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記者会見

石破茂政務調査会長 記者会見

平成23年3月15日(火)

冒頭発言

【石破茂政務調査会長発言 】

わが党として、この大震災が起きて以来、災害対策本部あるいは政務調査会等々で、ほとんど昼夜を分かたず、色々な作業をしてまいりました。このかつてない 国難に対処するためには、与党・野党などと言っている暇はありません。その壁を越えて協力をしなければならないということをよく認識を致しているところで あります。わが党はこれまで、災害対策において、多くの経験・ノウハウを蓄積し、また、私どもが全国各地に有しております色々なネットワークからも様々な 声が寄せられております。これを何とかこの国難に対応するために、活かしてまいりたいと切に願っているところであります。今の時点で、当面対応するべきこ とを取りまとめさせていただきました。今日の幹事長・書記局長会談において、対策協議会、政府・与党・野党が入りました対策協議会というものが立ち上がる ということが決められたと報告を受けております。そこへ出すことになりますが、今後、出すにあたって、これから精査が必要なものもございます。しかしなが ら、事は急を要しておりまして、この時点で公表をし、政府に提案をすることと致したいと思っております。与党とわが党との建設的な復興に向けての協力関 係、これが構築されるべく努力をしてまいらなければなりません。その点において、2点重要なことを強調しておきたいと存じます。それは、1つは情報を共有 するということであります。どちらかに情報が偏るということがありますと、対応策の議論も齟齬をきたすことになります。情報を共有するということが必要で あります。そして、行政の負担を軽減するために、政府として与野党が協力していける具体的な仕組みを構築すべきであります。それは、これから立ち上がりま す協議会の運営について私どもが本当に野党が協力できるためのメカニズムというものを提案をしていきたいという風に考えているところであります。もう1つ は、この協議会とはあまり関係のないことでございますが、私ども災害に限らず、多くの危機管理をしてまいりました。常に司令塔、コントロールタワーがしっ かりしていなければどうにもなりません。コントロールタワーがぐらついているようでは、現場の命がけの努力というものを無にすることにもなりかねないとい うことであります。何があっても、司令塔というものが動じることがないというのが危機管理のまず第一の鉄則であるということを私どもは考えているところで あります。それでは、お手元にお配り致しました当面私どもが政府に申し入れる事項について申し上げます。これは、早急に対応すべきものでありまして、復 旧・復興に関するものにつきましては、あらためて提案を致したいと思います。急を要するものに限っております。
第1に震災担当特命大臣を任命すべきであると考えております。これは、阪神・淡路大震災の時もそうでありました。小里貞利先生が震災担当特命大臣に任命さ れ、権限を集中し、その下に一糸乱れぬ指揮命令が行われたという風に記憶を致しております。震災担当特命大臣、誰がどうのこうのということを申し上げるつ もりはございません。震災担当特命大臣を任命すべきであるということ。それから、官邸機能が原発対策、津波震災対策というふうに、これを1人の人が、官房 長官が一手に引き受けているというような印象をもっております。原発対策、津波震災対策これは別個のものでございます。危機管理を行います時に、起こった 事象の重大性というものをよく認識しながらも、それが、終息に向かうものと、これから拡大の危険性が除去されないもの、2つがございます。今の原発という ものは、これから危機が高まる可能性があるという現在進行形のものでございます。この現在進行形の原発対策とこれからどうやって対応するかという津波震災 対策、これは指揮命令系統を2つに分けていきませんと、大混乱を生じますので、これを2つに分けるべきだということでございます。3点目、これは総裁も先 般総理に申し入れたことでございますが、官房長官が発表をされます際に、専門家の補佐というものを置いておきませんと、技術的なこと、数字の単位でありま すとか、そういうことを尋ねました時に、正確性を欠くということがないとは言えません。専門官の補佐が官房長官が会見をされる際は必要であると考えます。 専門家の補佐を置くことというのは、そういう意味であります。
