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政策国会国会演説代表質問

第210回臨時国会における上川陽子幹事長代理代表質問

第210回臨時国会における上川陽子幹事長代理代表質問

自由民主党の、上川陽子です。
私は、自由民主党を代表し、岸田文雄内閣総理大臣の内外諸課題に対する基本姿勢についてお伺いします。

はじめに、昨日北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射し、わが国の東北上空を通過して太平洋上に落下しました。わが国にとって極めて深刻な脅威であると同時に、地域、国際社会の平和と安全を脅かし、関連する安保理決議にも違反するものであり、断じて容認できません。
北朝鮮は、先月下旬から昨日までに、5回にわたり、8発の弾道ミサイルを発射するなど、異例の高い頻度で発射を繰り返し、挑発を続けています。岸田総理はこうした北朝鮮の暴挙にどのように対応し、国民の命や暮らしを守っていくのか、御所見を伺います。

昨年10月、岸田内閣は、唯一の原爆被爆国の、そして被爆地広島出身の総理大臣による内閣として、国際社会の平和と安全の確保に向けた国内外の大きな期待を背負って発足しました。
しかし、それから1年が経過した今年の国連総会では、ロシアによるウクライナ侵略により国際社会の安全保障環境が急激に悪化し、エネルギーや食料等の安定供給が厳しさを増す中、各国間の分断と対立が、強く印象付けられるなど、まさに国際社会は、戦後最大級の難局に対峙しています。

先々週、総理が国連総会へ出張されたのと同じ時期に、私は、ニューヨークに本部のある国際平和研究所(IPI)が主催するシンポジウムに、パネリストとして招聘され、「WPS、世界平和と安全保障に対する女性リーダーの役割」について議論してまいりました。その際、世界の紛争地域において、女性への暴力や人身取引などへの対応等あらゆる政策に女性の視点を取り入れる、女性リーダーシップの主流化の動きが、急速に高まっていることを実感しました。
さらに、私が強く感じたのは、本年2月のロシアによるウクライナ侵略を契機に、国際社会の分断と、各国における一国中心主義台頭の波が世界を覆い、これまでの国際協調による平和構築の努力と成果が一気に灰燼に帰してしまいかねない不穏なムードでした。それだけに、多極主義(マルチ・ラテラリズム)を標榜する日本が、これからの国際社会において果たすべき役割の大きさ、責任の重さをひしひしと肌で感じてきたところです。
岸田総理は、国連総会ウィークに、精力的にトップ外交を展開されましたが、その成果についてご報告を願います。
合わせて、日本は、WPS計画に日本独自の政策として防災分野の女性の活躍を国際公約していますが、さらに、防衛3文書への折込みや、12月のWAW!、さらに来年のG7の開催に向けてどう取り組むべきとお考えか、岸田総理のご所見をお伺いします。

さて岸田総理は、わが国が取り組むべき諸課題、それに対する政府の諸施策を、所信表明演説として国民の前に明らかにされました。それを基に以下、ポイントとなるいくつかの論点を明らかにしていきたいと存じますが、その前に、いま日本が置かれている状況についての私自身の基本認識を明らかにしておきたいと思います。
一言でいえば、日本にとって最大の危機は、少子高齢化が極限に至り、人口が急減し、社会保障制度が危殆に瀕する恐れのある2040年頃に到来するのではないか、ということです。
いま我々の前にある様々な困難は、それへ向けての前哨戦という位置づけです。そのため私たちに求められているのは、2040年までの20年足らずの時間を、どのように有効に生かし、来るべき危機にどう備えるかであり、短期的、および中長期的な対策をうまく組み合わせる形で、計画的に準備を進めなくてはならないということです。日本にとって残された時間も体力も限られているのです。将来不安を抱え、国民の多くは、「過去の踏襲」ではなく、今こそ「危機克服のための革新」を岸田総理に望んでいるのです。以上のような長期的展望を意識しつつ、以下当面する課題について質問させて頂きます。

はじめに、岸田内閣の経済政策についてお伺いします。岸田総理は、日本経済の再生を内閣の最優先課題として位置づけ、新しい資本主義の旗印の下で、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資」の三つを重点分野として取り組む考えを示されました。

