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記者会見

谷垣禎一幹事長記者会見(役員連絡会後)

平成27年9月25日(金) 10:30~10:50
於:院内平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣 禎一幹事長

本日の役員連絡会ですが、高村副総裁からのご挨拶で、平和安全法制は無事に成立させることができた。それぞれの地元でしっかり必要性を説明していただきたい。徴兵制などといった荒唐無稽なことはないということを、国民は賢いので冷静になって考えていただければすぐ分かると思う。また、閉会中も、経済最優先ということで、税制などしっかりやっていかなければならないのでよろしくお願いするということでした。
私(谷垣幹事長)からは、平和安全法制を成立させることができまして、参議院では連日の深夜国会でしたが大変なご努力をいただいたことに心から御礼申し上げたい。この法制は、国民の命と平和な暮らしを守るために必要な法律ということを国民に理解されるよう引き続きご努力願いたいということを申しました。また、実質本日で会期末ということですが、8か月間に及ぶ通常国会、その間、党運営や国会対策、あるいは選挙対策、役員の皆様には大変ご協力をいただき心から感謝をすると御礼を申し上げました。それから、総裁選も終わり、昨日は両院議員総会もあったわけですが、その後の記者会見で安倍総裁が「デフレ脱却は目の前である。アベノミクスは第2ステージに移り、一億総活躍社会を目指す」ということを述べられまして、GDP600兆円達成の目標と、新たに「希望を生み出す強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」、という新しい3本の矢を発表されたわけです。安倍総裁を先頭に掲げられた政策の実現に向けて政府・与党協力しながら結果を出していこう。国民の信頼を得るべく一致結束して協力していこうということを申しました。そして最後に、このメンバーでの役員連絡会は最後だと思うが、大変この間、お世話になったことを心から御礼申し上げるということを改めて申しました。
佐藤国対委員長からは、平和安全法制の成立への御礼、それから内閣不信任案の処理への御礼、長期間にわたる国会運営に対する協力の御礼といったご趣旨のご発言でした。
吉田参議院国対委員長からは、平和安全法制の成立に対する御礼と、本日、会期末処理を行うというご発言でした。
溝手参議院議員会長、伊達参議院幹事長からは、重要法案を成立させることができた、大変お世話になったということでした。
茂木選対委員長からは、昨日、参議院選挙の第二次公認を決定して、ここまで選挙区36名、比例区19名を決定した。また、合区対象県に対する救済措置も了解をいただいた。それから本日、大阪市長選について栁本顕市議の推薦を決定する予定であるというご報告でした。
稲田政務調査会長からは、農協法改正や平和安全法制等々意味ある法案が成立できた。引き続き丁寧に説明しながら国民の理解を得ていきたいということでした。
馳広報本部長からは、世論調査の結果についてのご報告がありました。
その他の意見としては、今国会の成果を、この2年9か月の安倍政権の成果とアベノミクスの第2ステージについてまとめて、しっかり国民に伝えるようにしたいというようなご議論があったところです。