政府からそれぞれの自治体に対して、財源は心配せず、躊躇なく対策を打つべきである、打ってもらいたいと、こういうメッセージを発することが重要でありま す。自治体はあれもやらなければならない、これもやらなければならないということがございますが、ところでお金はどうなるのだろうかという心配を自治体の 責任者としては、当然するものでございます。財源は心配しないで、躊躇なく対策を打つべしというメッセージは政府から発せられなければなりません。
次に食料供給体制、これは、おにぎりが朝晩一個だけというようなことも聞いております。食料供給体制は大丈夫である、そういうことを確たるデータの上に発 信をするということが必要であると考えております。物資につきましては、水・食料・燃料これの流通ルートを確保しなければなりません。医薬品、血液、検査 試薬、消毒薬、ロングライフミルク、果汁、お茶パック等々、衛生用品もそうであります。簡易トイレもそうであります。そういうものも同様の取り扱いが必要 であります。道路港湾の復旧のロジスティックスこれを早急に確立しなければなりません。特に港湾からのアクセス道路に関しまして、この障害物の除去という ものを何よりも優先するものでございます。そうでなければ、船が来ても物が運べないということが生起を致しますので、これは何よりも急ぐという風に考えて ございます。国家備蓄・民間備蓄は最大限活用されなければなりません。以上が物資の関連でございます。
原発の事故の関連して申し上げますと、モニタリング・ポスト、これを10キロ、20キロ、30キロは環状に配置をすること。そして、数値の適時適切な公表 が行われなければなりません。そうでなければ、色々な情報が錯綜致します。色々な報道機関によって数字が違うということがございます。モニタリング・ポス トからの情報というものが、適時適切に公表されていないので、そのようなことが、生起をしているのだと考えております。その際、放射線量の健康に与える影 響等の周知を徹底しなければなりません。この程度であれば人体に影響ないということが、この数値であるからこうなのだということを分かりやすく説明するこ とが必要であります。また、最も懸念されております原子炉格納容器、これが、壊れていないと判断する根拠のデータについて、おそらくとか多分とか思います とかそんなことを言っても、不安が増すばかりでありますので、これは大丈夫であるということを政府は確信をしているという風に私共は考えておりますが、そ れが何故そのようなことのなるのかという根拠データは併せて公表することが必要であります。
計画停電に関してであります。これは、早期に計画を提示する、そうでなければ、企業の生産計画が立てられません。児童生徒の通学時間帯、この時に信号機が 動いていないということになれば、重大な事故が起こります。あるいは、鉄道が動かない時の通学手段を確保するということもどうしていいのか分からないとい うことがあります。学校におきます授業時間帯に停電の時間が当たる際の対応方針、こういったものも策定をしておかなければなりません。東京湾岸の火力発電 所の復旧は早急に行う必要がございます。計画停電につきましては、国民生活に重大な混乱をきたしておりますので、このことに対して、政府として、国民に対 して、不安が生ずることのないような正確な情報発信、それが起こることはやむを得ないとしても、事前の心の準備とか色々なものが必要でございますので、早 急な計画の提示ということが、必要だと考えております。