まず、「新しい資本主義」についてお伺いします。岸田総理はご就任以来、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」によって、国民一人ひとりが豊かで、生き生きと暮らせる社会を作っていくとのお考えを示されました。すなわち、これまでの財政・金融政策を主軸とした経済成長を目指す経済から、人が中心、人への投資を基軸とする「新しい資本主義」のあり方へと方向を大きく転換し、新たな考え方で、経済政策運営に取り組んでこられました。現下の物価高、円安に対応し、円安メリットを生かした戦略的な経済構造の強靭化に取り組みつつ、女性の社会参画を徹底し、グリーンやデジタルといった新しい分野に予算や資源を集中的に投資し、経済・社会・産業の大変革を目指す。そして、そこから生み出される新たな分配の原資を構造的な賃上げ、さらには成長分野に移動するための学び直し、リスキリングをはじめとした人への投資へと繋げていく。「新しい資本主義」の実現によって、こうした成長と分配の好循環を生み出し、必ずや日本経済の再生を実現できると私は確信しておりますが、改めて、「新しい資本主義」に対する岸田総理のお考えについて伺います。

次に、物価高・円安への対応についてお伺いします。
コロナ禍の対応やウクライナ情勢の緊迫化、米国のインフレ率の上昇やその抑制措置などにより、
世界的な物価高や先行きの景気後退懸念など、国内外に大きな波紋が広がっています。岸田総理はこうした変化に迅速に対応し、日本経済の底割れを回避すべく、昨年以来切れ目のない対策を講じ続けてこられました。
物価の高騰による国民生活や経済活動への悪影響を最小化するため、原油価格の高騰については、政府・与党が一体となって、燃料油価格の激変緩和事業を、本年1月から実施し、現在、1ℓ当たり35円を超える支給を行うことで、本来であればレギュラーガソリンの全国平均価格が200円を超えるところを、約170円程度に抑制しています。
食料品については、輸入小麦の政府売渡価格を10月以降も据え置き、秋以降のパンや麺などの値上がりの抑制を目指しています。さらに、配合飼料の価格についても、畜産農家が支払う飼料代負担を、10月からの第3四半期も、現在と同程度の水準に据え置くよう支援を拡充し、卵、牛肉、豚肉などの価格への影響を最小限にするよう取り組んでおられます。
また、本年9月には「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を創設し、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、それぞれの地域の実情に即したきめ細かな対策を実現しました。
この間、円安対策についても、過度な円安の加速についてはこれをしっかりと注視して対応しつつ、インバウンド旅客の誘致や、国内農産品の輸出拡大、また海外からの企業誘致や投資の拡大など、円安メリットを生かした新たな取組みに果敢に挑戦していく考えを示しておられます。
さらに、先週9月30日には岸田総理から、新たな「総合経済対策」の策定について指示が出されました。現在策定中の「総合経済対策」においては、現下の円安、そして物価高騰に十分に対処するため、景気の先行き不透明感を払拭する思い切った措置が必要と考えますが、日本経済を巡る現状認識、並びに現下の円安、物価高にどう取り組まれるのか、岸田総理の御所見を伺います。

次に、「構造的な賃上げ」についてお伺いします。
賃上げの実現は当面の緊急課題であると同時に、長い目で見た「新しい資本主義」の最大の眼目でもあります。特に、足元においては、物価上昇が国民不安の大きな要因になっているだけに、これを上回る賃上げの速やかな実現が強く求められています。総理は、新たな総合経済対策として「構造的な賃上げ」の実現に向け、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現を目指すとともに、労働移動円滑化に向けた指針を来年6月までに取りまとめること、スタートアップ企業など成長分野で働くための学び直しなどの支援に5年間で、1兆円を投入することなどを表明されました。
人への分配は、「コスト」ではなく、未来への「投資」です。官と民がともに役割を果たすことで、成長の果実をしっかりと分配し、消費を喚起することで、次の成長につなげる。
そのためには、賃上げ、労働移動の円滑化、人への投資という、3つの課題の一体的改革を進め、賃上げによる好循環を加速させていくべきと考えますが、改めて、「構造的な賃上げ」の実現に向けた総理のご決意についてお伺いします。

