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記者会見

谷垣禎一総裁 定例記者会見

平成22年11月18日(木)
於:党本部平河クラブ会見場

冒頭発言

【谷垣禎一総裁発言】

まず、柳田法務大臣の発言について申し上げたいと思います。ご承知のように、柳田法相は、地元の会合で「法務大臣は個別事案については答えを差し控える。法と証拠に基づき適切にやっている。この2つだけ覚えていれば良い。わからなかったら、これを言う」という旨の発言をしたわけです。これについて、あまりにも国会を侮辱した発言であり、歴代の法務大臣に対する冒涜であり、法務の仕事に対する冒涜であると思います。柳田法相はこれまで国会において、尖閣の問題で、中国人船長の捜査は終了したという答弁をするなど、大臣としての見識を欠く発言を繰り返してきたわけです。柳田法相は法務大臣としての資質を欠いている。辞任すべきです。もし、辞任しない場合は、問責決議案および不信任決議案を考えなければならないと思います。
次に、神戸海上保安部所属の職員の逮捕が見送られました。この問題は、そもそも政治が判断して、政治の責任でもって解決する姿勢が全くなかった。このことが一番の原因です。しかも、政治が未だに責任を取らず、取ろうともしない。全てを検察に押し付ける姿勢に終始しています。我々は、こういった無責任な姿勢を許すわけにはまいりません。改めて政権の判断を検証して、馬淵国交大臣、仙谷官房長官はもちろんのこと、菅総理の責任を厳しく糾弾していく、ただしていくという方針です。
それから3番目に国会対応ですが、補正予算案の参議院での審議で、今日の予算委員会で、仙谷官房長官が、「自衛隊は暴力装置である」と発言しています。これは命がけで日本の国土を守る現場の自衛官に対する冒涜であると言わざるを得ない。また、北沢防衛大臣が言論統制をしようとしている問題に加えて、政治とカネ、尖閣ビデオ流出問題、さらに加えて、先程申し上げた柳田法相の発言等、民主党政権は誰も責任を取らずに、一連の問題をうやむやにしようとしているわけで、こうした無責任、また強権的な姿勢は、等閑に付すわけにはまいりません。憲政の常道を逸脱している。このように申し上げざるを得ない。まさに、政権末期、レームダック化した状況であると思います。問責決議案を視野に入れながら、追及を強めて、主権者国民の政治への信頼を1日も早く取り返す。そのために1日も早い解散総選挙を迫っていきたいということです。
それから、最後に、本日のシャドウ・キャビネットでは、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律等の一部を改正する法律案」、これは議員立法ですが、これについて審議し、了承されました。それに続き、「放送法等の一部を改正する法律案」の今の状況の報告を受けました。それから、「TPP対応検討会」の設置について、審議をし、了承されました。そもそもTPPとは、何であるかという基礎部分からヒヤリングを行い、議論をして、わが党としての方向性を検討してまいりたいと思います。