外交・自衛隊に関してでありますが、この救援復興支援は長期化するというふうに考えられております。自衛隊員の疲労というものが極限に達するということは 早晩予想されることでありますので、予備役も含めまして、つまり予備役の使い方というのは、最前線に出すだけが予備役の使い方ではございませんので、そこ も含めまして、交代要員等の検討は必要であります。松島の航空自衛隊基地が大きな被災を受けております。支援戦闘機が18機損傷したということはかなり防 衛上の穴が開きますので、必要な措置を講じられなければなりません。10万人体制というのは、自衛隊は20万人強という体制でございますから、これを10 万出すということになりますと、どのようなことになるのかということの配慮は当然しているものだと思いますが、私どもとして協議会において、その点も質し ていかなければならないと思っております。米軍との協力態勢、特に海兵隊の活用等々、そういうようなものに対しても、これは統合体制と共に米軍との一致し た協力態勢を構築していかなければなりません。外務省関係であります。在外公館において、支援金を受け付けるということを要請しているわけでありますが、 これがまだシステムして動いておりません。色々な善意がありがたいお申し出が、在外公館に寄せられているようでありますが、その対応というものを確立しな ければなりません。次に2枚目にまいりますが、これは極めて肝要なことだと考えておりますが、多くの外国人の研修生あるいは労働者、これらの方がこの震災 によって被災したということであります。これは、ニュージーランドの時に、これは私どもがする立場に立ったわけでありますが、そういうような国々、中国・ 韓国・フィリピンそういう国々のご家族にしてみれば、大変な不安があるという風に、考えております。この安否確認のやり方というものについて、きちんとし た確立がなされなければなりません。あるいは、外国人留学生、研修生、こういう方々の帰国支援等々、こういうものは手厚くしていく必要があると思います。 海外から多くの支援チームが来ているわけでありますが、その支援、それから原子力発電につきまして、米国等相当な知見をもっております。その申し出もある のかもしれません。これに対して、丁寧正確な情報提供が必要であると考えております。政府の会見は今手話通訳というものが、わが党の申入れもあって行われ ているわけでありますが、これが、外国の方々にも分かるような対応が必要であると思っております。
次に、雇用対策であります。雇用調整助成金の運用拡大によります雇用維持、これは企業負担の軽減ということになりますが、この雇用維持を図っていかなけれ ばなりません。失業保険の給付期間の延長と特例納付の拡大というものが必要であります。税制について、申し上げれば、これは対応済みのものもあるかも知れ ませんが、税制はじめ確定申告等につきましても、税制控除や申告の延期等の措置を講ずるべきでありますし、平成7年の法律の一部改正を行っているところで ございますが、このような、あるいは臨時特例に関する法律も成立をしているわけでありますが、そのことをベースに対応するということが、必要であると思い ます。金融についてであります。資金需要は急激に起こります。この対応のため、銀行の窓口、ATMの早期復旧、中小小規模企業者の資金ニーズへの対応、地 銀等地域金融機関への万全な支援体制を確立していかなければなりません。被災地以外の地域におきましても、政策金融の活用により資金需要の円滑化を図ると 言う事が必要でありますし、証書がなくても払い戻しができると、このことは正確を要することでございますが、証書がなくても払い戻しができるという措置を 講じるという必要もございます。
4月1日から高速道路が新料金に移行するということが言われているわけでございますが、このことは、延期をするべきであると考えております。このような大 混乱の中で、新しい料金制度に移行するということは様々な混乱を惹起するものでございますので、このことは中止するべきであるというのがわが党の考え方で あります。
次にこれは現場で相当なトラブルが起こっていることでございますが、緊急通行車両の確認標章であります。これは出発地の警察署で発行することになっている わけでございますが、この基準を大幅に緩和するべきであります。そして、この標章を付けた車は日本全国すべての高速道路が無料で通行できるようにすること が必要であると考えております。また、制限区域は宮城以北ではなくて、栃木以北にすることが必要であると考えております。重機等の運搬も緊急通行車両に加 えることが必要であります。
次に、災害復旧事業は改良復旧事業とともに全額を国が負担すると、このような宣言をすることが必要であります。改良復旧事業につきましても、当然全額国庫 負担事業に含まれると宣言をする必要があると考えております。県、地域の復興につきましては、用地調整、測量調査、計画作成の段階から支援を行う、このよ うな宣言をし、地元が専念をできる体制を国としてバックアップするべきであると考えております。