次に、成長への投資についてお伺いします。
地球規模の課題である気候変動対策は、新たな成長分野の重要な「種」でもあります。岸田総理が主導するGX(グリーントランスフォーメーション)は、気候変動の危機対応に向けて脱炭素を推進すると同時に、そのための投資を通じて経済・社会・産業の構造を転換し、新たな経済成長と国民生活の向上を実現するものと理解しています。激動する国際社会の中で、日本経済が再び力強い競争力を取り戻すためには、わが国の政府・企業・国民がGXという目標に向けて一致結束し、それぞれの機能を最大限に発揮していくと同時に、人材育成も含む、大規模かつ的確な投資に、官民が総力を挙げて取り組んでいくことが必要です。年末に向けてGX推進のためのロードマップを検討するとのことですが、その際、ウクライナ危機がもたらしている厳しい現実も踏まえたエネルギー安定供給の再構築や産業競争力の強化、地方創生と国民生活向上、海外マーケットの獲得などを俯瞰的に視野に入れつつ、脱炭素化と同時に進めていくことが重要であると考えますが、総理のお考えをお伺いします。

「デジタル田園都市国家構想」についてお伺いします。
岸田総理は、成長戦略の柱として「デジタルを活用した地方の活性化」を掲げ、「デジタル田園都市国家構想」を強力に推進しておられます。具体的には、デジタル技術を活用して教育・仕事・医療・介護などを包括的なサービスとして連携させ、一人ひとりの暮らし方に根差した「新たな地域社会の創造」を目指しておられます。
そうした中で、私はそれぞれの地域の風土や歴史、あるいは海洋国家日本としての魅力や特徴を活かした地方創生を実現し、それを全国へと展開しながら経済成長を実現するため、各地域におけるデジタル基盤をデジタル庁が主導して一元的に整備し、デジタル改革、規制改革を一体的に進めていくことが重要であると考えます。
また、わが国のDX(デジタルトランスフォーメーション)の着実な推進のため、デジタル庁の権限・体制強化やデジタル人材の確保、マイナンバーカードのさらなる普及や利便性向上への取組みを強化すべきと考えます。これらの点について、総理のお考えを伺います。

観光立国の復活についてお伺いします。
今月から全国旅行支援が開始されると共に、個人旅行の解禁、査証免除の再開など水際対策も大幅に緩和されることから、観光を取り巻く環境にも明るい兆しが見え始めています。
コロナ禍で日常生活が制限される中にあって、新たな経験、新たな出会い、そして新たな思い出を生み出す観光が豊かな日常生活に必要不可欠であることが再認識され、「旅」を希求する国民の想いがさらに明確になったと思います。ウィズコロナ時代の観光立国の復活を目指し、国内の環境整備を計画的に進めるためにも、円安メリットを生かせるインバウンドの本格的な回復に向けた集中的な対応を行うとともに、観光地・観光産業の再生・高付加価値化の取組みを戦略的・継続的に推進していくことが重要であると考えますが、総理の御所見をお伺い致します。
またその際、わが国が世界に誇る社寺や伝統芸能、美術品などの数多くの文化的資産を有していることも重要です。文化芸術立国を目指す日本にとって、それらの保護・保全はもちろん、アート作品を生み出すアーティストの支援、新たな時代に即した育成の仕組みは、日本のアート振興の重要な基盤であり、国力の源泉であると考えますが、総理のお考えをお伺いします。

中小・小規模企業対策についてお伺いします。
新型コロナにより、日本の中小・小規模企業は極めて大きな打撃を受け、未だに多くの企業が、回復に向けた努力を強いられています。事業者の皆様にあっては、国や自治体からの様々な要請に、さらには現下の物価高・円安にも機動的に対応を頂きながら、必死に、日本の雇用と産業を守り抜いて頂いております。
政府はこれまで、新型コロナで影響を受けた事業者に対し、資金繰り対策や経営環境整備など、きめ細かな支援に取り組んでまいりました。しかしながら、依然として厳しい経営環境にある中で、物価高・円安対策のための十分な価格転嫁や、コロナ対応融資を受けた企業の返済期限・借り換えへの対応など、現下の事業環境の変化に対するさらなる支援が必要であると考えますが、中小・小規模企業への支援について、総理のお考えを伺います。

