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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成23年3月31日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言 】

まず地震の件です。これから現地の復興策も検討しなければいけないわけですが、その被害状況を確認する必要があるということで、3月26日(土)27日 (日)に、山形県・宮城県・福島県の被災地を拝見しました。被災した沿岸部は、延々と瓦礫、船、車。こういった状況を目の当たりにしまして、想像を絶する 爪痕の深さ、津波の恐ろしさを改めて痛感した次第です。今週末も、岩手県を訪問させていただいて、被災現場の状況を把握して、被災地域の皆さまのお声を聞 かせていただく予定にしています。その他の党役員も手分けして、それぞれの実情把握に努めることにしております。これが第1点です。
第2点は、明日から道府県議会議員選挙、政令指定都市議会議員選挙が告示されます。私たち自民党は、それぞれの地域の草の根の組織から生まれた国民政党で す。地域の声を吸い上げて、地域の課題を日本全体の課題と捉えて、いかにして暮らしの安心・安全を作っていくか、確保していくか、それから地域経済の活性 化を図っていくのか、これを堂々と訴えていきたいと考えています。特に、こういう大災害がおきまして、自分たちの住んでいる地域の安心・安全に極めて関心 が高まっております。それだけに大事な選挙だと思っていますので、力を入れて、取り組んでいきたいと考えております。

質疑応答

Q
子ども手当のつなぎ法案が、本日中に、与党・共産党・社民党の賛成多数で成立する見通しですが、総裁の受け止めをお聞かせください。
A
私どもは一貫して、この子ども手当に反対してきたわけです。特に、大災害が起こる中で、この子ども手当というのは、バラマキの象徴であるということで、対応してきたわけです。それが半年でも延長されるということは、財政状況を考慮すると、これは慙愧の思いです。あくまで、子ども手当をはじめとする、いわゆる4Kの財源は、大震災からの復興財源に向けるべきだというのが、私どもの基本的な考えであり、受け止めです。
Q
昨日の森・元総理との会談で、森・元総理から「復興担当相を出すのなら、総裁ではなく、党内の他の議員から出してもらうのが良い」という趣旨の発言があったようですが、大連立になった場合、総裁以外の方が復興担当相や他の大臣を担うことについて、どのようにお考えですか。もし、前回のような入閣要請があった場合、総裁はどのように対応されますか。
A
私は、今までも度々申し上げているように、こういう未曽有の災害、国家的危機を前にして、与党・野党を問わず、この被災者支援、被災地支援、復興こういうことに関しては、与野党を超えて、協力することを明らかにしてまいりました。この協力のあり方がいかなるものであるべきかは、ちょうど予算も通りましたし、これから年度も変わりますので、いろいろ考えていかなければいけません。今、一定の結論があるわけではありません。
Q
今後、補正予算が焦点となると思いますが、補正予算に積極的に関わるためには、閣外からの協力ではなく、大連立を組み、閣内で密接に協力する考え方もあります。総裁のご所見をお聞かせください。
A
これは、党内にいろいろ意見があるようです。私の考え方は、まだいろいろ幅広く、いろいろなことを検討しなければならないというところからは、進んでいません。
Q
仮に大連立を組んだとしても、外交や安全保障など、復興以外にも政党が取るべきスタンスの違いがたくさん出てくると思います。総裁は、大連立は国民の選択肢を奪うと発言をされていたと思いますが、復興以外の案件についての整理をどのようにお考えですか。
A
それは極めて重要な論点です。こういう時に、国民の間にも党派の違いを超えて、災害復旧のために協力せよというお声は強くあります。しかし、他方、今おっしゃったような、政治というものが、全く皆一枚岩で進んでいくならば、何の問題はありませんが、いろいろな政策判断の違い、考え方の違いがあります。その中で、どういうことであれば、協力体制が組めるのか。協力体制が組めるとしても、何がズブズブの協力体制であってはならないのか。ここが一番考えどころではないかと思っています。
Q
党内で幅広く検討をしなければならないとのことですが、大連立も検討に入っているのですか。
A
常に360度上下左右を見渡しながら、進んでいくのが、私のモットーです。