学校耐震化工事であります。この補助率のかさ上げの有効期限が23年3月末日に切れるということでございますので、これは議員立法であると承知しておりま すが、このかさ上げ措置を5年間延長するということは、当然必要なことでございます。公共学校施設等の耐震化工事、これは急がなければなりません。補正予 算等で必要な予算を確保することが必要であります。がれきの処理計画の迅速な策定・実行、これも必要なことであります。
次に、高齢者の方々、障害をお持ちの方々、そういう方々を優先して、ホテル・旅館等への受け入れを要請する。そして、国による費用負担を検討するというも のでございます。今回の震災によって被災をされた方々が今避難所に多くおられるわけでありますが、相当の長期にわたっております。高齢者の方、障害をお持 ちの方、病気に罹っておられる方々、そういう方々については、かなり極限の状態にあろうかと思っております。これは、国土交通省、観光庁あるいはそういう 所から、全国のホテル・旅館に対しまして、受入れの要請をするということで、そういう方々の負担というものをまず減らすということが必要でありますし、こ の費用は国において負担するべきものであります。
次に、大変にいたましいことでありますが、お亡くなりになられた方々、検死体制をさらに強化していかなければなりません。また、ご遺体の埋葬等につきまし ては、色々な考え方があることは、よく承知しておりますが、必要な資材の確保等と併せ、尊厳ある対応ということを求めていきたいと考えております。
次に3月交付の特別交付税が7551億円ございますが、全自治体への速やかな配分を実施すること。また、平成23年度予算関連法案、地方交付税一部改正案 につきましては、特別交付税の割合引き下げ部分を削除しなければならないと考えております。次に市町村におきましては、行政機能を失ったものがございま す。この行政の代行というものについて、この法制化が必要であると考えております。このような例は今までなかったと承知をしておりますが、これを代行致し ます機関は市町村を包括する県を想定しております。この法制化の検討が必要であります。国民健康保険、介護保険、年金給付、教育委員会に関わることでござ います。次に、市役所・町村役場への各府省横断の人的支援体制を組織化する。市町村行政をバックアップすることであります。行政機能が失われていなくても 相当に人的にダメージを受けておりますので、これを組織的にバックアップすることが必要であると考えております。23年度補正予算の編成にあたりまして は、大型の地方交付税措置を行うとともに、特に被災自治体に対して、地方交付税を大幅に加算することは当然であります。生活貸付等、緊急に必要とされる生 活費への対応、医療機関、介護施設の医療費・介護費用の確実な支払いを可能とすること、窓口負担の免除等に伴う保険者の財政負担の軽減を検討すること、関 係団体等への情報収集および連携を強化すること、当面そのようなことを考えているところでございます。
なお、先程現地から帰ってまいりました森まさこ参議院議員から、重複する部分もございますが、政府への要望として数点ございます。まず第一に、ガソリン、 灯油、重油が足りないということでございます。これは、福島でございますので、福島を中心に要望がよせられているわけでありますが、二番目として、原発近 隣住民の方々の避難を最優先するべきであると。しかしながら、ガソリンがありませんので、仮に大きなダメージがあったとしても、車で逃げられないという状 況になっております。大型バスが来るということになりましても普通の運転手の人は怖くて引き返してしまったということでございます。バスが運びに来るわけ ですが、福島原発に近づくと怖くて引き返しまったという実例を見たのだそうでございます。人体に対するダメージを遮断する防護服等々を着用する自衛隊のそ のような部隊の方々はこういうようなものに対する防護というものを完璧に整えておりますので、そういうような方々の運転による移動というものを可能にする 必要があるということでございました。携帯充電用の電池というものは、いくらでもいるということでありますし、衛星電話も活用してもらいたいし、政府米の 拠出、それから体育館の床は大変冷えるということで、古い畳、マット等々が有効であるということでございます。それから、テレビでは何度も何度も悲惨な地 震直後の映像が流されている、その事も非常に重要なことでございますが、安否確認の情報を流してほしい、教育テレビでそういう事をやっていることはよく承 知しておりますが、他の各社にもお願いしたいというのが、現地の声でございます。担当大臣をきちんとすべきだという要望、あるいは遺体の取り扱い等々につ きましても、現地から先程も要望があったところでございます。