以上です。

質疑応答

日本テレビの加藤です。今国会は政府提出法案の成立率が88%ということで、9割に届かなかったという結果ですが、これについてどのようにお考えですか。
重要な法案なのですが、成立せずに終わってしまった、継続になったものなどがいくつか残っているわけですね。大変残念だと思いますが、私がかねがね申し上げているように、事実に即した議論というよりも、やはりイデオロギー的な対立というか、そういうものがやや議論として際立った面があったと思います。これは、私どもの説明の仕方や国会の運営の仕方も必ずしも万全でない、うまくいかないところもあった。また野党の国会対策的な面からも、必ずしも事実に即した議論というのではないところがあったというのは残念に思いますが、そういうイデオロギー的な対決になりますと、どうしてもその対決している法案でいろいろなことが起こるのはやむを得ないにしても、イデオロギー対決が過度に強調されますと、それが皆、ほかに波及するというようなことが今回はあって残念だなと思っております。もちろん、野党の皆さんにも関係のない法案をブロックするのはやめていただきたいという気持ちもあります。我々としてももう少しこういうイデオロギー性がないとは言えないものの扱いをもう少し習熟する必要があるのかなという反省もございます。
朝日新聞の笹川です。党の「青年年齢に関する特命委員会」が本日、提言を官邸に提出する予定ということですが、少年法について、18歳未満に引き下げるのが適当であるという内容が盛り込まれているということです。これについて幹事長はどのようにお考えですか。
18歳に引き下げるというだけの提言では必ずしもないのではないかというのが私の理解です。最終的にどういう提言になるのか正確には存じませんが、一応選挙年齢が18歳に引き下がり、成人年齢も18歳に民法等々は持っていくというようななかで、要するに少年犯罪等々で人格の可塑性のある若い年代の対応は、今の法制がかなりいろいろ注意深くやっている点でもありますので、20歳を超えてもそこは柔軟に、社会復帰とか人格矯正など、そういう教育を施しつつ犯罪に対応していこうという仕組みになっていると思いますので、少年法の対応を18歳に引き下げたというよりは、少年法の厳密な対応は18歳なのですが、20歳前後を中心に人格の可塑性のあるときの対応を強化していこうという趣旨も併せて含んでいるものではないかと理解をしております。
時事通信の大沼です。人事について、昨日、安倍総裁も会見のなかで「大きな骨格は維持する」と言われていましたが、幹事長は人事に関してどういった人事を期待されますか。
これは昨日、安倍総裁も具体的なことはおっしゃらなかった。人事に関して何を言うかというのはあまり今、私が申し上げるべきではないと思います。
時事通信の大沼です。報道等では幹事長は続投という報道が多くされていますが、人事に関して安倍総裁とご相談などされているのでしょうか。
皆さんにこういうと叱られますが、「新聞辞令」というような言葉もございますので、それにいちいち過敏に反応していると我々の世界はわたっていけないという大変失礼な言い方になって申し訳ありませんが、私はそういう、哲学というほどのものではありませんが、処世訓で生きております。
テレビ朝日の植村です。戦後最長の通常国会が本日で事実上の閉会というなかで、今、どういったご心境ですか。
心境と言ってもいろいろな心境があるのですがね。
テレビ朝日の植村です。しんどかったですか。
そうですね。やはり夏の暑い最中もそれなり皆さん頑張っていただきました。だから、やはり疲れたなというのが正直なところございますが、たぶんこれは我々与党だけではなく野党の皆さんもかなり疲れたなという思いがおありなのではないかなと思います。
読売新聞の天野です。秋の国会について、主に臨時国会ですが、今どのようなスケジュール感をお持ちですか。
夏の暑いときにやりましたので、またこれから外交日程等もありますので、すぐに国会を召集してというわけではないのですが、前々から秋はTPP関連を処理するということが暗黙の前提になっていたと思います。今月末がTPP交渉のヤマ場であるということは間違いない。私もTPP関連の役所の方に来ていただいて話を伺いますが、どういったところをどう処理するのかということを考えながら、もう少し様子を見る必要があるかなという感じです。
東京新聞の宮尾です。昨日、安倍総裁が参議院選挙の公約で憲法改正ということをおっしゃられましたが、具体的な条文に関しては言及されませんでした。憲法9条について、今回の平和安全法制で、さしあたって必要な安全保障上の措置は取られた。違憲立法という批判もあったなかで自民党はそうではないというスタンスを取られています。そうすると、憲法9条の改正は当面必要ないということになるのでしょうか。