こども政策について伺います。
今年の上半期の出生数は、対前年比5%減の約38.5万人まで落ち込むなど、少子化の進行や人口減少に歯止めがかかっておりません。また、児童虐待の相談対応件数や不登校の件数は過去最高となるなど、子供を取り巻く環境は厳しさを増しています。
こうした中で、先の通常国会では、こども政策の司令塔としての「こども家庭庁設置法」と、こども施策の基本理念を定める「こども基本法」が成立し、来年4月からその施行がなされます。こどもまんなか社会の実現を目指し、基本法に掲げられた基本理念の具体化を進めるためにも、子供の将来に負担を強いることなく、恒久財源によって予算を拡充し、持続可能な少子化対策・こども政策として「未来への投資」に取り組んでいくべきと考えますが、総理のご認識をお伺いします。

新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
感染症対策にしっかりと取り組みながらウィズコロナに向けた取組みを一歩ずつ進める中で、基本的な感染症対策の徹底やワクチン接種の促進など、国民の皆様にも御協力を頂き、今年は3年ぶりにまん延防止等重点措置や緊急事態宣言のない夏休みを迎え、地域のイベントなども再開されるなど、少しずつ日常生活が取り戻されつつあります。
そうした中で、総理は先月6日、保健医療体制の強化・重点化や自宅療養体制の整備、全数届け出の見直し、オミクロン株に対応した新型ワクチンの接種開始の前倒し、そして陽性者の自宅療養期間の短縮といった、ウィズコロナに向けた感染症対策に関する新たな考え方を表明されました。
今後、冬のインフルエンザとの同時流行の懸念もあり、引き続き感染症対策に万全を期すとともに、常に新たな感染の拡大、あるいは新たな感染症の発生リスクを見据えた態勢の強靭化に取り組み続けることが重要です。国民の不安に寄り添い感染拡大を防ぎながら、社会経済活動をさらに回復させるために、そして新型コロナを踏まえた新たな感染症対策にも対応するために、ウィズコロナに向けた取組みを着実に進める必要があると考えますが、総理の御所見を伺います。

災害対策についてお伺いします。
先月発生した台風15号の大雨により、私の地元静岡県においても、集落の孤立や浸水、停電や断水など、日常生活に甚大な影響が発生致しました。近年、全国各地で自然災害の頻発化・激甚化が進んでいますが、改めて、地震や津波、豪雨や豪雪、竜巻や噴火など、災害対策に取り組む岸田総理の御決意をお伺いします。

次に、旧統一教会との関係・被害者の救済についてお伺いします。
岸田総理は、党所属国会議員が当該団体との関係を断つことを党の基本方針としてこれを徹底すること、また、今後社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことが無いよう、党におけるチェック体制を強化することを明確にしておられます。今後はさらに、党と政府が一体となって霊感商法等の被害者の救済や悪質商法への対策について多角的な取組みを進めていくことが重要であると考え、党においては消費者問題調査会の下に小委員会を設けて具体的な検討を進めるとともに、党改革実行本部において、社会的に問題が指摘される団体と関係を持たないことをガバナンスコードに盛り込む手続きも進めております。改めて、政府として旧統一教会との関係・被害者の救済に関する総理のご認識をお伺いします。

最後に、日本を取り巻く外交・安全保障についてお伺いします。
先に行われた、安倍元総理の国葬議の際の「弔問外交」で、岸田総理は38回、計42人の国や地域、国際機関の方々と会談されました。総理はかねてより、今回の弔問外交によって「安倍元総理が培われた外交的遺産をわが国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示すとともに、相手国からわが国に示された敬意にしっかりとお応えをしたい」と仰っておられましたが、今回の弔問外交の成果と、今後どのように岸田政権の掲げる「新時代リアリズム外交」を展開していくのか、総理の御所見をそれぞれ伺います。

