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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年10月13日(木)17:00~17:20
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

谷垣禎一総裁

【谷垣禎一総裁発言】

私から申し上げることは、選挙制度改革に関する与野党協議会の設置です。昨日、衆院の1票の格差を是正する与野党協議会の設置はオーケーであるという返事を民主党側に伝えたところです。一致した結論を引き出していくためには、各党の立場や考え方の相違はありますが、その相違を乗り越える知恵を出していかなければならないわけです。ご承知のように、最高裁判決で違憲状態の是正が必要であるという指摘がなされておりまして、これについては各党の認識は、きちっと最高裁の指摘に応えなければならないという点では一致しておりますので、必ずや結論を見いだしていかなければならないし、また見いだせるものだと考えています。

与野党協議会では、各党の党利党略を乗り越えて、国民の声を最大限に国政の場に反映させられる選挙制度のあり方について、きちっとした議論を行っていきたいと考えています。

質疑応答

Q
今の選挙制度改革について、自民党の立場として早期の衆議院解散を求めている中、解散に向けた環境整備との受け止め方について、総裁はどのようにお考えですか。また、公明党などは、抜本的な制度改革が必要だと主張していますが、この点についての総裁のご認識と、将来的に望ましい選挙制度についてのお考えをお聞かせください。
A

抜本的な選挙制度の改革を議論しなければならないという点については、私もそうだと思います。いろいろな観点がありますが、私は今の小選挙区を中心とした制度の弊害が表れています。あまりにも振幅が激しいということが、一つあると思います。これをどう見るか、人によって、立場によってずいぶん違うと思います。あまり振幅が激し過ぎますと、なかなか若い政治家も育っていかないということがあるのではないかと思います。そういうことは、十分議論していかなければならないと思います。しかし、他方、最高裁から違憲状態だと指摘されて、2年が経っています。我々の任期は4年ですから、いつまでも根本的な議論をして、すぐ結論が得られるならそれで良いですが、やはり純然と時を送るわけにはいかない。一方で、大きな選挙制度の問題意識を踏まえながらも、先程も申し上げましたが、各党の勢力伸長、党利党略も相当絡むことなので、やはり最低限、最高裁の要求を満たしていくためにどうしたら良いか、少なくともその点についての知恵は出さなければならないと思っています。

Q
衆院解散の環境整備の側面についてのご所見をお聞かせください。
A

環境整備ということを前に出して考える必要はないのであって、最高裁から指摘されたことを迅速に整えていくという観点から、速やかに結論を出していくと考えるべきではないかと思います。

Q
野田政権は来月のAPECまでを念頭に、TPP交渉に参加するかどうかの結論を出そうと、議論していますが、民主党内でもTPP参加に慎重な意見もあります。このような状況をどのように見ていますか。また、自民党としてのスタンスについて、お聞かせください。
A

政権の中でも相当根深い対立があるように見えます。閣僚の発言も、視点が定まっていると言うより、相当迷走している感が拭えません。政府が本気でTPP参加に対して、きちっと党内・与党内をまとめて、結論を出し得るのかどうかというのは、私は非常に疑問を感じております。しかし、政府与党の対応は、しっかり注視していかなければいけないと思います。

他方、わが党ですが、今度政調の中に、外交経済連携調査会(高村正彦会長)を設置して、TPP参加の利害得失、それから問題点を是正していく手法はあるのか、農業だけではなくて、貿易問題、それに加えて、外交安全保障の観点からもこの問題を検討していく必要があるのではないか、議論を深化させていく必要があるのではないかと思っています。何よりも、まだあまり情報がありませんので、情報を集めて、我々も議論を詰めていきたいと思います。

Q
いつぐらいまで、党内で結論を出すのですか。
A

これは、長々議論すればいいというものではありませんが、情報もない中で、あまり簡単に結論を出すわけにはいかないと思っていまして、少しその辺は腰を入れて、いろいろ研究する必要があると思います。

Q
将来的に望ましい選挙制度について、総裁のお考えを具体的にお聞かせください。中選挙区が望ましいとお考えでしょうか。また、次の臨時国会では、どの辺まで議論を詰めて、結論を出すお考えですか。
A

まだ何が一番望ましい考え方かというのは、いろいろな考え方がありまして、わが党の中でも、完全に意見の一致をみているわけではありません。先程申し上げたような弊害を乗り越えるには、かつての中選挙区制度というものも、もう一回よく光を当ててみる必要があるのではないかと思っています。ただ、そういうふうに致しますと、相当大きな変化になりますから、どうしても周知期間とか、何か、ある程度必要になってきます。そうしますと、残された任期等の関係では、やや時間が十分でないと、それはスピードにもよりますが、必ずしも簡単でもないという気がします。我々は既に、5減案を、細田博之党・政治制度改革実行本部長を中心に作っていただきまして、この中には、憲法上の要請、最高裁から来ている一票の格差をなくすために、何をやらなければいけないかということで、5減ということです。