最後に、原発について繰り返しになりますが、まとめて、繰り返しの部分も含めまして、申し上げたいと存じます。右肩に、2011年3月15日という日付が うってあるものでございます。まず、この原発の状況につきましては、建屋で水素爆発がありました1号機、3号機に続きまして、2号機でも爆発、点検停止中 でありました4号機の使用済み燃料プールで火災、これは鎮火されたと聞いておりますが、が生じたということでございます。従いまして、最悪の事態も想定し つつ安全か安全の確保に向けて全ての知見を結集、それは、合衆国、IAEAも含めてでございます。このことについての知見は日本が一番あるなどと言わず に、合衆国やIAEA等とも含めまして、全ての知見を結集し、万全な対応を図らなければなりません。その前提で申し上げますが、情報の開示であります。先 程も申し上げましたが、最新の状況を正確に国民に伝えなければなりません。過度に不安を煽ることがあってはなりませんが、最悪の事態も想定しておくことが 必要でございます。例えば8時31分に8000マイクロシーベルトと公表報道されているわけでございますが、その後1万1000を超えております。しか し、そのことは公表されていなかったのではないかと認識致しております。100ミリシーベルトすなわち人体に影響があると言われている数値でありますが、 これを超えたことの発表が遅いと認識致しております。枝野長官から10時22分時点での400ミリシーベルトの数値が発表されたのは1時間後であると承知 致しているところでございます。このところは政府に対して、完全無欠を求めるわけではございませんが、このことの正確な伝達というのが必要でございますの で、さきほど申し上げましたように官房長官の横に事実関係、数値そういうものがきちんと説明できる者が必要である。
次に情報の開示が遅いため、不信感が生じているということでございます。モニタリング・ポストの数字、これをインターネットでリアルタイムに公開をし、情 報の操作が行われているのではないか、情報の隠ぺいがおこなわれているのではないか、そのような疑念が国民のみなさんにあるように承知しております。その ようなことは事実ないと信じておりますが、そういうことがないのだと国民のみなさま方にご納得いただく必要があると考えます。
次に体制についてであります。このような緊急事態に対応する体制としては、現地であります福島と官邸が密接に連携をし、即時に対応する体制が重要でありま す。現地はこのように言っている、官邸は聞いていない、あるいは本社は聞いていない、というようなことが不信、不安を増幅しています。保安院、あるいは東 京電力本社などバラバラに何重にも連絡を重ねるのは極めてあってはならないことです。東電は東電、官邸は官邸、保安院は保安院、それぞれ会見をすることは 決していいことだと思っていません。このような会見は一体的に行われなければならないと考えます。今朝になりまして、政府と東電が一体となる体制をつくっ たということでありますが、そう言いながら、11時の会見では一体となっておりませんでした。また、菅総理は官邸にあって、全体を指揮・監督すべき最高責 任者である総理自らが操業時間だと思われる5時過ぎに東京電力本社を訪問されたということでございますが、それによって総理のお気持ちというのは十分忖度 いたしますが、結果として現場は大変だと大混乱に陥ったのではないかと思います。最高指揮官という立場にあられる方はあちらこちらに現場に行かれて色んな ことをおっしゃるべきでない。もちろん現場を把握することは大事ですが、最高指揮官が現場のことにあれこれ口を出すということは控えるべきだと考えており ます。総理の気持ちを十分承知をしながら、非難を込めて言っているのではなく、危機時の最高司令官というのはそういうのではないかと申し上げているので す。