なお、今回の国葬儀では海外だけでなく、国内においても全国各地で安倍元総理に対する感謝の念と不慮の死を悼む真心が広く示され、多くの、数多くの、一般の方々からの献花も行われました。多くの国民の皆様に今回の国葬儀を実施して良かったという思いを共有頂けた一方で、様々なご意見やご批判があったことも事実であり、今回の国葬儀をめぐり、「日本という国家の分断が露わになった」との海外の報道も見られました。このような指摘がなされることは、国家として決して望ましいことではなく、今後、同様の事態を避けるためには国葬儀の実施について何らかのルールを設けるべきと考えますが、総理の御見解について併せてお伺いします。

ロシアによるウクライナ侵略が始まって7カ月以上が経過しましたが、依然として予断を許さない状況が続いています。今回のロシアの行為は、世界の平和と秩序を踏みにじるものであり、断じて許されるものではありません。政府におかれては、これまでの対ロシア政策を大きく転換し、G7を始めとする国際社会と協力し、厳しい対ロシア制裁を科すとともに、ウクライナ等への支援に全力を挙げているものと承知しています。そのために、引き続き国際社会が一致して、毅然とした対応を取るべきです。今般のウクライナ情勢の現状認識と今後の対応について、総理の御所見を伺います。

平和で安定した国際社会を実現するためには、日米同盟を基軸とし、自由・民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々との連携を深めることが何より重要です。その上で、在外公館の機能を質と量の両面で強化し、多様な地域協力の枠組みを活用するとともに、司法外交の推進や、国際裁判への対応能力の向上を図ることなどにより、日本の総合的な外交力強化に向けて不断の取組みを続けていくことが重要であると考えます。これらの点について、総理のご認識をお伺いします。

さらに今、ロシアによるウクライナ侵略によって、核兵器の惨禍が再び繰り返されるのではないかとの懸念が世界で高まっています。わが国は唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向け、現実的な歩みを着実に進めるべく、国際社会の取組みをしっかりとリードしていくべきだと思います。総理は今年8月、日本の首相として初めて、NPT運用検討会議に出席し、核軍縮に向けた「ヒロシマ・アクション・プラン」を表明されるなど、核兵器廃絶に向けた積極的な努力を続けておられますが、改めて核廃絶に対する総理の思いについて伺います。

また何より、拉致問題の早期解決は最重要課題です。
拉致被害者全員の即時帰国の実現に向け、国際社会との結束をより一層強め、国民の理解と関心の深化を図り、あらゆる手段を尽くして取り組んでいくべきと考えますが、拉致問題解決に向けた総理のご覚悟についてお伺いします。

近年、中国は海洋進出を活発化し、尖閣諸島付近での領海侵入や台湾への威嚇を繰り返すなど、国際法に違反し、「力による一方的な現状変更の試み」を重ねてきていますが、こうした試みは世界のどこであれ認めることはできません。「自由で開かれたインド太平洋」を着実に進め、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を実現することが重要です。わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、国際秩序の根幹が揺らいでいる現下の情勢の中、岸田総理は、インド太平洋の平和と安定に向けどのように取り組むお考えか、お伺いします。

わが国が直面する安全保障上の課題が深刻化し、軍事技術が急速なスピードで変化・進化している中で、国民の命や暮らしを守り抜くための十分な備えができているのか、本格的な検討が必要です。総理は、防衛力を5年以内に抜本的に強化していくことを表明されており、国家安全保障戦略などいわゆる三文書改訂に向けた検討が進められていると承知しています。総理はかねてより、「あらゆる選択肢を排除せず現実的に進める」と仰っておられますが、検討にあたっては、必要となる防衛力の検討、予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていくべきです。年末までの最重要課題の一つである「防衛力の抜本強化」をどのように進めていくお考えか、お伺いします。

以上、日本が直面する様々な課題について、岸田総理の所信表明演説の内容を踏まえながら、縷々質問を致しました。
最初に申し上げたように、最も重要なことは、長期的展望を常に意識しつつ、今から覚悟を据えて準備しなければならないということです。その際、日本が先々、直面する困難が、容易に乗り越えがたいものであることを思えば、「過去の踏襲」ではなく、「危機克服のための革新」に向けて、今こそ大きく舵を切らなければならない、ということを重ねて申し上げ、私の質問を終わります。