さらに大きな要請として、議員定数を増やす方向で考えるべきではないだろうということもありますので、細田さんが中心になって作った案は、比例代表も減らすと。そうすると少数政党については厳しい形になるので、少数政党のそういう声をどう反映させるかという観点があるので、これは、私はひとつのたたき台になる、各党の皆さんにもたたき台としていただける考え方ではないかと思っています。

Q
TPPへの参加について、政府は来月に行われるAPECまでに結論を出すとしていますが、自民党としてはいつまでに考え方をまとめるおつもりですか。
A

それまでにと区切って拙速になることは避けたいと思っています。ただ、全体の材料の集まり具合を見て、判断していかないといけないと思います。

Q
3次補正予算とその財源をめぐる政府与党案について、どのような問題意識を持って見ていますか。
A

従来から申し上げている通り、震災の復旧、復興に関しては、我々は協力するというのは基本姿勢ですし、いたずらに引き延ばすことは毛頭考えていません。対応については、先日、政調会長同士でいろいろご説明をいただいて、わが党のなかでも政調などで、議論を整理するということですが、今、この考えられることは、ひとつは、この第3次補正で、復旧復興対策というのは、打ち止めというわけではないんだろうと思います。引き続き、やらなければいけないことがあって、来年以降、どう睨んでいくかという問題があります。そうしますと、財源との関係で一体そういうものの、例えばどう考えてもB型肝炎への対策は、復旧復興とは関係があるわけではありませんから、復興債を入れる中で、どういう仕切りをするのか。来年度以降でどう対応していくのか。当然、償還財源のあり方も関係してくると思うので、そういう点をわが党の議論をつめていかなければならないわけですが、財源のあり方については、基本方針を拝見する限り、今のような問題がしっかりと解決されないといけないと思っています。

Q
前原政調会長が訪韓して、従軍慰安婦問題を再度、持ちかけるような動きを見せましたが、谷垣総裁の受け止めをお聞かせください。
A

韓国の判決の状況や何かは十分に承知しているわけではありません。前原さんの発言の真意を聞いていませんので、よく研究してみたいと思います。

Q
復興債の償却期間について、何年ぐらいをめどにという谷垣総裁のお考えはありますか。
A

これについては、具体的にどういうふうなことで与党と話をしていくかというのは、政調でもう少し議論をしていただかないといけませんが、何と言うか、復旧、復興の中で言われているもので、相当程度インフラ整備があります。従来、インフラは建設国債を中心にやってきたと。そうすると、これは60年償還です。これはその成果が次の世代にしっかりと形になって残るからという意味合いがありますが、それとのバランスがどうだという問題があります。

またもうひとつの問題として、野田総理の問題意識、それは間違っていないと思いますが、要するに野田さんの表現に従えば、税と社会保障は、来年度予算を作るにあたって必ず考えていかなければならない問題でしょう。そうすると消費税と言うものが結局問題になるときに、どういう形で復興財源をお願いし、消費税もお願いできるのかということはよくよく考えなければならない問題で、そういうことを考えると一気に短い期間で償還の負担がかかって行くという方法がとり得るのかどうか。このあたりは十分な検討が必要だと思っています。

Q
関連で、自民党と民主党の政調会長会談があり、その中で前原政調会長は、第3次補正について、自民党の考えをかなり取り込むような姿勢を示しました。タバコ税についても、復興財源の中から外す動きも出ていますが、このような政府民主党の動きをどのように見ていますか。また、仮に民主党がベタ折れしてきた場合、協議のスピードが上がって行くということはありますか。
A

我々は、今のような問題意識をまだ十分に政調で議論しているわけではありませんから、政調でしっかりと議論していただいて、その結果を政府与党にもぶつける必要があると思います。ベタ折れと言われましたが、どうするかは政府与党の判断ですから、それを見ながら我々は対応を考えていくのではないかと思っています。

Q
一票の格差の解消に向けた今後の議論のあり方について、全党が一致するということは、谷垣総裁の中では必要条件になっていますか。
A

こういう案件は、できれば全党の一致ということでできれば、一番望ましいです。なかなか事柄の性質上、選挙制度というのは、各党の消長に関係があるので、無関係にみんなが喜ぶ案というのは、なかなか口で言うのは簡単ですが、実際は難しいです。だから、その中での最大公約数をどう求めるかということにならざるを得ないわけですが、その最大公約数に全党が賛成できるかどうか、まだちょっとよくわかりません。