避難区域からの退避についてですが、30キロ圏外退避というのは至急指示するべきです。福島県内のみならず、周辺であります新潟、群馬、栃木、茨城も視野 にいれた退避というものをいまのうちから検討しておくことが必要であります。福島の中では中通りは比較的被害が小さい、すなわち福島とか郡山ですが、そう いう地域ですら水・食料・ガソリンが欠乏しております。20~30キロにおいては水・食料の欠乏、部分的には自宅で退避しているところもございます。こう いうことが長引けばそれぞれ個別のご家庭に水・食料を供給しなければなりませんが、これは事実上不可能なことではないかと考えております。さすれば原発周 辺地域からの水・食料・ガソリンの補給について最善の努力をする工夫が必要になります。この際、安全性を確保しながら、どのように水・食料を確保するか、 そういうことについては私どもも知恵があるわけではありません。自宅退避されている方々に対して対応も考えていかねばなりません。 今後はあらゆる英知を結集して、原則であります「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」、という基本方針に従いまして「稼働中」であった原子炉の冷却・安 全化、「点検中」であった原子炉についても、使用済燃料の冷却状態の確認・確保に万全を期すべきであると考えております。
冒頭申し上げましたようにこれはとりあえずのものをまとめたものであります。また、青森県から青森のことがあまり取り上げられていませんが、これも1つの 象徴的な困窮しておられる事例であります。食品、港湾、運輸、商工、畜産、その他、多くの問題がございます。私どもとして現地の状況をそれぞれ私どもの組 織ネットワークを通じましてあるいは自らの家族も被災した議員等が現場から今帰ってきつつありますが、そこから本当に生の声を聞いております。本当に困っ ている人たちが、そうであると、困っていることをよく分かってくれたと伝わるような形で対応していかねばなりません。協議会が立ち上がるにあたりまして私 ども当面このようなことを要望してまいりたいと思っております。政府においては迅速、適切な対応を求めてまいりたいと思っております。大前提として情報の 開示があることは当然のことでございます。

質疑応答

Q
原発対応ですが、総理の東電訪問は大問題ということでしたが、東電の社員に叱責したということですが、叱責したという対応についてどう思いますか。
A
それは私現場にいたわけではございませんので、あれこれ論評することは控えたいと思っております。日本国のトップである総理大臣が不眠不休で頑張っている一人一人の社員に対して叱責をされるということは決して対応の改善を促すことにはならないと思っています。それぞれ責任ある方々が東電にもいらっしゃるわけで、実際どういう方々に対し叱責をされていたか存じませんが、本当に不眠不休で疲労困憊の状態でこの起こった事象について最小局限化すべく努力されていることに対して当然労いの言葉もあったもの承知いたしておりますし、そうあってほしいと願っております。いずれにいたしても最高指揮官がそれぞれの現場に行って、あれこれ実情を知悉しないままに発言するということは差し控えるべきというのは私ども危機管理をやってきた者が教わってきたことであります。
Q
申し入れ事項は、協議会の場で求めていくものですか。またはまとめていくのでしょうか。
A
これをこれから精査いたしまして、それぞれ重複するものを除き、一緒にできるものは一緒にし、それぞれの分野ごとにわが党として申し入れを最も適切な形で行いたいと考えております。あれこれ総論めいたことは言うつもりはありません。それぞれのことについてどうなのか、このような法改正をおこなうことはどうだと思うか、というような形で項目を整理し、早急に政府が対応できるような形でとりまとめて提言してまいりたいと思います。これが言いっ放し、聞きっ放しということであればこの協議会をつくる意味は全くございませんので、政府に対する適切な情報の開示とともに、速やかな対応を求めるものであります。
Q
原発関係のペーパーについてもこれを政府に求めていくのですか。
A
