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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年5月26日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

原発処理をめぐる政府の対応について、一連の政府の対応の不備、説明の虚偽、これは明らかでして、正確、迅速な情報開示を求められる政府の姿勢としては、あまりにも不誠実、無責任であると思います。
政府は、我々がずっと申し入れてきた、復興支援のための東北エリアの高速道路の開放、無料化をやっと検討し始めたわけですが、あまりにも遅いし、規模も不十分だということを申し上げなければなりません。果たして菅政権は、真剣に国民の安心と信頼を確保する意思があるのか。二次補正を切れ目なく成立させて、いまだに苦しい状況にある被災地の方々の気持ちに応えようという意思があるのか。強い疑念を覚えています。
国会の会期も残り1か月を切りました。国民の間にも菅政権では、限界にきているという感覚が広がっているように思います。我々は引き続き、野党としての責務を全力で果たしていかなければならないと考えています。
韓国の国会議員による北方領土訪問、閣僚の竹島訪問は極めて遺憾です。24日に現職の国会議員3名が北方領土を訪問、翌日25日には、韓国の現職閣僚が竹島を訪問しました。これは大変遺憾であり看過することはできません。菅総理は事実の確認中として黙認の姿勢を貫いていますが、国の主権と領土を守らないといけない。日中韓首脳会談で、わが国の立場を明確に示すべきであったと思います。国会として、韓国の国会に対して、わが国の意思を示すべく厳重に抗議するとともに、首脳レベルによる韓国への働きかけ、並びに両国間に竹島問題の協議の場を設定するよう提案していこうと考えています。
本日のシャドウ・キャビネットについて、農業の担い手の育成及び確保の促進に関する法律案について審議して了承されました。防衛省設置法の一部改正する法律案については、反対することになりました。東日本巨大地震・津波災害及び原発事故対策に関する第三次提言について報告を受けたところです。

質疑応答

Q
野党が要求していた東日本震災復興特別委員会の集中審議が31日に行われることになりました。これによって復興基本法の修正協議がスタートすると思いますが、総裁のご所見をお聞かせください。
A

よく聞いていないので、頭の中が十分に整理できていませんが、原発に関する集中審議だと思いますので、これは徹底的にやらないといけません。修正協議は、安易な妥協はいけないと思います。わが党の基本的立場を維持すべきと考えています。

Q
福島第一原発1号機への海水注入の中断について、東京電力は記者会見で中断はなかったという発表を行うようですが、総裁のご所見をお聞かせください。
A

その記者会見を聞いていませんが、要するに当初は、あたかも菅総理の英断で、海水注入を指示したかのごとき発表をしていたのが、菅さんが聞いていないと言って、怒鳴りつけたという報道があって、もうすでに始まっていた注水を中断させたのではないかということになってから政府、東電も含めてでしょうか、記者会見や文章を発表されたり、それを巡って、斑目委員長のいろいろな発言、官邸に行かれての交渉があったりしたようです。
挙句の果てに、そのときは記者会見をして、官邸で再臨界があるかもしれないという議論をしているから、その様子を見守れと言って、中断したと言っていたものが、実は中断していなかったと。一体何が行われているのか。何が真実なのか。こういうときは、現場が混乱しているということを割り引いても、あまりにも事実説明の迷走に、あいた口がふさがらないというのが正直な気持ちです。
なぜこのようなことを申し上げるかと言えば、いろいろなご報告を聞いていると、海外で日本に対する同情と言いますか、支援の気持ちというのは極めて高いものがあって、これも度々報道されていることですが、日本人の行動は、大変リグニティがあるという論評が多い。日本の災害に対して、心から同情して支援しようとする気持ちが海外で満ち溢れているのは、非常にありがたいことだと思っています。
その反面、原発に関しては、日本政府があるいは東京電力がこれを安定化させていくかということに世界が注目しています。その中で起こっているのは、どうも日本政府の対応は、本当に包み隠さず正直に語っているんだろうか。隠ぺい体質があるのではという疑惑がじわり、じわり広がっているように思います。
日本は原発をしっかりと処理をして、周辺諸国のみならず、世界に安心してもらわないといけない。日本はこういうときはしっかりとやる。日本の信頼を取り戻さないといけない。こういうときに、事実関係がこんなふうにクルクル、何が本当かわからないということで、果たして日本の信頼が回復できるのか。私は極めて憂慮しています。

Q
冒頭の発言で、国民の間に菅政権に対して限界が来ている、野党としての責任を全力で果たすという発言をされましたが、内閣不信任案の取り扱いについてお考えをお聞かせください。
A

政権の責任を問う、野党の最大の武器は不信任案です。これだけ問題がある政権ですから、不信任案は、野党として必ず出さなければならない責務だと思います。

Q
提出の時期は。
A

いろいろ慎重に、そして判断すべき時は判断するということで、今は思いを巡らせています。

Q
他の野党からは、可決するかどうかにかかわらず、提出すべきとの声が聞こえてきますが。
A

初めから、結果はどうあれやるんだということを申し上げるのは良くないと思います。全力を挙げて、賛同者を増やして、そしてできれば、きちっと結果を出すということでないといけないと思います。

