもりか。
A
感想としては、もう何をかいわんやというところです。あいた口がふさがらないどころの騒ぎではない。やはりこの人はこういう認識だったのだということでございます。予算委員会で総理になにかあてでもあって言ったのかと聞くと、あてはなかったと答えた。さらに、なんであてがなかったのにそういうことを言ったのかと聞くと、沖縄の方々の思いを大切にしたかったという答えだった。その後、辺野古ということになったのでありますが、そこで、海兵隊の果たしている抑止力とは何かと質問したら、全く答えはなかった。徳之島がだめになったので、やはり辺野古に戻らなければならないとなった時に、理屈が必要となって、抑止力と言った。全部、順序が逆なんです。思考として、順序が逆で、この期に及んでも、海兵隊そのものに抑止力はないという発言が出るに至っては、やはり何も分かっていなかったんだということ。海兵隊は確かに自国民の救出ということが重要な任務の1つではあるが、それだけではないということであります。練度を常に最高度に保ち、陸海空が出るまでの間、可能なことを迅速に行うというのが海兵隊の果たすべき役割であります。それ自体が抑止力ではないと言うのは、軍のオペレーションを全く分かっていないわけであります。また、何故沖縄なのかということも理解できていないわけでありまして、とても論評に値するものではありませんし、こういう人がこういう認識で外交・安全保障をやっていたのかということの恐ろしさを痛感するのみであります。北澤大臣が人生で1番目か2番目か3番目か知りませんけども、驚いたということを言ったそうですが、それぐらいの驚きだったんだなあということであります。ただ、北澤大臣も鳩山内閣の閣僚だったわけであります。それは、内閣全体として連帯して国会に責任を負うのでありまして、それぞれがどのようなアドバイスをしていたのかということも問われなければならないのではないでしょうか。それは菅総理も同じことでありまして、副総理は継承順位が2番目なだけであり、大した法的な意味はないのだと言われても困るのであり、副総理として何をアドバイスしたのかということも問われなければならない。同じ内閣におられた方が、驚いたとか言われることは、極めて異様なことであるとの認識を持っております。
Q
予算関連法案で賛成できないものがあるとのことだが、税法とか子ども手当法案があると思うが、どういう状況になれば自民党として賛成できるのか、または、小手先だけで変えても賛成できるものはないのか、そのあたりを。
A
これは、私どもとして、経済に対する効果というものが極めて乏しく、多額の財源を要する、いわゆる(バラマキ)4Kが入った予算であるということ。個々に見れば全部120%ダメだとか言うつもりはありませんが、この予算そのものがだめであるということ。仮に予算関連法案に賛成することがあるとすれば、予算そのものを見直してもらわなければ、予算関連法案だけに賛成するということは、整合性が取れない。それは、マニフェストというものに向き合わないのは卑怯であり、賛成することはできないと考えているわけであります。国民の負担が増えるとか、行政の運営に甚大な影響を与えるとか、そういうものについてはきちんと対応するということを申し上げておきます。
Q
政府の方であまり案が出てこない場合に、自民党から代案を出すという考えはあるのか。
A
そういう可能性を排除するものではない。彼らも政権を取って1年数カ月経つわけで、こうすれば国民の生活が良くなるという事がわからないはずがないであろう。もちろん自民党の案は持っております。しかし、第1義的に、これが必要だ等というのは政府の責任だと考えております。
Q
尖閣の決議に関して、これから国会で議決を行いたいということであるが、段取りについて。また、2月22日は竹島の日ですが、自民党としての取り組みを。
A
灯台の改修や気象観測に関しては、国土交通省ということになるでしょう。漁船に対する情報提供であれば農林水産、監視レーダーサイトということになれば安全保障なのか外務なのか、いろんなことが考えられる。どこの委員会に出すのが一番適切なのか、また国政調査権の行使がふさわしいかということに基づき、与野党のバランス等も考えながら、最も実効性のあるものを考えていきたい。竹島の日に関しては、新藤議員から説明します。

【新藤義孝衆議院議員】

竹島の日には、森本部長を先頭に私も行きます。竹島の日の式典とその後のシンポジウムに参加して我われの考えを伝えたいし、地元の方々の意見も聞きたい。また、竹島の漁業の中継地であった隠岐の島にも行って、意見交換をしてこようと思っています。今日、日韓の外相会談がありますが、今朝の領土に関する特命委員会では、竹島問題をしっかり韓国側に伝えるように申しました。この問題がないがしろになったまま、例えば日韓の図書協定のようなものの国会の審議がはかれるのかという大きな問題にもなってきます。竹島の問題は、お互いの国のもめ事にならないようにしなければなりませんが、しかしこのまま何もせずにうやむやに過ごすことはできないのではないでしょうか。
Q
予算委員会で、公聴会の日程が議決で決まりましたが、これについてどうお考えですか。
A
いろいろな議論があって決まったものでしょう。公聴会というのは、出口としての1つ大きなポイントであろうと思います。国対あるいは予算の現場でいろいろな配慮があってなされたのだと考えております。私からこれについてあまりコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
Q
関連法案の中に地方交付税の交付についてのものがあるが、公明党もまだ賛否を明らかにしていないが、どのように対応していくつもりか。
A
これは、地方の行政執行に影響を与えないということはよく認識しなければいけない。ただ、単純にこれに賛成することだけが、これに資することなのかというのは、また別の議論であります。地方の行政執行にご迷惑をかけないようにということは心がけていきたい。ただ、それがそのまま、はいはいといって賛成することにはあいなりません。