左様でございます。
Q
総理は頻繁に会見を開いているのですが、記者に対する質問には答えないことが多いのですが、総理が一方的にメッセージを出して、そのあと官房長官がでてくる。この政府の発表のあり方についてどのようにお考えでしょうか。
A
それは総理がおっしゃることによって日本国の最高責任者が安心なのだとそして政府は万全の体制をとるのだという心証が国民の間に醸成されるようであれば総理の記者会見は望ましいことであります。
それが実際に不満を抱えていらっしゃる国民の皆様方にそういう心証が醸成されているかどうかの判断だと思っております。少なくとも今までのところ、総理の色々な熱意、お気持ち十分叶うような反応というものがでてきたとは承知いたしておりません。総理において自分自身がおっしゃっていることが国民を安心させ大丈夫なのだよと、心証として確立しているかということは総理ご自身がお考えになることだと思っております。
Q
本日、「東日本巨大地震への対応について」ということで考え方を谷垣総裁が発表されましたが、4K政策を撤回させ、5兆円規模の緊急対策の考え方が打ち出されました。震災対策という中で、自民党がこれまで主張してきた、「バラマキを震災対策に充てる」というようなことだと思うのですが、震災対策とする場合、財源の問題というのがでてくるかと思うのですが、民主党側が4K撤回に応じるということであれば公債特例法案に賛成する可能性はあると考えてもよろしいでしょうか。
A
可能性は否定をいたしません。それは4Kを撤回するというのは当然過ぎるほど当然だと思っております。それが不要不急という発言が政府与党からあったように仄聞いたしております。本当かどうかは確認いたしておりませんが。それが不要であるとか、不急であるとか、経済的効果がどうであるとかそういう議論はさておいて、なによりかにより急ぐのは震災対策に決まっています。一刻を争う命がかかっていることでありますから、これが最優先でなくてなんだということであります。4Kというもの他にも充てるべきものがあるでしょう。そういうものがまわされることは至極当然のことだと思っております。特例公債法案等々についてはどうなのかといえば、それは政府がどういう対応するかと見てみなければ言うことはできません。色んな対応があるかと思っておりますが、それでは建設国債だけでやれるのかというと、そういうことには絶対ならないわけでありまして、特例公債法案に現行の法の仕組みでは上限が書いてあるわけではございません。この特例公債法案というものを修正するということは技術的にあることだと思っております。このまま賛成するのか、政府が予算に対してどのような対応するのかにもよりますし、このままではなく、特例公債法案の修正というものは技術的に可能かどうかということも当然検討してしかるべきものである。
Q
政府の対応だけでなく、東京電力の対応について計画停電も含め情報の出し方などについてどう考えるでしょうか。
A
これは私ども中におりませんのでわかりません。東京電力として多くの需要者を抱えております。一般のご家庭、中小の事業所あるいは膨大な電力を消費する大口事業所、鉄道等々、あるいは病院、どんなお客様がどこにどれだけいてどの地域にどれだけの電力需要があるかということは当然民間企業である東京電力が一番承知していることだと思っております。どうすれば社会的混乱が最小限に収まるかということを東電として考えたのだと風に当然民間企業でありお客様相手でありますから当然のことだと思います。東電からどのようなプランが出されたのかそれに対して政府はどのように関与したのか、あるいはしないのか、そういうことを検証する必要があるかと思っております。中におりませんので本当のところがわかりません。東電がいいとか悪いとか言える知識は持ち合せていないので、さきほど申し上げました色んなデーターというのは東電が一番知っている。これが一番社会的混乱が少ないというプランが出されたのか出されないのか。今後の計画停電においてはそういうことが優先的に配慮されるべきでありますし、あるいは夜間の電力需要というのは当然少ないわけであって、工場の操業を夜間にシフトしたらどのようなことになるか、その場合、企業が負担せねばならないものが増加したときに税制等々でどのように補てんをするかということも併せて考えていかねばなりません。東電が悪いとか政府が余計な口出したとかどっちが悪いとかではございませんので、私どもとしてはどうすればよりよい最も考えられるべきベストな対応ができるかということについて私どもなりの提言をだしてまいりたいと思っております。