Q
復興・復旧の費用が10兆円は下らないと言われていますが、現場をご覧になって、その規模はどのように思われますか。
A
これは、率直に言って、まだいろいろな実情が全部把握できているわけではありません。ですから、何とも明確なお答えはしにくいのですが、巷間10数兆円から20数兆円という数字が言われています。この算定の根拠も定かではありませんが、いろいろ伺うと、もっともっとかかるという意見もあるように思います。現段階で明確に把握できません。ですから、補正予算等々の組み方も1回で全部終わりというわけではないと思います。やはり、当面あれだけでの瓦礫をどう早く処理していくかというようなことで不自由が生じてはいけませんのでやっていかなければいけませんが、どのような復興を考えていくかを視野に入れると、今の段階ではお答えしにくいです。
Q
復興支援的な税制の提案をされていたと思いますが、どのように議論していくべきか、イメージをお聞かせください。
A
これは、まだ我々の中で議論したことを提言したわけです。我々は野党におりますから、野党の中ではいろいろできると思いますが、政権がどう組み上げるのか。その組み上げに際して、我々とどう協議していくのかということは、まだはっきりしていません。
Q
政策パンフレットについて、原子力発電所の記述がありませんが、その理由をお聞かせください。また、原発の推進についてのお考えをお聞かせください。
A
パンフレットに原発が入っていない理由については、私に十分お答えする用意がありません。今、現実に日本のエネルギーの3分の1を原子力発電で賄ってまいりました。原子力発電は、CO2を削減するという意味では、極めて優れたエネルギー源であったことは間違いありません。ただ、これは、こういう事故が起きますと、当然さらにこれを推進していくのは、なかなか抵抗感が生じてくることは否定できないことだと思います。ですから、方向は2つありまして、原子力以外のエネルギー源をどう掘り起こしていくか、どう見つけ出していくかということがあると思います。今の原子力発電の問題点を乗り越える方法があるのか、ないのかということも考えなければならないと思います。そこで問題は、日本の政策として、エネルギー政策はどうあるべきなのかという問題ですが、事柄はそれだけで収まらないだろうと思います。既に、今回の原子力災害が諸外国の選挙の結果にも影響を及ぼしている。この原子力発電を進めていく環境が取りづらいとすると、相当のエネルギー不足がくることは間違いないわけです。どうやって必要なエネルギーを確保していくか、これは知恵を絞るにしても、諸外国が皆、見直すということになりますと、世界中のエネルギー政策、需要の変更につながる大きな問題になります。そういう視野を大きく取りながら、今後のエネルギー政策を組み立てていかなければいけないと思います。
Q
自民党として何か提言などはされますか。
A
極めて大きな問題なので、小手先の提言ではすまないと思います。そういう今のような大きな日本だけではない、世界を巻き込むエネルギー政策、エネルギー需要の動向を十分に視野に入れながら、新しい方向を探っていくと。今の段階でも申し上げられるのは、もちろん提言できるように、いつまでもこの段階ではすみませんから、提言できるようにまとめますが、これだけの広がりがありますから、若干、問題点を整理するには時間がかかるだろうと思います。
Q
今回の統一地方選では、谷垣総裁は安心・安全ということを訴えていきたいと発言されていましたが、一方、福島原発の現状を見ると、安心・安全とはかけ離れた状態にあると思います。自民党政権時に、日本の原発立地が行われた歴史的事実がありますが、過去の自民党のあり様と、今、安心、安全を訴えていることとの整合性をどのようにお考えになりますか。
A
確かに、今回の原発事故、これはさらに何が問題だったのか、どういうところに誤りがあったのかということは、これからよく分析していかなければならないと思います。しかし、今の段階で言えることは、極めてあらっぽく申し上げれば、地震対策はかなりのレベルに達していたと思いますが、津波に対しては見方が甘かったわけです。自然が相手ですから、知恵を絞っても、なかなか知恵がそこまで及ばなかったということは、これからもあると思いますが、そういった問題にどう対応していくかは、我々としても真剣に向かい合って、しっかりとした考え方を整理していかなければならないと思います。
Q
政府与党内で、復興庁を設置する案が出ていますが、谷垣総裁のお考えをお聞かせください。
A