当面必要ないというよりか、憲法改正というのはぶち上げるのは簡単ですが、要するに今の憲法だって100条以上の条文があるわけですね。その全部を一気に変えるというのは、考え方としては全部新しい構想の下に作り直すという考え方もあると思うのです。しかし、それはなかなか大変なことなわけですね。そうすると、「何を変えるのか」という議論もいろいろ考え方があるのだろうと思います。特に日本は、憲法改正の経験というのは、皆無というといけないかもしれませんが、明治憲法の後、要するに明治憲法の改正手続きで現在の日本国憲法を作った。しかし、この制定過程についてはいろいろな議論がありますが、いわばGHQという絶対権力の下で改正をして、それ以外は憲法改正の経験というのは、明治憲法発布以来一度も経験がないわけです。そうしますと、どういう構想でもって憲法改正を、憲法改正という目標はさることながら、どういう手順・手続きでやっていくかというのは、これは人によって違いますが、私としては慎重に、やはりまず初心者が憲法改正をやるときに、初めから高度な技に挑めるのかという、俗っぽい表現ですが、「何が憲法改正に必要なのか」という議論から入っていく必要があるのではないかと、これは私の考え方です。これはどちらかというと実務的な考え方ですね。それに対して、やはり押し付けられた憲法であるということを強調すれば、「全部がいかんのだ」ということになるのかもしれませんね。その辺りの方法論は、実はまだ十分収斂していないというのが実情ではないかと私は思います。そこはまだまとまっていないのですが、必要なものからやっていく。しかしこの必要なものからやっていくというのもいろいろな議論があり得るだろうと思います。
私は、必要なものという場合に、やはり読んで字の如しというのは大事なことで、例えば「公の支配に属さない教育には国費を出してはいけないと憲法に書いてあるのに私学助成というのは何なのだろう」など、なかなか皆悩みに悩むわけですね。特に試験の答案に答えを書こうとすると皆、悩みに悩んでしまうというようなことがあっていいのかという気持ちもございます。これは私が日ごろ感じていることですが、どこをどうやっていけばいいのかというのはまだ十分論者によって、方法論が出ているわけではないのですね。私は野党総裁のときに素案というか一応全部の案を作りました。それが完全なものであると言うつもりはありませんが、やはり憲法改正を議論するときは、では自分たちだったらどういう一応大まかな構想を持っているかということを示さないのはいかんなと思って出したわけですが、現実にやろうとすると具体論、具体的な手順をきちんと詰めなければいけないということだろうと思います。
東京新聞の宮尾です。今回の平和安全法制は、本当は憲法9条の改正をしたかったのだがなかなか現実には難しいので法的なロジックをひねくり回してやったという側面があると思うのですが、この法案が成立した以上、9条の改正というのは逆に必要性が遠のいたのではないかということなのですが、いかがでしょうか。
必要性が遠のいたというか、それはものは考えようで、現実にどうもおかしいねと、先ほどの私学助成も、おかしいと言ったらいけないかもしれませんが、なかなか相当、あまり変な表現をするといけませんが、法律解釈学の総力を結集して私学助成をできるようにしているわけですね。他は申しませんが、そういうのはいくらもあるのですね。だからそういうことをするのか。それからもう少しさらに実質論から言えば、私はやはり統治機構は今のままでいいのかというような議論はかなりあり得るのではないかと思います。今回の合区でやはり各参議院の選挙区というのは都道府県代表の性格を持たせるべきではないかという議論がかなり強く出てきました。そしてやはり地方自治の基幹の制度と選挙区制度は無縁に考えられるのかというかなり重要な問題提起がそこには含まれていると思います。選挙制度と地方自治制度はどう組み合わせるべきかというような議論は、たぶん憲法の教科書にはあまり書いていないのですね。憲法の教科書からすると、比例原則みたいなことは書いてあるかもしれませんが、しかし現実の選挙を考えるときに地方自治の基幹的な制度と無縁に制度を立てるということは、相当現実には混乱を生む原因になるのではないかというのが私の理解ですね。だから、実はそういう問題もあるわけです。しかし参議院の方は、都道府県代表の性格を持たせるとすると、では衆議院はどうなるのか。これはやはり一つやると両院の性格というものが相当大きく変化してくるということを、変化してくるかどうか分かりませんが、どこまで変化していくかということをよく考えながらやりませんと、「やったが変なものができてしまった」ということでも困りますので、何が憲法の問題なのかというのは論者によってまだ相当収斂はしていないのではないかと私は思います。
テレビ朝日の植村です。先ほど下村文部科学大臣が安倍総理に対して辞任の申し出をしていたことを明らかにされたのですが、安倍総理の方は内閣改造まで慰留されるということです。このタイミングでの辞任申し出についていかがですか。
私は今、その中身をよく存じませんので、一知半解でお答えするのは差し控えたいと思いますが、今のタイミングで辞任の申し出をされれば、安倍総理が内閣改造まで慰留されるのはごく自然かなとは思いますね。