Q
申し入れ事項についてですが、その中の「外交・自衛隊」で10万人体制に伴う、運用の影響も考慮、米軍との協力体制の推進とあり、協議会で質していくということですが、具体的にどういうことかということですが、国家の安全保障のために北朝鮮の動向とか北東アジア情勢の変化とかを監視していくようなことも入っているのでしょうか。
A
自衛隊の主たる任務というのはあくまで防衛であり、その他は従たる任務ということで仕分けが自衛隊法上なされているわけでございます。主たる任務である防衛にいささかでも穴があくようなことがあってはならない。そうしますと私ども当初から予備役の活用、予備自衛官の活用というのを申し上げているは最前線にでるのは常に常備である。しかし後方支援のようなものは予備自衛官で代替できるのはたくさんある。陸海空で予備自の体制が違っておりますので海空は手薄の部分はありますが、陸上自衛隊はそのような予備自衛官を活用することによって防衛体制に隙間が生じないような工夫が最大限なされるべきであります。足らざる部分は日米共同でどのようなことができるか。合衆国の体制が自衛隊の果たしている機能が合衆国が代替できるのか質的にすべてが重なるわけではありませんが、自衛隊が手薄になる部分を合衆国にお願いできる部分が仮にあるとすればそういうお願いをしていかねばなりません。やはり防衛作用に隙間が生じるというようなことが決してないように自衛隊の使い方というのが統合幕僚長の意見というものを尊重しながら防衛大臣、内閣総理大臣が対応していくことが必要であると考えます 。
Q
今回の申し入れ事項は逆に言うと、こうしたことが政府はできていないのではないのかという指摘かと思うのですが、こうしたことができていないのはなぜだと思いますか。
A
それはできていないのではないかと我々からしたら見えるのであって、実はできていると彼らは言うのかもしれません。それはいいだの悪いだの非難の応酬をしても何の意味もなく、被災者の方に何のプラスになりません。非難めいたことを申し上げるつもりはございません。向こう側も不十分だったと虚心坦懐で対応をするという体制をつくるということで冒頭に申し上げた次第であります。なぜかと言われれればそれは色んな理由があるかと思いますが、私どもも経験したことがない不測の事態が生じれば対応が万全でなくお叱りを浴びたことは何度もあります。民主党政府としてこういう大々的な国家的危機に対応するのは初めてのことでありますので経験、知見が乏しいというのもあるでしょう。あるいは政治主導と標榜してこられたので官僚機構と信頼関係や情報の共有関係が自民党時代とは違うところがあったのかもしれないと推測があります。しかし、そこは非難をしても現場は救われないので、私たちはこうした方がいいのではないかなど誠心誠意申し上げ、政府の方も虚心坦懐にそれが復興に被災者支援になるのだとあればお互い胸襟を開いて対応するのは当然だと思っております。
Q
自民党がバラマキ施策とよぶ子ども手当てなどを震災の財源にするという話に関連してなのですが、さきほどの与野党幹事長会談で岡田幹事長が子ども手当てのつなぎ法案の5か月分でまかなう分の浮いた財源を被災地の現物支給に充てるべきだとか、あとは高速道路の無料化の財源を被災地の高速道路の修繕に充てるなどのアイディアを披露されているのですが、これについてどう思いますか。
A
色んなアイディアはあるかと思います。そのためにはいくら必要か、わからなければ議論になりません。いったいいくら必要か、財源はどう確保するのか、そのアウトプットとしてそういう話はでてくるのだと思います。岡田幹事長はおっしゃったというが、本当にそれで手当てできますか。手当てできないのであれば子ども手当てそのものを見直すとか高速道路無料化全部やめだとかそういうことをしなければ、手当てできないということであれば要は優先順位の問題でしょう。何が急ぐのだということであって、この際、メンツとかそういうことを言っている場合ではない。そんなこと被災者が聞いたらなんと思うかということを胸に手を当てて考えてみるべきことであります。