復興庁というのが何ものなのかよく存じませんので、復興庁について私見を申し上げる用意がありません。ただ、これは会見でも申し上げたことがあったと思いますが、私は復興の考え方は、2つの方向から考えないといけないと思っています。ひとつはこういう非常事態ですから、今までの枠組みにとらわれていては、なかなか復興につながらないということがあると思います。復興というよりかは、復旧事業と言うべきかもしれませんが、例えばあれだけの津波に襲われて瓦礫が流されてくると、自分の庭にある瓦礫であっても、自分に所有権があるわけではないので、今までの所有権体制に全部拘泥していては、なかなか処理が進まない。というのはひとつの例ですが、要するに、非常時、危機管理の体制として、今までの法規を乗り越えるような、その意味で中央集権的な手法というものがなければ解決はできないと思います。 他方、沿岸部は軒並み崩壊し、廃墟のようになっている。それをどう復興していくかは、中央集権的な手法ではできないだろうと思います。それぞれの地域がいかに、自分たちの街をもう1回復活させるのか。それぞれの地域、極めて分権的な、地域の自主的な取り組みがなければならないと思います。ですから、復興庁というものはどういう発想に立つのか分かりませんが、統一的な力を使ってどんどん進めようということだけでは、復興はうまくいかないと思います。 さらに言うのであれば、一度、崩壊した街をもう1回、復活するにあたって、例えば大規模な防潮堤を作ってきたけれども、それがズタズタになってしまったわけです。そういう防潮堤の存在は、例えズタズタになっても相当被害を軽減するのに役だったかもしれません。各地域の街づくりも、同時に東北地方全体の国土計画がどうあるかと密接に関連していると思います。そういう複合した問題をうまくさばけるような組織を作らないといけないと思います。
Q
今回の統一地方選は、震災を受けた中で行われますが、そのような中、自民党としてはどのような目標を持って戦いますか。また震災を受けて、目標や戦い方が変わった点があればお聞かせください。
A
全国いろいろなものがありますから、なかなか数字的な目標、各級選挙があるので、数字的な目標はなかなか申し上げにくいです。この辺が勝敗ラインというのは、それほどクリアに頭の中にあるわけではありません。精神論で言えば、選挙ですから全勝を目指すということになるわけです。 ただ、その選挙の戦い方は、今、ご指摘のように、こういう震災が起こったので、なかなかどんどん鳴り物入りで進んでいくのは、それぞれの地域の心情を考えると、なかなかしにくい局面でもあります。これは地域、地域によって受け止め方がかなり違うので、全部静かにやればいいというわけのものでもないだろうと。それぞれの地域で、今の国民感情、住民感情を考慮しながら進めていくということ以外、お答えのしようがないわけです。 それと選挙に関連して申し上げるのは適当ではないかもしれませんが、今まで例えば、街の飲食店は大変閑散としています。一種の自粛ムードもあると思います。余震も続くから、早く家に帰って家族を安心させようとする面もあると思います。やむを得ない面もありますが、あんまりそういうことばかりだと、経済の血液循環も十分ではないとことがある。間合いの取り方が難しいところですが、そういうところも考えて元気の出るところ、出すところは出していかなければいけないと思っています。
Q
震災復興に関する自民党の考え方や提言について、政府に飲み込ませるやり方はどのようなものがあるとお考えになっていますか。
A
今、全部そういうものがしっかりと整理、やれているわけではありません。自民党としてもいろいろ工夫してやっていかなければいけないわけです。それは昨日も、自民党がまとめたものを官邸に行って総理に説明しましたが、提言をするということもあるだろうし、政府に提言するというよりも、自治体と連携をとった方がいい事柄もあると思いますし、ボランティアの方々との連携もあると思います。 今までいくつか提言させていただいた中に、例えば阪神・淡路大震災の時のように、あのときは小里貞利先生が担当大臣になって、そこで言わば指揮系統を一元化した。そのもとに特命大臣室を設けた。そういうものを設けたらどうかという提言を、今までしてきたところですが、一番、我々の経験や何かを生かしていくのに大事なことは、官邸における指揮系統、どこから指示が出て、どこからの指示に従えば、指示をした責任をとってもらえるのか。権限と責任の統一性と言いますか、一元性と言いますか、そういうものをしっかりと確立する。これがないといくら提言しても提言は生きないと思います。