質疑応答

Q
参院における問責決議案について、柳田法務大臣に加えて、これまで衆院で提出した仙谷官房長官と馬淵国交大臣に関しても提出を検討しているということですか。
A
今、名前を挙げられた仙谷官房長官、馬淵国交大臣の議論とは、別に柳田法相の問題を取り上げるということです。今後、予算委員会で、衆院でも議論しましたが、尖閣の処理等々の問題を巡って、さらに参院でも議論が続くわけですが、その結果を見て判断をしていくわけですが、その前に今までの審議の中で、柳田法相の言動、法務大臣たる資格、資質を欠くものである。そして法務行政に対する冒頭であるということが明らかになっているので、そういう観点から問責を考えていくということです。
Q
問責決議案の提出にあたって、野党に対してはどのように働きかけを行っていくのですか。
A
野党が一緒に行動できるというのは望ましいわけですから、当然働きかけをしていくということです。
Q
柳田法相の問題に限らず、今後の仙谷官房長官、馬淵国交大臣、また菅総理への追及を強めるためにもその態勢を整えたいというお考えですか。
A
特に参院の問責を考えると、協調できるということが極めて意味が大きいので、当然、今後も視野に入れていかないといけないと思いますが、他の方は今後の委員会での議論を見ながら考えていくということですが、現段階で柳田法相については、もう問責決議案の提出というものを考えなければいけない段階に来ていると思います。他党への働きかけ、相談も当然に行っていかなければなりません。
Q
柳田法相への問責決議案の提出時期をどのようにお考えになっていますか。
A
国対の判断を待ちたいと思っていますが、今申し上げたような連携を考えないといけないので、今の時点ではそういうことがある程度、形になってきたらと考えています。
Q
本日午前の参院予算委員会で、菅総理が「あまりまた言うと怒られるので言いにくいが、私も歴代の法務大臣を頭に浮かべている。私はそういう中で言えば、柳田法相はかなり頑張っておられる方だ」と発言しましたが、受け止めをお聞かせください。
A
不真面目な答弁だと思います。がんばっているのですか、これが。これが頑張っていると言うなら、世の中に頑張っていない閣僚はいるのかと思います。
Q
司法修習生の生活費について、今月1月にスタートした貸与制を以前の給与制に戻すことで、自民党、公明党、民主党が一致しましたが、受け止めをお聞かせください。
A
先程石原幹事長が「報告がある」と言っていたので、おそらくそのことだったと思いますが、まだ報告を受けていませんので、今、お答えする準備はありません。
Q
大村秀章衆院議員が愛知県知事選挙への出馬の意向を示していますが、仮に出馬に踏み切った場合、党としてはどのような対応を行うのですか。
A
まだ正式に出馬表明されたとは聞いていません。大村さんのお考えを党本部としては、しかるべきときに幹事長や選対役員を中心にお聞きすることになるのかなと思っていますが、今の段階ではそういうことです。
Q
10年前、当時の森喜朗総理への不信任決議案を巡って、いわゆる「加藤の乱」が起こりましたが、今振り返って、どのような感想をお持ちですか。
A
今まで内閣の支持率とか、いろいろな議論がありましたが、振り返ってみると、内閣支持率が10%を切ることが今まで何度かありました。例えば竹下内閣のときもそうでした。今になれば、やはり消費税で必要であったという議論の方が多数を占めていると思いますが、当時は消費税導入に対して批判があった上に、リクルート事件があったということで、10%を切る支持率になった。森内閣の時も10%を切る支持率であって、そこまでまいりますと、いろんな議論が起きてくる。それぞれのいろいろな立場があろうかと思いますが、10%を切る状況だといろいろな動きが出て来ざるを得ない。今振り返ってもそのように思います。
Q
沖縄県知事選挙について、仲井眞候補が当選した場合、自民党として県内移設を要請するのでしょうか。
A
私どもは現実に普天間基地の危険な状況を乗り越えるために、過去いろいろなことをやりまして、その結果、私どもの判断は、辺野古沖に移すのが唯一の現実的な解決だと言ってきたわけですが、ああいう中で、鳩山内閣の時にそういった合意、方向性を滅茶苦茶にしてしまった。県民もうんと期待を持ったわけですが、政権の今までの軌跡は、それができもしない空論であったことも明らかになった。そういう中で、県民の期待も受けて、仲井眞さんがあのようなことをおっしゃるのも理解できるわけです。
今度、知事選挙に当選して、一番考えなければならないことの1つは、これは国政として考えなければならないことですが、あの普天間基地の危険性の除去をどうするか、しっかり考えなければいけない。そのためには、沖縄の方々とも誠意を持って話し合いをしながら、道を探っていく姿勢が必要でしょう。そうでないと、県外と言っても、長らく固定したままの状況になることは、それを探すのに、沖縄県民のためには得策ではないのでないか。そのあたりの判断をどうしていくのか。非常に難しい判断です。よく自民党だったらどうするというご質問を受けるのですが、自民党時代の状況で判断するのと、今日、ガシャガシャにかき回された後で判断するのとでは、前提状況が違いますので、非常に難しい判断でありますが、今後考えていくべきことは、危険性の除去をできるだけ早い時期に、それができるかということだと思っています。
Q
先程冒頭でもおっしゃっていましたが、仙谷官房長官が自衛隊を「暴力装置」と表現したことについて、どのように思われますか。
A
仙谷長官が学生の頃、私も同時代学生でしたが、当時の左翼文献を見ますと、軍隊は暴力装置であるというのはよくあった表現だと思います。しかし、革命勢力がそういうことを言って、そういう露悪的な表現をすることは、あるいはあるのかもしれませんが、政権の中枢におられる方がやはり国家の防衛、国民の生命、財産の安心、そういうことに対して行動しなければならない政権の中心にいらっしゃる方がそういう表現を使うことは、あまりにも不適切であると思います。