Q
不信任案の提出について、国民の理解を得られるとお考えでしょうか。
A

国民の理解を得られるかどうか。私は度々申し上げていますが、東条内閣の末期のような状況である。東条さんでは現状を打開することはできない。早く東条英機に辞めてもらいたいということで、あの当時にいろいろな動きがあった。書物で読んだのですが、そんなことを思います。政治家として、多くの人がそう思っています。そのときに理解を得られるか。そんなことを私に聞かれても答えようがありません。行動するのが政治家だと考えています。

Q
本日行われた党改革委員会で、党の人事に派閥が関与しない旨、提言がされたようですが、党内のベテラン議員からは反発の声も聞かれるようですが。
A

どういうふうにまとめられたのかまだ報告を聞いていませんが、私になって、派閥によって党の人事が左右されたことがあったのかと思っています。私になって、派閥によって党の人事が左右されたことがあると思いの方は、いつでも私のところにおいでいただきたいというのが、私の考えです。

Q
総理経験者に対して、公認、推薦をしないことも提言にあるようですが。
A

そういうことが含まれていたのでしょうか。いろいろ考えなければいけないことがあって、本人がお辞めになるというならひとつ。本人がまだやるとおっしゃったときに、そういう方はけっこうお強いわけです。わが党は、今、数が少ないわけです。選挙をやったときに、ああいう人が外におられても困るという議論もあると思います。やはりいろいろ多角的に、一方から見るのではなくて、裁判だって原告と被告から光をあてて見るわけですから、そうでないとものごとは立体的に浮かび上がりません。

Q
復興基本法案について、早期成立させるという気持ちはありますか。
A

柔軟な姿勢ありを見えて、結局は引き延ばしということは、我々は困ると思っています。

Q
内閣不信任案を提出する重みはどのようにお考えですか。
A

とてもこの内閣の下では復旧、復興も進まない。被災地で苦しんでいる方に、安心してもらうことができない。どうしたら打開できるか。その思いでやるということですから、その重みとおっしゃられても、軽いはずがないと思っています。

Q
責任が伴うことになると思いますが。
A

常に責任を持っています。

Q
超党派の議連発足の動きが続いていますが。
A

超党派で、党派が違っても考え方を共通の案件はいくらもあります。私も超党派の議連をいくつか過去にやってきましたが、別にそのことが悪いということはないと思います。ただ、今、超党派の議連がいろいろ出ているのは何かと言えば、大戦中、東条内閣末期のような状況で、このままでは何ともならないと思っている人が何か道はないかと思って、模索している姿が超党派の議連だと思います。

Q
内閣不信任案の提出時期について、復興基本法が成立した直後というのはお考えですか。
A

いろいろ考えていると。いろいろ思いを巡らせているということです。

Q
現時点では決めていないということですか。
A

決めるときはバサッと決める。それまでは熟慮するということです。

Q
内閣不信任案が通らなかった場合、谷垣総裁は責任をとって辞めるべきだとの声がありますが。
A

まだ通らないわけでもないのに、そんなことを考えたりはしていません。

Q
特例公債法案については、どのようにお考えになっていますか。
A
特例公債法案は、それはよっぽど抜本的に特例公債をどう使うかを考え直してこないといけません。まだそういう抜本的な考え方がまとまったとは聞いていません。
Q
税制の関連法案、租税特別措置など自民党も理解できる部分を切り離すという意見があり、税調会長に働きかけがあるようですが。
A
税調会長に働きかけがあると聞いていますが、まだその報告を十分に聞いていませんので、それをよく聞いて判断したいと思います。
Q
谷垣総裁は、海水注入とベントの問題をはっきり整理させると、政府の責任がさらに重くなり、東電が今、指摘されているような責任を負わないのではとのお考えはありますか。
A

まずその前に、今、被災地でいろいろしなければならないことはたくさんあります。急がなければならないのは、よく言われるのはガレキ処理、仮設住宅の設置ですが、職を失われ、自分のお店も流されてしまった。農家では田や畑、耕作できないというのがありますから、今日、明日の生活をどうするかに思い悩んでいる方がたくさんいます。
そういう方々に、補償だとか厳密には難しいのですが、一時金のような形で、あるいは義援金にしても、刈払いのようなことで、一刻も早く届くことが必要だと思っています。2か月以上経ったわけですから、それがなかなかできていないのは、極めて大問題だと思っています。それをどう加速させるかに政府は全力をあげないといけません。
そういうことをやっていくことについて、仮払いでやれと。まずは、政府は仮払いで払うということであれば原発の問題も行くわけですが、最後はきちっとしたスキームを作らないといけないのは間違いありません。
そのときにスキームは、やはり国と電力事業者の責任がある程度、整理されないといけないはずです。私はそこのところが今、政府は閣議決定まではできていないようですが、あのスキームを見ると、結局は東電だけが責任を負う、基本的には東電が責任を負うように見えますが、果たしてそうなのか。私は疑問に思っています。その問題意識の一端が先日の質問でしたので、だからそこらも明らかにする必要があると思います。

Q
海水注入を停止しなかったことについて、実際には発電所長の判断で停止しなかったようですが。
A
そもそも官邸のホームページには、18時に総理指示で、真水をあきらめて海水を注入するように、と書いてあります。それが実はそうではなかった。経済産業大臣が準備しろと言ったとか、迷走を極めています。何が本当なのかよくわかりません。
Q
韓国の国会議員による北方領土訪問について、本日の自民党の外交部会で、議運に働きかけることを決めたようですが、党の方針ということでよろしいですか。また各党に呼び掛けて環境づくりをするということですか。
A
自民党として、そういうことになると思います。